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「死の泉」撮影会 [┣Studio Life]

東京宝塚劇場の公演が中止になったので、後半にチケットを取っていたスタジオライフも大丈夫だろうか…と、初日が開いてすぐに観に行った。
撮影会だったので、おすそ分けです。


死の泉1.jpg


全員写真。これは、クリックすると引き伸ばせます。(竹之内さんの名前が間違っててすみません…[あせあせ(飛び散る汗)]
大沼氏の足元に黒い薔薇が咲いているのですが、これが、絶妙な効果を与えていた気がします。


死の泉2.jpg


こちらも、クリックしたら大きくなります。
なぜか、舞台のへりにお座りの倉本さんにご注目ください。


死の泉3.jpg


笠原さんとせきどっちの仲良さそうなとこ、ばばりょと宇佐見くんの兄弟感満載な感じ、そして、先輩ぶってる吉成くんが見どころかな。


死の泉4.jpg


澤井君も可愛い[黒ハート](引き伸ばせます)


死の泉5.jpg


こんな雰囲気の撮影会でした。


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スタジオライフ公演「はみだしっ子」観劇 [┣Studio Life]

舞台
「はみだしっ子~White Labyrinths~」


原作:三原順((C)三原順/白泉社)
脚本・演出:倉田淳


舞台美術:乘峯雅弘
照明:日下靖順(ASG)
照明オペレータ:盛川圭登(ASG)
音響:竹下亮(OFFICE my on)
舞台監督:倉本徹
衣裳:竹内陽子
ヘアメイク:MUU
演出助手:宮本紗也加
宣伝美術:田代裕子
Special Thanks:鈴木俊裕、前田太郎、笹生那実、柴咲美衣、合田雅代、立野昧、三戸亜耶「I knew I loved you」from『UTOPIA』
制作:Studio Life、style office、奥田英子
協力:白泉社、T-gene、BACSエンターテイメント、東容子、小泉裕子


スタジオライフの「「はみだしっ子」シリーズも3作目。
前回までは3チームで上演していたが、前回公演をもって、TRK(トランク)チーム(山本芳樹・岩崎大・緒方和也・田中俊裕)が卒業したため、今回は2チーム。そのうち、BUS(帽子)チームのメンバーが、グレアム役久保優二の退団もあって、半分を入れ替え、CAPチームとして再生した。TBC(タバコ)チームは、同じメンバー。そんなわけで、三年間ずっとやっているメンバーVS初めましてさんのいるメンバーという面白い対比になった。
また、物語も、これまでの、エピソードを重ねていくスタイルから、「雪山」というひとつのクライマックスを描く…ということで、だいぶ雰囲気が変わった。(重くなった。)
そんな中、装置は、乘峯さんの“階段と街灯”を引き続き使っていて、これがあれば、「はみだしっ子」の世界観にすーっと入っていける気がする。階段を使ってバスの車内を表現するなど、なるほど[exclamation]という感じ。
客演の田中彪さん、八島諒さんの熱演もあって、ドキドキハラハラの作品になったが、ここでは終われない内容。次回はいつ上演されるのだろうか[exclamation&question]


<ものがたり>(配役は、TBCCAP順で記載。一人しかないのはシングルキャスト)
シドニー(田中彪)の庇護下にあったはみだしっ子四人は、雪山に行くと言って、旅立って行った。シドニーは、親友のアルフィー(船戸慎士)に四人を後を追うように依頼する。
四人は、雪山に、いつになく大きな期待をしていた。そこに行けば、何かが変わるような、そんな期待をそれぞれが抱いていた。しかし、吹雪が彼らの行方を阻む。バスは大幅に出発が遅れていた。
ようやく出発したバスの同乗客は、歌手のシャーリー(石飛幸治)とそのマネージャー、ギィ(曽世海司)、謎の青年、ジョイ(澤井俊輝松本慎也)、一人で乗車している少女、アンジー(八島諒伊藤清之)、若い男(吉成奨人)、若い女(鈴木宏明)、眼鏡の紳士(富岡良太)、そして最後に乗車したアルフィー。
しかし、途中で進行が難しくなり、運転手(宇佐見輝千葉健玖)は引き返すとアナウンス。それをジョイが強引に進ませる。実はジョイは銀行強盗で、山に逃げ込むつもりだったのだ。
バスは横転し、運転手は死亡。乗客は、命からがらバスを後にする。
吹雪の中、キャンプをして助けを待つ人々。しかし、グレアム(仲原裕之関戸博一)は、事故の際、マックス(伊藤清之八島諒)を庇って古傷を痛め、満足に動けない。マックスは、何故か、ジョイの後を追って付きまとうが、グレアムは、彼が銀行強盗であることを知り、慌てて、アンジー(松本慎也宇佐見輝)らが追いかける。
マックスは無事だったが、ジョイは、行き場を失くして、彼らの前で拳銃自殺する。
実は、マックスには、雪と拳銃にまつわるトラウマがあり、その上、ジョイの自殺現場を目撃したことから、情緒が不安定になる。同じように、歌手のシャーリーも、ステージをキャンセルせざるを得なかったことから、神経過敏になり、薬が手放せない状態。また、シャーリーは、痛みを抱えるグレアムに薬を分けてくれる。が、彼女が皆を慰めるために歌った時、へたくそ!と、苛立った若い男に侮辱したため、シャーリーは吹雪の中、飛び出していく。
吹雪が止んだ後、若い男女と眼鏡の紳士、そして少女のアンジーは、山を下りると言い出す。グレアムが動けないはみだしっ子たち、彼らを見守るアルフィー、そしてシャーリーの帰りを待つギィは、山に残ることを選んだ。
サーニン(千葉健玖澤井俊輝)は、スキー板を持っていたので、助けを呼ぶと言って、単独で山を下りる。
ギィは、シャーリーのことで憔悴し、ふとしたことから、大きな声を上げ、その声に驚いたマックスが拳銃を発砲、ギィは即死した。
サーニンは、奇跡的に救助隊に助けられるが、先に山を下りた4人は、雪崩に巻き込まれて死んだ。シャーリーの遺体も発見されたが、何者かに刺殺されていて、彼女のバッグは、山で死んだ女が持っていた。そして、そこには、ヘロインが入っていた。
ギィの死体を始末できず、自殺し損なったアンジーは、一人、救出にやって来たシドニーに救われる。アンジーが二人いたために、はみだしっ子の方のアンジーは、遭難者の人数にカウントされていなかったのだ。シドニーは、ギィの死体を自分の墓(社会的に葬られた時、墓まで作られていた)に隠し、アンジーも匿った。
アンジーも帰って来ない、サーニンの無事もわからない、マックスの無意識の犯罪をどう隠すべきか、シャーリーに薬を返すために後を追いかけるべきだった…後悔と薬の影響でグレアムは精神に異常をきたしていた。こうして、はみだしっ子たちは、バラバラになってしまうー


というところで終わったですよ[爆弾] 
続き…続きを早く見せて[exclamation×2]


