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月組大劇場公演 [┣宝塚観劇]

新年早々、月組大劇場公演に行ってきました。


2022正月0.jpg東京は、風も少なく、気候も暖かい日でしたが、途中、米原付近は、まだ雪景色。一瞬、不安になったものの、宝塚も、冬にしては温暖な気候で、安心しました。


行きの新幹線は、ここ2年ほどで最高の混雑。家族連れが多く、皆さん、大荷物。2年ぶりの帰省だったんだなーと、実感。かく言う私も、8月ぶりの大劇場。
世間様に比べると、観劇のために県をまたいでいる方だと自覚している私でも、やはり、遠征回数は控えめになっている。


2022正月1.jpg大劇場は、お正月ムードいっぱい。
そういえば、三が日に大劇場に行ったなんて、何年ぶりだろう[exclamation&question]ゆうひさん在団中に遡るんじゃないだろうか[exclamation&question]


入場時に劇場入口で発券してもらうチケット、去年までの組カラーだけのものと違って、トップコンビの画像付きなんですね[ぴかぴか(新しい)]これは、ちょっと嬉しい[るんるん]


2022正月7.jpgというわけで、月組公演の感想です。
いつものように、箇条書き形式で記載していきます。


お芝居は、「今夜、ロマンス劇場で」。
2022正月2.jpg綾瀬はるか主演のロマンチックな恋物語の映画作品を、小柳先生が、ミュージカルプレイにリライトした。


・病院のシーンから始まる、しかも、ナースなどの病院職員がプロ意識欠如している雰囲気などが、石田先生の作品かと思ってしまった…[爆弾]
・コロナ下、病院のスタッフさんは、中には宝塚のファンの方もいらっしゃるけど、観劇さえ控えて、お仕事に邁進されていると聞いているのに、その宝塚で、こんな杜撰な場面から始まるなんて、すごく残念[ふらふら]
・ここのとこ、ずっと、よき作品を連発している小柳先生だっただけに、今回は意外な気が…。それと、元々、相当に甘いラブロマンスというのは、同じテイストで宝塚化すると、相殺されて、甘さが減じてしまうのではないか…と感じたが、これは、本当のところはどうなのか、ちょっとわからない[あせあせ(飛び散る汗)]実際のところ、原作映画も、加藤剛(映画では、坂口健太郎演じる健司は老後、加藤剛になるのだ[exclamation])になってからの各場面がとびきりよかっただけなのかもしれない[爆弾]
2022正月3.jpg・もし、そうだとすると、健司の老後を、ナースの噂話ではなく、しっかりと場面として演じた方がよかったのかもしれない。月城であれば、老人・健司であっても、問題なく演じられるはずだから[ひらめき]
・よ~く考えてみると、大きな役がそれほど多い作品ではない。そのため、美雪を失った映画の中の世界から、登場人物たちが、こちら側の世界に次々と現れる…という展開になる。どちらかというと、映画の中の世界>現実の世界のような印象。これが、せっかくの原作映画の魅力を、うまく舞台に移せなかった主原因ではないか…という気がした。
・出演者は、さすが月組オールスターズ[exclamation×2]お披露目公演なのに、何も不安はなかった。特に、海乃美月が、映画の中のお姫様という居ずまいの難しい役を、舞台上に見事に咲かせて見せた。贔屓目だが、綾瀬はるかより美しく見えた。
月城かなとは、手堅く健司をまとめ上げた。できれば、老後の健司で演技力を見せてほしかった。
鳳月杏は、大スター・俊藤龍之介。ちょっと銀ちゃんっぽいビッグマウスなのだが、銀ちゃんと全然違うのは、彼の自己肯定感だろう。本物の大スターは、こんな風に空より広い心を持っているのかもしれない。ちょっと、出番が少なくて残念なのだが、真近でダイナマイトが爆発したのに、すぐ普通に復帰したら変だもんね…[たらーっ(汗)]
暁千星は、映画の登場人物、大蛇丸。実に美しい。コミカルな演技で沸かせる[いい気分(温泉)]
風間柚乃は、健司の仲間の助監督、山中伸太郎。のびのびと演じていて、バウ主演を経て、また大きくなったな…と感じた[ぴかぴか(新しい)]
・月組に異動してきた彩みちるは、映画で、本田翼が演じた映画会社の社長令嬢役。前回大劇場で観た時は、妖艶な冴子さんだったのに、とても清楚で、でも、恋に一直線であり、仕事もできる、おっとり女子になっていた[かわいい]


2022正月4.jpg


休憩時間に、劇場前の看板を撮影してきた[るんるん]
お正月らしく、各組トップコンビの看板。「Keep on Movingーさらなる輝きをめざして。」ということだけど、トップスターとトップ娘役の倍率が…一寸法師かっ[バッド(下向き矢印)]


さて、ショーは、ジャズのスウィングを全編に散りばめたショー…ということらしい、「FULL SWING!」。作・演出は三木先生。


・SNSで噂には聞いていたが、主題歌のリズムの拍が速くて、ジャズの裏打ち手拍子をしていても、だんだん遅れて表打ちになる人が多数。ものすごく雑な手拍子で、これは逆に出演者も歌いづらいのではないか…と不安になった[爆弾]
・第2景は、砂漠で雨を求める設定だったらしいが、龍の宮に雨乞いに来る青年()たちの場面(日本的な…)かと思ってしまった。で、これがジャズなの…[exclamation&question]と…[あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)]
・第3景は、大人気のジゴロ(鳳月)が、いつまでもあると思うな、人気とお金…と、少し焦り、若き日を思い出して歌い踊る場面。なんで、ジゴロにマネージャー(晴音アキ)がいるの[exclamation&question]場面のヒロインを晴音が演じたのは、とてもステキ。実力派の娘役はどんどん活用してほしい[パンチ]
・第4景は、戦場から戻ったジャンゴ(月城)が死の影に心を奪われそうになるのを、恋人(海乃)らパリのカフェの人々が心をひとつにして阻止する…みたいな場面。いやー、ここまで、トップコンビが全然出てこないから不安になったよ…[あせあせ(飛び散る汗)]この構成はいかがなものか[爆弾]
・中詰(第5景)は、ジャズのメドレー場面。鳳月が、ゆうひファンには懐かしい「Strangers in the Night」を歌ってくれて、しみじみ…[もうやだ~(悲しい顔)]
・第6景。海乃を争う月城VS鳳月。この手の場面は、普通、誰かが死ぬ展開になるが、2公演連続、平和に勝ち残り、トップ娘役を我がものとするちなつちゃん、最強なんですけど[ぴかぴか(新しい)]
・第7景からフィナーレは、彩みちるちゃんの活躍が嬉しかった。銀橋を一人で歌い渡ったり、3組のデュエットダンスに選ばれたり。あ、でも、お披露目公演のデュエットダンスが3組のデュエットダンスでよかったのだろうか[exclamation&question][あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)]
・ファンとしては、ちなつちゃんの2番手羽根は嬉しかったけど、月城、鳳月、暁、風間の4人をフィーチャーしたという感じのショーだな~と思った。トップコンビと2番手さんには、これが、新体制のお披露目なんだけどな…という、ちょっとだけ、喉に何かが引っかかったようなショーだった。(個人の見解です)[バッド(下向き矢印)]


