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「TAMAGOYAKI」観劇 [┣Studio Life]

Studio Life公演
「TAMGOYAKI Time Ago Year Key」


作・演出:倉田淳


美術/舞台監督:倉本徹
照明:山崎佳代
音響:竹下亮(OFFICE my on)
衣裳:竹内陽子
ヘアメイク:木村真弓、山本仁美
演出助手:宮本紗也加
制作:Studio Life/style office


何年ぶりの再演かな[exclamation&question]
前に観た時は、吉田隆太が百合子先生を演じていたから、それくらい昔である。
今回は、上演時間を短く設定し、コンパクトサイズでの上演となった。一応Wキャストだが、Wになっているのは、博士役だけ。ここに大村浩司を持ってくることが重要だったかもしれない。前回上演(当時の感想はこちら)されたのは、11年前で、当時も博士役は藤原啓児だった。「TAMAGOYAKI」を今後も上演していくため、後任という意味でのWキャストだったのかな[exclamation&question]
(劇団的には、オリジナル脚本を上演する劇団としての地位を固めた作品として、記念碑的なものかもしれないけど、ファン的にはそれほど上演続けてほしい作品でもないな…と思っているのだけど。というのは、いじめとか暴力のアウト度が、昔とは大きく変わってしまっているから。)


ストーリーは、11年前にも記載しているので、今回は、変更点などを中心に。
まず、これまでの「TAMAGOYAKI」は、現在(ぼったくりキャバクラ)⇒タイムマシンで10年前の小学生時代へ⇒タイムマシンで現代に戻り、堅気になってそれなりに生きているところで完…というストーリーだったのが、その前後、つまり、冒頭とラストシーンにそれからさらに10年ほど経過した時代(=現代という設定)を追加し、すべてを時男(仲原裕之)の思い出話にしたところが大きな違いになっている。
現代にいる時男は、最後に、博士が世界一周の旅に出て死んだことや、翔や蟻巣が結婚して子供を設けたことを語る。自身の務める新聞社が倒産したことも。このモノローグで、ドラマはすっかりシリアスなテイストになってしまった。それが、11年前と違う世の中の空気感なのかな…と思った。
まあつまり、11年前の「TAMAGOYAKI」のラストシーン=現代にできない時代の流れが顕著になったのでしょう。そして、主演の仲原には、この"会社が倒産した"エピローグが、実によく似合っていた。まあ、普通なら蛇足と言うべきシーンだと思うけど、そこを力業でしっかりと纏めたのだから、やっぱり、いい役者なんだな、地味だけど…とあらためて感じた。


というわけで出演者感想。
仲原裕之(時男)…主役を演じる力量と、スタジオライフの役者としては圧倒的に地味な個性が同居する稀有な俳優。どんな役を演じていても優しさが滲み出てしまうのが、今回も作品の持つ痛みを和らげていたように思う。ちなみに11年前もWキャストで時男役を演じているんだよね。11年経っても同じ役を演じられる…さすがライフ役者[exclamation]


若林健吾(翔)…11年前は、対人恐怖症みたいな役どころだったが、今回は、人前で話すのが苦手キャラという感じ。ちょっと内弁慶というか。その辺、若林のキャラに合っていたように思う。


宮崎卓真<客演>(蟻巣)…調子いいイケメン役で、11年前は青木隆敏と三上俊が演じていた。三上の意外な好演が今も忘れられなくて、それは、ライフを卒業した三上に当てられるキャラクターのひとつでもあるなーと思っていて、けっこう重要な役だった気がする。
宮崎は、3人並んだ時に、唯一のイケメンであるか…というとちょっと疑問だけど、キャバ嬢に人気が出そうな軽さはうまく出ていたと思う。


千葉健玖(小学生の時男/アップルちゃん)…アップルちゃんのアコギなキャラが、いかにも…だった。女役としてのダンスとお化粧もよかった。時男のやんちゃさは、お手の物だったね。


高橋里央<客演>(小学生の翔)…お弁当箱にお母さんの作った卵焼きを入れていて、それを大人の翔に食べさせるところがポイントなんだけど、可愛かったです[黒ハート]お弁当箱買っちゃったし。


前木健太郎(小学生の蟻巣/パインちゃん)…すっかりライフ役者らしくなったなぁ~[黒ハート]パインちゃんのえげつないキャラもしっかり出せていたし、小学生のノリもバッチリ出ていた。


吉成奨人(真似木/キャバレーの店長)…真似木は、吉成らしい真似木になっていたし、キャバレーの店長は、ここまでベツモノになれるのか[exclamation×2]と驚いた。今回の殊勲賞[ぴかぴか(新しい)]藤原さんと組んだ前説も頑張ってました[黒ハート]


宇佐見輝(百合子先生/レモンちゃん)…素直に百合子先生を演じていて、その作っていない感が恐ろしかった。レモンちゃんは、宇佐見の真骨頂[揺れるハート]


甲津拓平<客演>(堤先生)…しっかりとした大人の男性が堤先生を演じると、すごく現実的な芝居になるな~と、あらためてライフの特殊性を感じる。そして現実的な芝居であっても、普通に繋がる宇佐見って…[あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)]天才か[exclamation&question]百合子先生が亡くなった後の堤先生の悲しみ、何度見ても泣けました[たらーっ(汗)]


藤原啓児/大村浩司(博士)…博士といえば、藤原さん[exclamation]というくらいピッタリ。もはやアドリブなのか、地なのか、役なのか、セリフなのか、そんなのどうでもいいという感じ。
大村の博士は、藤原を観てしまうと、「演じている」感が強く、それは当然なのに、なにか分が悪く感じてしまう。ライフあるある、かもしれない。


真似木を苛め抜いた過去が、現在の三人の心を歪めている。
タイムマシンで過去に行き、その場面に遭遇した三人は、小学生時代の自分達を止めようと必死になる。そして、真似木がオルガンを弾けることがわかり、一同は、百合子先生に教えてもらった「故郷を離るる歌」を歌い、一緒に帰り、翔の母親の作った卵焼きを食べることになる。歴史は塗り替わり、博士との交流は続き、それもまた、夢の彼方に過ぎ去る。
それは、河内さんを失ったスタジオライフが、もう、かつての「TAMAGOYAKI」を上演できない…ということなのかな、なんて思ってみたり。


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