ということで、出演者感想を簡単に。
TBCチームのバランスの良さは、さすが3年目のチームだな[exclamation]と思う。また、とにかく可愛い伊藤が、ずっと使われ続けたことで、演技面でも充実、可愛さを武器にできたことを今回強く感じた。
堅実にグレアムを演じてきた仲原は、こういう展開になると、華やかさがない分、シリアスにつらい芝居。演劇としてはまったく問題ないが、私はライフにもうちょっとエンターテイメントを求めているらしい。そういう意味で、松本のスター性は、さすがライフの看板役者だと思う。
千葉は身体能力も高いし、どんな役でも、伝える力が強くて、サーニンの気持ちがすごく理解できた。
澤井のジョイは、バカなことやって、どうにもならなくてあっさり自殺するキャラが似合いすぎる。少女アンジーの八島は、見た目それほど可愛くないのに、観ているうちに、なんか可愛いな…と思えた。客演でちゃんと女の子になるの、たいへんだったよね。ありがとうございます[黒ハート]
一方、CAPチームは、3年目の宇佐見澤井、初めましての関戸八島…という微妙に噛み合っていないメンバーだったが、個々の演技は、見るべきものがあった。特に初出演の関戸は、グレアムを地味になりすぎず、華やかに演じていて、やっぱ、スターさんだなーと思った。ただ、宇佐見澤井の青さを肯定するには、久保のグレアムがちょうどよかったんだよなぁ~。この辺が配役の妙かな。八島は、普通に可愛かったが、なにしろ伊藤の可愛さが犯罪的なので、ちょっと損していたかも。
松本のジョイは、なんつーか、上手すぎる。カッコいいし、上手いし、あなた、ズルいわ。
運転手の千葉が、真面目な運転手感が伝わって来て、好感が持てた。
シングルキャストとしては、石飛曽世が、本役以外にも常にニコイチで登場し、出るたびに男女が逆になっている辺り、笑っていいところじゃないのに、クスっとしてしまった。船戸は安定感がハンパない。吉成は、若い男のイケズな感じと、キャシーの可愛いらしさが、どちらもステキだった。鈴木は、若い女がめちゃくちゃ綺麗だった。
シドニー役の田中は、超イケメンだったけど、鬘がイマイチだったかな。もっと高い鬘を使わせてあげたかった。客演なんだし。見た目と雰囲気は、退団した久保のシドニーを思い出す感じ(つまり、好き[黒ハート])だったけど、声とキャラは高根氏だったらしい(笑)この記事を書くために、田中彪を調べたら、え…田中聖の弟さんなの…[exclamation&question]兄と弟がジャニーズなのか…そら、イケメンだわな…。てか、田中家、みんな変わった名前なのね。
ライフの芝居に合うと思うので、また、客演してください。
ブラジャーの洗礼を受けた八島さんもね。


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「VANITIES」観劇 [┣Studio Life]

The Other Life vol.10
「VANITIES」


作:ジャック・ハイフナー
翻訳:青井陽治
演出:倉田淳


美術/舞台監督:倉本徹
照明:山崎佳代
音響:竹下亮(Office my on)
衣裳:竹内陽子
ヘアメイク:川村和枝(p.bird)
宣伝美術:田代裕子
宣伝撮影:奥山郁
演出助手:宮本紗也加
版権コーディネート:シアターライツ
Special Thanks:カンパニー・ワン 土屋誠
制作:Studio Life、style office
協力:東容子、小泉裕子


スタジオライフ本公演とは別に、海外の優れた戯曲を紹介するシリーズ、「The Other Life」の記念すべき第10作に選ばれたのは、1970年代にアメリカでヒットしたコメディ「VANITIES」。
ただ、今回の作品、特にコメディ色を持った演出にはなっていない。


物語は、3人の女の子の1963年(ハイスクール)、1968年(学生寮)、1974年(キャシーのアパート)を一気に描く。三人は舞台後方の物陰で着替え、次のシーンに臨む。つまり、ほぼ出ずっぱり。誰がヒロインというわけでなく、三人が均等に役の比重を担っている。
1963年-
三人は、ハイスクールのチアリーダー。
チアリーダーは、ひとつのステータスらしい。可愛くて、リーダーシップがあって、普通の高校生とは違う特別な存在だと、本人たちも自負している。
三人はそれぞれ、フットボールチームのメンバーと付き合っている。今の彼女たちにとって重要なのは、どうやって最後の一線を守ることができるか、すべてを許さずに男の子の気を引き続けることができるか、ということ。その保守的な考え方に、彼女たちがいわゆるWASPの模範的な家庭に育ったことがうかがえる。
そんな悩みも抱かずに気持ちの赴くままに青春を謳歌しているクラスメイトを「尻軽」と軽蔑し、暴走しがちな男の子を、どう手懐けるか、三人は知恵を絞る。
ただ、大枠は一致していても、そんな中に、既に分岐の萌芽は読み取れたりする。
「私とテッドは、そういうことはしない」と言い切るジョアン(関戸博一)。でもテッドは尻軽と呼ばれるサラと歩いているところを目撃されていたり。プレゼント次第で少しずつ許す範囲を広げているメアリー(山本芳樹)。ほしいものはいっぱいあるのに、もう許せる部分は数少ない。そして、何も語らないけど、ドライブインシアターで、車が大揺れするほどの何かをやっているキャシー(曽世海司)。
秘密があったりなかったりしながら、それでも三人には、目の前にやることがいっぱいある。
次の試合のこと、パーティーのこと、そして進学のこと。大学生になったら、チアリーダーになって、勉強して。キャシーは体育、メアリーは心理学…ジョアンは勉強したいことなどないが、二人と同じ大学に進学したい…。
騒ぐ三人のところに校内放送が入る。大統領暗殺の知らせだった。学校は午後休みになった。三人は、フットボールの試合が中止にならなくてホッとしたのだった。
1968年ー
三人は、同じ大学に進学し、今は、カッパ女子寮を仕切る最高学年。卒業後の女子寮の行末を心配している。
もちろん、自分達の行末にも不安はある。仲良しトリオも、いつまでも一緒にいられない。メアリーは、外国に行こうとしている。ジョアンはテッドとの結婚が決まっている。キャシーは、教師にでもなろうかな…と。
三人は、相変わらず、憧れの女子像を体現しているが、少し綻びも感じている。
大学では、チアリーダーにはなれなかった。ジョアンとメアリーは、それほどチアリーダーに興味がなかったようだが、キャシーは、たぶん鼻っ柱を折られたのだと思う。ハイスクールのリーダーでも、大学レベルは違う…と。しかも、キャシーは、ハイスクール時代から5年も付き合ってきた、ゲイリーに裏切られていた。
大学生になった後、キャシーとゲイリーは一線を超え、以来、キャシーはピルを飲んで避妊をしていた。が、ゲイリーは、別の女性を妊娠させて結婚してしまったのだ。ゲイリーの裏切りと、必死に避妊していたために結婚を逃した現実に、彼女は打ちのめされた。
メアリーは、ハイスクール時代のボーイフレンドに固執することなく、恋愛遍歴を繰り返していた。
ジョアンは、テッド以外目に入らず、ひたすら結婚する日を楽しみにしている。しかし、彼女は、セックスには全く興味がない。テッドが学生運動をしているのも実は気に入らない。なんで関係ない人のために戦わなくちゃいけないの[exclamation&question]
1974年ー
キャシーのアパート。久しぶりに三人が集まることになった。
ジョアンは、長い髪をゆるく結んでいるが、道に迷ったせいか、少し髪が乱れている。ブラウスにスカート、一応真珠のネックレスはつけている。最初は、紅茶を所望するが、すぐに気持ちが変わってシャンパンを飲み始める。
遅れてきたメアリーは、ビビットなカラーのワンピースを着こなし、高価な買い物をいくつもしてきたらしい。彼女は、卒業後、ヨーロッパで生活していたが、現在はニューヨークで画廊を経営している。キャシーは、ブルーのシックなワンピース。生活感のない装い。
ジョアンは、テッドと結婚、三人の子供がいる。テッドジュニアと、キャシーとメアリー。二人の女の子には親友の名前をつけた。
教員になったキャシーは、ここでも傷ついた。いつもリーダーとして、人々を指導していたキャシーには、ハイスクールに入っても何もしたくない生徒が理解できず、職場で浮いてしまったのだ。
退職したことを打ち明けるキャシーに、ジョアンは、じゃあ、あなたはこれからどうするの[exclamation&question]と執拗に問いただす。しかし、メアリーは、部屋の調度などから、キャシーが、誰かに囲われていることに気づいたのだった。まさかキャシーが不道徳な人生を送っていることにショックを受け、メアリーからは、夫のテッドと関係を持ったと匂わせる発言をされ、ジョアンはブチ切れて帰っていく。
残ったキャシーとメアリーは、アンニュイに話を続けるのだったー


