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「桜嵐記」と「fff」 [┣生徒・演出家・劇団論]

今年、上田久美子先生は、望海風斗と珠城りょう、二人のトップスターのために、ふたつの物語を書いた。「fff」と「桜嵐記」。どちらも歴史上の人物が主人公だが、作品の構成の仕方が正反対で、久美子先生が、色々な作劇を試しているのかな…と興味を持った。


歴史上の人物とはいえ、ベートーヴェンと楠木正行には大きな違いがある。
18世紀の生まれとはいえ、膨大なスコアを残しているベートーヴェンに対して、楠木正行の史料は少ない。また、その人を主人公とした先行作品の存在も膨大なベートーヴェンに対して、正行はほとんどない。


そんな対照的な二人の人物を主人公に、サヨナラ公演というプレッシャーも受けながら、上田先生はどのように作品作りをしたのだろうか。


「fff」はベートーヴェンおよび彼と同時代に生きた人々の人生、そして、彼らが生きた市民の台頭する時代を、一度バラバラのピースにして、再構築したような、観念的な作品に感じられた。ベートーヴェンの人生を一言で言い表そうとした時、誰もが思いつく「不幸」という「概念」を「相手役」に、「不幸」から生まれ「歓喜」を歌う「物語」に昇華する。そこに、観客のカタルシスが生まれる。
ラストがカタルシスに昇華するのは、すべて、望海風斗と真彩希帆という稀代のシンガーコンビが率いる、最高にチームワークの高まった雪組メンバーによる、歌と踊りによる「第九」(歓喜の歌)あればこそ。最後の部分を、出演者と観客に委ね、その力を信じることで、舞台を成功へ導く。上田先生の演出家としての円熟を感じる部分だった。


一方、「桜嵐記」には、観客への疑念が最初にある、と感じた。
冒頭の解説は「太平記」知ってる観客は少ない、という前提に立っている。それも、「聞いたことがある」「大体は知ってるけど細かいことは知らない」というレベルではなく、「太平記、ナニソレおいしいの[exclamation&question]」レベルだと侮っているとしか思えない。
「fff」での絶大な信頼からの手のひら返しがなぜなのか、今の私には、想像することもできないが、そのせいか、なんなのか、「桜嵐記」は、非常にオーソドックスな展開を見せる。
登場人物は、相変わらず、パズルのピースのように配置されているものの、物語の進み方は、体感時間を計算したものになっている。(「fff」は、エピソードのひとつひとつが、ベートーヴェンの生涯の「どこ」に当てはまっているかを、わざと曖昧なものにして、自分より年上の友人の子供が生まれる…という出来事から、自身の死までがほんの数年の出来事のように感じさせることで、彼の生涯に疾走感を与えている。)
登場人物の感情の発露も、十分に間を取って表現され、前回置いて行かれたかもしれない観客を、大事に拾っているのを感じる。
それでいて、一番大事な、「正行がなぜ挙兵したのか」の理由を、出演者と観客に委ねている。
それを観客に委ねて大丈夫だと判断したかのように。
そして、おそらく大丈夫という上田先生の読みは当たったんだろうと思った。そして、その読みは、冒頭の疑念と鏡合わせの位置にあるのだと。


結果的に、私には「fff」が刺さり、「桜嵐記」はそうではなかったが、これは逆の人も多いだろうし、どちらも楽しんだという人もいるだろう。
一人の脚本家の中に、これほど真逆のアイデアが詰まっていることはすごいことだし、今後、上田久美子という作家(演出家)がどう変化していくか、ますます興味津々。


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公演中止 [┗エンタメへの想いとか薀蓄とか]

東京オリンピックが宝塚歌劇団による国歌斉唱(いや、合唱だった気がする…[あせあせ(飛び散る汗)])で華々しく閉会式を迎える中、演劇界は、大きな舞台2つの相次ぐ公演中止に、悲鳴が上がった。
「舞台鬼滅の刃」は、8月7日17時公演が途中で中断、8日、9日の公演が中止となった。
「ミュージカル憂国のモリアーティ」は、8月8日、9日の公演が中止となった。
3連休の観劇日和というのに、あまりにも残念なニュースだ。
出演者の体調不良が原因で、「鬼滅…」については、主役の体調不良だったので中止するしかないが、「モリミュ」の方はアンサンブルの体調不良なので、通常なら、演出を変えて8日の夜公演には間に合わせていた事例だと思う。でも、今は、体調不良者が発生した場合、PCR検査をするので、どうしても2日くらいは、公演中止期間ができてしまう。
そういう時代だと思うしかないが、楽しみにしていた舞台が中止になって、一日、ふて寝してしまいました…[もうやだ~(悲しい顔)]


