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Jr.5公演「灰になる」観劇 [┣演劇]

演劇企画集団Jr.5 第9回公演
「灰になる」


脚本・演出:小野健太郎


舞台監督・演出助手:吉野雄作
舞台美術:池宮城直美
照明:横原由祐
照明オペレーター:遠藤宏美
音響:島猛
音響オペレーター:遠藤宏美
大道具:明治座舞台 石塚聡
撮影:大参久人

宣伝美術:藤尾勘太郎
パンフレットデザイン:宇佐見輝
パンフレット写真:今井康夫
制作:山崎智恵


Jr.5の公演を観るのも3回目。今回は、ご一緒していただいていたEGIちゃんとスケジュールが合わなかったので、単独参戦。場所も、いつものウエストエンドではなく、下北沢。ドキドキです。
小劇場B1は、北沢タウンホールの地下にある劇場で、私は初。最初、間違えて、劇小劇場に行ってしまった(恥)
3月18日~26日…という公演期間は、まあよく上演できたな~[爆弾]という感じだが、自由席ということを利用して、座席間隔をめいっぱい広げるなど、感染防止への努力をした上での上演だった。もちろん、観客もマスク必須。


作・演出のオノケン(小野健太郎)にアルコールをぷしゅっとしてもらって場内に入ると、入口から一番遠い角を起点にひし形に舞台が設営され、二方向に客席が作られていた。どちらが正面ということはなく、どの角度から観ても死角なく観劇できる感じ。


主演は姜暢雄。お約束の河内役。(Jr.5作品では主役の苗字が“河内”に固定されている。これは、作・演出の小野健太郎が敬愛するスタジオライフ前主宰の故・河内喜一朗氏に由来している。)ずっと、Jr.5公演に参加できなかったくん。(所属事務所のキューブとスタジオライフは、どうも風通しが悪い気がする。)出演するとなったら、いきなりの主演である!
まあ、世間一般的に、スタジオライフの中で一番の有名人だし、出てくれるなら主演にする…よね、やっぱ。とはいえ、「オナラを止めることができない(しかも超くさい)」という理由により、会社をクビになった男、というのは、オノケンからのニュー姜暢雄(最近結婚と父になったことを発表)へのプレゼントなのか、単にイケメンへの貶めなのか[あせあせ(飛び散る汗)]


無職のまま日を送る河内のもとには、佐山(中原和宏)が時々やって来る。彼は、マチキンの担当者なのだが、利息を取ることもせず、逆に河内のための食事を買って来てくれたりする。一方、福祉事務所の担当者らしき男(青木隆敏)は、本当は働けるのではないか等々厳しい言葉を河内に浴びせる。
河内は、本当に再起する気持ちがあることを示すため、生活困窮者自立支援制度に基づいたNPOらしき場所に向かう。そこでは河内と同じように、若くて働けそうなのに、生活保護を利用している男女が集っていた。
妙にテンションが高い女は、鈴木(橘花梨)。言葉少ない男は、佐藤(奥田努)。そして太っていて、人前で話すことができない女は、五味(奥山佳代)。そして、彼らを束ねようと空回りしている職員が、山田(真心)。
山田は、みんなに折り紙を折らせたり、老人の家にボランティアに行かせたり…ということを通じて、社会復帰を目指している。
佐藤は、河内に、神経内科に行って薬を処方してもらい、それを売り払って荒稼ぎをしようと持ち掛ける。鈴木は、河内を翻弄し「抱いて」と言ってみたり、つき飛ばしたり。(鈴木は、薬物依存症。佐藤は鈴木にも薬を売っている。)五味はひどい対人恐怖症だったが、意外にもボランティア先の高橋さん(山元由湖)と打ち解け、そのことで河内とも話せるようになる。が、息子の和男(田嶋高志)には胡散臭い目で見られる。
ある日、佐山が別の男、小島(小松勇司)と一緒にやって来て、突然、激しく取り立てを始める。そして、河内が払えない分を別の人から取り立てようとし始める。携帯電話の履歴順に電話を架けさせられたが、その相手は、高橋さんだった…


マチキンや生ポについてやたら詳しく、オノケン大丈夫か…[あせあせ(飛び散る汗)]という気持ちになったが、底辺に生きる人々の日常が丁寧に描かれていて、「鈴木」とか「佐藤」とか「山田」とか「ゴミ」みたいに、記号のような名前を付けられながら、その裏側にちゃんと人生が見えてくる作りは、オノケン流の温かさに満ちている。
突然、河内の前から消えた佐山が、再び河内(再就職も決まっていないのに、生活保護受給を止めてしまう)のもとに現れ、二人で出掛けるラストシーンが心に残った。このまま心中しそうな空気もありつつ、(客観的には、それくらい悲惨な状況)でも、きっと、これはハッピーエンドなんだ[exclamation]ここからやり直すんだ[exclamation]という空気を劇場いっぱいに感じた。そうだと信じたい。
スタジオライフに籍がありながら、テレビや映画、大舞台で活躍していて、もう倉田さんにも忘れられてそうなが、いつの間にか味のある俳優になっていたことに、感動[黒ハート]今回は、小野(Wキャストで和男を演じていた)の芝居を観られなかったが、青木もずいぶんライフの舞台で観ていないから、1年ぶりくらいに芝居している姿を観る。(現在は、スタジオライフのもうひとつの基幹事業である『影絵』の“語り”で全国を回っている。)Jr.5での青木は、彼のキャラクターを生かした役が与えられているようだ。
唯一、ライフでもよく観る奥田は、外の舞台で観ると、もうなんつーか、ライフの人じゃないくらい、こういう小劇場の芝居が似合う。今回もしっかり作品世界に溶け込んでいた。
中原、山元、真心の三人は、Jr.5公演「徒然アルツハイマー」でお目にかかっている。中原山元はたしかな演技で舞台を引き締め、真心は隠し玉的に効いている。なんか、芝居の流れをブツっと切ることで、効果が出ているというか…不思議な俳優さん。
その他のキャストも、Jr.5のヤバい世界観(人間が根底に抱える闇が表に出てきてしまうような…)に嵌まっていて、今回も、なかなかに面白かった。


でも、まあ、今回は、なんといっても、くん、だと思う。
イケメンパラダイスなくんが、オナラ止まらない役とか、シュールすぎるけど、すごいいいんだ~[黒ハート]


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