いやー、めっちゃ面白かったです[黒ハート]
これ、女優が演じたら、けっこうエグい話で、直視できなかったかもしれない。
男性が演じる女性だからこそ、客観視できるというか、三人が、どこまで本音で語っても、どこか自分を保って観ることができた。
「VANITIES」…Vanityとは、虚栄・自惚れという意味だが、もうひとつ、空虚・儚さという意味がある。
最後に、「バカ話をしたかっただけ」みたいなセリフが出てくるが、これも、「VANITIES」なのかな、と思った。1974年の場面、彼女たちはまだ28歳なのに、まるで人生の終わりのように空虚な佇まいを見せている。
それは、なぜなんだろう[exclamation&question]
自分の生きたい道ではなくて、人からどう思われるか、だけを考えて生きてきて、疲弊してしまったのだろうか[exclamation&question]
自分さえよければ…と、他人(クラスメイトなど知り合いであっても、ベトナム戦争の犠牲になる全く知らない他国の人々であっても)をないがしろにしていたツケが回ったのだろうか[exclamation&question]卒業後、VANITIESを発揮する場面がなく、自分の価値が地に落ちたことに気づいたからだろうか[exclamation&question]
ハイスクールの時は、三人は、それぞれの個性はあれども、同じ形で虚栄心を共有していたし、それは外に向けられていた。
最終場面では、三人の虚栄心は、共有されるものではなくなり、そして、寂しいことに、それは互いに向けられていたのだ。「私たちは特別」と語っていたハイスクールの三人が、大学卒業の頃には既に、その言葉の綻びを感じ始めていて、それから6年後には、「あなたよりはマシ」だと思いたいレベルにまで摩耗していた。
なんという悲劇…


1974年に28歳だった彼女たちは、ロサンゼルスオリンピックの時には38歳、同時多発テロの時には55歳、今は73歳になるのかな。どんな人生を送ることになったのだろう。おばあさんになった今、それでも幸せな人生だった…と振り返ることができているかしら[exclamation&question]
長く上演されている戯曲は、そんな風に、戯曲自体が年輪を重ねるものなのかな…なんて考えた夜だった。
この作品を翻訳し、早い段階で日本に紹介した亡き青井陽治さんにも観ていただきたかったな。
ちなみに、女性三人より、男性が演じた方がいい戯曲と書いたが、調べてみたら、ちゃんと3軒茶屋婦人会でも上演されていた。さすがです[exclamation×2]


ジョアン役の関戸は、一番振り幅の大きな役を、誠実に役作りしていた印象。誰よりも素直で、誰よりもウソのない学生だったジョアンが、自らの優位性を結婚していること、子供がいることにしか見出せず、幸せであることをことさら強調する姿の痛々しさ。夫との間の大きなすれ違いを見ないようにするため、キッチンドランカーになっているのかもしれない。メアリーの告白を聞いて、彼女の人生はどう動くのだろうか[exclamation&question]の後のジョアンが気になる…と思わせるところが、関戸の演技のポイントかもしれない。
メアリー役の山本は、抜群のスタイルで、各場面の衣装を着こなしていた。特に最終場面のワンピースは華奢な肢体を強調していて、とても似合っていた。ジョアンは、結婚を前にした大学生の頃からセックスに興味がないと言っていたが(結婚まで処女を守り通した)、三人の子供を持った今もなお、セックスは子供を作るための手段としか考えていない。一方のメアリーは、ハイスクール時代から、性への興味を隠そうとしていなかった。大学卒業後、ヨーロッパで奔放な生活を送り、現在はニューヨークで、ポルノアートの画廊を経営している。経営者であるというプライドと、女を武器にしてそれらを手に入れたことへの後ろめたさ。そして、ジョアンへの苛立ちを隠さない。でも、それは、6年も会っていなかった現実のジョアンへのそれではなく、妻に不満を抱いている(と、メアリーには言っている)夫のテッドから聞かされたジョアンに対しての…ということかもしれないが。ハイスクール時代から、身持ちの固いジョアンをキープしながら、“尻軽”と評判のサラと遊んでいたらしいテッドは、貞淑なジョアンを妻にしながら、奔放なメアリーとお愉しみらしい。ハイスクール時代は、たいして賢そうじゃなかったメアリーが、実社会の荒波を経て、賢く、強くなっていた。テッドの人間性にも気づきながら、ジョアンの偽善を暴く山本メアリーの姿は、鬼気迫るものがあった。そして、たぶん、メアリーは大丈夫だと、信じられる姿だった。
キャシーは、非常に賢い人なので、ハイスクール⇒大学⇒現在…と、自らが失ってきたものを、その都度、しっかり把握している。その結果、28歳にして、すっかり空虚になってしまったキャシー。キビキビして、計画性に富み、仕切り屋だったキャシーが、日々、何もしないでぼんやりと過ごしている…その変わり身を、曽世が見事に表現していた。彼女のような女性が、誰かの囲い者になる、というのは、自分の心を殺しているようにしか思えないが、そうやって、空虚(これもVanity)に流れていく時間が、彼女の傷ついた心を癒しているのかもしれない。モラトリアムが終わったら、また元気なキャシーになってほしい…そんな風に祈りたくなるような、こちらも痛々しい姿だった。


