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「ダブル・トラブル」初日観劇! [┣ミュージカル・音楽劇]

ミュージカル
「ダブル・トラブル」


脚本・作詞・作曲:ボブ・ウォルトン&ジム・ウォルトン
翻訳・訳詞:高橋亜子
演出:ウォーリー木下
音楽監督:落合崇史、大塚茜
振付:TETSUHARU
タップ振付:本間憲一


美術:石原敬
照明:奥野友康
音響:清水麻理子
衣裳:前田文子
ヘアメイク:鎌田直樹
演出助手:高野玲、相原雪月花
舞台監督:清水浩志、小澤久明
舞台製作:クリエイティブアートスィンク 加賀谷吉之輔


版権コーディネート:東宝ミュージック
制作:竹葉有紀、佐藤雄二、堀田淳之輔、山本涼子
制作デスク:今井実春
アシスタントプロデューサー:七字紗衣
プロデューサー:江口剛史
主催/企画・製作:シーエイティプロデュース


GW前に緊急事態宣言が出て、また、東京の舞台が中止と決まった。
その時、「志木なら東京じゃないから、上演できるのでは[exclamation&question]」と、観劇友が言った。そして、それからの行動は驚くほど速かった。
歩いて1分のローチケHIBIYA TICKET BOXに行き、チケットを入手。入手してから、志木への乗換案内を調べた。と…遠いっすね。池袋から東武東上線で20分くらい。千葉県民としては、埼玉県は特に遠いと感じる。志木駅で待ち合わせをして、歩いて劇場へ。
珍しく、晴天。
開幕前の当人たちのMCによると、典型的な雨男の太田基裕に対し、原田優一氏は、超晴男とのこと。原田さんの勝ちってことね[るんるん]


あまり下調べをしていなかったので、男性二人だけで演じる二人ミュージカルだと思っていたら…男性二人がたくさんの人物(女性を含む)を演じるドタバタミュージカル(必要に応じて顔を隠した影出演あり)だった[exclamation]
主な役は、ブロードウェイからハリウッドに招かれた、音楽家兄弟。兄が曲を書いて弟が詞を書く。そこへ、ハリウッドの一癖も二癖もある登場人物が入れ替わり立ち替わりやってくる。それらの登場人物を、原田と太田が衣裳や髪形まで含めて早変わりで演じていく。


これは楽しい[黒ハート]
やっている方は大変だと思うけど。もっくんも原田さんも汗びっしょり。
笑って、笑って、盛り上がって、あっという間の舞台だった。
そして、原田優一という、ミュージカル俳優のものすごさに言葉を失った。この方、神ですか[exclamation&question]
初めて、もっくんの存在に気づいた時、(2016年の「ジャージー・ボーイズ」)こんなに顔が綺麗で、歌も上手くて、芝居センスのある人が存在するんだ[exclamation×2]と思ったのだが、上には上がいるもんですね。比べるものじゃないけど。
初めて、本当に舞台で、ノンストップ(休憩はあります)で演じてみて、もうフラフラ状態のもっくんの隣で、自分をコントロールしている原田さんがいる。それが衝撃だった。さすが、芸歴30年。


ここを皮切りに、東京公演は、紀伊國屋サザンシアターとよみうり大手町ホールで上演されることになっているが、どうか、1公演でも多く上演機会がありますように…と祈っている。
(詳細報告は、別記事で)


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ミュージカル「モーツァルト!」観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

ミュージカル
「モーツァルト!」


脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
オリジナル・プロダクション:ウィーン劇場協会


演出・訳詞:小池修一郎(宝塚歌劇団)


音楽監督:甲斐正人
振付:前田清実
歌唱指導:山口正義、やまぐちあきこ
美術:松井るみ
照明:笠原俊幸
衣裳:有村 淳(宝塚歌劇団)
ヘアメイク:宮内宏明
ウィッグ製作:スタジオAD
音響:大坪正仁
映像:奥 秀太郎
舞台監督:廣田 進、菅田幸夫
演出助手:小川美也子、末永陽一
指揮:甲斐正人、宇賀神典子
オーケストラ:東宝ミュージック、ダット・ミュージック
稽古ピアノ:國井雅美、石川花蓮
翻訳協力:萬代倫子
プロダクション・コーディネイター:小熊節子
制作:廣木由美
アシスタント・プロデューサー:江尻礼次朗
プロデューサー:岡本義次、服部優希


後援:オーストリア大使館、オーストリア文化フォーラム


製作:東宝


かなり久しぶりに、「モーツァルト!」を観劇した。
人気ミュージカルなので、抽選に外れることが多かったのだが、この状況下で、当選確率がめちゃくちゃ上がっており、人気の「モーツァルト!」も、当選できた。おそらく、遠征してまで観劇する人々が減っているのだと思う。個人としては嬉しいが、今後の業界を考えると、胸が苦しい。


