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宝塚星組東京公演「眩耀の谷/Ray」観劇 [┣宝塚観劇]

幻想歌舞録
「眩耀の谷~舞い降りた新星~」


作・演出・振付:謝珠栄
作曲・編曲:玉麻尚一、小澤時史
録音音楽指揮:御崎惠
振付:平澤智
中国武術指導:陳静
殺陣:渥美博
装置:國包洋子
衣装:加藤真美
照明:勝柴次朗
音響:大坪正仁
小道具:太田遼
歌唱指導:西野誠
映像:九頭竜ちあき
演出補:野口幸作
演出助手:菅谷元
舞台進行:香取克英


星組新トップコンビのお披露目公演ー
実は、3公演当たってホクホクしていたところ、開幕直後の公演中止に伴い、2公演が飛んでしまった。21日から再開しなかったらどうしよう…と気もそぞろだったが、最後の1枚無駄にならなかった。
ありがとうございます[黒ハート]


席は、やや上手の1F旧A席最前列。
通常なら、客席降り場面でおいしい思いをできる場所だ…と思うと、切ない[もうやだ~(悲しい顔)]


再開後の感想を友人たちから聞いていたので、再開への思い入れで泣いてしまう…などということはなかった。
今回は、お披露目公演なので、開演アナウンスの「礼真琴です」のあとに拍手をしたが、生オケではないからか、「開演します」の後の拍手はなかった。すぐにくらっち(有沙瞳)にスポットが当たる演出のせいかもしれない。もはや、トップスターの名乗りの後の拍手は不可逆で、劇団も諦めたってことなのかな[ふらふら]
これも時世時節ということか…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]


さて、オケがない違和感を、ここまで強く感じたのは意外だった。
全国ツアー公演をはじめ、外箱公演は録音だからだ。
プロローグの場面で、この日、ブン族※の女(歌手)役のなっちゃん(白妙なつ)のマイクトラブルがあり、美声がしばらく聞こえなかった。こういう時、生オケだと、声が届くように一部の楽器の演奏をやめ、声が聞こえるように配慮してマイクの回復を待つ。前回星組の新人公演でその現場を見ていただけに、違いが際立ったのかもしれない。もっとも、このシーンは、二胡を使った中国的な音楽が使われていたので、生オケだったとしても、その部分は録音だったかもしれないが。
※汶(さんずいに「文」)は環境依存文字なので、スマホからは欠字になってしまう可能性があることから、本記事では、すべて「ブン族」と表記します。


中国の周時代の物語。
宣王(華形ひかる)の時代なので、紀元前800年…というから、今から2800年前[exclamation×2]宝塚が取り扱う作品の中でも、最古に近い物語といえるかもしれない。(「虞美人」の時代が、紀元前200年頃なので、それよりさらに古い。)
主人公、丹礼真(礼真琴)は、亜里の砦で指揮を執る管武将軍(愛月ひかる)の下、「眩耀の谷」服属のため、偵察の任務につく。眩耀の谷を探すうち、礼真は、不思議な男(瀬央ゆりあ)に出会う。
その男の導きで、礼真は眩耀の谷に到着できたのだが、ここに住むブン族の人々に捕われ、彼らと話すうち、自分の信じてきたこととまるで違う彼らの話に驚く。周は、眩耀の谷にある黄金と彼ら秘伝の薬を奪うために、眩耀の谷の隷属を狙っているというのだ。そして礼真は、ブン族の王の妹、瞳花(舞空瞳)と出会う。盲目の瞳花は、菅武将軍の妾となり、子を産んでいた。子供に会いたいと言う瞳花を助けるうち、礼真の心は次第に変化していくー


2007年の「MAHOROBA」以来の謝先生の作・演出作品。
あの作品は、和もののショーだったから、演劇作品としては初と言ってもいいかもしれない。
礼真琴・舞空瞳コンビのお披露目公演であり、愛月ひかるの星組大劇場デビューであり、華形ひかるのサヨナラ公演であり…と、それでなくても星組として重要な舞台だったが、さらに、新型コロナウィルス感染症対策で閉鎖を余儀なくされた東京宝塚劇場の再開公演という位置づけも加わった。
圧倒的な国力で、小さな谷に住む少数民族に迫る大国。その少数民族の新たなリーダーとして、礼真が下した決断に腰を抜かした。ちょっと待て[exclamation×2]
谷先生だったら、ここで皆殺しだろ~(byEL DORADO)と思ったが、女性作家ならではの脚本かもしれないな。(戦って全滅するより、逃げて生き残ろう!的な…)
とはいえ、礼真と管武将軍の対決シーンがなかったのは、非常に残念。お披露目公演だし、最終的に全員が生き残る結末だったとしても、そういう場面をうまく入れ込むことはできなかったのだろうか。上級生2番手って、それくらい気を遣われてよいポジションだと思うぞ[exclamation×2](by太王四神記)
そして、新トップコンビのお披露目だというのに、恋愛らしきシーンが皆無で、最後の最後に結婚したと後日談を語られても…[爆弾]なあたり、謝先生は、お披露目公演にも、サヨナラ公演にも、組替え後大劇場初2番手にも、あんまり配慮する気はなかったのかな…と思ってしまう。
先生、これ、宝塚だよ[exclamation&question]
と言いつつ、真ん中以外のところは、わりと満足できる配慮ぶりだった。
この配分、謝先生の在団中(1971-75)の宝塚っぽいのかもな…と思ってみたり。大昔の宝塚は、今みたいにトップコンビと2番手に偏重した演劇ではなく、脇役の活躍場面がたくさんあり、路線とか関係なくたくさんのスターがいた。最終ゴールがトップスターと思って入団する人はほとんどいなかったんじゃないかな。トップの在任期間も長かったし。(鳳蘭さんとか10年位トップやってたし。)


