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「i 新聞記者ドキュメント」 [┣本・映画・テレビその他エンタメ紹介]

嵌まりまくって三度も見てしまった映画「新聞記者」。
その女性記者のモデル、東京新聞記者の望月衣塑子さんを追ったドキュメンタリー映画「i 新聞記者ドキュメント」を見た。
望月さんを映像や写真で見ていて、なんとなく、このひと、まっつ(未涼亜希)に似てるな…と思っていた。それが、望月さんに興味を持った一番の理由なのだが、映画を観ていると、私の勘もまんざらじゃないな…と思えた。
黒い薄手のあちこちにファーがついているセーターの下に、バーバリーのパンツと膝上ブーツ、これでガラガラを引いてどんな路地も闊歩しているのだから、ほぼジェンヌでしょう(笑)
望月さんは、どんな場所へも取材に行く。
そして、自分の足で調べたことを官房長官の会見にぶつける。もちろん、菅官房長官は、望月さんの質問をほぼスルーしているのだが、とにかく質問し続けているのだから、凄いバイタリティーだ。
でも、質問できる立場…というのも、恵まれているのかもしれない。
このドキュメンタリーの監督、森さんは、質問する望月さんを撮影したいと、あれこれ手を尽くすが、フリーの記者は記者会見に出られない。(民主党政権時代に、フリーの記者も会見に参加できる制度ができたそうだが、安倍政権になってからは事実上新規参入はできなくなったとのこと。)
官邸前でカメラを構えているだけで、あれこれ嫌がらせされる、森さんと望月さん。
でも、いつだってファイティングスピリットな姿に驚く。


これで二人の子供のお母さんというのもすごいが、もしかしたら、彼女の強さの秘密はそこなのかもしれない。
二人の子供が成人した時、この国が少しでもよいものになるように、それを思うと負けていられない…そんな思いなのかな…なんて。そうでなきゃ、これだけのハードスケジュール、とてもこなせないと思う。
そして、そんな望月さんのために、深夜に翌日のお弁当を作ってくれる旦那さんは神かもしれないと思った。
(映画には出てきていないけど、お弁当を食べる望月さんが「夫が作ってくれました」と言う場面がある。)


「新聞記者」の原作者(あの映画は劇映画だが、色々なエピソードのネタ元のひとつが、望月さんの書いた「新聞記者」という自伝(?))。ということもあり、望月さんは、日本で何番目かに有名な新聞記者になってしまった。
テレビ番組にも多く出演して、顔も知られているため、デモ等の取材現場でも声をかけられる。
頑張って、応援している、私たちのために…その言葉は、彼女を後押ししているが、同時に縛ってもいるかもしれない。そこが少し心配。
時に熱く、時にクールに、さまざまな現場に姿を見せる望月さん。その後ろ姿を追いながら、日本の新聞報道の特殊性をあぶり出す監督の森さん。海外の日本担当ジャーナリストの発言なども丁寧に拾ってそれを検証している。


劇映画版の方が衝撃的だったが、ドキュメントは静かに深いため息が出るような映画だった。


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