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ショー「FROZEN HOLIDAY」感想 [┣宝塚観劇]

Winter Spectacular
「FROZEN HOLIDAY」ーSnow Troupe 100th Anniversaryー


作・演出:野口幸作
作曲・編曲:青木朝子、手島恭子、甲斐正人、斉藤恒芳、小澤時史
作曲:フランク・ワイルドホーン
音楽指揮:御崎惠
振付:若央りさ、麻咲梨乃、鈴懸三由岐、三井聡、森優貴
装置監修:大橋泰弘
装置:木戸真梨乃
衣装:加藤真美
照明:勝柴次朗
音響:大坪正仁
映像:九頭竜ちあき
小道具:山中悠生
歌唱指導:ちあきしん
演出助手:力石明
衣装補:大津美希
舞台進行:片桐喜芳


2024年、雪組が100周年というこっとで、記念のショーという位置づけらしい。
冒頭、雪の秘境に我々が連れていかれるような映像から、99⇒100周年のお祝いのクリスマス前のフローズンホテルが現れ、そこからショーが始まる。
作品はショー作品なのだが、主な登場人物は、通し役になっている。
ホテルの支配人FESTIVE=彩風咲奈、AYA=夢白あや、サンタクロース=朝美絢、神父=和希そら、DJ=縣千、日本の伝統文化の人々=諏訪さき、野々花ひまり、眞ノ宮るい、咲城けい。プログラムに記載はないが、AYAは同じく100周年を迎える宝塚からやって来たという紹介をされる。伝統文化っぽい人々は、連獅子と曽我五郎・十郎という設定なので、歌舞伎なのかもしれない。世界中から…というわりに範囲が狭いし、日本に偏りすぎ[爆弾]
で、このプロローグの終盤辺りで、既にFESTIVEはAYAにモーションをかけている。
100周年のお祝いの大切な時に、ホテルの支配人が恋愛モードとか、しかも相手が招待客とか、ほんとにもうたいがいなホテルである[爆弾]宝塚を代表して招待されたAYAもプロ意識が低すぎる。そしてその世界観を全肯定している野口先生のプロ意識が、大変心配になるプロローグだった。


やがて、招待客を楽しませるために、お料理対決だったり、ダンスバトルだったりのシーンが描かれ、中詰めは、招待客による本気のクリスマスショーとなる。2月にクリスマスショーを見せられるとさすがに季節感…[爆弾]と思ってしまうが、これは宝塚あるあるなんだよね…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]大劇場で幕を開けた時の季節感のまま、東京公演どころか別箱(博多座や全ツ)までやってしまう…学生時代「いつもクリスマス」と言われていた私でも、さすがに脳がバグった。
しかし、クリスマスが終わると、いよいよ年末がやって来る。
「蛍の光」の原曲、「AULD LANG SYNE」は、スコットランドの民謡だが、欧米ではよく年末に歌われている。そして日本では卒業の歌でもある。カウントダウンの場面に「AULD LANG SYNE」を組み込み、和希そらにこのシーンを担わせることによって、和希のさよならシーンの演出にもなっている。
どうか幸せにーと願わずにはいられない場面だった。
白一色の衣装は、もう少し和希に合うものを選んであげてほしかった…とも思いつつ…[爆弾]


こうしてFROZEN HOTELにもお正月がやってくる。お正月は和風な衣装で祝われる。ここの和風な衣装は、麻の柄をアレンジしたりして、素敵な衣装だった。
お正月が来たところで100周年ということらしい。背景の「100」が「1∞」になっていて、宝塚全体の100周年の時を思い出した。
そして、雪組の100年の歴史が彩風のナレーションで紹介される。雪組は、宝塚大劇場ができ、通年公演になることをキッカケに1924年に誕生した。第二次世界大戦により劇場が閉鎖になった最後の作品「翼の決戦」も雪組公演だった。(ちなみに東京宝塚劇場は少し早めに閉鎖しているが、その最終公演も雪組だった。)
戦後の大劇場再開公演も雪組「カルメン/春の踊り」だったし、旧宝塚大劇場の最終公演も雪組「忠臣蔵」だった。そういう節目の時に公演されるのが雪組なのかな…と思わせつつ、コロナ禍で全公演が飛んでしまった「ODYSSEY」のことにも触れられていた。
そして、白い衣装の出演者たちが、「SNOW FLOWER WILL BLOOM」に乗せて花開いていくような踊りを見せる。この曲は、なんとフランク・ワイルドホーン氏の作曲らしい。さすが100周年[exclamation×2]奥様の和央ようかさんはもともとは雪組出身だしね。やがて、雪の精たちが結晶のように輪になって踊る姿を舞台上の鏡に映して見せる…みたいな集団パフォーマンスへ。…なんだけど、あんまりきれいに見えなかったんだよね、このシーン。
ともかくFESTIVEとAYAは永遠の愛を誓ったようです。
おめでたいけど、AYAの帰りを待つ宝塚歌劇団(フィクション)の今後が心配です[爆弾]