主役の礼真琴は、可愛くてかっこよくて、歌よしアクションよし、不安の見当たらないお披露目公演。
相手役の舞空瞳は、相手役的な境遇でもなく、芸名が瞳で役名が瞳花にもかかわらず盲目の役だったりするし、しかも妾で5歳の子供がいるとか、めちゃくちゃ難しい役どころ。まあ中途半端な役よりは、入り込みやすいかもしれない。ラストのとの並びの美しさにトップコンビ感が出ていた。
管武将軍役の愛月ひかるは、堂々たる美丈夫。戦いが回避されたため、大詰のシーンに出番がなく、尻切れトンボな印象。瞳花は管武に見初められ、妾になったと語られるが、瞳花との場面がないため、恋愛方面の見どころもない。ないない尽くしの中で、印象を残しているが、ちょっと気の毒。
宣王役の華形ひかるは、愚鈍な王を印象的に演じた。出番は多くないし、ちっともいい王様に描かれていないけど、なぜ、愚鈍な王になってしまったのか、なぜ酒に溺れているのか、伝わる役作りをしている。最後の最後まで、誠実に役と向き合うスターだったな~と思う。ファンのことをたくさん考えてくれたスターだけに、最後にお茶会がなかったのは、とても残念な気がする。
春崇役の有沙瞳語り部としての凛とした姿、とても、美しかった。居方が別格的に素晴らしくて、新体制の星組に彼女の居場所はあるのかしら[exclamation&question]と不安になるくらい。どうか、これからも有沙瞳のためによき役を…と願うばかり。
謎の男役の瀬央ゆりあは、常に一人で登場するおいしい役。同期のとの二人の場面も多く、しっかり新体制下での自身の存在感を示した。
宣王の巫女、敏麗役の音波みのり美しくて、残酷で、巫女(しかも悪女)にはピッタリ。妹の瑛琳(小桜ほのか)は宣王の妾妃で、なぜか姉妹でバチバチしている。美女二人のバチバチ、堪能しました[黒ハート]
礼真の部下、慶梁役の天寿光希と百央役の大輝真琴手堅い。特に天寿については、久々の黒い天寿が観られて、うれしかった。
その他、若手はほぼ眩耀の谷のブン族に固まっていたが、ひろ香祐が手堅く、綺城ひか理、天華えまの二人が突出して魅力を発揮していた。綺城は、化粧の地色が少し浮いていて、組替えってこういうことだよね…と思う。でも、かっこよかったけど。天華は久々に美貌がさく裂していた。
礼真を導く、神の使いとして踊った水乃ゆりの美しさも特筆したい。
アルマ(夢妃杏瑠)とテイジ(天飛華音)の悲劇のきょうだいが、役としてはおいしく、印象に残った。
あいかわらず、輝咲玲央(礼真の父役)のヒゲがダンディすぎて、星組観たな~という感じ。
作品としては、名作、万歳[exclamation]というものではないけど、組子たちが、ちゃんと活躍できる舞台になっていたので、よかったと思う。


Show Stars
「Ray-星の光線ー」


作・演出:中村一徳
作曲・編曲:竹内一宏、甲斐正人、青木朝子、竹内聡
録音音楽指揮:橋本和則
振付:御織ゆみ乃、平澤智、KAZUMI-BOY、Bryant Baldwin、西川卓
装置:関谷敏昭
衣装:加藤真美
照明:勝柴次朗
音響:切江勝
小道具:加藤侑子
歌唱指導:彩華千鶴
映像:Jajin Chung(EPITAPH.Corp)
演出助手:生駒怜子、中村真央
舞台進行:香取克英


ショーの感想は、一度だけの観劇ではとっても無理…[バッド(下向き矢印)]
なので、千秋楽のライビュの方に、しっかりと書きたいと思う。ここでは印象だけを。
まあ、とにかく、中村B先生らしいショーでしたー[黒ハート]
第一章が宇宙の誕生というテーマだったそうだけど、あまり、それっぽい感じじゃなくスタイリッシュな雰囲気なのはよかった。冒頭から、礼真琴が聴かせる。
第二章は、瀬央ゆりあメインの場面で、プログラムのスチール位置といい、単独3番手として、ショーでも重要なポジションを獲得した感じ。
第三章は、天寿光希音波みのりを中心とした場面から始まり、同期のベテラン芸に感動[揺れるハート]トップコンビを中心とした群舞が素晴らしい。
第四章でようやく、愛月ひかるがメインの場面。星組、こんなにスタイリッシュだったっけ[exclamation&question]と思う。皆さん、かっこいい[揺れるハート]花組から来た綺城ひか理は、やっぱりスーツが似合う。
第五章で中詰。次々に歌い継ぐので目がいくつあっても足りない。ロケットは人数が少なくて寂しかった。全ツレベルだもの…。
第六章のオリンピアの場面は、本当ならこれから始まるオリンピックに向けてのシーンだったんだろうな。東京公演が5月までだったから。まあ、一応、今でも「これからオリンピックをやる」体ではある。
第七章フィナーレは、男役群舞に華形ひかるを入れてほしかったな。黒燕尾だし。デュエットダンスのカゲソロ、音咲いつきが素晴らしかった。
何はともあれ、新生星組、おめでとうございます[exclamation×2]色々あったけど、作品的によき船出だったと思います[黒ハート]


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