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「暁の寺」 [┣本・映画・テレビその他エンタメ紹介]

三島由紀夫の「暁の寺」を読了した。



豊饒の海 第三巻 暁の寺 (あかつきのてら) (新潮文庫)

豊饒の海 第三巻 暁の寺 (あかつきのてら) (新潮文庫)

  • 作者: 由紀夫, 三島
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1977/11/01
  • メディア: 文庫



この作品は、三島の絶筆『豊饒の海』全四巻の三番目に当たる。
起承転結の“転”に当たる本作では、松枝清顕⇒飯島勲と続いた生まれ変わりの先が、タイのプリンセスになっている。生まれ変わり、20歳で死に、また生まれ変わる…という基本的な流れは変わらないが、相手が外国の少女になったということで、本多の思いも大きく変わる。三巻にして初めて、本多が生まれ変わりの対象に恋をする。
また、本多は、弁護士報酬として濡れ手に粟の大金を手にしたりするし、その一方で、ピーピングトムをやっていたりする。もう爽やかな本多のかけらも残っていない。


でも、読みながら、この本多こそ、珠城りょうに演じてほしい…と思った。まあ、ありえないんだけど。
なぜだろう。素敵でかっこいい役じゃなくて、人生の悲哀を感じられる役を演じる機会があったら、それこそ珠城りょうがトップであった証になるのでは…という気がした。ショーでは「BADDY」という珠城ならではの作品があるが、芝居もね…下級生時代の「月雲の皇子」「春の雪」に匹敵するような、野心的な作品がほしかったな。(「春の雪」があるのに「暁の寺」で画期的かと聞かれるだろうが、それでも画期的です、と言える。)


以下、印象に残った部分を少し。
「思いもかけぬ金が入ったとき、本多は自分の快楽に役立てようと人並に考えたが、そのときすでに彼のもっとも本質的な快楽にとって、金は不要になっていた。参与すること、世話をし、保護し、所有し、独占することには、金もかかるし、金も有用だが、本多の快楽はそれらすべてを忌避するのであった。」
哲学的な文章だが、大金持ちになった本多が本当に快楽を得られるのは、その金を以て女を手に入れることではなく、それでもなお、「覗き」をやることだった。金を使うとしたら、覗くための部屋を仕込んだ別荘を建てることだった。
最後に、その別荘は、彼が覗きの果てにプリンセス・ジン・ジャンの生まれ変わりの印(脇腹の三つ並んだホクロ)を確認した夜半、失火によって消失する。そして帰国したジン・ジャンは20歳になった時、コブラに噛まれて死んだ…という後日談が最終頁で語られる。
「生まれ変わり=脇腹のホクロ=20歳で死ぬ」は、これで決定事項となり、最終章に進んでいく。
また、この第三部の中で、日本が戦争に突入し、終戦を迎え、朝鮮戦争によって復興が加速していく。戦争中の四年間、本多は読書三昧の日々を送る。輪廻転生について、古今東西の書籍を読み漁り、唯識、阿頼耶識などの概念にたどりつく…それが本多の戦時だった、というのが、人を食ったような話だと思ったが、開戦の時の周囲の浮き立つような雰囲気と日比谷の晴れ晴れとした空気から、空襲を受けてすっかり焼け野原になった東京を歩く場面まで、本多の描写が精神世界だけだった…というインパクトはすごかった。(本多は、疎開もせず、東京に住んだまま終戦を迎えている。)


最終章が楽しみだ。



豊饒の海 第四巻 天人五衰 (てんにんごすい) (新潮文庫)

豊饒の海 第四巻 天人五衰 (てんにんごすい) (新潮文庫)

  • 作者: 由紀夫, 三島
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1977/12/02
  • メディア: 文庫



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配信「Dream Stage」 [┣本・映画・テレビその他エンタメ紹介]

“朗読”という楽曲のMusic Videoを届ける Dream Stageー読奏劇ー
朗読『シャルル・ペロー著/眠れる森の美女』(原題:眠る森のお姫さま)