2022正月5.jpg新年の宝塚、今後のラインアップを観ながら、すべてのタカラジェンヌに幸あれ~と祈る一日だった。


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ショー「Dream Chacer」感想 [┣宝塚観劇]

スーパー・ファンタジー
「Dream Chacer」


作・演出:中村暁
作曲・編曲:手島恭子、青木朝子
編曲:多田里紗
音楽指揮:佐々田愛一郎
振付:羽山紀代美、御織ゆみ乃、若央りさ、平澤智、ANJU、百花沙里
装置:新宮有紀
衣装監修:任田幾英
衣装:薄井香菜
照明:勝柴次朗
音響:加門清邦
小道具:西川昌希
歌唱指導:彩華千鶴
演出助手:谷貴矢
舞台進行:安達祥恵


第1章 プロローグ “Dream Chacer”
プロローグから、大階段を使った華やかなショー。下弦の三日月型の大きな吊り物が、印象的。全員、白×ベージュ×金の衣装で、娘役は、ミニスカートにブーツ。みんな、サンダーバード風の帽子をつけている。
元気のいいショーになりそうな雰囲気。


第2章 情熱(スパニッシュ)
カリエンテ(鳳月杏)が歌いながら銀橋を渡る。
本舞台では、アレグリア(美園さくら)が、アミーゴ(暁千星)とスパニッシュを踊っている。美園の衣装は、背中が大きく開いたセクシーなものだが、なぜかあまり似合っていない[爆弾]
アミーゴは、熱烈にアレグリアに求愛するが、歌い終わったカリエンテが現れると、アレグリアは、カリエンテと踊ることを選ぶ。アレグリアをめぐっての恋のさや当て。
やがて、負けたことを悟ったアミーゴが去り、カリエンテはアレグリアと情熱的に踊る。
アミーゴがピストルを持って帰ってくると思っていたけど…そういう話ではなかったらしい[あせあせ(飛び散る汗)]


第3章 ミロンガ
ピストルを持ってくるわけはなかった。はスパニッシュからスーツに着替えて、カンタンテとして下手花道に登場。しれっと、歌い始めた。そんなカンタンテにミロンガの女(結愛かれん・蘭世惠翔)が絡む。二人ともコケティッシュで可愛い。
ミロンガでは、珠城海乃美月と密着して踊ったり、天紫珠李から鳳月を奪って踊ったり、今度はと踊ったり、色気を振りまいている。振付はANJU先生。セクシーで素敵な場面でした[黒ハート]


第4章 I’ll be back
月城かなとを中心に、夢奈瑠音・風間柚乃・礼華はる・柊木絢斗・一星慧・瑠皇りあが歌い踊る場面。
月城は、プロローグからここまで出番がなかったので、満を持して…という感じ。こちらも、なかなかセクシーな場面でした。


第5章 Dawn(暁)
中詰は、和テイストのロックなナンバー。ここでは、全員、青×黒×金の衣装。娘役のダンスもシャープでかっこいい。途中、次期トップコンビに内定している月城海乃が二人だけで踊る場面が短いながらも挟まれ、これからの月組への期待も感じられる。
和風×ロックなビートがテンション上がるシーンだった。


第6章 Hymn of life(生命の讃歌)
全員参加の歌い上げ、踊り上げの場面。
月城の歌からスタートし、全員で珠城を囲んで歌い踊る。


第7章 フィナーレ
フィナーレは、風間柚乃のフレッシュな歌から。ふ…フレッシュ[exclamation&question]
続いて美園さくらを中心とする娘役だけの場面。
ロケットを挟んで男役の群舞は黒燕尾。トップさんの退団公演では、飾りのないシンプルな黒燕尾で通すというのが、わりと多い。今回も、ここから珠城は出ずっぱりとなっている。
デュエットダンス、美園のドレスは、ピンクの濃淡グラデーションになっていて、これは、芸名の「さくら」に因んでいるのかな。ここから、主要な男役の一人一人と珠城が絡んでいく場面へ。グッときますな。組長の光月るうが、このメンバーに入っているのだが、一緒に踊るのではなく、出ずっぱりの珠城の汗を拭ってあげるというのが、なかなか演出の技の光るところだな…と思った。晴音アキ麗泉里のカゲデュエットもすごく素敵だった。


長きにわたり、月組を牽引してきた珠城りょうの退団公演。思いを馳せるシーンもあり、とはいえ、トップコンビやトップ2番手の場面が少ないなど、斬新な作り方もされていて、退団公演にしては、挑戦してるなーと感じる公演だった。


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雪組大劇場公演 [┣宝塚観劇]

雪組大劇場公演に行ってきました。


朝7時の新幹線で関西へ。関東はものすごい雨だったけど、宝塚は晴れて暑い。晴雨兼用の傘をわずか3時間で本当に兼用してしまった[あせあせ(飛び散る汗)]


いつもより10分遅い新幹線だったので、劇場に到着すると、ちょうど開場時間。いつものように、友の会カードをスキャンして入場。何度も確認しているけど、実券がないと、実際入場するまで不安ですね。(日頃、日時や会場を間違えているヒト…)
劇場で、お友達にも会えたし、(東京で上演される公演のチケット受け渡し。なんで、わざわざムラでやるんだ、私たち…)短い滞在時間だったけど、満喫できた。


お芝居は、「シティハンター」。齋藤吉正先生脚本なので、いろいろ不安を抱えての観劇。以下、恒例により、箇条書きで感想を記載していきたい。


・情報量多すぎ[exclamation×2]
・香の100tハンマーは随所に登場したものの、例の単語は、すべて「ハッスル」に置き換えられてた。意味は通じるし、あの単語が示す直接的な雰囲気がなくなったことで、宝塚的に成立する作品になり得たと思う[ダッシュ(走り出すさま)]
・齋藤先生らしく、映像を使ったシーンが多い。オープニングナンバーのところは、開演アナウンスも含め、ものすごくかっこいい[ぴかぴか(新しい)]特に「雪組の彩風咲奈です」の後に拍手が入るとかいうダサさがまるでなく、バーンっと映像が出た瞬間に拍手が起きるの、すごく自然でかっこいい[黒ハート]あ、でも、今回、お披露目公演だから、本当は、今回こそ、そこで拍手入ってよかったかも…なんだけど[わーい(嬉しい顔)]あと、指揮者への拍手もバッチリ入っていて、本当によき開演アナウンスタイミングでした[ひらめき]
・槇村(綾凰華)が幽霊刑事みたい…[るんるん]てか、齋藤先生、槇村、好きでしょ[exclamation&question]
・冴羽獠言板、ここにいろいろ書き込まれていて、もし、目に余裕が出たら、ぜひ見てほしい。ここは、どんどん進化しそう。たぶん、生徒さんに開放されていくと思うので、期待[グッド(上向き矢印)]