 


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雪組大劇場公演 [┣宝塚観劇]

雪組大劇場公演に行ってきました。


朝7時の新幹線で関西へ。関東はものすごい雨だったけど、宝塚は晴れて暑い。晴雨兼用の傘をわずか3時間で本当に兼用してしまった[あせあせ(飛び散る汗)]


いつもより10分遅い新幹線だったので、劇場に到着すると、ちょうど開場時間。いつものように、友の会カードをスキャンして入場。何度も確認しているけど、実券がないと、実際入場するまで不安ですね。(日頃、日時や会場を間違えているヒト…)
劇場で、お友達にも会えたし、(東京で上演される公演のチケット受け渡し。なんで、わざわざムラでやるんだ、私たち…)短い滞在時間だったけど、満喫できた。


お芝居は、「シティハンター」。齋藤吉正先生脚本なので、いろいろ不安を抱えての観劇。以下、恒例により、箇条書きで感想を記載していきたい。


・情報量多すぎ[exclamation×2]
・香の100tハンマーは随所に登場したものの、例の単語は、すべて「ハッスル」に置き換えられてた。意味は通じるし、あの単語が示す直接的な雰囲気がなくなったことで、宝塚的に成立する作品になり得たと思う[ダッシュ(走り出すさま)]
・齋藤先生らしく、映像を使ったシーンが多い。オープニングナンバーのところは、開演アナウンスも含め、ものすごくかっこいい[ぴかぴか(新しい)]特に「雪組の彩風咲奈です」の後に拍手が入るとかいうダサさがまるでなく、バーンっと映像が出た瞬間に拍手が起きるの、すごく自然でかっこいい[黒ハート]あ、でも、今回、お披露目公演だから、本当は、今回こそ、そこで拍手入ってよかったかも…なんだけど[わーい(嬉しい顔)]あと、指揮者への拍手もバッチリ入っていて、本当によき開演アナウンスタイミングでした[ひらめき]
・槇村(綾凰華)が幽霊刑事みたい…[るんるん]てか、齋藤先生、槇村、好きでしょ[exclamation&question]
・冴羽獠言板、ここにいろいろ書き込まれていて、もし、目に余裕が出たら、ぜひ見てほしい。ここは、どんどん進化しそう。たぶん、生徒さんに開放されていくと思うので、期待[グッド(上向き矢印)]


FF開演前.jpg・ショーは、稲葉先生の「Fire Fever!」。プロローグのダンスから、ものすごくかっこいい。特に、トップ娘役の朝月希和が、男役たちと一緒に踊る場面、同じ振付を同じ力強さで踊っていて、こういうかっこいい場面ってステキだな~と思った[ぴかぴか(新しい)]
・その一方で、滑稽な貴公子というサブタイトルを持つ場面は、滑稽ではすまない失敗場面。ここは、東京公演でシーンごと差し替わるんじゃないかな[ふらふら]
・ドン・ジョヴァンニ(ドン・ファン/ドン・ジュアン)がテーマの場面なので、主人公(朝美絢)がサイテー男なのは、そんなに気にならないが、最後に現れる騎士団長ならぬ組長演じるプリマドンナが、女装した男性という設定。「男はイヤだ」と逃げるドン・ジョヴァンニに無理やりキスをして終わる。これは、後味が悪い[爆弾]
・ロケットと、それに続く8シャルマンは圧巻[ぴかぴか(新しい)]でも、そこからの早替りでスーツで踊るは、かなり気の毒だった[もうやだ~(悲しい顔)]
・新生雪組の魅力は伝わる両作品。ブラッシュアップして、より良き作品として東京に来てほしい。無事、千秋楽まで完走できますように[黒ハート]


202108ベルばら.jpg駅前のベルサイユのばらは、特にカットされることもなく咲いていた。秋に大きな花を咲かせるためには、6月のよき頃に花を切るんだけどな。ちゃんと面倒見てくれているのかしら[exclamation&question]


帰りの新幹線では、特に眠ることもなく過ごせたので、かなり久々に車中から富士山を見た。夏だから、まったく雪を冠していない富士山。
私が富士山を撮影すると、必ず、雲をかぶってしまうんですけど。202108富士1.jpg


202108富士2.jpg


 


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7月の状況 [┗エンタメへの想いとか薀蓄とか]