コロナ禍の中、多くの舞台が中止や延期になってしまい、そんな中、少しでもエンタメを動かそう…ということで、配信という手段で多くの作品が世に出された。それは、8月になり、舞台が復活した今でも続いている。舞台と配信をミックスした公演や、無観客配信公演を劇場から発信する等、色々な手法が登場している。緊急事態宣言時ではないので、配信といっても、出演者は自宅でなくスタジオで撮影ができるし、映像や音楽も凝ったものを見せることができるようになった。そして、質の向上に伴い、無料ではなく、有料での配信が当たり前になった。
コロナ禍が、新たなエンターテイメントを創り出したと言えるかもしれない。


今回の「Dream Stage」は、2.5次元俳優8名が朗読者としてピックアップされている。
朗読される作品は、すべて著作権フリーの素材。私が購入したのは、太田基裕が朗読するシャルル・ペローの「眠れる森の美女(La Belle au Bois Dormant)」(楠山正雄訳「眠る森のお姫さま」)。翻訳ものの場合、二次著作権も消滅している必要があるため、1950年に亡くなった楠山(1884‐1950)の訳を使ってるようだ。
また、今回、伴奏音楽に、自粛中、太田が作曲した音楽が使用されている。


スタジオの内装や調度品、ライティングや演出、カメラワークなど、めちゃめちゃ耽美。太田はシンプルに白のシャツに黒のボトム。この耽美の中で、プリンセスものの童話というミスマッチがむずがゆい。
さて、この「眠れる森の美女」という物語、我々がよく知っているもの(ディズニー映画など)は、グリム童話が底本になっているようだ。今回読まれたシャルル・ペローの編による作品では、王子様のキスは出てこなくて、最後にゾッとするエピソードが追加されているそうだが、楠山の訳は、ハッピーエンドで物語を〆ている。
子供向けに書かれたものなので、まあ当然の配慮かもしれない。
しかし…没後70年だけに…言葉が古い…[あせあせ(飛び散る汗)]
映像では、朗読されている内容を太田の映像の左側に表示してくれているので、「[exclamation&question]」と思ったら、文字を追うことができたのは幸運だった。
一例を挙げると、「ひいさまの赤ちゃん」「妖女」「ねだい」。言葉は時代で変わるんですね。


ということで、一番の感想は、なぜ、「眠れる森の美女」[exclamation&question]でした。
やっぱり、朗読力…というか、語る力を見るというのが、俳優ファンの楽しみだってのに、おとぎ話じゃ、ただ聞いてるほかないじゃないか…[むかっ(怒り)]という…
あと、言葉が古いせいか、子供向けのせいか、感情を伝えるような読み方ではなく、読むのでせいいっぱいになってしまっているところもあり、伝わるものが少なかったのが残念…[バッド(下向き矢印)]
まあ、もっくんが麗しい角度で映っているとか、首のほくろまで見えるとか…そういう楽しみもあるのは否定しないけど、やっぱり私は、俳優力を見たいんだなぁ~などと考えたりして。
朗読…作品選びが大事かも。著作権フリー作品にも、いろいろあるので、ぜひ、「言葉の奥ゆき」を参考にしていただきたいなーと思う。


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「最初の悪い男」 [┣本・映画・テレビその他エンタメ紹介]

2018年に発行されたこの本のことは、全く知らなかった。ゆうひさんが、「群像」誌の中ですごい本だ、と紹介していて、まあコロナ禍の中、暇だしなーと、Amazonでポチってみた。
それ以前から、私のツイッター上を賑わせている「掃除婦のための手引き書」もついでにポチった。両方とも訳は、岸本佐知子さん。昨年の「居心地の悪い部屋」以来、岸本さんの手になる本は、4冊目だろうか。



最初の悪い男 (新潮クレスト・ブックス)

最初の悪い男 (新潮クレスト・ブックス)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/08/24
  • メディア: 単行本