久々の「モーツァルト!」は、山崎育三郎のモーツァルト、涼風真世のヴァルトシュテッテン男爵夫人というキャストでの観劇。アマデ役は、設楽乃愛ちゃん。
山崎モーツァルト、前に観たこと、あったっけな…[exclamation&question]
確実な記録はないのだが、なんか、初めてではないような気がする…。もしかしたら、映像で観たのかな[exclamation&question]
過去の記憶はないが、今回の山崎モーツァルト、とってもよかった[黒ハート]誰もが知る、抜群の歌唱力に加え、ナイーブさが際立つ内面描写に、ぐいぐいと引き込まれた。
ナンネールは、初めて観る和音美桜なんて、ピッタリの役者を観つけてきたのかしら[るんるん]と思った。この役は、ずっと、高橋由美子が演じてきたが、花總まりを経て、3年前から和音へ。花總のナンネールは、ヒロインっぽさが半端なく、このキャラには合わないのでは…[exclamation&question]というイメージが強かった。花總が6年間トップ娘役として君臨する宙組で、実力が認められているのに、なかなか場が与えられなかった和音というイメージがあるせいかもしれないが、ヴォルフガングというスターの影に隠れるナンネールというキャラの、忍耐強い生き方に、すごく共感できた。もちろん、和音の演技力、歌唱力あればこそのことで、決して日陰が似合う女優なんていうことではないので、その辺は、お間違いなく。
コンスは、今回単独ヒロインで、木下晴香。いや、もう、可愛いし、歌うまいし、観てるだけで幸せになれる。ここ数年は、大きなミュージカルのヒロイン、総ナメが続くんじゃないかな~。玲奈ちゃんや、ソニンちゃんが大人の女優枠にキャスティングされるようになってきたし、昆ちゃんも、そろそろ大人枠のお年頃だし。晴香ちゃんが出るということは、チケットを取るモチベにもなっております。
パパ役の市村正親、コロレド大司教役の山口祐一郎は、変わらぬ怪演を見せてくれた。特に、絶倫コロレド大司教は、さらにヤバさが増していて、あきれるほどかっこよかった[黒ハート]
ヴァルトシュテッテン男爵夫人・涼風も、長年観ているが、化け物感が出ていて、ステキさがさらに増している。旬の役者が輝きを見せる、ヴォルフガングとコンスタンツェに比し、周囲の役者陣は、出られる限りは変えずに、世界観を守り、18世紀ウィーンの爛熟と退廃までも表現しようとする、小池修一郎マジックに、あてられてしまった、3時間だった。
アマデ(才能)の持つペンで心臓を突いて死ぬモーツァルト。35歳の若さで、才能のすべてを使い果たし、それも、ただ仕事(生活の手段)として…というよりは、本能的に音楽を求めるあまり…という彼の激しさが、全身から伝わるような、山崎のモーツァルト。久々の観劇、大満足だった。
あと、95期生の彩花まりが、コンスタンツェの姉、アロイジアなどを演じていて、美しい歌声に、がんばってるなぁ~と、ほっこりした。


貸切公演だったので、スペシャルカーテンコール。アマデちゃんの、可愛い声も聞けて満足。アマデを抱き上げる育三郎くんの安定した姿に、劇中は感じなかった「さすがパパ」感があって、好感度もうなぎ上り。


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ミュージカル「薄桜鬼」観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

ミュージカル
「薄桜鬼 真改」相馬主計篇


原作:オトメイト(アイディアファクトリー・デザインファクトリー)
演出・脚本・作詞:西田大輔
音楽:坂部剛
殺陣:六本木康弘
振付:MAMORU
舞台監督:久保健一郎
美術:秋山光洋
照明:鶴田美鈴
音響:ヨシモトシンヤ
衣裳:八重樫伸登
ヘアメイク:海野由香
歌唱指導:Yuko
音楽助手:戸部百合亜
演出助手:新早由季
トレーナー:伊藤洋
フォトグラファー:TOBI
宣伝・グッズデザイン:羽尾万里子
制作進行:杉田智彦


9年ぶりの「薄桜鬼」観劇。薄ミュ初演を観た感想はこちら
まだ、2.5次元舞台という認識を私は持っていなかったが、ゲームとかアニメに登場するような人がちゃんと3Dで存在しているんだなーと、正しく理解していたようだ。
あの時、ちょっと歌がアレやなぁ~以上の感想を持たなかった松田凌くんを、ステキだな~と思うようになるのだから、9年という歳月は、偉大である。(もちろん、その間の努力ありきだと思うけれど…)


タイトルについた「真改」は、もとになるゲームのシリーズが「薄桜鬼 真改」ということのようですね。ただ、物語の最後に登場する刀が「真改」(江戸時代の刀工、井上真改の刀。晩年作の刀にこの銘があるらしい)だったので、その辺からタイトルが出ているのかも。ゲームやらないから、わからないけど。


今回の主人公、相馬主計(そうま・かずえ)。普通に読めちゃったんだけど、どうして読めたのかな[exclamation&question]と考えて、あ…と気づいた。2016年の大河ドラマ「真田丸」で、新井浩文演じる加藤清正が、「主計頭」に任じられて、嬉しそうに「かとうかずえのかみ」と言っていたからだった…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]
相馬主計は、新選組最後の局長として歴史に名を残している。


さて、今回の舞台、いろいろあって、私が観た日が、「初日」となった。本当は初日を取ったわけではなかったのだけど。で、開演時間が早まったので、時間休を取って、新宿御苑の桜を観てから、参戦した。
えーと、えーと、変若水(おちみず)は、いつ出てくるのかな[exclamation&question]
なかなか、変若水が出てこなくて、だんだん不安になってしまった(笑)が、以前に比べて、変若水を使ってでも…みたいな部分が、矮小化しているのかな。まあ、この作品、鬼も羅刹(変若水で変化した人間)も出てくるから、敵が多くてバタバタして見えるんだよね。と、思っていたら、主人公が羅刹化してしまった…[あせあせ(飛び散る汗)]


一方、ヒロイン、雪村千鶴(松崎莉沙)は、今回、相馬主計(梅津瑞樹)と結ばれるシーンがあって、おお、これは…[exclamation×2]と思った。
千鶴は、ずっと男装して、新選組で働いているのだが、新しく入隊した相馬や野村(園村将司)が後輩として、千鶴につくことになる。まるで、オスカルに仕えるアンドレみたいな感じで。
宝塚でもよくやる、男性が女性のてのひらにキスするようなポーズ、今回の公演で初めて、エロいな~[キスマーク]と思った。このご時世だし、2.5なので、それ以上のラブシーンにはならないのだが、とても綺麗なシーンになっていた。


相馬はちょっと変わったキャラクターで、最初は新選組と刀を交える立場にいたものの、ある日、真の武士は新選組にしかいないと言い出して入隊してくる。武士であることへのこだわりが強い。
そんな相馬が、近藤(井俣太良)の刑死に立ち合い、「井上真改」を土方に渡してくれと頼まれて北へ向かい、土方(久保田秀敏)の死後、最後の新選組局長となった姿が描かれ、新選組ものの舞台作品の中でも、珍しいストーリーだなーと思った。


そんな相馬の前に立ちふさがるのが、相変わらずの、風間千景(鈴木勝吾)だったり、新選組から脱退して敵方となる三木三郎(砂川脩弥)だったり。
今、あっさり、「相変わらずの、風間千景」と書いたが、実は、鈴木が風間千景を演じるのは、5年ぶりとのこと。私が、最初に観た9年前の風間も鈴木だった。その頃は、「シンケンジャー」の谷千明なんか全然知らなくて、だから、遅まきながら「シンケンジャー」にハマった私が、今の鈴木で観る風間千景っていうのが、すごく特別感があって、幸せな時間だった。(完全に個人の感想です。さらに個人の感想を書かせてもらうと、風間は土方と剣を交えるシーンも多く、土方役の久保田秀敏とバチバチ視線を交わしているのだが、夏になれば、この二人が兄弟になるんだなー、なんてことも思いながらニマニマしていた。)
この公演、本当は昨年上演予定だったのが中止になっていて、もし予定通りだったら、風間役は、佐々木喜英だったらしい。3月末まで「舞台刀剣乱舞天伝」に出ていたから、そりゃ無理よね。コロナ禍の中止が、この縁を生んだのだなーと思うと感慨深い。