東京都の7月は、まん延防止等重点措置(~7月11日)からスタートしたが、ほどなく第4波の感染者数が増加したため、7月12日から緊急事態宣言(~8月22日)が再び発出された。オリパラは、緊急事態宣言下の実施となるわけだ。をいをい…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]
今回の緊急事態宣言下では、劇場での演劇公演は、21時までの上演時間を守ることと、5000人以下・キャパの50%どちらか少ない方の観客数とすることが義務付けられる。ただし、発売済の公演であれば、この対象とはならない。そのため、どこの公演も7月11日でチケットを一旦売り止めするところが多かった。
宝塚では、再び、平日夜公演を18時半⇒18時開演に変更することを発表した。(これに伴う、昼公演の変更は行わない。たぶん、30分短くても大丈夫ということなのだろう。)


観劇できなかった作品…なし。幸運でした[揺れるハート]


視聴した作品…「演技の代償」(新感覚マーダーミステリ・配信用作品)、「ディズニー声の王子様」(配信用スペシャル編集)今回は、配信専用の番組のみ、配信観劇したイメージですね[黒ハート]


普通に観劇できた作品…「アウグストゥス/Cool Beast!!」(東京宝塚劇場)、「コオロギからの手紙」(小劇場B1)、「VERDAD!!」(舞浜アンフィシアター)、「レ・ミゼラブル」(帝国劇場)「trust-hedge3- 」(あうるすぽっと)「羽世保スウィングボーイズ」(博多座)、「ロミオとロザライン」(紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA)、「舞台憂国のモリアーティ」(新国立劇場)、「マノン」(KAAT神奈川芸術劇場)、「桜嵐記/Dream Chaser」(東京宝塚劇場)、「La Musique De Paris 」(イイノホール)、「#これで恋ができるなら」(CBGKシブゲキ!!)
※太字の公演は、夜公演が時間通り開催されたもの 


宝塚は、あまり夜公演を入れていなかったこともあり、今回の不作為の時間休は1時間だけでした。


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宝塚月組東京公演「桜嵐記」観劇 [┣宝塚観劇]

ロマン・トラジック
「桜嵐記」


作・演出:上田久美子
作曲・編曲:青木朝子、高橋恵
音楽指揮:佐々田愛一郎
振付:若央りさ、麻咲梨乃
殺陣:栗原直樹
装置:新宮有紀
衣装監修:任田幾英
衣装:薄井香菜
照明:勝柴次朗
音響:実吉英一
小道具:下農直幸
演技指導:立ともみ
所作指導:花柳寿楽
歌唱指導:ちあきしん
演出助手:熊倉飛鳥
舞台進行:安達祥恵


珠城りょう・美園さくらコンビのサヨナラ公演。
大劇場で、置いて行かれたまま、東京公演でも、悲劇に没入できずにいる。原因は、おそらく、SNSに流れる「号泣した」感想の数々。それでハードルが自然に上がってしまった。勝手に、ものすごい悲劇を想像して、そのわりに、納得性の低い展開だったので、白けてしまったんだろうと思う。
もちろん、納得性の高い悲劇にしなかったところに、上田先生の深いこだわりがあるのだろう…とは思いつつ。
人は、(特にサヨナラの時は)うまく騙されて号泣したい贅沢な生き物なのですよ。


幕が上がると、この時点では正体を隠した、壮年の楠木正儀(光月るう)が登場する。そして、客席に向かって、「南北朝をご存じですか?」と呼びかける。
そして、ものすごく雑に南北朝時代というものについて解説を始める。武士政権の腐敗、楠木正成(輝月ゆうま)の登場と鎌倉幕府の滅亡、後醍醐天皇による建武の新政の失敗(武士を排除して公家だけで政治を行おうとしたため)…でもさ、倒幕は、足利高氏(のちの尊氏)なくしては成しえなかったはずなのに、そこ外して、正成ですか[exclamation&question]とは思う。
主人公の父親である楠木正成の活躍を強調したかったからだろうか。
でも、倒幕の立役者=尊氏(風間柚乃)だからこそ、その後の歴史の流れにつながるので、この解説はちょっとな…。
まあ、そもそも、南北朝時代が生まれる背景として、後醍醐天皇という、日本史の中でも相当クセの強い天皇(一樹千尋が怪演[ぴかぴか(新しい)])の存在は不可欠で、この人が、「治天の君」になりたいと思わなければ、こんなことにはなってないわけで、それを公家が政治を取り仕切ったからうまくいかなかった…という纏め方は、あまりにも乱暴だなーという気がした。もちろん、それまで政権担当してなかった人が政治の中心になれば、混乱はあるだろうけど、それだけで、歴史の流れは止まらない。現に、明治維新は、同じような混乱を乗り越えられた。
歴史が動くには、様々な要因があり、でも、その様々な要因を「大きな流れ」が、最終的にひとつの方向へ押し流していく。それが正行の言う「流れ」であるなら、流れに至るまでの物語を、雑に纏めないでほしかった。
流れは、ここから始まるものもあれば、ここまで続いてきたものもあるのだ。ここから始まった物語が、美しければ美しいほど、ここまで続いてきたはずの物語への扱いの雑さが気になる。
上田先生も、「見せたいものしか語らない」「作者都合で歴史を捻じ曲げる」人になっていくのだろうか。この不安が杞憂であることを祈りたい。