[exclamation&question]


このタイトルで、どんな想像をするだろうか。
最初に出会った悪い男に騙され、その影響で私の人生はこんな悲惨なものに…みたいな物語かと、私は思った。


主人公のシェリルは、NPO法人の職員。NPOでは、女性のための護身術を広める活動をしていて、20年くらい前は、ドラマ仕立てになっているシチュエーションごとの護身術ビデオを販売していた。(夜道で後ろから突然抱き着かれたら、こうする[パンチ]みたいな…)もう一人のヒロインであるクリーがシェリルの家の居候になった後、ひょんなことから二人は、このビデオの中のドラマと格闘を全部演じていくことになる。
「最初の悪い男」というのは、そこに出てくるキャラクターのことだったのだ。え、なんで、それがタイトル[exclamation&question]


タイトルのみならず、すべての展開が「え、そこ[exclamation&question]」「え、そうくる[exclamation&question]」で繋がれていって、最後まで行くと、主人公の人生が大きく変わっている。
この小説を書くちょっとまえに、作者のミランダ・ジュライは母になっている。
赤ちゃんという存在の破壊力が、自分の小さな小さな世界を守ることに喜びを見出していたシェリルの人生を、最後に最大に破壊する。
クリーは、「絵に描いたようなビッチ」と訳者の岸本さんはおっしゃっているが、謎すぎる。ただのツンデレなのかもしれない。


すごくリズムのよい語り口で、音読してみると、良さがさらに伝わるような気がする。


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「スマホを落としただけなのに‐囚われの殺人鬼‐」 [┣本・映画・テレビその他エンタメ紹介]

前作、「スマホを落としただけなのに」で、事件を解決に導いた刑事、加賀谷(千葉雄大)が今回の主人公。
ドラマ「おっさんずラブ-in the sky-」を見た後だと、前作のカップル(田中圭・北川景子)の結婚式に、加賀谷が恋人の松田美乃里(白石麻衣)を連れていく場面にムズムズする。とはいえ、田中と北川は特別出演なので、そのムズムズが長続きすることはない。
教会での結婚式からのガーデンパーティーという流れだったので、披露宴のように、出席者がガチガチに決まっているわけではなかったようで、加賀谷は、その場で美乃里を紹介する。「じゃあ、次はあなたたちね」みたいに新郎新婦に言われた時、加賀谷の顔が曇る。
結婚式に連れていく相手、というのは、公式なイメージ。だから、加賀谷にとって美乃里は、ステディな彼女なわけだ。にもかかわらず、“結婚”に踏み切れない。それは、前作の逮捕前のシーンに出てくる加賀谷自身のトラウマにつながっているー
加賀谷は、警察に入る前には、IT企業にいた。社長の笹岡(鈴木拡樹)と二人で会社を立ち上げ、そこへ入社した美乃里と付き合うことになった。もう3年にもなるのに、まだ警察内部では交際相手として登録してもらっていない。


一方、逮捕された浦野(成田凌)が多くの死体を埋めていた丹沢で、偶然、若い女の白骨死体が出た。しかし、長い黒髪に執着する浦野にしては、今回の被害者の生前の写真は、茶髪のショートだった。
浦野への余罪追及を行おうとする捜査陣だが、浦野は、加賀谷になら話す、と条件を付ける。浦野は、自分にネット犯罪のすべてを教えてくれた師匠、“M”の存在を示唆する。
一方、美乃里の周囲に謎の男が現れ、彼女を付け狙う。
さらに、仮想通貨大量流出事件にも、“M”はかかわっていたらしい。ただ、消えた仮想通貨は、JK16というホワイトハッカーによってマーキングされてしまい、どこかで換金されるとすぐに分かるようになっていた。“M”は、今すぐマーキングを外さないと殺す、とJK16に警告を出した。その警告文をネットにさらしたJK16こと神宮寺紗綾子(高橋ユウ)は、数日後、遺体で発見される。
神奈川県警の威信をかけて、事件の早期解決をはかりたい、加賀谷の上司、牧田(田中哲司)は、浦野の求めるネット環境を用意し、彼に捜査協力をさせるよう、加賀谷に指示を出す。
浦野と対峙することは、同じように母親からのネグレクト体験を持つ加賀谷にとって、記憶を呼び覚ますつらさがあった。今は、ホスピスに居る、加賀谷の母。美乃里は、加賀谷のもとを訪れた女性(今田美桜)に不審を抱いて、彼女の勤める介護施設を訪ね、母親の現状を知る。
そんな美乃里が謎の男に付け狙われていることに気づいた加賀谷。警察に警護されながらも、“M”をおびき出すためのブログを開設したり、美乃里は危険をかえりみず、加賀谷に協力する。が、謎の男に尾行されていることに気づき、慌てて勤めている会社に飛び込むがー


