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Jr.5「明けない夜明け」観劇 [┣演劇]

演劇企画集団Jr.5
「明けない夜明け」


脚本・演出:小野健太郎
美術:Hajime Kinoko
照明:横原由祐
照明オペレーター:遠藤宏美
音響:島猛
音響オペレーター:芹澤悠
舞台監督:倉本徹
撮影:大参久人
宣伝美術:藤尾勘太郎
パンフレットデザイン:宇佐見輝
文芸協力:望月清一郎(鬼の居ぬ間に)
制作:山崎智恵
企画・プロデューサー:奥田努


物語は、現代と、事件のあった時代ー約20年の歳月を行ったり来たりする。
引きこもりの長女・愛(福圓美里)、花屋に勤め始めた恵(大内唯)、夜のお店で働いている美優(秋月三佳)。ヒロインは次女の恵。家でも、仕事場でも、貼りついたような笑顔で、対応している。
それって、実は、心を閉ざしているってことだから、人をものすごくイラっとさせる。事実、姉の愛は、恵にだけブチ切れている。
恵の職場での人間関係も微妙。花屋の店長(中山裕康)は、先代から花屋を引き継いだものの、やる気ナッシング、人望ナッシング、店長の立場を利用して若い店員にセクハラを続けている。店員の高原誠一(梅木駿)は、やる気はあるが店長があれでは…というところ。今は、恵の存在がモチベーションになっている。その高原に岡惚れしているのが、先輩店員の立花春花(野崎詩乃)。野原が恵を気にしているので、恵への意地悪は忘れない。恵を庇ってくれているのが、先代時代から弟子入りしている山田光子(佐藤友美)という状態。それでも、恵は、働けるだけ幸せだと言う。その卑屈な態度は何処から来るのか。


すっかり冷え切って、離婚直前の夫婦。夫(奥田努)は、時々妻のもとに戻って来るが、そのたびに揉めている。妻(山元由湖)は、夫の顔を見ると悪口雑言。
ある夜、妻は、夫にカレーを振る舞い、酒を勧め、遅くなったから泊っていけと伝える。恵は、父に帰ってくれと懇願するが、父は寝床へ。おそらく、その夜が惨劇の夜だったのだろう。
父は殺され、母は服役中。もうすぐ、母が出所する。
花屋に記者の貝山(安川純平)が訪れ、そこから恵の両親のことが知れ、優柔不断な店長がこういうことだけはきっぱりと恵に退職勧告する。
三姉妹の中で、唯一といっていい稼ぎ手の三女・美優は、とうとう家を出ると宣言する。そのことによって、何が変わるのか[exclamation&question]でも、少なくとも、何かが変わっていきそうな、気配のある終わり方ではあった。


30分前の開場時間から、舞台には、恵役の大内唯がいて、テレビを見ている。
そのテレビで、殺人事件のニュースをやっていて、それを見咎めた姉の愛がリモコンを取り上げ、ザッピングをする。その結果、「おそ松さん」が流れるのだが、その映像と芝居のタイミングがピッタリで、演出の間の良さに、まず感動した。
回想シーンにしか登場しない、奥田山元の芝居は、めっちゃリアルで、このリアル感が、Jr.5の真骨頂だな、と思う。
花屋での人間関係は、主題とは直接関係ないが、ここもしっかりと人間関係が書き込まれていて、サイドストーリーとして面白い。特に店長と光子の関係性が、心に刺さる。
そして、心の闇が深すぎる長女、愛役の福圓に目が行く。特に似ているわけでもないのに、福圓を見ると、必ず、寺島しのぶが思い浮かぶ。何故なんだろう[exclamation&question]ヒリヒリとかザラザラとかしたものを演じられる女優だから…かな[exclamation&question]
そして、美優の働く店のマネージャー、加藤を演じたオノケン、チャラさと誠実さが入り混じった役作りがたまらない。舞台での居方が見事だった。(演出だから当然かもしれないけど、自分を客観的に観られる人なんだな…と思う。)


今回もよい芝居を観せてもらった。次は、シモキタで、姜くんも参加する舞台、楽しみにしたいところだが…できれば、寺岡くんも観たいな…[黒ハート]


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