珠城りょう、鳳月杏、月城かなとの演じる楠木三兄弟の美しい若武者ぶり、登場人物の一人一人が、演技者として、最大限に力を発揮できるように、そして、絵巻物のようにどの場面も美しく印象に残るように…と、細部までこだわった舞台作りはさすがで、感情移入という部分を除けば、美しい舞台を見せてもらった、珠城らしいサヨナラ公演であった、と、満足している部分は、もちろんある。
特に、南北朝時代、冒頭に説明が入るくらい、宝塚の舞台で馴染みがないわけで、衣装などは、主役以外は別時代のものをアレンジして使ってもいたが、太刀や、正儀が使用する長巻などは、この時代のものに寄せて作っていて、宝塚の本気を強く感じた。
まあ、サヨナラ公演というのは、頭が痛くなるくらい泣くものなので、物語に納得いかない方が、頭痛もなく、美しさを堪能できたので、よかったのかな…と思った。


出演者感想です。
珠城りょう(楠木正行)…美しい、かっこいい、潔い。ありがとうございます。その姿を眺めるだけで、少しずつ、自分が成仏していくように思いました。


美園さくら(弁内侍)…就任以来、毎公演、苦手度が増してくる娘役さんだったので、現状、最大限に苦手です。セリフの声が苦手なのかな、特に。


月城かなと(楠木正儀)…正行からこの先を託される正儀に、組を託される月城が重なる。そんな重さを吹き飛ばすような、明るく、力強い若武者姿が良かった。


一樹千尋(後醍醐天皇)…アモナスロさん以来のヤバい権力者来た~[あせあせ(飛び散る汗)]生きてる時からヤバかったけど、死んで亡霊になったら、もう恐くて…本当に怪演でした[黒ハート]


光月るう(老年の楠木正儀)…冒頭の説明台詞の明確さ、本編ラストの深み、どれも、さすがでした。


夏月都(老年の弁内侍)…弁内侍が、あの後、どんな風に年月を重ねてきたのかが伝わる、見事な姿だった。ふとした場面で、美園演じる弁内侍を彷彿とさせるところもあり、なのに、苦手に思わないのは、声質の差なのかな。


紫門ゆりや(高師直)…何度見ても紫門に見えない。本当にすごい役者魂を感じた。ちなみに、顔が怖くて、女性にだらしないだけで、別に悪人じゃないですよね、今回の師直。


千海華蘭(ジンベエ)…本作品の中で、一番、人として信用できるキャラクターだと思った。長生きしてください。


鳳月杏(楠木正時)…戦いより飯炊きと妻が大好き…という、キャラが立っていてわかりやすい役。すっと立っている時の美しさにため息が出た。


輝月ゆうま(楠木正成)…解説と回想の中にしか登場しない難しい役どころだが、有名な武人、楠木正成として、作品世界そのものになっていたと思う。


海乃美月(百合)…夫の正時を愛し抜く妻。二人のラブラブな場面は、見ているこちらもニマニマしてしまった。


暁千星(後村上天皇)…尊かった…[ぴかぴか(新しい)]出陣式の歌がたまらなかったです[もうやだ~(悲しい顔)]


風間柚乃(足利尊氏)…素晴らしかったです。背中に室町幕府が見えました[ぴかぴか(新しい)]


春海ゆう(大田佑則)、英かおと(大田百佑)…百合の父と弟。コミカルな場面、涙を誘う場面、この二人の安定した力があればこそだな…と思う。


白雪さち花、晴音アキ…師直の愛人や吉野朝廷の貴族(男)など、八面六臂の大活躍。マジうまい[ぴかぴか(新しい)]


香咲蘭(楠木久子)…楠木正成の妻らしい、心の広い、温かい女性というのが、豪快な芝居の中に伝わる。今回で卒業するが、ご褒美にとどまらず、印象を残している。


楓ゆき(阿野廉子)…吉野まで同道した後醍醐天皇の寵姫にして、後村上天皇の実母。美しい…そして、強い…笑顔の素敵なが、笑顔を封印する役だったのは、悲しいが、サヨナラにふさわしい重厚な芝居が忘れられない。


佳城葵(北畠親房)…後醍醐天皇の側近。いやみな物言いが最高でした[黒ハート]でも、息子を亡くしたり、翻弄されてもいたんだよね…後醍醐さんに。


夢奈瑠音(北畠顕家)…本役での登場はたった一場面だったけど、本当に素敵でした[黒ハート]見事な武士像[ぴかぴか(新しい)]