いやー、怖い[あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)]
けっこう、本気で目を覆って見てました。


でも、前作に負けず劣らず、面白い映画でした[黒ハート]
てか、この映画のキャンペーン自体が、壮大なミスリーディングだったな~と思う。
とはいえ、ラスト付近の告白が衝撃的にならないのは、鈴木拡樹と千葉雄大だから…かしらね。


まだまだ続きができそうな…そんな予感[るんるん]です。


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「パラサイト 半地下の家族」 [┣本・映画・テレビその他エンタメ紹介]

映画が解禁となったものの、最初のうちは、新作ではなく、自粛前の続き…という形。新作が、軒並み公開延期を発表したからだ。
先週は、シネマ歌舞伎を見たが、今週は…と、考えて、ずっと気になっていた「パラサイト」を観ることにした。
この「パラサイト」、モノクロ版も公開されていて、PG12…ということは、想像するに、この映画、けっこうエグいシーンがあるのでは[exclamation&question]
そんな気がして、モノクロ版の方を見ることにした。まあ、時間的にもそちらの方が都合がよかったのだけど。


結果…エグかったです、クライマックスが。
モノクロだったので、最後まで顔を覆うことなく見ることができ、よかった[ダッシュ(走り出すさま)]


キム・ギテク(ソン・ガンホ)の一家(妻と息子と娘)は、全員失業中で、半地下に住んでいる。
長男のギウ(チェ・ウシク)は、親友の大学生ミニョク(パク・ソジュン)から、留学するので家庭教師の後任をやらないか、と持ち掛けられる。担当している高校生のダヘ(チョン・ジソ)がすごく可愛いので、大学に入ったら付き合いたいと思っている、なので、同じ大学の仲間には危なくてダヘを見せられない。だから…というわけだ。
ギウは、受験経験は豊富だが大学にはまだ入れていない。しかし、美大に落ちた妹のギジョン(パク・ソダム)に偽造させた大学の在学証明書を持って、ダヘの家に向かった。
受験の知識も豊富で教え方もうまいギウに、すっかりダヘの母親は満足。ダヘには、年の離れた弟のダソン(チョン・ヒョンジュン)がいる。アメリカン・インディアンに傾倒していて、母親によると絵画の才能があるらしい。彼の才能を伸ばしてくれる美術の先生を探しているという話だった。これを聞いたギウは、心当たりがある、と母親に告げ、妹を別人に仕立てて推薦する。
ギジョンもまた、母親に取り入ることに成功し、帰宅時、父親である会社社長の好意で、運転手に送ってもらう。その時、運転手の過剰な親切にムッとしたギジョンは、車内にこっそりパンティーを脱いで放置する。
後日、そのパンティーは社長に発見され、夫婦の勝手な想像で運転手は解雇された。
ギジョンの推薦で、今度は、ギテクが運転手として乗り込む。
そして、ギテクは、一家の住み込み家政婦・ムングァン(イ・ジョンウン)に罠を仕掛け、彼女が結核持ちであると社長夫妻に信じ込ませ、追い出させてしまう。そこには、もちろん、妻のチュンスク(チャン・ヘジン)が入り込む。
ダヘはギウに夢中になっていて、ギウはミニョクのことなど思い出しもせず、ダヘの誘惑に乗る。
キム一家は、パク家に完全に寄生(パラサイト)し、乗っ取る準備が整った…というわけだ。
しかしー