フィナーレのとっぱしは、超越雪祭男子から。「SNOW BREATH」野口先生…どうしても、こういうシーンを入れたいんだね(笑)
でも、過去の野口先生のこういうシーンの楽曲、全然知らない曲が多かったのに、いきなりの西川貴教(T.M.Revolution)で驚きました[あせあせ(飛び散る汗)]歌詞は全然好きじゃないけど、メロディーはかっこよくて、正面から風を浴びる映像も面白くて好きだったな。でも、TMRだと、藤井先生[exclamation&question]みたいな…[爆弾]
朝美以下の布陣も、かっこよかったです[ぴかぴか(新しい)]
(まったく個人的な感想で、そう思わない方もいらっしゃるとは思うのですが、一昔前の、若者もお金持っててイケイケだった時代の楽曲って、「〇〇のせい」(暑いとか寒いとか)にして、とりあえず愛し合おう…みたいなのが多くて、それを今の時代の、リアル男性じゃない人に歌わせるって、なんか違う気がする…という、モヤモヤは持ち続けていますが…)
大階段での群舞、デュエットダンスなど定番の場面は、すべて素敵だったが、まさか、最後に、彩風×和希のデュエットダンス(?)が仕掛けられているとは…[あせあせ(飛び散る汗)]和希の雪組デビュー公演でもデュエットっぽいシーンがあったけど、たぶんそういうダンス面での充実を期待されての組替えだったんだろうな…なのに、コロナ禍で機会損失した部分は大きかったんだろうな…と、感傷的になったが、よい場面でした。


まあ、色々野口先生とは気が合わない部分もありつつ、眼福の時間ではありました。


IMG_3291.jpg


ミッドタウン前にゴジラがいました[exclamation×2]


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宝塚雪組東京公演「ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル」観劇 [┣宝塚観劇]

Happy "New" Musical
「ボイルド・ドイル・オンザ・トイル・トレイル」


作・演出:生田大和
作曲・編曲:斉藤恒芳
編曲:伊賀美樹子
音楽指揮:小津準策
振付:御織ゆみ乃、平澤智
擬闘:清家三彦
装置:國包洋子
衣装:加藤真美
照明:高見和義
音響:秀島正一
映像:西田淳
小道具:太田透
歌唱指導:高津敦子
演出助手:菅谷元
衣装補:薄井香菜
舞台進行:片桐喜芳


名探偵シャーロック・ホームズ生みの親、コナン・ドイルの人生を描いたハッピーミュージカル。
先日、月組のバウホール公演の配信を観た時、そういえば、実在の人物の人生を描いた物語の宝庫だな、宝塚…と思った。
ファン的に考えれば、原作付作品同様、観劇前に下調べもできるし、出演者も台本に書かれていること以外にも調べるものがあるので、演技のプランが作りやすいし…と、よいことがいっぱいあるんだろうな、と思う。
人一人の人生だから、切り取り方によって、過去に取り上げられたもの以外のアプローチもできるので、過去作で取り上げられたのと同じ人物を取り上げることもできる。そして、かなり史実とかけ離れていても、誠実に作り上げられた舞台でありさえすれば、そのまま受け取って楽しんでくれる固定の観客がいる。
たぶん、これは、外部の商業演劇では通用しない公演なんだと思うし、そういうオリジナル作品が宝塚歌劇の重要なレパートリーなんだな~などと改めて感じる観劇だった。


そんなハッピーミュージカルの本作、同時代の英国を扱った「Victorian Jazz」をついつい思い出してしまうが、私は、「Victorian Jazz」の方が面白かった派です。ベテラン陣をシャーロック0Xに配置するんだったら、もう少し登場人物の範囲を広げてもよかったんじゃないかな~[バッド(下向き矢印)](あちらは、ビクトリア女王まで出てくる大がかりなフィクションで、大風呂敷広げた感はあったが、おもちゃ箱をひっくり返したような面白さがあった。)
世界的に有名な名探偵シャーロック・ホームズを生み出したコナン・ドイルの人生の光と影をあくまでもコメディタッチで描き切るというのも、1時間半の前もの作品としては、ありなんだな、とは思ったし、まあまあ面白い舞台ではあった。


彩風咲奈(コナン・ドイル)…大仰な芝居をさせると、「深いことは考えてない、ただのいい人」になってしまうので、こういう作品は合っていたのだろうか[exclamation&question]


夢白あや(ルイーズ)…200%ポジティブなドイルの妻をアニメキャラのような演技に特化して作り上げた。それはそれで賞賛に値するが、若い彼女には、もっと正攻法で役に向き合う機会を多く与えてほしいと思った。それにしても美人なのにだいぶ化粧が濃いように思うのだが…[バッド(下向き矢印)]


朝美絢(シャーロック00)…名探偵シャーロック・ホームズ。ドイルがホームズものを書かなくなってしまったので、彼に再び自分を書かせようと現世に登場。あんまり、「いわゆるホームズらしさ」はない。そこを求められている雰囲気もなかったし、トリックスターっぽい立ち位置なのかな。いたずらっ子な雰囲気が可愛かった。


和希そら(編集長)…ホームズの連載小説で一気に雑誌の売上を伸ばした雑誌編集長。なにげに一番いい役だった気がする。シリアスじゃない大仰な芝居の中で、ちゃんとリアリズムが生きていた。それは和希そらの役者としての魅力だったかもしれないけれど…。


縣千(メイヤー教授)…普通なら、叶ゆうり辺りに振られそうなポジションを敢えて縣に…ということで、お芝居、頑張りましょうっていう生田先生のメッセージなのかな。でも、今回、とても良かったと思う。


いろいろ思うところはある(雪組の役者陣をしっかり使え!)ものの、楽しい観劇でした。
あと、タイトルの「オンザ」がツボでした[あせあせ(飛び散る汗)](オン・ザではないのね)


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