蓮つかさ(高師泰)…高師直の弟。印象に残る場面はあまりもらえてない印象だが、口跡よく、印象に残った。


天紫珠李…後村上天皇の中宮顕子は、との並びがひな人形のように美しく、冒頭の解説シーンの光明天皇は、一瞬の出番だったが、元男役ならではのきりっとした姿も見られた。


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「夏への扉ーキミのいる未来へー」 [┣本・映画・テレビその他エンタメ紹介]

子供の頃から大好きだったロバート・A・ハインラインの「夏への扉」。日本映画になったというので、行ってきました[exclamation]どうして、この作品を邦画にしたか…というと、キャラメルボックスの舞台化で、「これができるなら、映画もできる」と考えたからだそうで…繋がってるんだな~[黒ハート]


高倉宗一郎(山崎賢人)は、27歳の若き天才エンジニア。幼い頃に両親を亡くした宗一郎は、松下家に引き取られ、本当の息子のように成長、松下の会社で研究に没頭していた。松下が亡くなってからは、松下の弟、和人(眞島秀和)が経営を引き継いでいた。
松下の娘、璃子(清原果耶)は、ずっと宗一郎を慕っていたが、宗一郎は妹としか思っていない。彼は、美人の白石鈴(夏菜)と結婚するつもりだった。
しかし、和人と鈴は裏で結託、宗一郎を罠にかけ、会社も研究も奪っていった。
すべてを失った宗一郎は、コールドスリープ(冷凍睡眠)に入る決意をする。が、ここでも鈴の罠にかかり、自分の契約した会社ではなく、彼女の息のかかった生命保険会社のコールドスリープにより、30年の眠りにつくことになってしまう。
宗一郎が目覚めた30年後の世界(2025年)では、人間型のロボットが病院の助手などの仕事についていた。そこで最初に出会ったロボット(藤木直人)は、なぜか、宗一郎の後をついてきて、彼が再び過去に向かう時も、後を追う。これは原作にはないキャラクターで、ほかにも、受付嬢のロボット(中島亜梨沙)などが登場、人間型のロボットは眉目秀麗なのね…と思った。
戻った世界で宗一郎をサポートするのは、佐藤太郎(原田泰造)。妻役の高梨臨ともども、宗一郎と璃子の大きなサポート役に。過去に飛んでから再度コールドスリープに入るまで、あまりに時間が短い。多くのことを佐藤に託すしかなかったが、善意の限りで支えてくれる。


原作では璃子に当たるリッキーは10歳の少女だったが、本作では17歳に。しかも、本編の中では、二人は恋愛関係にはならない。璃子はずっと宗一郎が好きだったが、宗一郎は、最後の最後にようやく璃子を一人の女性として考えるようになる。
また、原作で、ダン(=宗一郎)最初のヒット作品だったハイヤードガール(女性型の掃除ロボット⇒家事ロボット)は登場しない。このあたりに、時代(原作は1956年発表)の流れの影響があるのかな…と思った。
大好きな小説の映画化(しかも、日本の話に!)だったが、納得できる、よき映画化だったと思う。


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星組集合日… [┣宝塚人事]

(公式HPより)


星組 退団者のお知らせ


2021/08/03


下記の生徒の退団発表がありましたのでお知らせいたします。   


星組


紫月 音寧


夢妃 杏瑠


愛月 ひかる


漣 レイラ


彩葉 玲央


湊 璃飛


澄華 あまね


2021年12月26日(星組 東京宝塚劇場公演千秋楽)付で退団


思い入れのある子たちばっかりだけど…とりあえず、ここで衝撃的なのは、なんといっても、愛月の退団だろうと思う。2021年、2番手退団が二人って…異常だよね[exclamation&question] 


上級生2番手というのは、そんなに普通にあることではない。
でも、2番手にしたからには…っていうのが、これまでは、あったはずで。
かくいうゆうひさんも、上級生2番手だったし。
実際、10年くらい前は、2番手退団とかいったら、あれですよ、劇団の電話回線が壊れるような騒ぎだったし。
2年前に、月組の美弥るりかが、上級生2番手から退団した時も、大騒ぎになった。が、大騒ぎだけでなく、グッズが売れたり、ライビュが売れたり、配信が売れたり、劇団としても、「それが商売になる」という側面が出てきたんでしょうね…。


でも、トップ時代に2番手交代があるというのは、トップにとっては、頼りない時期を上級生に支えてもらい、一本立ちできそうな辺りで、若い2番手がついて、その人に後を託すから、楽かもしれないけど、次のトップからしたら、2番手時期が短いってのは、プラスには思えないんだよな…。
あ、その不安を上級生2番手に支えてもらい…ってこと[exclamation&question]