ここから物語は、まったく違う顔を見せていく。
そして、想像していた以上のエグいシーンも登場し、後味が…と思っていると、これが意外に味があるのだ。
格差社会の上と下の生活の差の大きさ、それでも逞しく生きる人々の強さ…でも、それだけで終わらないストーリー展開の面白さ、さすがアカデミー賞受賞作品だけのことはある。
勇気を出して、カラー版もいつか見てみたいな。


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シネマ歌舞伎「京鹿子娘二人道成寺」 [┣本・映画・テレビその他エンタメ紹介]

映画館が開いたので、さっそく、シネマ歌舞伎「京鹿子娘二人道成寺」を見てきた。シネマ歌舞伎HPに、予告編も載っているので、こちらも見てください。


https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/03/


そういえば、この映画館が休止するという情報を得て、最後に鑑賞したのもシネマ歌舞伎(風の谷のナウシカ)だった。あれから3ヶ月ー
シネマ歌舞伎には、筋書き(プログラム)が付かないので、解説が欲しい場合、心もとなかったりするが、本作品は、イヤホンガイド(あらかじめアプリをダウンロードしていれば)を聞くことができる。なるほど、よいサービスかも。ちなみに、イヤホンガイドは税込500円。初回はサービスで無料とのこと。


「京鹿子娘道成寺」という舞踊のコンセプトは、安珍清姫でおなじみの道成寺の鐘が大蛇によって焼かれたのち、新しい鐘ができてその供養の日、現れた美しい白拍子の花子が舞を奉納することになるが、実は、花子は清姫の怨霊で…というもの。


 これを二人で踊るのが「京鹿子娘二人道成寺」、五人で踊るのが「京鹿子娘五人道成寺」。シネマ歌舞伎には五人版もあって、こちらの方が新しい(2016年収録)。今回見たのは、2006年収録なので、もう14年前か。
白拍子花子役は、坂東玉三郎尾上菊之助菊之助は、この時、28歳。前年、「NINAGAWA十二夜」に取り組んだばかり。いろいろ挑戦もしてきた中で、父と同じ道(立役も女方も演じる)を進むのであれば、避けては通れない女方の壁、玉三郎との共演がやってきたわけだ。


