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シネマ歌舞伎「京鹿子娘二人道成寺」 [┣本・映画・テレビその他エンタメ紹介]

映画館が開いたので、さっそく、シネマ歌舞伎「京鹿子娘二人道成寺」を見てきた。シネマ歌舞伎HPに、予告編も載っているので、こちらも見てください。


https://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/lineup/03/


そういえば、この映画館が休止するという情報を得て、最後に鑑賞したのもシネマ歌舞伎(風の谷のナウシカ)だった。あれから3ヶ月ー
シネマ歌舞伎には、筋書き(プログラム)が付かないので、解説が欲しい場合、心もとなかったりするが、本作品は、イヤホンガイド(あらかじめアプリをダウンロードしていれば)を聞くことができる。なるほど、よいサービスかも。ちなみに、イヤホンガイドは税込500円。初回はサービスで無料とのこと。


「京鹿子娘道成寺」という舞踊のコンセプトは、安珍清姫でおなじみの道成寺の鐘が大蛇によって焼かれたのち、新しい鐘ができてその供養の日、現れた美しい白拍子の花子が舞を奉納することになるが、実は、花子は清姫の怨霊で…というもの。


 これを二人で踊るのが「京鹿子娘二人道成寺」、五人で踊るのが「京鹿子娘五人道成寺」。シネマ歌舞伎には五人版もあって、こちらの方が新しい(2016年収録)。今回見たのは、2006年収録なので、もう14年前か。
白拍子花子役は、坂東玉三郎尾上菊之助菊之助は、この時、28歳。前年、「NINAGAWA十二夜」に取り組んだばかり。いろいろ挑戦もしてきた中で、父と同じ道(立役も女方も演じる)を進むのであれば、避けては通れない女方の壁、玉三郎との共演がやってきたわけだ。


二人の花子は最初、黒地に花柄の着物×白帯で現れる。そのあと、所化(お坊さん)の集団が花道から登場し、「聞いたか、聞いたか」「聞いたぞ、聞いたぞ」と言いながら、本舞台を横断する。
宝塚版「風と共に去りぬ」の[るんるん]お聞きになった[exclamation&question][るんるん]の歌を思い出してしまう。
彼らがあれこれと話しているところに花子が一人で現れ(菊之助の方)、鐘を拝みたいと申し出る。所化たちは相談して、花子が白拍子(歌舞を行う遊女)であることを聞き出すと、舞を奉納するのであれば…と許可をする。
花子が準備をしている間、所化たちによるコント的な場面が挿入されている。「〇〇尽くし」の軽妙な口上を楽しんだ後、赤地の着物に黒い帯、金の烏帽子を付けて花子(菊之助)が登場する。と思いきや、ピタッと影のように寄り添ってユニゾンで踊る玉三郎。美しい…美の暴力を感じる美しさ[ぴかぴか(新しい)]玉三郎が烏帽子をセットのロープに乗せてくるんと外す大技で客席を沸かせると、菊之助も丁寧に烏帽子を外して、ここから引き抜きで二人の衣装が変わる。浅黄色の着物で町娘風。
花を集めて鞠を作って、手鞠をする…という場面では、菊之助が中腰のまま高速移動するという、超絶技巧も見られる。ここは若さの強みかもしれない。二人は一度引っ込んで、その間は、賑やかに演奏が繰り広げられる。
三味線の音色がひとつに揃ってかき鳴らされる、その技巧の素晴らしさ、音色の美しさが胸に突き刺さる。
薄いサーモンピンク色の着物を上半身だけ着て、先ほどの浅黄色の衣装を下半身に残した着方で、再び菊之助花子が登場し、赤い笠をかぶって、振出笠を両手に持って、優雅に踊る。このシーンは菊之助のソロ。
所化たちも、骨組みだけの笠に花をつけた可愛らしいものを持って踊る。このギャップが笑える[わーい(嬉しい顔)]
続いて藤色の着物で玉三郎が登場し、手ぬぐいを使ってしっとりとクドキを踊る。途中から菊之助が登場し、ソロからデュエットへ。所化たちが手ぬぐいを投げるパフォーマンスは、この後だったかな[exclamation&question]
ここからは、上半身のみ黄色い着物に替え、胸のところに鞨鼓を括りつけて、それを打ちながらリズミカルなナンバーを軽快に踊る場面。二人とも可愛らしい[黒ハート]
そして、再び着替えの間の演奏シーンが入るのだが、ここはシネマ歌舞伎なので、ここまでのシーンのダイジェスト映像で楽しませてくれる。菊之助が紫の着物でソロを踊る場面を経て、引き抜きで白い衣装に鈴太鼓で最後の踊り。ここは、玉三郎も加わって、さらに盛り上がる。
やがて二人は鐘にのぼって髪を振り乱し、大蛇の化身となるのだが、ここまでの流れは圧巻。
舞踊作品として、変化に富んでいて面白いし、物語性も強く感じられるし、舞踊だけじゃ飽きてしまうような観客向けに所化によるお笑い要素も入っている。


そして、とにかく花子の二人が美しい。
二人の花子なのか、一人の花子とその分身なのか、影なのか…場面によって様々に見える。でも、どの場面も美しい。
アップで見た場合の、二人の大きな違いは、表情というか、目線の使い方。玉三郎は、とにかく目線の利かせ方がすごい。そして、その目線の利かせ方に、かの花總まり的なものを感じる。(たしかに、花子って、ハナちゃん的な要素が詰まっている。)
一方の菊之助は、そこまで視線を利かせないことで、幽玄な雰囲気を出している。
この辺は、お好み次第…かもしれない。


舞台がスタートするにはまだ時間がかかるので、しばらくは、映画を楽しみたいと思っている。シネマ歌舞伎もチャンスがあったら、また見たいな。


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