FF開演前.jpg・ショーは、稲葉先生の「Fire Fever!」。プロローグのダンスから、ものすごくかっこいい。特に、トップ娘役の朝月希和が、男役たちと一緒に踊る場面、同じ振付を同じ力強さで踊っていて、こういうかっこいい場面ってステキだな~と思った[ぴかぴか(新しい)]
・その一方で、滑稽な貴公子というサブタイトルを持つ場面は、滑稽ではすまない失敗場面。ここは、東京公演でシーンごと差し替わるんじゃないかな[ふらふら]
・ドン・ジョヴァンニ(ドン・ファン/ドン・ジュアン)がテーマの場面なので、主人公(朝美絢)がサイテー男なのは、そんなに気にならないが、最後に現れる騎士団長ならぬ組長演じるプリマドンナが、女装した男性という設定。「男はイヤだ」と逃げるドン・ジョヴァンニに無理やりキスをして終わる。これは、後味が悪い[爆弾]
・ロケットと、それに続く8シャルマンは圧巻[ぴかぴか(新しい)]でも、そこからの早替りでスーツで踊るは、かなり気の毒だった[もうやだ~(悲しい顔)]
・新生雪組の魅力は伝わる両作品。ブラッシュアップして、より良き作品として東京に来てほしい。無事、千秋楽まで完走できますように[黒ハート]


202108ベルばら.jpg駅前のベルサイユのばらは、特にカットされることもなく咲いていた。秋に大きな花を咲かせるためには、6月のよき頃に花を切るんだけどな。ちゃんと面倒見てくれているのかしら[exclamation&question]


帰りの新幹線では、特に眠ることもなく過ごせたので、かなり久々に車中から富士山を見た。夏だから、まったく雪を冠していない富士山。
私が富士山を撮影すると、必ず、雲をかぶってしまうんですけど。202108富士1.jpg


202108富士2.jpg


 


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宝塚月組東京公演「桜嵐記」観劇 [┣宝塚観劇]

ロマン・トラジック
「桜嵐記」


作・演出:上田久美子
作曲・編曲:青木朝子、高橋恵
音楽指揮:佐々田愛一郎
振付:若央りさ、麻咲梨乃
殺陣:栗原直樹
装置:新宮有紀
衣装監修:任田幾英
衣装:薄井香菜
照明:勝柴次朗
音響:実吉英一
小道具:下農直幸
演技指導:立ともみ
所作指導:花柳寿楽
歌唱指導:ちあきしん
演出助手:熊倉飛鳥
舞台進行:安達祥恵


珠城りょう・美園さくらコンビのサヨナラ公演。
大劇場で、置いて行かれたまま、東京公演でも、悲劇に没入できずにいる。原因は、おそらく、SNSに流れる「号泣した」感想の数々。それでハードルが自然に上がってしまった。勝手に、ものすごい悲劇を想像して、そのわりに、納得性の低い展開だったので、白けてしまったんだろうと思う。
もちろん、納得性の高い悲劇にしなかったところに、上田先生の深いこだわりがあるのだろう…とは思いつつ。
人は、(特にサヨナラの時は)うまく騙されて号泣したい贅沢な生き物なのですよ。


幕が上がると、この時点では正体を隠した、壮年の楠木正儀(光月るう)が登場する。そして、客席に向かって、「南北朝をご存じですか?」と呼びかける。
そして、ものすごく雑に南北朝時代というものについて解説を始める。武士政権の腐敗、楠木正成(輝月ゆうま)の登場と鎌倉幕府の滅亡、後醍醐天皇による建武の新政の失敗(武士を排除して公家だけで政治を行おうとしたため)…でもさ、倒幕は、足利高氏(のちの尊氏)なくしては成しえなかったはずなのに、そこ外して、正成ですか[exclamation&question]とは思う。
主人公の父親である楠木正成の活躍を強調したかったからだろうか。
でも、倒幕の立役者=尊氏(風間柚乃)だからこそ、その後の歴史の流れにつながるので、この解説はちょっとな…。
まあ、そもそも、南北朝時代が生まれる背景として、後醍醐天皇という、日本史の中でも相当クセの強い天皇(一樹千尋が怪演[ぴかぴか(新しい)])の存在は不可欠で、この人が、「治天の君」になりたいと思わなければ、こんなことにはなってないわけで、それを公家が政治を取り仕切ったからうまくいかなかった…という纏め方は、あまりにも乱暴だなーという気がした。もちろん、それまで政権担当してなかった人が政治の中心になれば、混乱はあるだろうけど、それだけで、歴史の流れは止まらない。現に、明治維新は、同じような混乱を乗り越えられた。
歴史が動くには、様々な要因があり、でも、その様々な要因を「大きな流れ」が、最終的にひとつの方向へ押し流していく。それが正行の言う「流れ」であるなら、流れに至るまでの物語を、雑に纏めないでほしかった。
流れは、ここから始まるものもあれば、ここまで続いてきたものもあるのだ。ここから始まった物語が、美しければ美しいほど、ここまで続いてきたはずの物語への扱いの雑さが気になる。
上田先生も、「見せたいものしか語らない」「作者都合で歴史を捻じ曲げる」人になっていくのだろうか。この不安が杞憂であることを祈りたい。


珠城りょう、鳳月杏、月城かなとの演じる楠木三兄弟の美しい若武者ぶり、登場人物の一人一人が、演技者として、最大限に力を発揮できるように、そして、絵巻物のようにどの場面も美しく印象に残るように…と、細部までこだわった舞台作りはさすがで、感情移入という部分を除けば、美しい舞台を見せてもらった、珠城らしいサヨナラ公演であった、と、満足している部分は、もちろんある。
特に、南北朝時代、冒頭に説明が入るくらい、宝塚の舞台で馴染みがないわけで、衣装などは、主役以外は別時代のものをアレンジして使ってもいたが、太刀や、正儀が使用する長巻などは、この時代のものに寄せて作っていて、宝塚の本気を強く感じた。
まあ、サヨナラ公演というのは、頭が痛くなるくらい泣くものなので、物語に納得いかない方が、頭痛もなく、美しさを堪能できたので、よかったのかな…と思った。


出演者感想です。
珠城りょう(楠木正行)…美しい、かっこいい、潔い。ありがとうございます。その姿を眺めるだけで、少しずつ、自分が成仏していくように思いました。


美園さくら(弁内侍)…就任以来、毎公演、苦手度が増してくる娘役さんだったので、現状、最大限に苦手です。セリフの声が苦手なのかな、特に。


月城かなと(楠木正儀)…正行からこの先を託される正儀に、組を託される月城が重なる。そんな重さを吹き飛ばすような、明るく、力強い若武者姿が良かった。


一樹千尋(後醍醐天皇)…アモナスロさん以来のヤバい権力者来た~[あせあせ(飛び散る汗)]生きてる時からヤバかったけど、死んで亡霊になったら、もう恐くて…本当に怪演でした[黒ハート]