二人の花子は最初、黒地に花柄の着物×白帯で現れる。そのあと、所化(お坊さん)の集団が花道から登場し、「聞いたか、聞いたか」「聞いたぞ、聞いたぞ」と言いながら、本舞台を横断する。
宝塚版「風と共に去りぬ」の[るんるん]お聞きになった[exclamation&question][るんるん]の歌を思い出してしまう。
彼らがあれこれと話しているところに花子が一人で現れ(菊之助の方)、鐘を拝みたいと申し出る。所化たちは相談して、花子が白拍子(歌舞を行う遊女)であることを聞き出すと、舞を奉納するのであれば…と許可をする。
花子が準備をしている間、所化たちによるコント的な場面が挿入されている。「〇〇尽くし」の軽妙な口上を楽しんだ後、赤地の着物に黒い帯、金の烏帽子を付けて花子(菊之助)が登場する。と思いきや、ピタッと影のように寄り添ってユニゾンで踊る玉三郎。美しい…美の暴力を感じる美しさ[ぴかぴか(新しい)]玉三郎が烏帽子をセットのロープに乗せてくるんと外す大技で客席を沸かせると、菊之助も丁寧に烏帽子を外して、ここから引き抜きで二人の衣装が変わる。浅黄色の着物で町娘風。
花を集めて鞠を作って、手鞠をする…という場面では、菊之助が中腰のまま高速移動するという、超絶技巧も見られる。ここは若さの強みかもしれない。二人は一度引っ込んで、その間は、賑やかに演奏が繰り広げられる。
三味線の音色がひとつに揃ってかき鳴らされる、その技巧の素晴らしさ、音色の美しさが胸に突き刺さる。
薄いサーモンピンク色の着物を上半身だけ着て、先ほどの浅黄色の衣装を下半身に残した着方で、再び菊之助花子が登場し、赤い笠をかぶって、振出笠を両手に持って、優雅に踊る。このシーンは菊之助のソロ。
所化たちも、骨組みだけの笠に花をつけた可愛らしいものを持って踊る。このギャップが笑える[わーい(嬉しい顔)]
続いて藤色の着物で玉三郎が登場し、手ぬぐいを使ってしっとりとクドキを踊る。途中から菊之助が登場し、ソロからデュエットへ。所化たちが手ぬぐいを投げるパフォーマンスは、この後だったかな[exclamation&question]
ここからは、上半身のみ黄色い着物に替え、胸のところに鞨鼓を括りつけて、それを打ちながらリズミカルなナンバーを軽快に踊る場面。二人とも可愛らしい[黒ハート]
そして、再び着替えの間の演奏シーンが入るのだが、ここはシネマ歌舞伎なので、ここまでのシーンのダイジェスト映像で楽しませてくれる。菊之助が紫の着物でソロを踊る場面を経て、引き抜きで白い衣装に鈴太鼓で最後の踊り。ここは、玉三郎も加わって、さらに盛り上がる。
やがて二人は鐘にのぼって髪を振り乱し、大蛇の化身となるのだが、ここまでの流れは圧巻。
舞踊作品として、変化に富んでいて面白いし、物語性も強く感じられるし、舞踊だけじゃ飽きてしまうような観客向けに所化によるお笑い要素も入っている。


そして、とにかく花子の二人が美しい。
二人の花子なのか、一人の花子とその分身なのか、影なのか…場面によって様々に見える。でも、どの場面も美しい。
アップで見た場合の、二人の大きな違いは、表情というか、目線の使い方。玉三郎は、とにかく目線の利かせ方がすごい。そして、その目線の利かせ方に、かの花總まり的なものを感じる。(たしかに、花子って、ハナちゃん的な要素が詰まっている。)
一方の菊之助は、そこまで視線を利かせないことで、幽玄な雰囲気を出している。
この辺は、お好み次第…かもしれない。


舞台がスタートするにはまだ時間がかかるので、しばらくは、映画を楽しみたいと思っている。シネマ歌舞伎もチャンスがあったら、また見たいな。


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「オレたち花のバブル組」 [┣本・映画・テレビその他エンタメ紹介]

「半沢直樹」が日曜劇場に帰って来る、ということで、長いこと積読だった、この本を読んでみた。



オレたち花のバブル組 (文春文庫)

オレたち花のバブル組 (文春文庫)

  • 作者: 池井戸 潤
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/12/03
  • メディア: 文庫



ドラマから入ったので、読みながら、ドラマがほぼ脳内再生されるような読書体験だった。
あ、ここドラマと違う…みたいなこともなく、かなり忠実にドラマ化されたんだな~と思った。


それにしても、平安時代の昔から、政治は人事とは、よく言ったもので、メガバンク内の人事は、まさに政治案件なのだな~と、ひしひしと感じる。
でも、偉くなることだけが、仕事の目的ではない。
バンカーの矜持を守り抜き、産業界の発展に寄与する、という半沢の心意気が、心地よかった。シリーズ、全部読んでみようかな。


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解除されないので… [┣本・映画・テレビその他エンタメ紹介]

時間はたっぷりある…と思い、アマゾンで本を購入しました。



最初の悪い男 (新潮クレスト・ブックス)

最初の悪い男 (新潮クレスト・ブックス)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2018/08/24
  • メディア: 単行本



掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集

掃除婦のための手引き書 ルシア・ベルリン作品集

  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/07/10
  • メディア: 単行本



両方とも岸本佐知子さんが訳した本で、女性作家の作品。上は長編で下は短編。
上の作品は、ゆうひさんのおススメ本でもあるので、ファンの皆様、よかったらぜひ。
妄想族の皆様、この世界は、まだまだ奥が深いようですよ[わーい(嬉しい顔)]


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リモ止め! [┣本・映画・テレビその他エンタメ紹介]

2年前に大ヒットした映画「カメラを止めるな!」の監督、キャストが一堂に会して…いやいや、一度も会わずに、短編映画を作ってしまいました[exclamation]その名も『カメラを止めるな!リモート大作戦!』。
ZOOMを利用して会議シーンを録画したほかは、個々の俳優が自らのスマホで撮影した映像を組み合わせるという、すごい企画。
「カメラを止めるな!」同様、企画&製作中のバックステージを見せつつ、本編映像と組み合わせる入れ子構造になっていて、撮影ツッコミどころ(同じ場面なのに撮影時間が違うとか)も、そのままZOOMの中で突っ込まれている。ただ、「カメラを止めるな!」が冒頭に本編を持って来て、後半にバックステージを見せることで、観客の心を掴んだのとは違い、今回は、ZOOMで企画が持ち込まれるところからスタートし、間に本編を何回かに分けて挿入するスタイルを採っている。
そして、すごいな~と思ったのは、この「分断された本編」の「完成版」を、ミニシアター救済の寄附者に対するリターンとして用意しているということ。
YouTube上で最後まで全編公開されているから、最後が分からなくてキモチワルイこともないし、それは、この『カメラを止めるな!リモート大作戦!』が1本の短編映画として完成と見做されるためには、必要不可欠な条件だったと思う。
なんだけど、分断されていること、そして、ZOOMシーンで突っ込まれていることを考えると、完成した映画はどんなふうに表現されているんだろう[exclamation&question]という興味は湧く。


上田慎一郎監督、天才ですね。


企画の内容も集まった多くの映像を観ると、今、これ観るとヤバいわ、と思うほどの幸福感を感じさせるし、たった一枚の白手袋で映像が繋がるマジックにも驚く。
この天才に思う存分腕を振るってもらう時が来るまで、頑張って生き延びなきゃ損[ひらめき]
そんな風に頑張れそうな短編映画です。


YouTubeで「リモ止め」で検索できます。よかったら、寄附もお願いします[黒ハート]
大昔にお世話になった下北沢のトリウッドさん(短編アニメを本編前に上映していただいた)や、その時、見た本編の続きが知りたくて(ミイラ取りがミイラ)見に行った東中野のポレポレさんが含まれていて、今も頑張っていらっしゃるんだな~と熱い気持ちになった。その時の記事はこちらです。よかったらどうぞ。


そういえば、ゆうひさんと同じ事務所に入ったしゅはまさんが、めちゃくちゃ綺麗になっていて、別人[exclamation&question]と思っちゃいました[黒ハート]


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いだてん到着! [┣本・映画・テレビその他エンタメ紹介]

現在、BSプレミアムでも再放送が始まっていますが…



大河ドラマ いだてん 完全版 ブルーレイBOX1 全4枚

大河ドラマ いだてん 完全版 ブルーレイBOX1 全4枚

  • 出版社/メーカー: NHKエンタープライズ
  • メディア: Blu-ray



届きました。不本意ながらずっと自宅にいるので、さくさく鑑賞が進みます[黒ハート]
最終回を知っていると、なんと、第1回から泣けるんですよ~[もうやだ~(悲しい顔)]
これが、あれの伏線か[exclamation×2]というのがいっぱいあって、いや、これは何度でも楽しめるドラマです[わーい(嬉しい顔)]


PS.くどかんさん、ご回復、おめでとうございます[ぴかぴか(新しい)]


0426.jpg石の間から咲く花のように、あきらめずに、強い気持ちで過ごしていきたいものです。


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