もしかしたら、女性なら、誰でも三人のうちの誰かに、あるいは、三人のそれぞれに、自分自身の姿を見出してしまうのかもしれない。よい観劇ができました[黒ハート]


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秋デリ「こえのちから」 [┣Studio Life]

Studio Life Autumn Delicatessen 2019『秋デリ!』
「こえのちから」
<出演>楢原秀佳、曽世海司、奥田努、関戸博一、吉成奨人


「こえのちから」は、俳優たちが、「落語」と「ラジオドラマ」に挑戦する…という内容。
まず、最初は、落語やトークライブに力を入れている曽世海司による、落語「浜野矩随」。この「浜野矩随」という作品は、もともとは講談話だったため、基本、サゲ(オチ)のない人情噺。サゲのない噺というと、「幾代餅」とか、数種類しか聴いたことがない。しかも、主人公の職業が彫金師(刀剣の腰元彫りという仕事)。
そういう分かりづらい噺を現代風に“声優業界”を舞台に再構築し、曽世さんは、トークライブなどのネタとして使っていたという。これを「落語」として披露するというのが、今回の主旨。
ちゃんと高座を作って、和服で登場。まさに若旦那といったいでたちでした[黒ハート]


もちろん、声優業界といっても、その裏側の世界というのは、我々ファンにはわからない。なので、枕で「ボイスサンプル」の話や、声優養成所の勉強の内容などを説明してくれる。
発声練習「あえいうえおあお」や、滑舌練習「アメンボ赤いなアイウエオ」などは、演劇も声優も同じ訓練をするようです。だよね。私、中学時代には演劇部、大学時代に放送研究部にいたけど、どっちも同じ訓練してたし。
あ、でも、歌舞伎でおなじみ、「ういろう売り」は、やったことなかったな。
ちなみに、スタジオライフの若手も、声優志望という人がけっこういるようで、この日の出演者だと吉成くんが声優志望だったとか。(関戸っちも、声優養成所出身だそうです。今、アニメの声の出演もやっているというのは、初心貫徹なんですね[黒ハート]


人気声優・浜ノリヤスが急死して早幾星霜、いまだに人気は衰えていない。
親友の声優事務所社長は、息子のノリユキの面倒を見始めて、5年。しかし、一向に上達しない。
とうとう、これ以上、事務所に来られても迷惑だから、一時金とひきかえに今後一切やって来ないでほしいと、社長から引導を渡される。それどころか、死んでしまえとまで、暴言を吐かれる。
家に帰って、母親にそのことを伝えるノリユキ。素直な性格なので、本当に死んでしまおうと思っている。
すると母親は、死ぬ気があるのなら、最後に私のために「ういろう売り」のボイスサンプルを残してほしいと言う。亡き夫が、実際のういろう売りのセリフだけでなく、その現代語訳までも含めた10分以上の長い台本を残しているから、それを心を込めて読み、形見に残してほしいと。
ノリユキは母の願いを叶えるべく、寝食を忘れて「ういろう売り」に取り組んだ。母は、ノリユキの様子をうかがうこともなく、彼が空腹をおぼえて部屋を出ると、台所におにぎりが置いてある…という日々が続いた。
そして一週間後、ノリユキは、録音した「ういろう売り」の入ったUSBメモリを母に渡した。
母は、それを事務所の社長のところに持って行って聴いてもらいなさい、そして、ほしいと言われたら、500万円で売りなさい、一切値引きはしないこと!と言い出す。びっくりするノリユキだったが、素直な性格なので、言われた通りにする。
事務所に行ってみると、社長は機嫌を直していて、新しいUSBか、どれどれ、と聴いてくれる。そして、仰天する。これは、亡き浜ノリヤスの幻の「ういろう売り」じゃないか!と。若手の頃演じていたもので、音声データはないとされていた傑作、どこで見つけたのか、と興奮している。
いくらで売ってくれる?と聞かれ、ノリユキは500万円と答えるが、社長は即決でその金額を出すという。
そして、それがノリユキのものだと知っても、そんなことあり得ないと信じてくれない。そこでノリユキは、「ういろう売り」を社長の前で演じてみせる。見事な「ういろう売り」の口上に社長は二度驚く。
そして、これまでの経緯を聞き、最後に母親がノリユキの飲んだコップの水の残りを飲んだことを知って、「水盃じゃないか、それは!」と騒ぎ出す。ノリユキの成功を祈念して、自分の命を犠牲にしようとしているのでは?と危惧したのだ。
しかし、そこは現代版、家に帰ると、母親は仕事を休んでお茶を飲んでいた。
ノリユキはたちまち人気声優になる。3年先まで仕事がいっぱい。
これまで、親友の息子だからと、へたくそなボイスサンプルをひとつ5万円(ポケットマネー)で買っていた社長は、「せめて未公開の声があったらほしい」というメディアに、過去のボイスサンプルを売り始める。


とまあ、そんな感じの話でした。
原作では、お母さんが息子の成功を祈念して手首を切っていたりするのですが、そこは改変していたのと、枕でボイスサンプルの話や、声優の訓練に使われる「ういろう売り」の話などが出てきたのが、全部、本編に繋がっているのか[exclamation]という無駄のない曽世さんの無駄話に感動した。
しかし、なにより、ノリユキが語る「ういろう売り」を実演する部分、これこそが、俳優・曽世海司の面目躍如[exclamation×2]さすが、おしゃべりクソ野郎[黒ハート](by奥田努)
これね、さすが天才声優・浜ノリヤスの息子ということが伝わる天才的口跡じゃなきゃいけないわけですよ。落語とはいえ、そこが上手くないと、全然伝わらない。しかも単なる「ういろう売り」じゃなくて、伝わらない言葉を手早く解説を挟みつつ…なんですよね。
途中早口言葉になる場面があって、そこも見どころなんだけど、そこにも一部解説を早口で挟みつつ、語感で楽しめるところは猛スピード、もうね、プロなんだな、プロってこれなんだな…という素晴らしさを実感[ぴかぴか(新しい)]
本当に素晴らしかった[黒ハート]


落語の後、若手(?)の関戸・吉成がセットを動かす間、楢原と奥田がフリートークタイム。
まったく何も喋らない間に、セットチェンジが終わったのでした。スタジオライフ、MCのできる人材は限られているようです…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]


後半は、曽世・関戸・吉成が書き下ろした脚本3本が、このメンバーでラジオドラマになる。
(曽世は着替えて洋服になって戻ってきた。)
まず最初は、吉成が脚本を書いた高校野球ものの作品。
関戸と吉成がピッチャーとキャッチャーになり、2年生バッテリーで甲子園出場寸前に負けてしまった…というトラウマを乗り越えていく…というストーリー。
主人公のピッチャー役は、関戸が演じたのだが、役名が「トモヤ」。これ、絶対、狙ってるよね…と思った。
(せきどっちは、スタジオライフの中村倫也と言われております。)途中、三か所、名前の記載ミスがある台本だったんだけど、効果音などが細かく入っているため、ぶっつけとは考えられず、わざとじゃないか…と疑っている。(それによって、せきどっち=トモヤを強調するため[exclamation&question]
吉成くんの関戸愛が伝わる一編でした(笑)