後半の展開があれよあれよと進んでいき、切なさMAXの内容だったが、久しぶりの「薄桜鬼」を堪能することができた。
もともとのゲームをやっていない状態で、何年かに一度観劇するだけでは、本作の複雑な展開についていけない部分も多いのだが、新選組ものは好きなので、出演者次第で、また観たいな~と思っている。


相馬主計:梅津瑞樹、雪村千鶴:松崎莉沙
土方歳三:久保田秀敏、沖田総司:菊池修司、斎藤一:大海将一郎、
藤堂平助:樋口裕太、原田左之助:川口将大、永倉新八:小池亮介
山南敬助:輝馬、山崎烝:椎名鯛造
三木三郎:砂川脩弥、野村利三郎:園村将司
近藤勇:井俣太良
天霧九寿:横山真史、不知火匡:末野卓磨
雪村綱道:川本裕之
風間千景:鈴木勝吾


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ブロードウェイ・ミュージカル「THE PROM」観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

ブロードウェイ・ミュージカル
「The PROM」
Produced by 地球ゴージャス


日本版脚本・訳詞・演出:岸谷五朗
演出補:寺脇康文、寺﨑秀臣
音楽監督:福井小百合
訳詞:長島 祥
美術:石原 敬(BLANk R&D)
音響:武田安記(エス・シー・アライアンス)
照明:日下靖順
映像:石田 肇
電飾:小田桐秀一(イルミカ東京)
衣裳:十川ヒロコ
ヘアメイク:宮内宏明
振付:藤林美沙、三井 聡
音楽制作:カンパニーAZA
演出助手:森田香菜子
舞台監督:藤井伸彦
宣伝美術:中野淳仁
宣伝写真:角田修一
宣伝映像:石田 肇
宣伝:柴崎公毅、蛭子野裕也、村田健太朗、株式会社ディップス・プラネット
票券:インタースペース
営業:木田波子
マーチャンダイジング:中川美紀、船曵真奈
監修:森永貴彦(LGBT総合研究所)
制作:伊藤宏実、山浦依里子、福島美咲、齊藤有佳、秋葉真央
アシスタントプロデューサー:松本有希子
プロデューサー:多田里奈
エグゼクティブプロデューサー:小見太佳子
後援:WOWOW
特別協賛:大和ハウス工業株式会社
企画・製作:株式会社アミューズ


インディアナ州の高校に通うエマ(葵わかな)は、レズビアンであることをカミングアウトしている。校内に彼女がいるのだが、相手は、エマとの交際を周囲に隠している。エマは、ハイスクールの卒業前のパーティー、“PROM”に彼女と一緒に参加して、二人の交際をオープンにしたい。でも、おかたいPTAのせいでPROMが中止になってしまって悲しい…そんな思いをSNSに投稿した。
その頃ブロードウェイでは、初日のパーティが開かれていた。が、恒例の劇評の早刷りが届けられると、その酷評に、パーティ客は次々に消えていった。D.D.アレン(大黒摩季・草刈民代・保坂知寿)、バリー・グリックマン(岸谷五朗)の主演コンビは、荒れまくり、万年アンサンブルのアンジー(霧矢大夢)、脇役俳優のトレント・オリバー(寺脇康文)以外誰もいなくなった会場で、起死回生の手段を考え始める。
自分たち有名人が、一般の人の夢を叶えることで、好印象とビジネスチャンスを[exclamation×2]という、あさましいアイデアの犠牲になったのが、エマだった。頼んでいないのに、エマの住むインディアナ州に押しかけ、学校とPTAを相手に空回りするメンバー。
D.D.アレンは、自分のファンだという校長先生(佐賀龍彦/TAKE)を切り崩しにかかり、アンジーは、万年アンサンブルの「諦めない心」をエマに教え込み、とうとう、PROMが開催されることになるが、なんと、当日、エマ以外の全員が、別会場で開催されたパーティーに参加し、PROMの会場でエマは一人ぼっちになってしまう…という最悪の結果に…。
傷ついたエマは立ち直れるのか、母親の力に屈したエマの恋人アリッサ(三吉彩花)は、母(藤林美沙)を乗り越えて愛を貫くことができるのか…[exclamation&question]


ブロードウェイからやってきた4人のスターとシェルドン(小浦一優)は、ほぼほぼ、邪魔なことしかしていないのだが、そのめちゃくちゃなところが、エマを元気づけ、アリッサに勇気を与える。
保坂さんと、きりやん(霧矢)の確かな実力に裏打ちされた、D.D.アレンとアンジーのものすごいプラス思考の前に、コロナ禍さえ、消し飛んでしまうような、そんな気がするほど。
エマは、騙されて一人ぼっちになってしまう、PROMの場面では、少女らしいドレスを着て行くのだが、最後の、大団円のパーティーでは、ファンシー・タキシード(色物のタキシード)で参加する。エマ役のより、パーティードレスを着たアリッサ役の三吉の方が、かなり背が高いのだが、自分の着たいものを着て、自分の好きな人を好きだと言う、「いちばん大事なこと」を表現するためには、宝塚みたいに男性のかっこうをしている方が長身みたいな、ステレオタイプにならない方が、伝わるんだな~と思った。
ダブダブのタキシード姿のわかなちゃん、可愛かったです[黒ハート]


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ブロードウェイ・オリジナルミュージカル「BARNUM」観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