光月るう(老年の楠木正儀)…冒頭の説明台詞の明確さ、本編ラストの深み、どれも、さすがでした。


夏月都(老年の弁内侍)…弁内侍が、あの後、どんな風に年月を重ねてきたのかが伝わる、見事な姿だった。ふとした場面で、美園演じる弁内侍を彷彿とさせるところもあり、なのに、苦手に思わないのは、声質の差なのかな。


紫門ゆりや(高師直)…何度見ても紫門に見えない。本当にすごい役者魂を感じた。ちなみに、顔が怖くて、女性にだらしないだけで、別に悪人じゃないですよね、今回の師直。


千海華蘭(ジンベエ)…本作品の中で、一番、人として信用できるキャラクターだと思った。長生きしてください。


鳳月杏(楠木正時)…戦いより飯炊きと妻が大好き…という、キャラが立っていてわかりやすい役。すっと立っている時の美しさにため息が出た。


輝月ゆうま(楠木正成)…解説と回想の中にしか登場しない難しい役どころだが、有名な武人、楠木正成として、作品世界そのものになっていたと思う。


海乃美月(百合)…夫の正時を愛し抜く妻。二人のラブラブな場面は、見ているこちらもニマニマしてしまった。


暁千星(後村上天皇)…尊かった…[ぴかぴか(新しい)]出陣式の歌がたまらなかったです[もうやだ~(悲しい顔)]


風間柚乃(足利尊氏)…素晴らしかったです。背中に室町幕府が見えました[ぴかぴか(新しい)]


春海ゆう(大田佑則)、英かおと(大田百佑)…百合の父と弟。コミカルな場面、涙を誘う場面、この二人の安定した力があればこそだな…と思う。


白雪さち花、晴音アキ…師直の愛人や吉野朝廷の貴族(男)など、八面六臂の大活躍。マジうまい[ぴかぴか(新しい)]


香咲蘭(楠木久子)…楠木正成の妻らしい、心の広い、温かい女性というのが、豪快な芝居の中に伝わる。今回で卒業するが、ご褒美にとどまらず、印象を残している。


楓ゆき(阿野廉子)…吉野まで同道した後醍醐天皇の寵姫にして、後村上天皇の実母。美しい…そして、強い…笑顔の素敵なが、笑顔を封印する役だったのは、悲しいが、サヨナラにふさわしい重厚な芝居が忘れられない。


佳城葵(北畠親房)…後醍醐天皇の側近。いやみな物言いが最高でした[黒ハート]でも、息子を亡くしたり、翻弄されてもいたんだよね…後醍醐さんに。


夢奈瑠音(北畠顕家)…本役での登場はたった一場面だったけど、本当に素敵でした[黒ハート]見事な武士像[ぴかぴか(新しい)]


蓮つかさ(高師泰)…高師直の弟。印象に残る場面はあまりもらえてない印象だが、口跡よく、印象に残った。


天紫珠李…後村上天皇の中宮顕子は、との並びがひな人形のように美しく、冒頭の解説シーンの光明天皇は、一瞬の出番だったが、元男役ならではのきりっとした姿も見られた。


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宝塚星組舞浜特別公演「VERDAD!!」 [┣宝塚観劇]

REY'S Special Show Time
「VERDAD!!ー真実の音ー」


作・演出:藤井大介
作曲・編曲:吉田優子、青木朝子、手島恭子
編曲:伊賀美樹子
振付:羽山紀代美、平澤智、SHUN、ASUKA、百花沙里、珠洲春希
装置:新宮由紀
衣装:加藤真美
照明:佐渡孝治
音響:大坪正仁
小道具:福澤和宣
映像:桜葉銀次郎(O-beron inc.)
歌唱指導:KIKO
演出助手:栗田優香
舞台進行:香取克英
舞台美術製作:株式会社宝塚舞台
演奏コーディネート:新音楽協会
制作:竹内淳
制作補:福島功二
制作・著作:宝塚歌劇団
主催:阪急電鉄株式会社
映像協力:パナソニックシステムソリューションズジャパン株式会社、株式会社エイド・ディーシーシー
メイク協力:M・A・C


この公演のタイトル、「VERDAD!!ー真実の音ー」は、礼真琴の歌声そのものなのでは…と思いながら、席に着いた。舞浜でのコンサートは、明日海りおが主演した「Delight Holiday」以来2年半ぶり。あの時は、イクスピアリ(舞浜駅前のショッピングモール)の中も超歓迎ムードで、あちこちにポスターを貼りまくっていたが、今回は、終演後、駅方向に向かう客は、外周道路に流すようになっていて、イクスピアリはおすすめルートになっていなかった。(それでも、イクスピアリ方向に向かうと、アンバサダーホテルの中庭で、イクスピアリ入場のための列ができていた。イクスピアリ入場前の検温の関係で、一列になって入らなければならないためらしい。)
2年半ぶりの千葉での公演なのに、100%歓迎ムードじゃなかったのは、とても残念で、ぜひぜひ近い将来、リベンジしてほしいなーと、心から願っております。


ACT1 Amor Verdaderoー真実の愛ー
ACT1は、宝塚の楽曲をふんだんに聞かせるコーナーとなっている。
最初の一曲は、「愛!」
これは、1972年の花組公演「ポップ・ニュース」において、真帆志ぶきによって、歌われたナンバー。「愛、愛はあいすること、愛されるより愛すこと…」という、きっぱりとしたフレーズをお聴きになった方も多いだろう。
作詞:鴨川清作、作曲:寺田瀧雄。宝塚スペシャルのような特別公園や、宝塚のOGイベントなどでも、よく歌われる。
しかし、礼真琴が「愛!」を歌うのを聴いて、「この曲は、作詞者、作曲者が亡くなってなお、礼真琴を待っていたのではないか」という、妄想を抱いてしまった。それほどに、に歌われることを待っている曲に思えた。


私の宝塚ファン歴は、平成2(1990)年~が、公式なので、今年で、研32になる…のかな。
なんだけど、子供の頃に、ちょっと観たことがあって、その頃の歌は、今でも覚えている。初観劇の「ザ・スター」も、その一曲。初演の「ベルサイユのばら」と併演された(東京)真帆志ぶきサヨナラ公演のテーマソング。いやー、歌詞まで完璧に覚えている自分が怖かったです。