愛月 ひかる ディナーショー


2021/08/03


<タイトル> 『All for LOVE』
<構成・演出> 田渕 大輔
<出演者>(星組)愛月 ひかる、ひろ香 祐、音咲 いつき、小桜 ほのか、蒼舞 咲歩   
第一ホテル東京: <日時> 2021年11月3日(水・祝)・4日(木)
         <場所> 5階「ラ・ローズ」
                        <料金> 28,000円(税サ込)
宝塚ホテル:<日時> 2021年11月7日(日)・8日(月)・9日(火)
                 <場所> 1階「宝寿」
                 <料金> 28,000円(税サ込) 


このような時期なので、どうか、どうか、ファンの方が、直接参加できる形態になりますように[exclamation×2]


【ワクチン日記1‐4】
接種後8日、接種した左腕が痒い。なんか、蕁麻疹みたいに赤く腫れているし、熱ももっている。それに、肩凝りのせいかもしれないが、頭痛がある。食欲が減退している。腕の痒み以外は、ワクチンのせいなのか、違うのか、よくわからない。


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会話やめてキャンペーン? [┗エンタメへの想いとか薀蓄とか]

最近、私のツイッターのタイムラインには、定期的に、宝塚歌劇の公演で、客席&ロビーでの客同士の会話がよくない、やめてほしい…というツイートが、リツイートされてきて、たくさんの人が判で押したように、同じようなツイートをしていることに、複雑な思いを噛みしめている。


宝塚歌劇のHPから、現在の「お客様へのお願い」を見ていただきたい。とても長く、項目だてて記載されているので、たぶん、最上段の最も重要と思われる部分を転記します。


宝塚歌劇では、各公演の実施にあたり、政府や自治体等による新型コロナウイルス感染拡大予防のためのガイドラインを遵守するとともに、管轄の保健所のアドバイスもいただきながら、お客様と公演関係者の安心・安全を最優先に考え、以下の通り、感染予防対策の強化に取り組んでおります。 ご来場のお客様におかれましても、従来の感染予防対策に加え、特にご協力いただきたいことがございます。

   [ひらめき]飛沫などによる感染防止のため、会話(劇場内すべてにおいて)はおやめください。
   [ひらめき]劇場施設ご利用の際は、直接お越しいただき、観劇後などは速やかにご帰宅ください。

お客様に安心してご来場いただけますよう、出演者・スタッフをはじめ関係者一同、感染予防対策に努めてまいりますので、お客様にはご理解とご協力をお願い申し上げます。
※会場により、一部運用が異なる場合がございますので、ご注意ください。


宝塚歌劇団から、観客である我々への最重要なお願いは、どうやら2つらしい。
ひとつめが、劇場内で「会話」をしないでほしいこと、もうひとつが、劇場へは直行直帰をしてほしいことだ。
劇団が必死にお願いしていることだから、守る「正しいファン」でいたいのは山々だが、ハッキリいって、私は、ほぼ守れていない。
基本的にぼっち観劇なので、会話については、ほぼ守れていると思うが、劇場に直行直帰はできていない。平日は、会社の帰りに観劇をするし、土日は、別の観劇と組み合わせるからだ。そして、そういう場合、間に飲食を挟む可能性も高い。
さらに、私の場合、劇場に来るだけで、各都道府県が発出している、「都道府県間の移動を控える」にも抵触している。


そんな私なので、少なくとも、他人様の行動をとやかく言うことは、できないと思っている。
自分は仕事の帰りに都内にやってきて観劇しているのに、「あそこに会話してる人がいる[exclamation]」なんて、非難できないもの。


と、達観している今日この頃なのだが、会話やめようツイートされている方たちは、直行直帰だけでなく、こちらのお願いも全部クリアしてるのかなぁ[あせあせ(飛び散る汗)]


