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黒柳徹子「ベッドルーム・ファンタジー」観劇 [┣演劇]

ル・テアトル銀座で上演中のコメディ「ベッドルーム・ファンタジー」を観劇した。

「ベッドルーム・ファンタジー」

作:ジョン・トビアス
訳:丹野郁弓
演出:高橋昌也

ル・テアトル銀座が、「銀座セゾン劇場」という名前だった頃から、黒柳徹子がライフワークのようにやっている海外コメディのシリーズが今年20周年を迎えたという。
私が初めて観たのは、1999年の「マレーネ」だった。
ファンだった久世星佳さんが、退団して女優になったことを受け入れられず、ずっと女優としての舞台を観ていなかったのが、勇気を出してこれを観に行ったのがキッカケで、すっかり女優・久世星佳のファンになった記念すべき作品。
実はそれ以来の黒柳徹子コメディである。
なんか、観ているようで、実は、観ていなかったらしい。

本作はワンシチュエーション・コメディ。
舞台はニューヨーク。マンハッタンの高級マンションに住むグリフィン夫妻。
夫人のオリヴィア(黒柳徹子)が、管理人のコネリー(石田太郎)を部屋に招く。ラジエーターの調子が悪い…というのが口実だったが、中に入るや、オリヴィアは、コネリーを誘惑し始める。
いったんはその気になったコネリーだったが、オリヴィアが場を外した時、葉巻を失敬し、ついでにふと物色するつもりでウォークインクローゼットを開けると、そこには、3000マイルも離れたところに出張中のはずの夫、チャーリー(団時朗)が女装してこちらを覗いていた。
驚くコネリーに、オリヴィアは、真実を打ち明ける。
夫の仕事が忙しすぎて、夫婦関係がうまくいかなくなってしまった倦怠期の二人を活性化させるためのファンタジーとして、「妻が労働者階級の男に襲われるところを、女装して覗く」というシチュエーションが有効らしいのだ。
そうと知ると、とたんにコネリーは尻込みを始める。
そのやり取りの間に、別のクローゼットに隠れていた空き巣のラップチック(田山涼成)が見つかり、一時は居直り強盗になるが、失敗して、このファンタジーの片棒をかつぐ羽目に陥る。
大の大人4人が入り乱れているところに、夫が若い女と駆け落ちした!と嘆くオリヴィアの姉(立石涼子)までやってくる。そして…

最後は、まあ、夫婦の問題は、夫婦で解決すべきだよね、という常識的なところに落ち着いて、ハートウォーミングなドラマになって終わるのだが(一部、このままでいいのか?という愉快な問題=姉とラップチックの逃避行=は孕みつつ…)、いろいろと考えさせられる芝居だった。

私自身、結婚というものがどういうものなのか、知らないので、その辺に深くつっこむことはできないが、この作品のテーマ部分に、相当昔に読んで感銘を受けた「アメリカ性革命報告」のことを思い出した。

アメリカ性革命報告 (文春文庫 (330‐1))

アメリカ性革命報告 (文春文庫 (330‐1))

  • 作者: 立花 隆
  • 出版社/メーカー: 文芸春秋
  • 発売日: 1984/01
  • メディア: 文庫

 

評論家の立花隆さんの詳細かつ多面的な情報収集に基づく報告で、レポートというのは、こういう風に作成するものなのか!というお手本のような一冊なのだが、この中に(本自体は、たぶん1970年代に初版が出ているのだが)、既に夫婦間の没交渉についての問題が語られている。
で、アメリカの夫婦は、そういうことについて、本当に大真面目に一生懸命解決しようとしているのが、印象的だった。そして、性的なファンタジー信仰が強いという印象もあったので、この作品は非常に納得できるストーリーだった。

とはいえ、オリヴィア夫婦は何歳なんだろう?と、考えてしまった。
役者に年齢はないとはいえ、今回の出演者からいって、60代くらいに思えてしまって。
オリヴィアの姉のセリフに、「結婚して25年」というのがあったので、たぶんお姉さんが50歳そこそこ、ということは、オリヴィアは40代…それなら、努力すべきかも…でもそれだったら、もう少し若い陣容で演じるべきだったかな?とは感じた。

特殊メイクのバストをつけて、ハイヒールのブーツを履いて、黒柳さんは、やっぱり超人!
60代夫婦に見えたのは、団さんが白髪の美老人風だった、というのも大きい。団さん自身はとても素敵だったが。
田山さんは、「フラガール」はあんまり感心しなかったが、今回は、ほんと笑わせてもらった。
石田さんの味には感服。そして立石さん、抱腹絶倒でした!


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Oceanato

あのすみませんが、2年近くノンさんに好きになった外国人のファンです。このブログを読んて、あなたが1999年にノンさんと黒柳徹子さんの舞台マレーネを観劇したことがわかりました。わたしもこの舞台に興味があるので、ちょっと聞きたいですが、マレーネの中でノンさんと黒柳さんがキスシーンがあったそうですね。これはとても珍しいシーンと思いますが、この伝聞は本当かどうかわからないですけど、Googleでもそのシーンを証明する資料が見つからないので、とても気になりました...だから、あなたに確認したいです。
by Oceanato (2024-03-30 16:40) 

夜野愉美

Oceanato様
だいぶ昔の記事への投稿だったので、ちょっとびっくりしています。
1999年に「マレーネ」を観劇しましたが、キスシーンがあったかどうかの記憶がまったくありません。女性役同士の濃厚なキスシーンがあれば、25年前であっても強く記憶していると思うので、あったとしても、スルーしてしまう程度の、ちょっとしたものだったのかもしれません。
せっかくこちらを探してご質問いただいたのに、お役に立てず申し訳ありませんでした。
by 夜野愉美 (2024-04-02 12:45) 

Oceanato

夜野愉美様                                          ご返事ありがとうございます。突然にこんな昔の話を聞いて申し訳ありませんでした。疑問を解いてくださって、嬉しいです。本当にありがとうございます。
by Oceanato (2024-04-02 17:51) 

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