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宝塚歌劇雪組KAAT公演「ハリウッド・ゴシップ」観劇 [┣宝塚観劇]

ミュージカル・スクリーン
「ハリウッド・ゴシップ」


作・演出:田渕大輔
作曲・編曲:青木朝子
編曲:植田浩徳
録音音楽指揮:橋本和則
振付:御織ゆみ乃、桜木涼介、KAORIalive
擬闘:栗原直樹
装置:大橋泰弘
衣裳:加藤真美
照明:佐渡孝治
音響:大坪正仁
映像:奥秀太郎
小道具:市川ふみ
歌唱指導:KIKO
演出助手:竹田悠一郎
舞台進行:香取克英
舞台美術製作:株式会社宝塚舞台
録音演奏:宝塚ニューサウンズ
制作:谷口真也
制作補:白水亨
制作・著作:宝塚歌劇団
主催:阪急電鉄株式会社


行ってまいりました[exclamation×2]


映画スターを夢見て、エキストラとして撮影所通いをしているコンラッド(彩風咲奈)。ダンスの腕を買われて、主演スターのジェリー(彩凪翔)の吹き替えに抜擢される。が、これを最後の撮影にしようと考えている。というのも、第二のジェリーを探すオーディションに挑戦し、不採用となったため、もう自分には才能がないと思ったのだ。
しかし、自分のダンス場面が吹き替えられることを知ったジェリーが不満を表明して、撮影は中止になる。その時、例のオーディションは形だけで、実は次の映画の主演もジェリーに最初から決まっていたと聞かされ、コンラッドはキレる。しかし、その日、コンラッドは、かつての大女優アマンダ(梨花ますみ)と知り合い、人生が変わることになる。
アマンダは、新人俳優のジェリーをツバメにし、抜擢して売り出した。が、スターになると、ジェリーは、会社の上層部に手を回し、目の上のたんこぶであったアマンダを撮影所から締め出してしまった。
復讐に燃えるアマンダは、コンラッドをジェリーに代わるスターに仕立てようとする。ただし、今度は恋愛抜きで。
アマンダの指導により、スターらしくなったコンラッドは、撮影所近くのダイナーで、会社が次の作品で売り出そうとしている新人女優のエステラ(潤花)に会う。エステラとコンラッドは、初対面なのに、かなり打ち解ける。
そして、新作映画の制作発表の日、いきなり会場に乗り込み、ジェリーとエステラの主演作品に、オーディションで選ばれた新人俳優は自分だ、と勝手に登場するコンラッド。アマンダの計画通り、プロデューサーのハワード(夏美よう)は、事態を収拾できず、コンラッドの出演は既成事実となる。
作品は、「サロメ」。ヘロデ王役で新境地を開く予定のジェリーは、スターとしての重圧に耐えきれず、少し前から薬物に依存していた。体調が悪いのを押して撮影に臨むジェリーだったが、セットから転落して瀕死の重傷を負う。そして、その時、一人の記者の告発により、エステラはコンラッド(とアマンダ)の策略に気づいてしまい…。
映画が中止になり、エステラは再びダイナーで働き始める。そして、そこにコンラッドが現れるが-


1920~30年代の映画もの、けっこう宝塚の舞台に乗っている。
「雨に唄えば」「ヴァレンチノ」「失われた楽園」「ラスト・タイクーン」…
で、テレビがなかったころの映画スターというのは、映画の公開イベントに着飾って現れ、ラジオの中継マイクの前で何かしゃべって去って行く…みたいなことをしていたらしい。これらの作品を観ると。
そして、スターに質問するインタビュアーみたいな人が、すごい個性的な女性ってのも定番なんだけど、これ、モデルがいたりするのかな[exclamation&question]もし、そうじゃないとすると、これって先行作品のパクリなだけ[exclamation&question]
今回の舞台では、キャノン・チェイス(愛すみれ)がその役。色濃いキャラクターが、見事だった。


見事な人を先に挙げていくと、ダイナーの女主人役の早花まここの人の使い方が、往年の正塚先生みたいで、田渕先生、そういうやり方はフェアじゃないよ…と思いつつも、そのキャラだけで、作品の格が上がったような気がしている。
映画監督の真那春人田渕先生、まなはるに頼り過ぎ[exclamation×2]まなはるに頼めばなんとかなると思ってるでしょ[exclamation&question]当たってるけどね。
コンラッドのエキストラ仲間マリオ役の煌羽レオうわー、ずるいわー、エキストラの傍ら、薬の売人やってるとかさ、もう、配役しただけで、作品の質が倍増するじゃん。反対側で、同じくエキストラ仲間ラリーに縣千。コンラッドを含めたトリオのイケメン感がハンパない。
さらにプロデューサーの夏美よう、アマンダの梨花ますみぶっちゃけ、配役した段階でお仕事終わってませんか[exclamation&question]


まあ、その分、冒険は、主演トリオの方にあったかな。
まず、ヒロインにを選んだのは、ひとつの冒険だった。宝塚らしい普通のヒロインが似合わない娘役なので、エステラという役の造形は、ひと工夫されていた。その点は評価したい。も期待に応え、別箱公演ならではのヒロイン像をしっかりと創り上げていた。
ディズニー映画が最近打ち出している、「自らの足で大地を踏みしめている」ヒロイン像。若い田渕先生には、このようなヒロインの方が現実的なのかもしれない。
の硬質な演技が見事にマッチしていたと思う。


そして、2番手に上級生スターの彩凪。下級生である彩風の作品に出る、というのは、もうすでに相手が2番手スターであるとはいえ、ある種覚悟が必要な公演。下級生時代は二人でW主演していたこともあっただけに。
しかも、一癖も二癖もあるようなキャラクターで、美味しくできるかどうかは、本人次第な部分がある役。
かなりインパクトを残した名演で、フィナーレの登場順をヒロインの後にしてあげたいと思える好演だった。


主演の彩風は、そんな彩凪を脇に回して主演するだけの、圧倒的なスター性と演技力が要求される。
が、これを楽々クリアしている辺り、咲ちゃんのスターとしての魅力が際立っているのだろう。


オリジナル作品なので、それほど期待はしていなかったが、思いのほか、よい舞台を見せてもらった。
フィナーレナンバーでは、彩凪がリフトもある男役同士のダンスを見せたり、こちらも楽しませてもらった。


それにしても、かつての大スター役、梨花ますみの、大輪の花が熟れて堕ちる寸前のような魅力は、どこから来たのだろうか[exclamation&question]今回の舞台のMVPはみとさんに捧げたいと思う。


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