あと、劇場でのアナウンスは、「お連れ様同士の会話、談笑」をやめてほしいと言っているのだけど、これは、厚生労働省の提唱にも出てこない、宝塚だけの独自ルールだったりする。この点については、過激ツイートされてる方はどう思っているんだろう。(観客の会話については、主催者ごとに要請が違っているし、周知方法もいろいろ。もっと静かな会場もあるし、めちゃめちゃうるさい会場もあるが、私が観劇した劇場ではクラスターは発生していない。でも、お連れ様同士限定のアナウンスは聞かないなぁ[わーい(嬉しい顔)]
会話をしている人が、「お連れ様」(出掛けるときは、家族、もしくはいつもの仲間と…という提唱に合致)なのか、「劇場で会った知人」(もし感染していたら拡散する可能性あり[爆弾])なのか、係員は判断できないので、一律会話を取り締まっていこうというのが、正しい理解なのだと思うが、それなら、「お連れ様同士であっても」って言ってほしいよね。「談笑」はいらないから。「談笑」って、なんかバカにされた感じがする…[爆弾]
そして、ここ、一番重要なのだが、「お連れ様同士」がマスクをした状態で小声で会話しているだけでは、飛沫は飛ばないのだ。
当事者間でも飛ばないから、もちろん、それを見て、キーッとなっているツイート主にも飛ばない。安心してほしい。
もし、それで、当事者間感染が起きたら、それは、「お連れ様同士」が、その後、一緒に食事に行ったりして、マスクなしの会話をしたからだろうし、その場合、感染経路として、宝塚の劇場は除外されるので、こちらも安心してほしい。
そして、もし、本当に劇場で、マスク越しの会話によって当事者間感染が起きたとしたら、それは飛沫感染ではなく、既に、エアロゾル感染に移行したことになる。そうなると、エアロゾルなので、ツイート主はおろか、当日、その場に居合わせた多くの人が感染し、結果、劇場は封鎖されることになる。劇場どころか、ホンモノのロックダウンになるだろう。
つまり、お連れ様同士が会話していても「実は安全」、もし、不安全になったら、その時は観劇どこじゃない、というのが、正しいものの見方なのだが、この論理を理解した上で、それでも、ツイートしているのかしら。


劇場運営する側は、安心の上にも安心を重ねるために、様々なお願いをするし、心ある観客は、それを正しく理解して、あえてお願いに従う。みずから、率先して行動する。
でも、さらにやっきになって、他人に向けて怒りの発信をするのは違うはず。
宝塚のファンは、ドラマに出てくる「国防婦人会」にならないでいただきたいな。


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「La Musique De Paris 1930-1970」(2) [┣大空ゆうひ]

「La Musique De Paris 1930‐1970」


ゆうひさんが出演するイイノホールのシャンソンのショーを観てきました。
7月30日から8月1日の3日間行われ、出演者は日替わり。
ゆうひさんは、30日と31日の2日間出演なので、この両日のレポートをしたいと思います。30日のレポートはこちらです。


(2)7月31日公演
主な構成は、30日と一緒。出演者が変わっても曲を変えなかったり、出演者に合わせて曲を入れ替えたり、そういう構成の妙は、両方参加したからわかる部分…かな。
最初に登場したのは、壮一帆「さくらんぼの実るころ」を、温かい声で熱唱。ブルーの目が覚めるようなドレスで、メイクはあっさり。
続いて、嵯峨美子が登場、「聞かせてよ愛の言葉を」をしっとりと。フランス語で歌うパートがあって、それが、すごく色っぽい[キスマーク]
続いて、萬あきらが登場、「バラ色の人生」を、アレンジたっぷりに聴かせてくれた。
ふたたび、が登場して、「ラストダンスは私に」。可愛い~[かわいい]


大空ゆうひは、昨日と同じ、白いブラウスと黒のパンツで、「愛の幕切れ」。ダンサーは、美翔かずき千葉さなえ(涼瀬みうと)の同期コンビ。わざわざ、昨日とメンバーを入れ替えてくれたんだ[ひらめき]途中で、千葉が引っ込んで、美翔のソロダンスで終わるところもかっこよかった[ぴかぴか(新しい)]
続く「あきれたあんた」は、ゆうひさん一人で、幸薄く微笑みながら。似合う~[るんるん]


続いて、真琴つばさで、「もしもあなたに逢えずにいたら」と、「ブルースを唄う女」。ここで、バンドメンバーのご紹介もあった。マミさんが出演されると、MC的なことは、全部マミさんがやってくれるから、安心だな~[るんるん]なんて思いながら観てました。