続いて曽世のネタ的作品。
レッド、ブルー、イエロー…などと呼ばれていて、最初は戦隊モノかと思わせつつ、(曽世氏は、ついこの間、戦隊モノ作品に出演していたしね[わーい(嬉しい顔)])実は、信号の話だったというのが、笑える。自分が一番つまらないポジションにいる…とふてくされている奥田がピッタリで、ナイスキャスティングでした[わーい(嬉しい顔)]


で、今回、私のお目当て作品は、関戸作のスタジオライフを舞台にしたフィクション作品。
本当は吉成奨美という女子が、なぜか、男子として劇団スタジオライフに入団してしまった…という設定。もちろん吉成奨人こと奨美は、吉成が演じる。ライフの先輩、楢原・奥田は実名で本人が、そして曽世は、地球を襲う「シト」を演じる。劇団員は、実は地球を守る使命を持っているのだ。
…と、なんかどこかで聞いたような話がミックスした面白い作品なのだが、ポイントは、関戸自身が「倉田淳」を演じる…ということだ。
ここまでの情報を事前にツイッターなどで知っていたので、この日の客席に倉田さんが現れた瞬間、観客は非常にざわざわしたのだった。せきどっちは、はたして次回公演に無事出演できるのか…[あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)]
そして、ドラマは、「壁ドン」や「アゴクイ」を楢原や奥田にやらせ、そこに奨美がいちいち、トゥクッ[揺れるハート]となる場面を繋いでいく。もう、客席は爆笑に次ぐ爆笑だった。さらに、満を持して登場する倉田さんやシトの大物感に、息が苦しくなるほど笑った。
本当に面白かった。このまま上演してもらいたいくらい[わーい(嬉しい顔)]


イベントとしての盛り上がりっぷりも最高だったので、どうか、倉田さん、広い心でせきどっちを見てあげてください[ひらめき]
ライフの団員諸君、才能に溢れてるのね~[るんるん]
あらためて、才能とファンサービスの素晴らしさに頭が下がる秋デリでした[黒ハート]


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秋デリ「月の子」上映会 [┣Studio Life]

Studio Life Autumn Delicatessen 2019『秋デリ!』
クラシカル作品上映会「Moon Child~月の子~」(2004年版)


最後までタイトルが発表されなかった、クラシカル作品上映会。
でも、けっこう「月の子」じゃないか…という噂は流れていました。
…で、同じクラシカル上映会でも「白夜行」は、かなり詳細なストーリーを覚えていたのに、「月の子」は、新作を見るような気持ちで鑑賞した。そもそも原作マンガを知らずに観劇し、そのまま原作を読まずに終わったせいかな[exclamation&question]


この作品は、我らがおいちゃん(及川健)が、ベンジャミン(ジミー)をシングルで演じ、その他のメンバーがWキャスト…という貴重な作品。記憶にあったのは、ベンジャミン(変身後)がやたら綺麗だった…(特にロン毛金髪が素晴らしかった[黒ハート])ということと、セツが切ないな…ということだけ。役名は“セツ”だけ覚えていた。


ストーリーは、できれば、こちらのマンガを読んでください。めっちゃ、説明しづらいSFです。



月の子 全13巻完結(花とゆめCOMICS) [マーケットプレイス コミックセット]

月の子 全13巻完結(花とゆめCOMICS) [マーケットプレイス コミックセット]

  • 作者: 清水 玲子
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • メディア: コミック


「月の子」(人魚)であるベンジャミン(及川健)は、一族であるショナ(高根研一)との間に子をなすべきところ、人間のダンサー、アート(岩崎大)に拾われ、ジミーという少年して生活を始める。が、だんだん彼に愛情を感じるようになってしまう。そして、満月の夜、美しい女性に変身した彼を、兄のティルト(小野健太郎)、セツ(船見和利)が追う。そして、ティルトは、ギル(伊藤高史)という青年の身体を乗っ取って、ベンジャミンを殺し、セツにショナの子を産ませようとする。


どうしても説明しようとするとこうなるんだけど、これだと、ティルトやセツの思いは伝わらない。
三兄弟のキャラクターとして、ベンジャミンは女性化して卵を産む運命、せつはベンジャミンが死んだ場合に女性化するスペア、そしてティルトは女性化しない。ティルトはセツを愛し、セツはショナを愛し、ショナはベンジャミンを愛し、ベンジャミンはアートを愛し、アートはベンジャミンを少年だと思っている…というめっちゃ一方通行愛が重なる。(ティルトはギルとなってから、リタという女性から盲目的な愛を捧げられているしね)


そういうSFと、チェルノブイリ原発事故という事実が不思議に融合するマンガで、正直、これをよく舞台化したな~、いやむしろ、する気になったな~と思った。
倉田さんによると、この「月の子」と「白夜行」「死の泉」は、“苦しみ三部作”なんだそうです。
どちらも超大作で、観る方も“苦しみ三部作”だったかもしれないですが(笑)


映画終了後に、石飛さんと及川さんによるミニトークショーがありまして。
あいかわらず、可愛らしいおいちゃんでした[黒ハート]
でも、発言は、相変わらずドSで攻め攻めなんだわ[るんるん]
秋デリの販売品に、「デザインがな…」って言っちゃったり(笑)
こういうイベントで、年に一度でも、おいちゃんの姿を見られるのは、幸せなことです。


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秋デリ「白夜行」上映会 [┣Studio Life]

Studio Life Autumn Delicatessen 2019『秋デリ!』
クラシカル作品上映会「白夜行」


行ってきました[exclamation]
スタジオライフ、最初で最後の総力戦作品「白夜行」、今でも、よくあれを上演したな…と思う作品なので、もう一度この目で見ておこうと思ったのだ。
今回上映されたのは、<宵>と<黎>の2作品。これを2夜連続で上映した。上映後にはミニトークショー…1本3時間超の大作に、どんだけ酔狂なん[exclamation&question]と思いつつ…[わーい(嬉しい顔)]
アフトクは初日が曽世海司、2日目が関戸博一。特に関戸は、これ、入団2年目の作品で、上映前から、自分としては見てほしくない…と呟いていましたが(笑)とにかく、登場人物が多くて2年目のJr.7も使い倒されていたイメージだった。


「白夜行」は、東野圭吾原作の長編小説で、スタジオライフは、2005年にこれを舞台化している。ドラマになったのは、その1年後くらいだったので、どこよりも早くこの作品を立体化したということになる。
原作通り、雪穂と亮司の物語が、交わらずにテレコで進んでいく。そして2部のラストで、亮司が死に、そこに雪穂が現れるところで、悲しい共演が実現する。また、時代背景も原作通り1973年~1992年となっていて、テレビドラマよりずっと原作に寄り添っている。
ただ、観劇時は、観劇直前に原作を読了したため、わりと脳内補完していたシーンも多く、え、そこセリフで説明しないとわかんないよね[exclamation&question]という場所が2~3か所あった。