ブロードウェイ・オリジナルミュージカル
「BARNUM」


翻訳・訳詞:高橋亜子 
演出:荻田浩一 
音楽監督:荻野清子


振付:木下菜津子、松田尚子  
美術:乘峯雅寛
衣裳:木鋪ミヤコ(doldol dolani)  
衣裳製作:大屋博美(doldol dolani)
ヘアメイク:田中エミ  
照明:奥野友康  
音響:原田耕児
映像:新倉和幸、九頭竜ちあき  
映像協力:ウォーリー木下
歌唱指導:満田恵子  
稽古ピアノ:中原裕章
演出助手:坂本聖子  
舞台監督:弘中 勲
宣伝:エイベックス・エンタテインメント  
票券:インタースペース
版権コーディネート:東宝ミュージック
特別協力:木下サーカス
企画:シーエイティプロデュース


映画「グレイテスト・ショーマン」のモデルにもなったフィニアス・テイラー・バーナムの一代記をミュージカル化した作品。日本版は、今回が初演。感染症対策もあり、出演者を絞り、サーカスシーンは映像を駆使して上演。


バーナム(加藤和樹)は興行師だが、当時の興行は「見世物」なので、興行師は、つまり、詐欺師に近い。世界最高齢160歳の女性(中尾ミエ)を歌わせるとか、まあ、天性の嘘つきなのかもしれない。
妻のチャイリー(朝夏まなと)は、夫をとても愛しているけれど、夫が嘘をついてお金を稼いでいることには、心の葛藤がある。バーナムは、妻をとても愛しているけれど、スウェーデン人歌手、ジェニー・リンド(フランク莉奈/綿引さやか)との熱愛事件なども起こしたりするし、妻の望むような、「まじめでまっとうな仕事」にまったく興味が持てない、ワクワク大好きな性格の人物だった。
そんな、愛すべきザンネン男、バーナムの半生を描いたミュージカルが、本作。


加藤和樹が可愛い。そして、その妻を演じた朝夏が、すごくいい。特に、晩年の、少し体が弱くなった頃の、夫に向ける柔らかな眼差しが、女優としての円熟を感じる出来だった。
半年前には、アン王女とジョー・ブラッドレーだった二人なのにね。


160歳のジョイス役を演じた中尾は、その他の場面でブルースシンガー役も務めているが、さすがの歌唱だった。本当に素晴らしくて、胸が震えた。ジェニー役は、私はフランク莉奈で観劇したが、こちらも美声。


ストーリーテラーのリングマスター役は、藤岡正明がキャスティングされていたが、降板。どうなることかと思ったが、矢田悠祐がトム・サム(小人)役などと一緒に引き受け、見事に2番手役をこなした。今後が楽しみ。


興行ものっていうと、10年以上前に観た「サイド・ショウ」というミュージカルがすごくステキで、どうしてもあれと比べてしまう。そういう意味では、私の好みとしては、「サイド・ショウ」の方だったりするのだが、あれ、また再演してくれないかなぁ[exclamation&question]


経理担当者としては、歌詞に「バランスシート」が出てきたのが嬉しかった。「プロデューサーズ」の貸方・借方はなくなってしまったけど、まさかの「BARNUM」にバランスシート…[ハートたち(複数ハート)]


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「マリー・アントワネット」観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

ミュージカル
「マリー・アントワネット」


脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
演出:ロバート・ヨハンソン
(遠藤周作原作「王妃マリー・アントワネット」より )


翻訳・訳詞:竜 真知子
音楽監督:甲斐正人
振付:ジェイミー・マクダニエル
演出補:末永陽一
歌唱指導:林 アキラ、やまぐちあきこ
美術コンセプト:Robert Johanson、Michael Schweikardt
美術:松井るみ
照明:高見和義
音響:山本浩一
衣裳:生澤美子
ヘアメイク:野澤幸雄(スタジオAD)
映像:奥 秀太郎
振付助手:青山航士
指揮:塩田明弘
オーケストラ:東宝ミュージック、ダット・ミュージック
音楽監督助手:宇賀神典子
稽古ピアノ:國井雅美、中條純子、石川花蓮
舞台監督:廣田 進
制作助手:廣木由美、土器屋利行
プロダクション・コーディネーター:小熊節子
プロデューサー:岡本義次、田中利尚
宣伝美術:服部浩臣
宣伝写真:平岩 享、田内峻平
ウィッグ製作協力:アデランス
製作:東宝


知人のお誘いで観劇。前回公演も観ていたので、今回はパスするところだったが、おかげであらためて、このミュージカルをかみしめることができた。
前回の観劇から、2年と少し。出演者は、そんなに変わっていない…と思う。(うろ覚え…)
フェルセン伯爵役は、Wキャストの一人が古川雄大⇒甲斐翔真となっている。ゆんは、「モーツァルト!」の稽古とかぶる…ということなのだろう。


Wキャストのうち、私が観劇したキャストは下記の通り。
マリー・アントワネット…笹本玲奈
マルグリット・アルノー…ソニン
フェルセン伯爵…甲斐翔真
オルレアン公…小野田龍之介
エベール…川口竜也


革命の数年前から物語は始まる。マリー・アントワネット(花總まり/笹本玲奈)やフェルセン伯爵(田代万里生/甲斐翔真)も姿を見せるオルレアン公(上原理生/小野田龍之介)の夜会。そこに、一人の汚い身なりの平民の娘、マルグリット・アルノー(ソニン/昆夏美)が乱入してくる。彼女の激しい怒りの理由を、アントワネットは理解できない。慈悲を示してやろうとして、逆ギレされる。(結局、パンを大量に持っていかれる。)
一方、ロアン大司教(中山昇)に対しては、徹底的に冷淡なアントワネット。
第1幕は、首飾り事件の顛末を中心に、王妃が憎まれていく過程が描かれる。
ロアン大司教と、ラ・モット夫人(家塚敦子)を巻き込んで、オルレアン公やエベール(上山竜治/川口竜也)が民衆を煽る。マルグリットも、女たちのリーダー的な存在として、エベールらに利用されるが、この時のちょっとした機転が、第2幕で生きる。
第2幕は、革命から悲劇の目白押し…そんな中、アントワネット付の侍女になって彼女を監視しているマルグリットは、自分の知っている子守唄をアントワネットが歌っていることから、自分の出自に気づく。彼女の父親は、アントワネットの父である神聖ローマ皇帝フランツ1世だったのだ。
(私は、子供の頃、テレビアニメ「ラ・セーヌの星」を見て、アントワネットの妹がフランス人のはずがない[exclamation]と、ひどく腹を立てた思い出があるが、フランスとオーストリアは地続きなので、生まれた地方によっては、そういうこともあり得るのか…と、今頃腹に落ちた。)
国王の死後、王妃の裁判の中で、マルグリットは、かつてオルレアン公がエベールのために書いた一筆を利用して、彼らに一矢報いることに成功するなど、ちょっとだけ溜飲を下げる場面もあるものの、アントワネットは処刑され、悲劇は完成する。
そんな中、前半は、アントワネットに取り入り、栄耀栄華、後半は、いい感じに亡命していく、レオナール(駒田一)とローズ・ベルタン(彩吹真央)は、この時代を軽やかに駆け抜けていく。“レミゼ”におけるテナルディエ夫妻みたいなところがある役だな…と思う。現実は、因果応報というものではなく、ずる賢い人々が、うまく世間を渡り歩いていく。