さて、今年、星組は88周年なんだそうで、そんな星組の過去作品から、メドレーで、曲紹介。
「ハロー・タカラヅカ」(1970年『ハロー!タカラヅカ』)(上月晃)
公演は観ていないのですが、大昔の(いわゆる“夢まつら”)TMP音楽祭(今の宝塚スペシャル)で、天海祐希さんが、当時の社会党委員長、土井たか子さんのモノマネで、[るんるん]ハロー![るんるん]と一節歌ったのが忘れられません[わーい(嬉しい顔)]
「祈ろう愛を」(1972『愛のコンチェルト』真帆志ぶき・鳳蘭・安奈淳)
この作品は、テレビ収録があって、私はそれを見たことがあったみたいです。安奈さん演じる“こだま”が可愛くて…[揺れるハート]元月組トップ娘役、こだま愛さんの芸名は、この、“こだま”から採られたそうです。
「愛の宝石」(1973年『ラ・ラ・ファンタシーク』)(鳳蘭・安奈淳)
鳳蘭・大原ますみ・安奈淳ゴールデントリオ時代のショー作品ですね。「愛の宝石」は、今や、安奈淳さんのテーマソングみたいになってますね。私は、1990年のショー「ジーザス・ディアマンテ」で初めて聴いたのが、印象に残っています。
「スキャット」(1975年『マイ・ハイ・スイング』)(鳳蘭)
ヨーロッパ公演の試作品として上演されたショーで、鳳蘭さんの、ものすごい気合いのこもったスキャットや、舞台上での集団三点倒立など、めちゃ斬新なショーでした。(舞台を観てはいないのですが、中継は見ました!)
そして、礼真琴のスキャットは、気合いとかではなく、「真実の音」が聴こえてきた[exclamation×2]という感じだった。
「セ・シャルマン」(1978年『セ・シャルマン』)(鳳蘭)
いつもサビのところしか、出てこない「セ・シャルマン」だけど、今回は、少し長めに。ああ、こんな曲だった~[ひらめき]と思いながら、以前、どこで聴いたんだっけ[exclamation&question]と考えてたら、ゆうひさんの退団前のDSだった[exclamation×2]「真実の音」が聴けてよかったです[黒ハート](をいをい[爆弾]
「セ・マニフィーク」(1977年『セ・マニフィーク』)(鳳蘭)
鳳蘭さんが現在もテーマソングとしている「セ・マニフィーク」を歌ったのは、天寿光希[exclamation×2]ピンクの髪が、かっこいい[ぴかぴか(新しい)]礼真琴は、ダンサーとして金髪美女と踊っている。礼が踊っているのだから、相手は、舞空だろう…と思い込んでいたら…え[exclamation&question][exclamation&question]ええっ[exclamation&question]
瀬央ゆりあ様、お美しい…[ぴかぴか(新しい)][ぴかぴか(新しい)][ぴかぴか(新しい)][ぴかぴか(新しい)]


ここで、礼&瀬央の同期コンビによる、日替わりトーク。
同期ならではのフランクな、そして、この二人ならではの緩いトークが楽しかったです[黒ハート]


ここから、若手メンバーが入れ替わり登場して、星組メドレーを歌い継ぐ。
「ファンシー・ゲーム」(1980年『ファンシー・ゲーム』)(瀬戸内美八)
これは観ていないですね。でも、トップ娘役の東千晃は好きで、さよなら公演は観に行った記憶があります。
「愛のクレッシェンド」(1981年『クレッシェンド!』)(瀬戸内美八)
これも観ていないです。
「魅惑のサンバ」(1982年『魅惑』)(瀬戸内美八)
東千晃のさよなら公演のショーですね。この東京公演を観劇しました[黒ハート]ちなみに、ここで歌われる「魅惑のサンバ」は、のちの星組公演「ナルシス・ノアール」の間奏曲で当時若手だった稔幸・絵麻緒ゆう・神田智が銀橋で可愛く歌っていたのを覚えています。
「ストーミー・ラブ」(1982年『ザ・ストーム』)(瀬戸内美八)
またまた観てないです。
「ボンジュール宝塚」(1985年『ザ・レビューIII』)(峰さを理)
これも観てないですが、この「ボンジュール宝塚」は、宝塚スペシャルなどでもよく歌われているので、新しいファンの方もご存じじゃないかと思います。


ここで、今年1月30日に逝去した峰さを理さんに対して、ことちゃんから、哀悼のメッセージがあり、後ろのスクリーンに峰さんの在りし日の映像を流しながら、代表作を歌い継ぐ。
「ジュリアン・クレール」(1983年『アルジェの男』)
「コルドバの光と影」(1985年『哀しみのコルドバ』)
「愛の祈り」(1985年『西海に花散れど』)
「花吹雪」(1987年『紫子ーとりかえばや異聞ー』)
「レビュー万歳」(1986年『レビュー交響楽』)
もう、どれもこれも懐かしいですね。初演を観たのは、「レビュー交響楽」だけですが、再演やイベント等で曲にはなじみがある[黒ハート]名曲揃い[ひらめき]やはり、峰さんという、豊かな歌唱力の持ち主に対して、こういう曲を書きたい…という気持ちが、作曲家の先生に沸き上がったんだろうな~と思う。
とすれば、ことちゃんにも、すごい曲がどんどん書かれていくことになるんだろうなー[黒ハート]


峰さん以降は、各トップさんに1曲の配分で進んでいく。ところどころ、人気のバラードは別枠で。
ちょうどこの枠が、私が連続して観劇している期間だったので、映像と舞台の両方を眺めながら、きゃあきゃあ楽しんでました[黒ハート]


「Too Hot」(1988年『Too Hot!』)(日向薫)
観始めたのが、「ベルサイユのばら」からなので、この公演は観ていない。併演の「炎のボレロ」は映像で知っているのだけど…。
「ワンナイト・ミラージュ」(1992年『ワンナイト・ミラージュ』)(紫苑ゆう)
戻ってきて最初に好きになったスターさんがシメさんなので、このお披露目は嬉しかったです。当然ムラまで観に行きました[黒ハート]
「心はいつも」(1993年『パパラギ』)(紫苑ゆう)
大劇場公演をアキレス腱断裂のため、シメさんが全休演され、とても複雑だった公演。本当は裸足で踊るデュエットダンスだったのですが、復帰した東京公演では、さすがにサンダルでしたね。
「ジュビレーション!」(1995年『ジュビレーション!』)(麻路さき)
石田先生のショーで、当時の石田先生のマイブームだった、ミニスカ&ブーツ&ポンポン、そして、インカム使用のショーでした。あの頃は、1本物作品とか、衣装の見栄え等、理由があれば、トップスターでも、最後の大羽根を背負わないことがあって。お披露目公演が1本ものだったマリコさんは、2本目の「ジュビレーション!」でも未来風の衣装だったことから、大羽根を背負わなくて、さらに、中詰のラストのパレードにトップスターが登場しない…とかあって(こちらは東京で改善)、石田先生袋叩き状態でしたね~。あの当時SNSがあったら、抹殺されてましたね。
「美麗猫」(2000年『美麗猫ーミラキャットー』)(稔幸)
登場するのが全部猫という意味では、藤井先生の『Gato Bonito!!』と同じコンセプトかな。変則的なロケットボーイ役の音羽椋に将来の大浦みずきを感じたんだけどなぁ…。
「青い星の上で」(2001年『夢は世界を翔けめぐる』)(稔幸)
自衛隊募集ポスターとか言われたり、前評判はイマイチだった公演だが、のちに多くのタカラジェンヌに「歌いたい!」と言わせる名曲が誕生した。ここは、天寿音咲いつきが、上級生らしく締めてくれた。
「LUCKY STAR!」(2002年『LUCKY STAR!』)(香寿たつき)
88期の初舞台公演。紅さんが、やたら、「LUCKY STAR!」を連呼してくれたおかげで、後年、有名になった気がする。
「カリビアン・ナイト」(2004年『タカラヅカ絢爛』)(湖月わたる)
2004年は、宝塚歌劇90周年だったので、ショー作品は、すべてタイトルに「宝塚」「タカラヅカ」「TAKARAZUKA」のいずれかを付ける縛りになっていた。この、『タカラヅカ絢爛』は、星組の後、月組で続演することになったので、元月ファンにも懐かしい。
「夢舞台」(2009年『ア ビヤント』)(安蘭けい)
とうこさんのサヨナラ公演。フィナーレ出ずっぱりで汗だくのとうこさんしか覚えてない…そういうの考えてほしいと思ったけど、10年以上経っても改善されないもんですね。
「Etoile de TAKARAZUKA」(2012年『Etoile de TAKARAZUKA』)(柚希礼音)
ちえちゃんの作品からは、エトワール。まあ、メドレーにしやすいっていう理由でしょうかね。
「THE ENTERTAINER!」(2016年『THE ENTERTAINER!』)(北翔海莉)
みっちゃんとかになると、もう最近って感じですね。
「Rouge Comet」(2018年『Killer Rouge』(紅ゆずる)
直近ですね、ここまで来ると。
「Ray」(2020年『Ray』)(礼真琴)
そして、こっちゃん率いる現・星組まで辿ってまいりました。