宝塚のシャンソンコーナーは、以下の通り。
成瀬こうき「夜霧のモンマルトル」
美翔かずき「黒きばら」
壮一帆「悲しみのソナタ」

成瀬こうき「雨の凱旋門」
大空ゆうひ「メモアール・ド・パリ」
真琴つばさ「ジュテーム」
なるちゃん(成瀬)の「…モンマルトル」見事でした[exclamation×2]
えりたん()が、作品名と曲のタイトルがごっちゃになってしまったらしく、ここであらためて、作品名が「パリ、それは悲しみのソナタ」(1986)で主題歌が「悲しみのソナタ」だと、説明してくれた。ちなみに、植田先生の作品らしいですよ。「メモアール・ド・パリ」(1986)と同じ年に上演されたんですね[ひらめき]
なるちゃんが、「雨の凱旋門」作曲の寺田先生にまつわるお話を聞かせてくれて、その頃の当事者のお話が聞けてじーんとした[もうやだ~(悲しい顔)]
「凱旋門」初演で毎日歌稽古に来てくれた寺田先生、「また明日」とおっしゃってお帰りになる途中、事故に遭われて亡くなった。人の生死を深く考える作品だったので、さらに色々なことを深く考えることになったそうです。
さて、宝塚メンバーが揃ったところで、MC回す係をやれ[爆弾]と、マミさんからの無茶振りがあり…ゆうひさんが、しどろもどろになりながら、がんばっている姿が、微笑ましかったです[黒ハート]
昨日も観た私からすると、次は、あの曲だから…どんな風に話を持っていくのかな[exclamation&question]と思っていたら、なんと、今回は「CAN CAN」(1996)初舞台の方がいるじゃありませんか[exclamation×2](=82期・壮一帆
あの頃は可愛かった…とか、えりたんを煽るゆうひさん。えりたんも少し交戦体制になりかけたところで、マミさんが話を変えたため、えりたんは発言することもなく、おとなしく「I LOVE PARIS」で幕が下りた。
たぶん、MC回すならえりたんの方が適任だと思うが、そろそろこういうこともやらなきゃダメだよという、マミさんの温かいお心だと思い、必死なゆうひさんを楽しく眺め、上級生の前で、ちょっとおとなしいえりたんを可愛いな~と思う場面だった。


2幕、幕が上がると、街灯とベンチという小道具は、前日の通り。座っていたのは、成瀬こうき
「ひとり星の上で」「愛遥かに」を歌ってくれた。「ひとり星の上で」は、最近では「エクレール・ブリアン」(2019・星組)で、「愛遥かに」は、「シャルム!」(2019・花組)で使用されている。宝塚ファンにも耳馴染みのよい曲を紹介していただけるのは、嬉しい。とはいえ、「愛遥かに」の方は、カンツォーネらしいですが。
次に登場したのは、壮一帆「哀しみのベニス」「枯葉に寄せて」どちらも、私は初めて聴く曲だった。「枯葉に寄せて」は、最後に「枯葉」のフレーズが演奏され、より、雰囲気が伝わった。
ここで、由美かおるがアコーディオンを抱えて登場。「水戸黄門」のドラマが終わった後、なんと、アコーディオンを習い始めたそうだ。アコーディオンって、右手でメロディーを弾き、左手で伴奏のボタンを押す…めっちゃ難しそうな気がするのですが…[あせあせ(飛び散る汗)]しかも、弾き語りで、「パリの空の下セーヌは流れる」を歌う…って[あせあせ(飛び散る汗)]ドキドキしながら見守ったけど、素晴らしかったです[黒ハート]そして、37年ぶりにCDアルバムを出した中の1曲、「すべてにメルシィ」も披露。真っ赤なドレスと、いつまでもスタイルの変わらない美貌[ぴかぴか(新しい)]さすがです。
続いて、萬あきらが登場、「貴婦人」を披露。さん、ここで、少しMCも入れていた。退団される時、ディナーショーを聴きに行ったのですが、相変わらず、ステキな歌声でした[かわいい]
続いて、嵯峨美子が、「ボン・ボヤージュ」を。これは、前日は、渡辺えりが歌った曲。歌う人によって、全然印象が違うな…と思う。恋人が自分と別れて別の女のもとに行くのを波止場で見送るという、日本だったら、めちゃくちゃ修羅場の場面を歌った曲。慈愛と惜別の情が胸に迫った。もう一曲は、「生きる時代」。これは、すごい楽曲[ひらめき]人生応援歌というか、レジスタンスのテーマというか…静かな歌声の中の強さを感じる曲だった。


ここで、大空ゆうひが登場。
衣装は、こちらも前日と同じ。楽曲も「スカーフ」「わが麗しき恋物語」
すべて同じなのに、この日の昼間、「#これで恋ができるなら」で、恋人に死に別れる女の子の姿を観たばかりだったから、ものすごく感情移入してしまって、涙が溢れた。聴く側のスタンスで、どんなにでも深く伝わるものだな~と、あらためてシャンソンの魅力に気づいた。


最後は、真琴つばさが、「アメリカ人になりたい」と、「歌い続けて」を披露。こちらも前日と同じラインアップ。どこまでもかっこいいマミさんでした[exclamation×2]


ラストは、出演者全員登場となったが、マミさんが、MCでいろいろやらかしたらしく、(名前間違いとか[exclamation&question])平謝りしながら、笑いをとっていくスタイルに、和みつつのお別れとなった。
3日間だけのイベントだけど、とても贅沢な、心のオアシスになるような、ステキな舞台だった。


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