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「ごーRock」観劇 [┣演劇]

多田直人案第4回発表会
「ごーRock」


舞台監督:村岡晋
音響:早川毅
オペレーター:高島斎
照明プラン:松本大介
オペレーター:長谷川楓


協力:スターダス・21、ラッパ星、ワタナベエンターテインメント、(有)レトル、ナッポスユナイテッド、キャラメルボックス


5人の出演者が、それぞれ1作の脚本を書き、6つのショートストーリーを演じる「ごーRock」。
ごー(5作品書き)ろっく(6作品出る)という意味なのだろうと思う。
私が観たのは初日だったので、おそらく、すべての作品が一番「むき出し」の状態で提示された気がするが、この実験的な舞台を観て、出演者(として舞台に生き続けている人)が書く作品はこうなのか…[ひらめき]というのが、一番大きな感想。
ぶっちゃけ、意味がよく伝わらなかった部分もある。
それは、一番大事なセリフや場面が、「立って」いないから。すーっと流れたり、客席の笑いに紛れたり、出演者のセリフが割れてしまって聞き取れなかったり。けっこう残念だったかも。
その一方で、いつも私たちが観ている演劇というのは、「分かりやすい」ものなんだな…と、あらためて感じたし、その分かりやすさを、役者の方々は、もしかして「まだるっこしい」と思っているのかな[exclamation&question]なんて思った。出演者と観客の間の溝は、思っているより深いのかもしれない。そして、そこを繋ぐ仕事こそが「演出」ってことなのかな[ぴかぴか(新しい)]


では、個々の作品感想
浦川拓海作・演出「みかん」
とある会社のとある休憩室。誰も知らない間に結婚して、誰も知らない間に離婚しようとしている一組のカップルと何も知らない同僚たちの物語が、ブレストのアイデアだしと「なにかに反応してピンポン鳴る機械」で紡がれていく。アイデアが面白い小品。


鬼頭真也作・演出「トリプルアタック」
女性のアルコール依存症が中心にある作品…だと思う。実は、テーマを私はとらえることができなかった。
あと、セリフがところどころ聞きづらくて、よくわかっていない。
なんとなく料理している雰囲気が面白かった。今回は手元が隠れていたが、実際に料理しながら作品を作るというアイデアは、面白い気がする。


小林春世作・演出「サプライズが必要だ」
東京オリンピックが舞台。特にその競技が観たいわけではなく、当たってしまったから観に来た「近代五種」競技会場。レーザーラン協議が行われている。選手が「時々」しかスタジアムに来ない設定なのだと思うが、別のことに夢中になっている間に、選手が射撃をして去って行ってしまう繰り返し。
オリンピックに対する乾いた目が秀逸だと思った。


堀夏子作・演出「reico」
特に仲が良かったわけでもない同僚のゲイ青年。自殺したとは聞いていたが、ある日、レイコの部屋に彼の幽霊が住み着いてしまった。
あるよね、そんなに好きだとも、親しいとも思っていない人との別れの場で、号泣すること。人って不思議だな…と思う芝居。ラストがステキ。


多田ヒカリ作・多田直人演出「しりとり」
手前で暇を持て余しているプータローっぽい二人の青年と、奥で妹のとりなしで旅行に行こうとしているが、もはや風前の灯状態の夫婦が、それぞれしりとりをする…というシュールな展開。手前側の二人は、ほぼ、ストーリー的に意味がないが、ところどころで後ろのトリオと回答が一致するようになっているところが面白い。
セリフの言葉選びとか、分かりやすいな…と思った。


多田直人作・演出「恋」
高校生になって、さあ、恋をしよう!と意気込んでいる少年の物語。
シーンが変わるごとにテーマソングを全員で歌ったり、学生服とスカートをその場で着て役が変わったことを分からせたり、演出が面白い。男女を男優・女優の性別とは関係なく配役し、キスシーンも手でクチバシを作って演じることで、多感な青春時代のリビドーを重くなく見せる工夫は秀逸。
しかし、演劇という枠の中で、これほど、記号ほどの意味もない「愛している」を聞くことになろうとは。
「書く」ことから「見せる」ことへの転換が見事だったと思う。
まあ、あんまり知りたくなかった男心の身も蓋もないハナシではあった。


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