さらに、星組とは深い縁がある作品、『ノバ・ボサ・ノバ』から、「アマール・アマール」が、歌われた。今度こそ、舞空によるデュエットダンスも。


ここで、こちらも最近物故された、真帆志ぶきさんについて言及があった。初演の『ノバ・ボサ・ノバ』でソールを演じた真帆さんをしのび、『ノバ・ボサ・ノバ』からメドレーで、「ソル・エ・マル」「カルナバル」「シナーマン」が歌われた。
『ノバ・ボサ・ノバ』は、南米のヒット曲を原詩のまま歌い繋いで構成された、すごく斬新なショーだが、オリジナル曲が3曲入っている。入江薫が作曲した「ソル・エ・マル」、吉崎憲治が作曲した「カルナバル」、そして寺田瀧雄が作曲した「アマール・アマール」。当時の劇団を代表する作曲家の競演というわけだ。
ちなみに「シナーマン」は、アレンジされたスキャット部分以降の再現だったので、「シナーマン」の歌詞は使われていない。この辺も、円盤化への配慮かな[exclamation&question]なんて思った。
のスキャットが素晴らしすぎて、手を合わせて拝みながら聴いてしまったわ[黒ハート]
そしてやっぱり飛び跳ねている星組メンバー[わーい(嬉しい顔)]
背景の画面にゆうひさんが映ってないかなぁ~と探してしまったのは、OGファンあるあるですね。


そして、真帆さんの代表曲である「愛!」のリプライズでACT1は終了。


ACT2 Sueno Verdaderoー真実の夢ー
ACT2は宝塚にこだわらないヴァラエティショー。
まず、オリジナル曲「VERDAD!!ー真実の音ー」「AVANZER!!ーいざ進めー」2曲で場をあたため、ここから、日替わりのコーナーへ。
ここでは、毎回、出演者の何人かが登場して、とトークをする。の意外な人柄が知れたり、登場した下級生を覚えたりできる貴重な場面。


ここで下級生娘役(センターは舞空)による、「Poppin’ Shakin’」(NiziU)。可愛かったです。ちなみに、ここのチーム名は、リーダーの名にちなんで“NijoU”らしいです[わーい(嬉しい顔)]


で、舞浜に来ると、どうしてもやらなければならないのか、ここから、コント的な場面へ。
前回の花組は、こたつトークだったが、今回は、カラオケボックスでの新人歓迎会。いろんな意味で、かなりヤバいネタだな…と思いつつ眺める。セクハラ上司とか「ツボネダ」という名の先輩女性社員とか、ひっとんの、“白木瞳”とかも、しょーこちゃん(黒木瞳)に許可取ってる[exclamation&question]と、ビビるわ。ちなみに、黒木瞳って芸名、五木寛之さんが命名したんだからね、大変な名前なんだよ[exclamation&question]
さすがにこういう場面の天寿音咲は、なくてはならない存在だな…と思う。
こういう場面が必要かどうかは、置いておいて。


場所がカラオケボックスということで、ここでは、ポップスナンバーが続く。
「ローラの傷だらけ」瀬央ゆりあ
「ギラギラ」~「starting over」~「R.Y.U.S.E.I」礼真琴、瀬央ゆりあ
「限界突破×サバイバー」天寿光希、音咲いつき
「砂の城」礼真琴、音咲いつき


みんなステキだったけど、「限界突破…」は、こっちゃんの歌で聴いてみたいな~[揺れるハート]とも思う。氷川きよしが、限界突破レベルで歌ウマだと気づいた曲だったから。


で、ここからが、舞浜お約束のディズニー・ソングコーナー。 
「Part of Your World」(リトル・マーメイド)舞空瞳
「Beauty and the Beast」(美女と野獣)礼真琴、舞空瞳
「Be Our Guest」(美女と野獣)礼真琴、舞空瞳、瀬央ゆりあ
「Let It Go」(アナと雪の女王)礼真琴、舞空瞳、瀬央ゆりあ


お腹いっぱいなくらい、素晴らしかった[黒ハート]
「Be Our Guest」「Let It Go」は、もう言葉にならなかった。礼真琴、神なの[exclamation&question]


ここで忘れていた、カラオケボックスのキャラクター、出来無杉まことくん()が再登場し、カラオケで、「ひとかけらの勇気」(THE SCARLET PIMPERNEL)を歌うのだが、1番をわざと音痴で歌う演出って誰得[exclamation&question]いいから歌をキカセロ[exclamation×2]
カラオケメンバーで、「炎の中へ」(THE SCARLET PIMPERNEL)が続き、そこからはまじめに、ミュージカルナンバーが続く。
の歌う「STARS」(レ・ミゼラブル)は、ちょっと心が震えてしまって、息をすることさえ忘れてしまった。現在、帝劇では、「レ・ミゼラブル」が絶賛上演中なこともあり、一曲だけでも世界観にすぐ入り込める。ジャベールの魂の叫びが聞こえたような、そんな歌声だった。
「The Phantom of the Opera」(オペラ座の怪人)は、都優奈の歌唱。「New Wave」で歌が得意だと言っていたが順調に歌手として成長していて、嬉しく思った。
「自由を求めて」(ウィキッド)は、再びのソロ。ひゃー[あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)]もう、言葉が出ない[あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)]冒頭に登場した「ザ・スター」は、宝塚版「歌い続けて」だと思っているが、礼真琴には、もう、この時点で、「歌い続けて」を捧げたい。
「Seasons of Love」(RENT)が出てきたのは、藤井先生の趣味かな、と思うが、大好きな曲だったので、素直に嬉しかった。