当時のブログを読むと、笠原中学生に見えないよ…とか酷いこと書いてるけど、14年経って見ると、「笠原さん、若い、可愛い~[黒ハート]」と思ってしまう。
あと、退団したふなみん、きんちゃん、林くん、みやまん、高根、寺岡、みかしゅん、りゅう子、アラケン等々懐かしい顔に、ほっこりとした。みんな生き生きしてるな~[るんるん]
そして、入団2年目なのに、前編後編合わせて4役ぐらいで雪穂の犠牲になっているりゅう子こと吉田隆太に、当時と同じように涙してしまった。
懐かしくて、3時間×2が一瞬に感じた。
そして、第二部の前半が終わって休憩になる瞬間を覚えていた。高根のコックローチ死は、14年経っても印象的。でも、あの探偵さん、かっこいい役で大好きでした[わーい(嬉しい顔)]


主な配役
<宵>亮司:笠原浩夫、雪穂:船見和利、古賀:山崎康一、松浦:藤原啓児、弥生子:石飛幸治、篠塚:曽世海司、江利子:関戸博一、笹垣:重松収
<黎>亮司:笠原浩夫、雪穂:岩崎大、篠塚:曽世海司、今枝:高根研一、典子:関戸博一、弥生子:石飛幸治、松浦:藤原啓児、笹垣:重松収


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スタジオライフ公演「Stars」観劇 [┣Studio Life]

「Stars」
作・演出:宮本紗也加


大道具・美術・照明:倉本徹
音響・音楽協力:竹下亮(OFFICE my on)
ヘアメイク:MUU
振付:宮崎卓真(style office)、千葉健玖
宣伝美術:宮崎卓真(style office)、宇佐見輝
制作:Studio Life
協力:星野良明、style office


スタジオライフの若き演出家、宮本紗也加の第2弾作・演出作品。


画家のエディ・ブラウン(宮崎卓真)は、5年前に妻を事故で亡くした。その時、母を慕う幼い子供たちに、お母さんは星になったのだ、と伝えた。
ある日、エディは、レイラ(宇佐美輝)という女性に出会い、二人はまたたく間に恋に落ちる。
まだ、死んだ母親を忘れられない息子のマシュー(千葉健玖)とアダム(鈴木宏明)は、突然現れた新しい母親と、これまでとは違った人間になってしまったような父親を見て、何を思うのだろうか。そして、感情的になるアダムに、エディは、とうとう、ブラウン家の秘密を話して聞かせるのだった。


この作品、ミュージカルになっている。
前作、「Who am I?」も音楽劇だったが、本作は、宮本さん自身が、作詞作曲をしている。音響の竹下亮さん協力の下とはいえ、全12曲のミュージカルナンバーを創り上げたのは、とても素人とは思えない。
また、ダンスナンバーは、出演者の宮崎千葉が「らしく」振付をして、それなりにミュージカル作品になっていたことは、称賛できる。私が観た千秋楽の舞台だったら、ちゃんとお金を取って観せられるものになっていたと思う…が、初日の各人歌唱力は相当ずこーっとするものだったらしく、前回公演の初日を観た私としては、あながち、ウソじゃないだろうな…と思ってしまったので、まあ、今後は、初日にプロらしい舞台にすること…が、求められるんだろうな…と思う。
(ライフのお客さんは優しいけど、そこに甘えちゃダメだと思う…)


ストーリーは、短編としてはうまくまとまっていて、愛によって結ばれた両親…でも、子供にとっては、突然現れた「おかあさんじゃないおかあさん」とどう折り合いをつけていくか…ということで、なるほどな~と、深く納得できる思う内容。
ただ、少年たちの考えることが、13歳と10歳にしては、ちょっと大人びている気はした。15歳と12歳くらいが相当かな。まあ、お母さんを失くした年齢にこだわったのかもしれないけど。


出演者は、父親役の宮崎が客演とは思えないほど、座組に嵌まっていて、かっこいいお父さんだった。もういっそ、入団してほしい。
継母になる宇佐見は、元気でポジティブなキャラにすることで、「問題」を子供たちの側に絞るための重要なキャラクター。そこを違和感なく演じたことで、ドラマが生きたものになった。
長男の千葉は、ホントに上手い。色々なことを飲み込んで、いい子を演じるジレンマが静かに伝わって来る好演。
ポイントとなる次男の鈴木歌の出来不出来が極端なとこが気になるが、(たぶん緊張してるんだよね)少年期独特の拗ね感が似合っていて、作品のよきスパイスになっていた。また、血筋に拘るアダムが実は養子だったことを知る場面の慟哭が、素直に伝わったところは、とても良かったと思う。


お金をいただいているのだから、プロ…といいつつ、ファンイベント「秋デリ!」の一環のような上演形態でもあるので、新人公演的に観た方がいいんだろうな、とは思うし、新人公演としては、よい出来だと思った。
あとは劇団として、宮本さんをどう育てていくのか、劇団の今後の方向性も含めて、劇団スタッフが考えていく時期が来ているのかな…。そのためにも、ここ数年で宮本作品をしっかりレギュラー化し、その是非を観客に問う必要があるだろう。ライフとして有りか無しか。


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「TAMAGOYAKI」観劇 [┣Studio Life]

Studio Life公演
「TAMGOYAKI Time Ago Year Key」


作・演出:倉田淳


美術/舞台監督:倉本徹
照明:山崎佳代
音響:竹下亮(OFFICE my on)
衣裳:竹内陽子
ヘアメイク:木村真弓、山本仁美
演出助手:宮本紗也加
制作:Studio Life/style office


何年ぶりの再演かな[exclamation&question]
前に観た時は、吉田隆太が百合子先生を演じていたから、それくらい昔である。
今回は、上演時間を短く設定し、コンパクトサイズでの上演となった。一応Wキャストだが、Wになっているのは、博士役だけ。ここに大村浩司を持ってくることが重要だったかもしれない。前回上演(当時の感想はこちら)されたのは、11年前で、当時も博士役は藤原啓児だった。「TAMAGOYAKI」を今後も上演していくため、後任という意味でのWキャストだったのかな[exclamation&question]
(劇団的には、オリジナル脚本を上演する劇団としての地位を固めた作品として、記念碑的なものかもしれないけど、ファン的にはそれほど上演続けてほしい作品でもないな…と思っているのだけど。というのは、いじめとか暴力のアウト度が、昔とは大きく変わってしまっているから。)