プロローグは、アントワネットの死を知らされたフェルセン伯爵の独白からのソロなのだが、甲斐の歌には、ほとんどドラマを感じることがなく、え…ここ、歌えばいい場面じゃないよね[exclamation&question]と思ったのだが、それは、マリー・アントワネットの人生を知りすぎているベルばら世代だからこその感想だろうか。
それとも、プロローグなので、あえて抑え目にしたのかな。
アントワネット処刑の報に接したフェルセン伯爵の歌なので、深い悲しみと後悔に満ちた歌になるはずだし、2年前の田代や古川からはそれを十分感じたのだが…。なんだか、気になる場面だった。


知りすぎている話だからこそ、途中からどんどんつらくなる。アントワネットを最後まで見捨てないランバル公爵夫人(彩乃かなみ)の最期とか…まじ、つらすぎる…[もうやだ~(悲しい顔)]
そんな中、「市民の女たちがみんなバカ」みたいな演出は、やだな~、と感じた。パリからベルサイユへ女たちの行軍(ベルサイユ行進)、という場面は、本作でも取り上げられているが、それも男性の発案ということになっていたり、女たちは毎日生きていくのに必死で政治的なことは考えない風だったり。
革命期に活躍した有名な女性も多いというのに、そして、フランス革命好きな女性が多いというのに、男性がすべてを支配し、女性は何も考えていない設定は、微妙に腹が立つ。それゆえに、マルグリットの聡明さが際立つという風にしたいのかもしれないが、彼女の出自(実はフランツ1世の娘)を考えると、庶民の女は人間じゃない…[爆弾]とも受け取れる。
「人権宣言」以降、フランスで女性の権利が認められない時代が長く続いたことは事実だが、革命初期は、そんなことはなかったはず。その辺が、残念。


笹本玲奈のアントワネットは、2年前の庶民派な雰囲気から、女王の貫録が出た…というか、やっぱり、ワッカのドレスって、馴染むと強いよね、と思う。妻として、母として、恋する女として…そしてなにより女王として、美しく、気高く、素敵でした[黒ハート]
ソニンのマルグリットは、まさに革命の申し子[exclamation×2]という感じなのだが、そろぞろ卒業(違うステージに向かう時期)かな。あまり色がついてもね…。マルグリットがアントワネットに向ける複雑な感情、オルレアン公やエベールに向ける辛辣な言葉、小さな体からシアターオーブ全体を揺るがす熱い歌声、やっぱり、ソニンはすごい[ぴかぴか(新しい)]
原田優一演じるルイ16世が、人として本当に素晴らしい…んだけど、国王としては、難局を乗り切れるタイプではなかったんだなーというのが、本当に気の毒で…。もし平時だったら、その人徳で、フランス全土から尊敬される国王になったと思うのだけど…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]なーんてことまで、考えさせる深い国王様でした。


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「ポーの一族」観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

ミュージカル・ゴシック
「ポーの一族」


原作:萩尾望都『ポーの一族』(小学館「フラワーコミックス」刊)


脚本・演出:小池修一郎(宝塚歌劇団)


作曲・音楽監督:太田健(宝塚歌劇団)
美術:松井るみ
照明:笠原俊幸
音響:大坪正仁
衣裳:生澤美子
ヘアメイク:岡田智江(スタジオAD)
映像:九頭竜ちあき
サウンドプログラマー:上田秀夫
振付:桜木涼介、KAORIalive、新海絵理子
アクション:諸鍛冶裕太
歌唱指導:西野誠、堂ノ脇恭子
演出助手:長町多寿子
技術監督:小林清隆
舞台監督:徳永泰子


音楽監督補:竹内聡
音響補:東山あつ子
美術助手:平山正太郎
映像助手:藤本明日香(SIKAKU Inc.)
振付助手:橋本由希子
稽古ピアノ:太田裕子、宇賀村直佳、松永祐未子


Special Thanks:鳳真由、章平、高岸直樹、國井雅美、中條純子、境田桃子、野口彰子、石川花蓮、中野裕子、Die-co☆


主催(大阪・東京公演):梅田芸術劇場
  (愛知公演):御園座、中日新聞社


協力:宝塚歌劇団


企画・制作:梅田芸術劇場


宝塚在団中に演じた公演を、退団後に外部で男性キャストと共に再び作る。
一路真輝の「エリザベート」、安蘭けいの「王家に捧ぐ歌」、早霧せいなの「るろうに剣心」…そして、明日海りおの「ポーの一族」[exclamation×2]
男性キャストが混ざった状態でも、男役は、男性として存在し得る。それは、「るろうに剣心」で証明された。過去、一路真輝は、トートからエリザベートに役を変えた。安蘭けいは、女役としての当たり役だった。少しずつ、男役が「宝塚だけのもの」から、もっと広い存在になり始めている。
なにやら、楽しい。


 今回の「ポーの一族」も、「るろうに剣心」と同じく、基本、宝塚で上演された作品を、脚本や楽曲をほとんど変えずに上演している。「るろうに剣心」の方は、その後、「京都編」として小池徹平を主演に展開される予定だった(コロナ下で上演を断念)から、「ポーの一族」も続編を見越しての、お試し上演かもしれない。
キャストは次の通り。( )内は、宝塚花組上演時のキャスト。


エドガー・ポーツネル…明日海りお(明日海りお)
アラン・トワイライト…千葉雄大(柚香光)
フランク・ポーツネル男爵…小西遼生(瀬戸かずや)
ジャン・クリフォード…中村橋之助(鳳月杏)
シーラ・ポーツネル男爵夫人…夢咲ねね(仙名彩世)
メリーベル…綺咲愛里(華優希)
大老ポー…福井晶一※(一樹千尋)※ほかにオルコット大佐(羽立光来)
老ハンナ…涼風真世※(高翔みず希)※ほかにブラヴァツキー(芽吹幸奈)