そして、J-POPに戻って「夜に駆ける」。最後のナンバーは、テーマソングの「VERDAD」
最後のメンバー紹介などは、過去のコンサートを踏襲している感じ。もう、これは、宝塚でのコンサートは、これでやるんだという、強い意志を感じる。
あ、でも、金テープを飛ばすのは、今回は、やらなかったなー。時節柄[exclamation&question]


まさか、と思っていた、「トロッコ」移動もアクリルで四方を防御した形で実現していて、宝塚のスタッフ様、すごい[exclamation×2]と感動した。
このような状況下で、夢のようなステージを観ることができて、本当に幸せな時間。ありがとうございました[黒ハート]


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ショー「Cool Beast!!」感想 [┣宝塚観劇]

パッショネイト・ファンタジー
「Cool Beast!!」


作・演出:藤井大介
作曲・編曲:青木朝子、手島恭子
指揮:塩田明弘
振付:羽山紀代美、御織ゆみ乃、若央りさ、平澤智、百花沙里
装置:新宮有紀
衣装:加藤真美
照明:佐渡孝治
音響:大坪正仁
小道具:加藤侑子
歌唱指導:彩華千鶴
演出助手:樫畑亜依子
舞台進行:出合史奈


S序 イニチム・ソムニアー夢の始まりー
上手スッポンから凪七瑠海が登場して歌い、下手スッポンから美穂圭子が登場して和す。今回のショーは、この専科の二人が語り部というか、歌手として物語を紡いでいく。


S1 トレス・ソムニアー3つの夢ー
野獣ベスティア(柚香光)、艶花フローレス(華優希)、優人エストーム(瀬戸かずや)が舞台上に現れ、歌う。この三人は、通し役扱いになっている。柚香は赤、は紫、瀬戸は青をテーマカラーにしていて、衣装は変わっても色のテイストは変わらない。


S2~4 フェロクス・ノクテー激しい夜ー
大地の獣たちが踊りだす。リーダー格は、フォルティス(水美舞斗)。
そこから、プロローグの総踊りになっていく。
ここは娘役の衣装が、とてもよかった。かなりハイレグなのだが、ドレスのスカート部分がそれを綺麗に隠して、セクシーなんだけどいやらしくない。また、花娘たちのスカート捌きが最高なのだ[揺れるハート]
加藤真美さん、ありがとう[ぴかぴか(新しい)]


S5 テラ・インコニター愛の目覚めー
美穂の語る(歌)、ある愛の物語。野獣ベスティア(柚香)は、美しい川のほとりで、艶花フローレス()に恋をした。驚き、恐れながらも、恋に身をゆだねるフローレス。フローレスは、薄いラベンダー色のチュールの衣装にベールを被っていて、とても清楚。うっとりだった。


S6 ラビリントスー迷宮ー
一方、優人エストーム(瀬戸)は、愛を求めて彷徨っている。その後ろにピタリと付き従って踊る風ヴェントスSの冴月瑠那同期であり、退団同期となった瀬戸冴月の花男としての歩みを思い、胸がいっぱいになるシーン。
美穂に加えて、音くり寿が清楚な歌声を響かせる。


S7 ヌプシャレムー結婚式ー
照明を落とした場面の後、パッと銀橋に照明が当たり、華やかな結婚式のシーン。
新郎は澄月菜音、新婦は美花梨乃。どちらも退団者だ。仲良しの二人ならではの、幸せな、可愛い、明るい場面。シーンとしては、短いものだが、観るたび幸せな気分になった。


S8 ナイトライフー夜遊びー
獣たちの集うナイトクラブが舞台。
ベスティア(柚香)と一緒に踊るのは、ローレム(更紗那知)。
ダンサーの更紗に対する、サヨナラの餞なのだろう。ベスティアとフォルティス(水美)が骨付き肉を争うというのが、場面の主旨ではあるが、二人のイケメンと踊り、最後は銀橋でスポットを浴びる、そんな更紗を観ると、一芸を追い求めた末の輝きだなーと、胸が熱くなった。


S9~12 ノクテム・フェスティバルー夜の祭りー
中詰は、インパラ(凪七)の歌から。アフリカ的な髪形と衣装で、獣たちのフェスティバル。ドレッドを基調とする鬘を見て、あー、これは、アフリカが舞台なんだな~と、気づく。
本来、アフリカ由来のショーは、かなり黒塗りで表現するのだが、昨今の国際的な意見を意識したのか、日本人が日焼けした程度の肌色になっている。その分、分かりづらい部分もあるし、これからも、正解を探っていくべきものだろう。
最後は、柚香、華、瀬戸、水美、永久輝の5人が銀橋に残り、野性的に客席を煽る。


S13 エキサイタレー興奮するー
中詰終わりのソロは、永久輝。ロケットボーイも兼任。


S14 イータルー旅ー
エストーム(瀬戸)のソロ。


S15 ペラクトルムー懐かしきー
ベスティア(柚香)、突然、両性具有風の妖しい姿で登場。胸がある[exclamation×2]片足だけ短パン+裳のようなスカートのようなものを付けている。エストームを誘惑し、踊る二人。そんな二人の妖しいダンスを盛り上げる、和海しょうのエロい歌声…[揺れるハート]


S16 レピドゥス・ノクテー華やかな夜ー
フローレス(華)が、蝶のグロリア・ノクテ(鞠花ゆめ・華雅りりか・真鳳つぐみ・春妃うらら・雛リリカ・澪乃しづか)を従えて歌いながら銀橋を渡る。わりと上級生の娘役たちなので、色気がハンパなかった[あせあせ(飛び散る汗)]


S17 トリスティティア・ノクテムー悲しみの夜ー
藤井先生あるあるの、異世界の恋人たちを、仲間が認めずに争いになり、主人公が仲間たちに惨殺される場面。
ベスティアは、フローレスと愛し合い、二人の世界に浸っているが、そこへ、フォルティス(水美)らが現れ、フローレスを襲う。すべてをかけてフローレスを守ろうとするベスティアの姿に、フォルティスの怒りは頂点に達し…
ベスティアの亡骸を前に、フローレスは、嘆きのあまり、自らの花を散らす。


S18~20 カエルムー天国ー
エストームの鎮魂歌に合わせて、踊る退団者(冴月・美花・更紗・澄月)。そこから、全体の総踊りへ。
やがて、ベスティアとフローレスの生まれ変わりのような、神アルバ・デイ(柚香)と女神デアム・アルバ()が誕生する。


S21 デ・ソムニウムー夢の続きー
ここからフィナーレ。前の場面の衣装のまま、永久輝を中心に若手男役(優波慧・飛竜つかさ・帆純まひろ・聖乃あすか・一ノ瀬航季・希波らいと)が歌い踊る。


S22~23 エトプティム・ソムニウムー極上の夢ー
娘役に囲まれ、瀬戸が歌い、踊る。アイボリーの燕尾(紫のシャツ)がよく似合う。スパニッシュ風の娘役衣装も綺麗。
柚香ら、男役陣が登場し、瀬戸も入って群舞へ。全員が瀬戸と同じ衣装で、柚香だけが、赤紫のシャツ。羽山紀代美振付の男くさいダンスが炸裂する。
美穂凪七の歌う「ジョバイロ」によるデュエットダンスは、超印象的。挑むように柚香から目を離さないの美しさに、胸が躍った。ダンスの技術という点では、雲泥の差があるだろう二人。でも、最後まで食らいついていく意志の強さが感じられるダンスだった。