ストーリーは、11年前にも記載しているので、今回は、変更点などを中心に。
まず、これまでの「TAMAGOYAKI」は、現在(ぼったくりキャバクラ)⇒タイムマシンで10年前の小学生時代へ⇒タイムマシンで現代に戻り、堅気になってそれなりに生きているところで完…というストーリーだったのが、その前後、つまり、冒頭とラストシーンにそれからさらに10年ほど経過した時代(=現代という設定)を追加し、すべてを時男(仲原裕之)の思い出話にしたところが大きな違いになっている。
現代にいる時男は、最後に、博士が世界一周の旅に出て死んだことや、翔や蟻巣が結婚して子供を設けたことを語る。自身の務める新聞社が倒産したことも。このモノローグで、ドラマはすっかりシリアスなテイストになってしまった。それが、11年前と違う世の中の空気感なのかな…と思った。
まあつまり、11年前の「TAMAGOYAKI」のラストシーン=現代にできない時代の流れが顕著になったのでしょう。そして、主演の仲原には、この"会社が倒産した"エピローグが、実によく似合っていた。まあ、普通なら蛇足と言うべきシーンだと思うけど、そこを力業でしっかりと纏めたのだから、やっぱり、いい役者なんだな、地味だけど…とあらためて感じた。


というわけで出演者感想。
仲原裕之(時男)…主役を演じる力量と、スタジオライフの役者としては圧倒的に地味な個性が同居する稀有な俳優。どんな役を演じていても優しさが滲み出てしまうのが、今回も作品の持つ痛みを和らげていたように思う。ちなみに11年前もWキャストで時男役を演じているんだよね。11年経っても同じ役を演じられる…さすがライフ役者[exclamation]


若林健吾(翔)…11年前は、対人恐怖症みたいな役どころだったが、今回は、人前で話すのが苦手キャラという感じ。ちょっと内弁慶というか。その辺、若林のキャラに合っていたように思う。


宮崎卓真<客演>(蟻巣)…調子いいイケメン役で、11年前は青木隆敏と三上俊が演じていた。三上の意外な好演が今も忘れられなくて、それは、ライフを卒業した三上に当てられるキャラクターのひとつでもあるなーと思っていて、けっこう重要な役だった気がする。
宮崎は、3人並んだ時に、唯一のイケメンであるか…というとちょっと疑問だけど、キャバ嬢に人気が出そうな軽さはうまく出ていたと思う。


千葉健玖(小学生の時男/アップルちゃん)…アップルちゃんのアコギなキャラが、いかにも…だった。女役としてのダンスとお化粧もよかった。時男のやんちゃさは、お手の物だったね。


高橋里央<客演>(小学生の翔)…お弁当箱にお母さんの作った卵焼きを入れていて、それを大人の翔に食べさせるところがポイントなんだけど、可愛かったです[黒ハート]お弁当箱買っちゃったし。


前木健太郎(小学生の蟻巣/パインちゃん)…すっかりライフ役者らしくなったなぁ~[黒ハート]パインちゃんのえげつないキャラもしっかり出せていたし、小学生のノリもバッチリ出ていた。


吉成奨人(真似木/キャバレーの店長)…真似木は、吉成らしい真似木になっていたし、キャバレーの店長は、ここまでベツモノになれるのか[exclamation×2]と驚いた。今回の殊勲賞[ぴかぴか(新しい)]藤原さんと組んだ前説も頑張ってました[黒ハート]


宇佐見輝(百合子先生/レモンちゃん)…素直に百合子先生を演じていて、その作っていない感が恐ろしかった。レモンちゃんは、宇佐見の真骨頂[揺れるハート]


甲津拓平<客演>(堤先生)…しっかりとした大人の男性が堤先生を演じると、すごく現実的な芝居になるな~と、あらためてライフの特殊性を感じる。そして現実的な芝居であっても、普通に繋がる宇佐見って…[あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)]天才か[exclamation&question]百合子先生が亡くなった後の堤先生の悲しみ、何度見ても泣けました[たらーっ(汗)]


藤原啓児/大村浩司(博士)…博士といえば、藤原さん[exclamation]というくらいピッタリ。もはやアドリブなのか、地なのか、役なのか、セリフなのか、そんなのどうでもいいという感じ。
大村の博士は、藤原を観てしまうと、「演じている」感が強く、それは当然なのに、なにか分が悪く感じてしまう。ライフあるある、かもしれない。


真似木を苛め抜いた過去が、現在の三人の心を歪めている。
タイムマシンで過去に行き、その場面に遭遇した三人は、小学生時代の自分達を止めようと必死になる。そして、真似木がオルガンを弾けることがわかり、一同は、百合子先生に教えてもらった「故郷を離るる歌」を歌い、一緒に帰り、翔の母親の作った卵焼きを食べることになる。歴史は塗り替わり、博士との交流は続き、それもまた、夢の彼方に過ぎ去る。
それは、河内さんを失ったスタジオライフが、もう、かつての「TAMAGOYAKI」を上演できない…ということなのかな、なんて思ってみたり。


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「11人いる!」 [┣Studio Life]

音楽劇
「11人いる!」


原作:萩尾望都『11人いる!』(小学館)
脚本・演出:倉田淳


舞台美術:乘峯雅寛
舞台監督:倉本徹
照明:山崎佳代
音響:竹下亮(OFFICE my on)
編曲・演奏・作曲(酒は愉し):明石隼汰
衣裳:竹原典子
ヘアメイク:川村和枝(p.bird)
演出助手:宮本紗也加
宣伝デザイン:宇佐見輝


「11人いる!」、6年ぶり…かな[exclamation&question]
今回は、「音楽劇」になった。一部、作曲された曲もあるが、往年の洋楽に日本語詞をつけて…というのがほとんど。ライフ音楽劇の基本パターンだ。DVD出さないって決めてるなら、こっちの方がお得なんだろうな。そして、上演時間は2時間…短くなった。さらに、11人いる!というよりは、11人しかいない!という辺りが変更点。
そのため、冒頭の宇宙大学長官による送り出しの挨拶は、倉本徹のナレーションになっている。これは、よい効果もあって、集合する10人を暗闇の中に浮かび上がらせる(長官がステージにいないので、舞台上を明るくする必要がない)ことで、11人目を推測できない仕組みが作れた。
その分、試験結果公表の場面をグレン・グロフ一人に任せてしまったことは、ちょっと辻褄合わないかな…とも思った。


宇宙大学入試の最終試験は、漂流する宇宙船「白号」に乗って53日間を過ごす…というもの。何が起こるかわからない宇宙でのアクシデントを協力して乗り越える能力が受験生には要求される。
そして、10人一組と言われている受験生は、現場についてみると11人いる。これは、大学側の仕込みなのだが、まず、そこでひと騒動持ち上がる。さらに白号には、他のグループにはない、別の仕込みもされていた。受験生のタダトス・レーン(タダ)が封印された過去である白号乗船メンバーに選ばれたのだ。
さらに、大学側も予想していなかったアクシデントは起こるは、11人目の妨害交策はやり過ぎるは…とにかく、日々問題が起きる。その上、男性だけのチームと言われていたはずなのに、性別未分化のメンバーが二人もいる。はちゃめちゃな船内で、疑心暗鬼になり、殺し合いにまで発展しそうになるが、個性豊かなメンバーが、時に熱く、時に冷静に、誰かが止めてくれ、また、それぞれがアイデアや能力を出し合って、どうにか45日目まで到達する。
しかし、ここで、フロルベリチェリ・フロルが伝染病に感染、全員一致で非常ボタンが押される。その潔さもまた素敵な作品。そして、タダとフロルの今後は[exclamation&question]というラブ要素もあったりして、さすが、昭和の少女マンガ[exclamation]
(平成だったら、フロルは男の子のままラブ要素に行くわね…)