ジェイン…能條愛未※(桜咲彩花)※ほかにマルグリット・ヘッセン(華雅りりか)
レイチェル…純矢ちとせ(花野じゅりあ)
ハロルド…鍛冶直人(天真みちる)


キャストが変わると、全体のテイストが大きく変わる。
特に、シーラとメリーベルは、宝塚出身の女優を起用しているから、その違いが歴然としていた。
女性が男役を演じるから、娘役は、より、美しく、可愛らしくなければならないのだと思っていたが、「ポーの一族」に関しては、男性が半分混じることで、全体としての美が減じてしまう。だから、その分、「美」を体現するキャラクターは、過剰なまでに「美」でなくてはならない…んだな~と、夢咲綺咲を見ていて思った。
(仙名と華は、透明感のある儚げな美貌で、それが宝塚の娘役らしい引き算の美であり、男役の圧倒的な美貌をプラスすることで世界観が完成する。)


初演から3年経っても、明日海の美しさ、圧倒的なオーラは変わることがなく、本当に歳を取らないバンパネラなんじゃないかと不安になるほど…[あせあせ(飛び散る汗)]
一方、アラン役の千葉は、ああ見えて、30超えてるとか…こちらもバンパネラ気質らしい。明日海を前に、同じ枠の中で勝負できるって…よくぞアラン役になってくださいました[exclamation×2][exclamation×2][exclamation×2]そういえば、二人とも、光源氏を演じていますものね…[ハートたち(複数ハート)]
ポーツネル男爵の小西は、さすが、ノブママ(@戦国鍋TV)だけあって、美しさは折り紙付き。本物の男性の骨太な存在感に美貌がプラスされて、圧倒された。
クリフォード役の橋之助は、宝塚の鳳月とは全然違うアプローチ。キャラクター的に、真面目さが際立っていた。梨園の方々、続々ミュージカルに挑戦していて、探求心旺盛だなぁ~と思う。頑張れ~[exclamation×2]
涼風に関しては、かつて小池先生に「人間アニメ演技」と言わしめ、昔妖精、今妖怪と自称する彼女ならではの怪演[exclamation×2]ブラヴァツキーの存在感には、ぞーっとするほどだった。
純矢は、メロドラマのヒロインだったなぁ~[るんるん]彼女を主役にサイドストーリーが作れそう[揺れるハート]ハロルド役の鍛冶が、またまた濃ゆい役作りで…[わーい(嬉しい顔)]


ところで、鍛冶さん(「まさに世界の終わり」でゆうひさんと共演!)、プログラムのコメントで、「初ミュージカル」と書かれていますが…「BACK BEAT」はミュージカルじゃなかったのでしょうか[exclamation&question]「まさに…」で演出を担当された石丸さち子さんによく起用されていて、今回の「キオスク」にはいないなぁ…と思っていたら、まさかのここにいた[exclamation×2][わーい(嬉しい顔)]


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ミュージカル「パレード」観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

ミュージカル
「パレード」


作:アルフレッド・ウーリー
作詞・作曲:ジェイソン・ロバート・ブラウン
共同構想及びブロードウェイ版演出:ハロルド・プリンス
演出:森新太郎


翻訳:常田景子
訳詞:高橋亜子
振付:森山開次
音楽監督:前嶋康明


初演の時、この作品は、リピートはとてもできないけど、たぶん再演されたら、観に行っちゃうだろうな…という感想を持ったが、その通り、再演を観に来てしまいました。


この物語は、おそろしいことに「実話」である。
1913年、アメリカ南部のジョージア州アトランタ。宝塚ファンには、[るんるん]アトランタ、アトランタ、ランランララランラン[るんるん]でおなじみの南部最大の都市。
メモリアル・デイ(戦没者追悼記念日)から物語は始まる。この日、南部の人々は仕事を休み、パレードに参加する。しかし、工場長のレオ・フランク(石丸幹二)は、今日も出勤する。北部出身のユダヤである彼には、南軍は負けたのに、その事実を認めずに、まるで戦勝記念日のようにパレードをする人々が理解できなかった。
レオは、この土地で浮いていて、人々から理解されず、彼も人々を理解しようとしなかった。
彼が、工場長という仕事を受けたのは、高い給料と、妻のルシール(堀内敬子)が南部出身という二つの理由だった。妻は、レオにも南部の風習を理解してほしいと願っていたが、それは難しかった。
メモリアル・デイの翌日、工場で働いていた13歳のメアリ・フェイガン(熊谷彩春)という少女が死体で発見された。
そして、事件から数日、なんの関係もないレオが犯人として逮捕されてしまう。裁判では、死刑判決。夫の無実を信じる妻は、南部女性の強さを発揮、州知事(岡本健一)を動かして、夫の減刑を勝ち取る。
しかし、移送先の刑務所からレオは拉致され、リンチを受け、殺害されてしまう。犯人は捕まらず、アトランタは、再び、メモリアル・デイの歓声に包まれる。


えぐいでしょ[exclamation&question]
えぐいですよね[exclamation&question]
再演されたら行っちゃうだろうな~という、出演者と演出の魅力はすごいのだけど、リピートできるメンタルを維持するのが難しい…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]しかも、作り話じゃなくて、実話なので。
無実の罪で惨たらしく私刑で処刑されるーこんな酷い話が実話…しかも20世紀の出来事だというのだから。

さて、今回の舞台より、黒人メイクを廃し、黒人役の出演者は、黒いニットのストールを捩って首元に垂らしている。この作品は、その登場人物が黒人かどうか…がものすごく大事なので、一瞬でそれがわかるアイテムというのが、どうしても必要になる。ただ、ブラックフェイス問題が世界的な話題になる中、黒人メイクを是とするわけにもいかない。
苦肉の策という感じだが、それと知って観れば、理解は可能だと思った。私は、観劇前にツイッターでその情報を知ったのだが、知らなかったら気づかなかったかもしれない。
今後とも、日本で上演される、特に米国産の物語が、この点をどう扱っていくのか、見守っていきたい。


