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「今日もわからないうちに」観劇 [┣大空ゆうひ]

「今日もわからないうちに」


作・演出:加藤拓也
音楽:谷川正憲(UNCHAIN)
舞台監督:笹原久義(株式会社笹原工舞台)
舞台監督助手:岩城杏梨
照明:島田雄峰(LST)
音響:小川陽平
美術:袴田永武
衣装:鈴木成実
演出助手:葛西祥太
宣伝撮影:行武睦浩(S-14)
宣伝美術・パンフレットデザイン:沓澤さゆり
キャスティング協力:ヤマウチトモカズ
風景写真撮影:takuya katoh
制作:小宮誠(TinyBetter株式会社)、大倉茂
企画・製作:わをん企画/劇団た組。


大空ゆうひ、年に一度の主演舞台、今年は、はじめましての劇場、シアタートラム。
退団後のゆうひさんは、しばらくの間、元宝塚トップスターらしく、主演しかしなかったが、最近は、主演に拘らず、文芸作品も、娯楽作品も、幅広く出演してくれている。ここ数年は、年に一度、主演舞台があって、その作品は、毎年、「ゆうひさんらしいな…」という感想と共に、ファンの議論を呼んでいる。簡単に理解できる作品など、ゆうひさんらしくないし、幸い、ファンは複数回観劇するのが普通なので、一度でわからなくても、無問題ですよね(乾笑)


今回は、劇団た組・加藤拓也さんの書下ろし作品。
ゆうひさんは、自分の家と家族に関する記憶だけがどんどん抜け落ちていく主婦の役を演じている。記憶に関する障害は、原因も治療法もよくわかっていないものらしく、今後、思い出すかもしれないし、思い出さないかもしれない。忘れたこと・忘れることにくよくよせず、どうすれば日常生活が送れるかを家族で相談しながらやっていくしかない…らしい。
ゆうひさん演じる恵は、家族に関する記憶だけが、日々リセットしていく。そして、毎日眠る時間が長くなっていく。一人っ子の雛(池田朱那)は中学生。ソフトボールをやっている。ピッチャー志望だったが、今は外野。もうピッチャーにはなれないと薄々感じていて、部活動にもやる気が出ない。好きな子がいて、でも、ソフトなんかやってる男の子っぽい自分は、友達以上になれないんじゃないか…と、今一歩が踏み出せない。だから、自分が可愛い女の子らしい女の子じゃないことがすごくコンプレックスで、それゆえに、男らしさ、女らしさにこだわってしまう。てか、この年頃の女の子は、母親が無意識に口にする「女の子なんだから」(片付けなさい、お手伝いして)などに妙に反抗してしまうものなのだ。
この、記憶にまつわる家族の物語と、女の子らしさに悩む女の子の物語が絶妙にクロスし、そういえば反抗期…という新たな展開を迎えたところで、物語はストンと終幕を迎える。
そして、ごく普通のこじんまりとした家族の物語のようでいて、夫の一志(鈴木浩介)は、若い女(山谷花純)に対してパパ活をしているし、恵の父(串田和美)は、娘にたかって生きている。それらの綻びも終幕で、意外な結末を支える一つの柱になっている。


夫役の鈴木さんはテレビでもおなじみ…というか、今シーズン、「キントリ」に嵌まった私としては、もう、おなじみすぎる[わーい(嬉しい顔)]心優しく、でも事なかれ主義で、ちゃっかりしてるところもある、憎めない人。いろんな側面のある人物を飄々と演じている。たくみなひとだな、と思う。
お父さん役の串田さんは、さすが、くせもの…という存在感をまき散らしている。でも、カーテンコールでは、ゆうひさんを最大限労ってくれて、ありがたいです。今後、ご縁があったらぜひ演出家としてゆうひさんを使ってみてほしい。
娘役の池田さん、素晴らしい。瑞々しい感性に心を打たれました[黒ハート]
ゆうひさんの新しい面が観られた舞台、深化していくのを楽しみに通いたいと思います。


主題歌からBGMから効果音まですべてを担当する音楽の谷川さん、すごいです。
しかし、素晴らしい歌や演奏をいっぱい聴かせてもらったにもかかわらず、なぜか、彼のギターが奏でる着信音が、耳から離れない私です。


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