今回もライフらしくamopacoの2チーム上演。
そんな出演者たちの感想です。
タダトス・レーン<タダ>(関戸博一松本慎也)…「なのはな」に続いて、主演は、関戸松本。今度は男の子。前回もタダを演じた安定の松本(文句なし[exclamation]に対し、関戸のタダは新鮮だった。特に、過去の記憶を呼び覚ましていくところなど、リアルな芝居が新しい主役像を作っていたと思う。集団の中にいると埋もれる主役(別の人が喋ってるシーンね)…ってのも、関戸らしい居方だな~[わーい(嬉しい顔)]好きよ[黒ハート]


フロルベリチェリ・フロル<フロル>(松本慎也伊藤清之)…主演に対するヒロインポジも「なのはな」に続いて、松本伊藤松本は、これが初フロル。なんかそうは思えないピッタリ感。関戸との同期コンビは、相性抜群[exclamation×2]関戸に言いたい放題の奔放さが可愛かったし、関戸もがっつり受け止める辺りが、同期の良さ。一方の伊藤は、ひたすら可愛い。演技的にはまだまだだが、今は、可愛さと体当たりが武器で良いと思うし、それだけでフロルを演じられるのは、若さゆえ。(おじさんは演技力なかったらフロルはやれない…)このまま突っ走ってほしい。


マヤ王バセスカ<王様>(宮崎卓真(客演)曽世海司)…宮崎は、この公演中、一番進化したキャストだった。初日は、なんでみんなマヤ王の言うこと聞くのかな~と、不思議に思っていたのが、威厳やリーダシップを日に日に身に着け、もはや王にしか見えなくなっていた。成長を楽しめるのが演劇の良いところよね。曽世は、安定のマヤ王。即位したばかりには、とても思えない傲慢だけど憎めないバセスカだった。


ソルダム四世ドリカス<フォース>(千葉健玖)…シングルキャスト。今回はイケメンキャラ。ハンサムボーイの久保が抜けたからか、てらいなく美形キャラを演じることができていて安心。千葉の芝居は、派手ではないが、すごく納得性があるんだよね。今回もいい仕事してました。


アマゾン・カーナイス<アマゾン>(牛島祥太宮崎卓真(客演))…女の子も演じる牛島が、肉体強化しているアマゾン役なのはちょっと意外だったが、これがなかなかのヒットだった。はっちゃけキャラ、いけるかも。宮崎は、集団芝居の中で、ライフにすっかり溶け込んでいるのが印象的。


チャコ・カカ<チャコ>(高尾直裕(客演))…シングルキャスト。メイクも良く似合って、可愛かった。芝居の口跡もよく、歌もうまい。集団芝居でも埋もれない。また、ぜひ客演してください[黒ハート]


ドルフ・タスタ<赤鼻>(若林健吾)…シングルキャスト。可愛いし存在感もある。そして、若林健吾以外の何者でもなかった。集団芝居の中で目立つ手段としては、それもアリだと思う。


トト・ニ<トト>(鈴木宏明)…シングルキャスト。いや~鈴木も可愛かった。てか、こんな可愛いトト役は初めて見たかも。あまり背も高くないし、一度女役で見てみたいな。


ヴィドメニール・ヌーム<ヌーム>(宇佐見輝)…シングルキャスト。沼で逆立ちする佐清ポーズが忘れられない。(←観た人しかわからない…)短命な種族の中にあって、未分化なヴィドメニールという特殊な存在だけが何百年の寿命を持つ。その運命を受け入れた人の超常感を常に纏っているのが、上手いな~と思う。それでいて、コミカルな時もあったり、目が離せない存在。


ガニガス・ガグトス<ガンガ>(船戸慎士)…シングルキャスト。ガンガは船戸しか演じていないし、あまりにもピッタリすぎて、もはや、感想すら見当たらない。船戸ガンガさえいれば、「11人いる!」になってしまうのではないか…とも思う。


グレン・グロフ<石頭>(曽世海司藤原啓児)…石頭というか、頭頂部がやたら長く盛り上がっている姿が面白い。こういう石頭もアリだな~。リピート観劇すると、<11人目>らしいリアクションをあちこちでこっそりしているのが、二人とも、さすがベテラン。
すべてが明らかになった後の長ゼリフもさすがでした[ぴかぴか(新しい)]


初日付近は、ものすごく客入りが悪くて、不安になったけど、翌週はもう満席になっててよかった~[黒ハート]
狭い会場なので、出演者はマイクを使わない。そのため、歌の場面だけ(伴奏音楽が流れるため)ハンドマイクを持ってくる。それが、ちょっと笑える。どうにかならないのだろうか。


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New「11人いる!」初日 [┣Studio Life]

スタジオライフの人気演目「11人いる!」の初日を観劇。
土曜初日なのに、あうるすぽっとは、満席とはいかなかった感じ。
1時間50分の音楽劇なので、これまでの「ライフ、長い…」イメージをお持ちの方も大丈夫。ぜひぜひ、新生「11人いる!」の世界をお楽しみください。当日券もちゃんとあるとのことです。
一部、Wキャストなので、両パターン見ると、さらに楽しめるハズ[るんるん]


詳細は、劇団HPをご覧ください[exclamation]6月2日までやっています[黒ハート]


ネット掲載OKの撮影会もあったので、おすそわけです。


11人1.jpg


左から、トト・ニ(鈴木宏明)、チャコ・カカ(高尾直裕<客演>)、ドルフ・タスタ(若林健吾)、マヤ王バセスカ(宮崎卓真<客演>)、グレン・グロフ(曽世海司)
野菜栽培&料理担当の左三人は、初演より可愛い衣装・メイクになったような気がする。


11人2.jpg


タダトス・レーン(関戸博一)とフロルベリチェリ・フロル(松本慎也)。初日のご挨拶、けっこう二人で楽しそうに話してましたね。


11人3.jpg


おじゃまマン[exclamation&question]ガニガス・ガグトス(船戸慎士)。


11人4.jpg


カップルというよりか、すでに夫婦感[ぴかぴか(新しい)]
でも、劇中、フロルが女の子になってくれたらいいな…なんて思うタダは、初恋[るんるん]って感じで、めっちゃ可愛かったです[かわいい]


11人5.jpg


ちょっと真面目に、主役としてのコメント中。


11人6.jpg


まつしんは、全力笑顔。


上手側のメンバーが、あまり綺麗に撮れなくて、同じような画像ばかりですみません。
その他のメンバーは、ぜひ、生でご覧ください。(宣伝[ひらめき]


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