メインの登場人物は意外に多く、それぞれ、違った考えを持っているのだが、森新太郎の演出手腕により、感覚で理解できる。個人の考えが、場の空気に支配され、圧殺されていくさまを観るのは、胸が苦しい。
南北戦争が終わって50年後のアトランタには、やっぱり、無学の黒人が多く働いていて、子供でも働かなくてはならないプアホワイトがたくさんいて、殺人事件が起きると、まず最初にそんな人々が疑われるようなことが日常化しているんだな…[ふらふら]
そんな彼らの前に、新たなスケープゴートとして登場したのが、「よそ者のユダヤ人」だ。
南部におけるユダヤ人の人口は、人口1000人中、多くて15人。しかも、そのほとんどが北部からの転入者であり、比較的裕福だった。さらに工場長という責任あるポジションにあり、さらに、南部の文化(メモリアル・デイなど)に関心を示さないとあれば…敵視されるのは、火を見るよりも明らかだ。
妻のルシールは、数少ない南部育ちのユダヤ人だったが、南部の文化にすぐ馴染む妻を見ていることで、逆に、南部への怒りが増幅されているような部分(主人公のこの地になじめない孤独感)は、再演で強調された感じがする。
メモリアル・デイのパレードで使用される大量の紙吹雪が、異様な物語の異様さを表現していて、いたたまれない気持ちになった。でも、これって、「他人事」ではないんだよね。私達人類は、何度だって同じ過ちを犯してしまう。
そのことを胸に刻んで、劇場を後にした。


出演者感想。
石丸幹二(レオ・フランク)…初演の時は、立派な工場長という記憶だが、けっこうキャラ変したんじゃないかな。記憶違いかな[exclamation&question]南部になじめず、南部の異様な習慣を嫌悪し、北部でのやり方を変えず、周囲から浮いている。裁判でも、刑務所でも、自分の立場を客観的に把握できず、怒りの感情を制御できない。一方で、犯人であることを認めるくらいなら、殺されることを選ぶ芯の強さは初演のまま。完璧でなくなった分、レオの人間味がより伝わり、より、悲劇がクローズアップされた。彼あってこその、「パレード」だったと思う。


堀内敬子(ルシール・フランク)…南部出身者らしいおっとりした良妻賢母。しかし、ひとたびことが起これば、夫を救うため、どんな大胆なことでも平気で実行できる。まさにサザンベル。刑務所を訪れて、ピクニックを楽しみ、看守を遠ざけて、夫とつかの間の逢瀬を…レオが拉致され、殺害されたのは、その夜~夜明けのことだった。(レオが拉致された時、寝間着の下に下着を穿いていなかった理由は、たぶんこれ)どんな場面も、ほんとにキュートなルシールさんでした。


武田真治(ブリット・クレイグ)…新聞記者。レオ糾弾の急先鋒となるが、あらゆる場所をしっかり取材はしている。レオの死後、フランク家を訪れたりもしている。彼の記事が、事件に対する世論を形成したのは事実だが、新聞記者としては、普通のことをしたつもりなんだろうな、と思う。公演前半、新型コロナウィルスとインフルエンザに感染して休演したが、私が観劇した時は、元気な姿でステージに立っていた。大事なくてよかった[黒ハート]


今井清隆(トム・ワトソン)…活動家。こちらもジャーナリストなのだが、彼は、反ユダヤ主義を煽る人。初演は、新納慎也くんが演じていた。今井さんになったことで、(体重じゃなく)ちょっと重いというか、地の底から湧き上がるような運動になっていた気がする。彼には彼の正義があったのかな。


坂元健児(ジム・コンリー)…工場の清掃人。黒人。レオに命令され、殺害後、遺体の遺棄を行ったと証言。劇中も真犯人であることが暗示されているが、レオ・フランク事件も1983年(事件の70年後!)に新証言が出て、コンリーが真犯人であることが確定している。ジムが偽証をしていることについて、教育を受けていないものが、そんな上手に嘘をつけるはずがない、という理由で、偽証の可能性が否定されるのだが、教育の有無にかかわらず、生まれつき狡猾な人間はいるものだ…というのを体現していて、震える。真犯人だけど、陽気で歌がうますぎるため、逆に底知れないゾッとするものを感じる。怪演[exclamation×2]


福井貴一(ローン判事)…レオ・フランク事件を担当する判事。初演は藤木孝さんが演じ、再演も出演予定だったが、昨年9月に死去したため、福井さんが出演。検事の石川禅さん、弁護士の宮川浩さんとの三つ巴の駆け引きの心理戦が、作品の見どころのひとつでもあった。その中で、良識派というか、まともな紳士の部分を背負っているところは、藤木さんと同様。


石川禅(ヒュー・ドーシー)…州検事。アメリカの司法制度がどこまで日本と同じパターンかわからないが、取り調べについては、日本と同様、警察での取り調べの後、送検されて、検察での取り調べがあるっぽい。何人かの容疑者の中で、一番、犯人として公判維持できそうな(正しい意味での…ではなく、話題と市民の怒りの矛先として)レオを起訴する。そのためには、真犯人のジムと司法取引することも厭わない。このいやらしい検事を見事に演じきったさん。じわじわと、怒りがこみ上げてくるけど、さんだから、劇場出る時には、まいっか、みたいな気持ちになっている。


岡本健一(スレイトン知事)…ジョージア州知事。もともと本件には疑いの目を持っていて、無実の者を死刑にできないという理由で、終身刑に減刑する。その陰には、ルシールの働きかけがあった。ダンディな知事で、出番は多くないがインパクト大。この件が影響して次の選挙に出るどころか、殺害予告を受けてジョージア州から逃げるように去らねばならなかったという。そんな信念を貫くかっこいいスレイトンさんでした。


安崎求(ニュート・リー)…第一発見者なのに犯人扱いされた可哀想な黒人警備員。今回も安定的の安崎さんでした[exclamation×2]


未来優希(フェイガン夫人)…メアリーの母。彼女の悲しみが、南部の人々の中に犯人許すまじの空気を醸成していく。フェイガン夫人の悲しみは当然で、決して誇張もしていないのだが、それゆえに人の心を打つ。本当にさすが[exclamation×2]未来さんでした[黒ハート]別役で歌った黒人のナンバーもめっちゃかっこよかったです[るんるん]


内藤大希(フランキー)…メアリーのことをちょっと好きだった青年。初演は、小野田龍之介が演じていて、冒頭、南部の大地に一人立って歌うナンバーにしてやられたのだが、内藤の歌唱もとてもよかった。事件の起こる少し前のメアリーとの微笑ましいやり取りの可愛さと、最後に犯行に加わる狂気(内省もあり)…とても丁寧に役を作ってるな~と好感を持った。


秋園美緒(サリー・スレイトン)…スレイトン知事の妻。正しい判断をした夫を誇れる妻。まあ、その結果は、惨憺たるものになるわけだけど。ほんとに素敵な奥様でした[黒ハート]私は、聡明なサリーさんを誇りに思うわ。(何様[exclamation&question]


決して楽しいだけではないミュージカル作品だったけど、頑張って上演し続けることに意義があるんだろうな…と思います。再演されたら、また観劇したいな~と思ってます。


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ミュージカル「EDGES」(RED)観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

MUSICAL「EDGES-エッジズー」
by Beni Pasek & Justin Paul


TEAM RED


演出:荻田浩一
音楽監督:奥村健介


CAST:林翔太、藤岡正明、実咲凜音、梅田彩佳


演奏:中原裕章(ピアノ)、YUTAKA(ギター)、瀬戸圭介(ベース)、李令貴(ドラム)


もっくん(太田基裕)の出演した“TEAM BLUE”を観劇して、オギーが演出する“TEAM RED”への興味が抑えきれず、観劇。
劇場に着いたとたん、レッドカーペットのある式典会場のような舞台セットを見て、「来てよかった」と確信。来た瞬間に「違いが鮮明」ってすごいかも。


幕が開いたら、もっと違う。コンサート形式のような舞台になっていた。出演者は、ブラックフォーマル。ほかの人が歌っている間は、舞台上に置かれた丸テーブルとスツールで待機。基本、歌で勝負するが、ちょっとしたツッコミなど、MCもあり、演劇的要素の高いナンバーは、感情表現多めに表現する。


こういう表現もあるんだなぁ~と、面白く観劇した。
メンバーがメンバーだけに、歌の安定性と、ネタ曲の表現性はさすがだった。藤岡くん、ほんと、いつ観ても飽きない~[揺れるハート]
ラストに劇場後方のホリゾントの向こう側まであらわにした演出が、すごく素敵だった。新国立中劇場は、奥行きが深い劇場なのだけど、その奥の奥は搬出口になっていて、そこまで開きながら、照明で隠すというのが面白い。
あと、出演者のご挨拶のぐだぐだぶりが、フォーマルな衣装に似合わなくて、可愛かったです。
くんのジャニーズネタが面白かったのに、すっかり忘れてしまって…残念…[バッド(下向き矢印)]


今回の、セトリは次の通り。ほんとに順番はBLUEと全然違う[exclamation]


M1 Coasting
M2 Become 
M3 Part of a Painting 
M4 Boy With Dreams 
M5 Transition #1 
M6 Caitlyn and Haley 
M7 I’ve Gotta Run 
M8 Transition #3
M9 I Once Knew 
M10 Transition #2
M11 Man of My Dreams
M12 Be My Friend
M13 I Hmm You
M14 Lying There
M15 In Short
M16 Ready to Be Loved


「In Short」の入る場所と、その表現方法で、けっこう雰囲気変わるかも。


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ミュージカル「EDGES」(BLUE)観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

MUSICAL「EDGES-エッジズー」
by Beni Pasek & Justin Paul


TEAM BLUE


演出:元吉庸泰
音楽監督:園田涼


CAST:太田基裕、矢田悠祐、増田有華、菜々花


演奏:松井トモコ(ピアノ)、桑原まこ(シンセサイザー)、野崎めぐみ(パーカッション)、大月文太(ギター)


「ラ・ラ・ランド」や「グレイテスト・ショーマン」の音楽を手掛けたベンジ・パセックとジャスティン・ポールコンビのデビュー作である、このミュージカルは、曲順の入れ替え、オーケストレーションのアレンジが、“推奨”されている。
この題材をもとに、三人の演出家と三人の音楽監督がタッグを組み、三組の舞台を上演するはずだったが、残念ながら、コロナの影響で、上演は中止された。本作は、そのリベンジ公演となる。リベンジ公演は、残念ながら二組の舞台となったが、やっぱ、行かなきゃね…と、気合を入れて行ってきた。


なにか大きな物語があるわけではない。
曲は互いに独立していて、4人の登場人物は、歌のたびに様々な人物になって歌わなければならない。こういうミュージカルを、“ソングサイクル・ミュージカル”と呼ぶらしい。
ソングサイクル・ミュージカルは、テーマがひとつあれば、それでいいらしく、本作で、それは「大人になるとは…」。出演者は、十分に大人みたいだけど、そんな彼らが、瑞々しい若者の感性を引っ張り出してきて、時にソロで、時にハモりつつ、歌の世界を紡いでいく。
曲ごとに、キャラが変わることには、舞台上に、衣装を散らばらせ、そこで着替えることで対応。ハンガーに掛けられたたくさんの衣装。シャツなどは床にも散らばっている。


思春期の揺れる思い、激しい感情、漠然とした不安、そして、大人の世界は複雑で…[ダッシュ(走り出すさま)]
歌とダンスは、舞台上に設えられたカメラを通しても、客席に届けられる。その撮影も俳優たちに委ねられていて、つまり、もっくん(太田)は、今回もカメラマン役(笑)なんか、今年は、ずっとカメラマンを演じているような気がする[ひらめき]
様々な楽曲を楽しみつつ、ちょっとだけ、ミュージカルとは[exclamation&question]と考えてしまったのは、ストーリー性重視の私ゆえ、なのかな。これは別の演出家でも観てみたい作品。


再演に備えて、今回の、セトリを記載しておく。


M1 Become
M2 Boy With Dreams
M3 Caitlyn and Haley
M4 Transition #1
M5 Lying There
M6 In Short
M7 I Once Knew
M8 Transition #2
M9 I Hmm You
M10 I’ve Gotta Run
M11 Man of My Dreams
M12 Transition #3
M13 Be My Friend
M14 Part of a Painting
M15 Coasting
M16 Ready to Be Loved


こうやってタイトルを書いていると、わりとどの曲も印象的だったな~。それゆえに、脳内がとっちらかっているのかもしれないが、これが、ソングサイクルってやつなんだろうな。


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