S24 フェリクス・フィニスーハッピーエンドー
エトワールは永久輝が務める変則パターン。大劇場公演としては、花組デビューとなるが、もう、文句なく花男になっていて、感動。
そして、ちゃんの旅立ちとして、ストーリー性のあるフローレス役は、素晴らしい餞になったな、と思った。藤井先生、ありがとうございました[黒ハート]


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月組大劇場公演 [┣宝塚観劇]

千秋楽前にようやく月組大劇場公演を観劇。
東京も大阪も雨だったが、宝塚に着くと、傘をさすほどではなく、そのまま傘なしで大劇場まで歩いた。花の道は、紫陽花が満開だった。写真は、別記事でたっぷりとお見せしたい。
前回(4月初旬)は、整理券もなくキャトル・レーヴに入れたが、今回は、キャトルの整理券を待つ列が長く伸びていた。


お芝居は、上田久美子先生「桜嵐記」、ショーは、中村暁先生「Dream Chaser」。
恒例により、箇条書きで感想を書いていきたい。

2021月組1.jpg・お芝居については、評判も良く、泣けると聞いていたので、泣く気満々で席についたのだが、冒頭の組長による解説場面がざっくりしすぎていて、却っていろいろな場面で混乱し、泣くどころではなかった。泣くためには、東京公演までに色々調べなきゃ…だな、と思った。(気になるところがあると、感情移入できないめんどくさい人[爆弾]
・主人公の行動原理もいまいち、よくわからない。楠木正行は、オクタヴィアスと違って「行動する人」「自分で決める人」だから、「受け」の芝居で主人公感を出すわけにはいかない。よく考えると、こっちの方がハードルが高いのね。誰もが納得し、支持する行動原理って難しい[爆弾](だから、宝塚では、人々に祭り上げられる主人公が多いのか…[ひらめき])そして、その行動原理が「大きな流れ」っていうのも、ピンとこない。「忠義」じゃダメなのかしら[exclamation&question]三島由紀夫「豊饒の海」に出てくる、日本固有の「忠義」というのが、私には理解しやすかった。つまり、相手の(この場合は、後村上天皇)命令に納得がいかなくても、それじゃ戦えないと思っても、それじゃ死ぬわと思っても、それが主命である限り、従う。自ら判断しない。(「忠」や「義」は中国からきた概念だが、中国には、盲従する「忠義」は存在しないそうだ。)ただ、犬死にするのでなく、状況を少しでも好転させるために全力を尽くす…というのが、可哀想だし、カッコいいんじゃないかな。
・「豊饒の海」といえば、組長&副組長の最後の場面で、「豊饒の海」の最後、本多が門跡(かつての聡子)に会いに行く場面を思い出した。生田先生の「春の雪」では、そのラストで、60年後の聡子のセリフが登場してしまったが、今回は、40年後でも門跡が忘れてなくてよかったです[わーい(嬉しい顔)]
・今回は、登場人物が非常に多く、娘役が男役に扮するなど、隠れた見どころが多い。南朝の公家を娘役に担当させたのは、武家を担当する男役との体格の差がビジュアルでわかるから、なるほど[ひらめき]と思った。白雪さち花や、晴音アキが、いけずな公家を水を得た魚のように好演していて、楽しかった。が、同じ公家の中に、重鎮・北畠親房(佳城葵)の息子、北畠顕家(夢奈瑠音)みたいにあっぱれな若武者が出てくるので、混乱しちゃうんだけど。なんだ、公家だって、やればできるじゃん[むかっ(怒り)]
白雪晴音は、高師直(紫門ゆりや)のハーレムでも大活躍。でも、ここでの白雪のキャラクターには疑問もある。キャラとしては面白いんだけど、師直さんの愛人の一人として、新たな愛人が増えるのはイヤなんじゃないかと思ったが、違うのだろうか[exclamation&question]あと、ヤキモチ焼くキャラっていうのが、どうも腑に落ちない。妬かなくても、その頭脳で師直の寵愛は間違いないと思うのだが…。ま、そもそも師直がモテているとは思えない(公家の一番嫌いなタイプだと思うのね、男くさくて)のに、回りの公家女子、みんなメロメロなのが変だなーと思うが、そこは、ゆりやんマジックでいいのか[exclamation&question]
・弁内侍(美園さくら)の変なイントネーションが気持ち悪いなーと思ったのだが、あれも、上田先生の指示なのかなぁ[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]かなり苦手だった[失恋]

2021月組2.jpg・ショーは、中村A先生、渾身の一作なのでは[exclamation&question]
・わりと定番的なストーリーショーの多かったA先生、今回は、ダンサブルなショーで展開も早く、飽きさせない。
・場面ごとの出演者もトップコンビを敢えてバラバラに使うなど、一ひねりされていて、面白かった。
・中詰は、洋物の素敵なブルーの衣装で、和風の祭り的な音楽と振り。娘役も力強く踊っていて、すごくかっこいい。ここで、次期トップコンビの短いデュエットダンスが入るのも、素敵[黒ハート]
・退団を意識した飾りのない黒燕尾を着た珠城の場面は、出ずっぱりで、ちょっと可哀想だな…と思った。短い時間でも引っ込んで汗拭きさせてあげてほしいよ~[あせあせ(飛び散る汗)]
・まさかのアフロに遭遇してしまったが、中詰のちなつちゃんのヘアスタイルが好きだったので、ちょっとフクザツでした…[もうやだ~(悲しい顔)]アフロの導入、久々だったそうですね~[わーい(嬉しい顔)]


観劇後は、パンを買ってホテルに直行、配信の「BANANA FISH」を堪能しました。
宝塚には関係ないけど、岡宮来夢くん…可愛すぎる[揺れるハート][揺れるハート][揺れるハート]


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宝塚花組東京公演「アウグストゥス」観劇 [┣宝塚観劇]

ドラマ・ヒストリ
「アウグストゥスー尊厳ある者ー」


作・演出:田渕大輔
作曲・編曲:青木朝子
編曲:植田浩徳、多田里紗
指揮:塩田明弘
振付:御織ゆみ乃、桜木涼介、KAORIalive
擬闘:栗原直樹
装置:大橋泰弘
衣装:有村淳
照明:佐渡孝治
音響:大坪正仁
小道具:太田遼
映像:溝上水緒
歌唱指導:飯田純子
演出助手:竹田悠一郎
舞台進行:出合史奈


今回の花組公演、トップ娘役の華優希と、2番手男役の瀬戸かずやが同時退団する公演となっている。
トップスターのサヨナラ公演ともなると、サヨナラ仕様のドラマが作られたりするが、トップとともに作品の主軸を担ってきたトップ娘役とか、2番手スターとかのサヨナラは、特に配慮されていると思えない。
もちろん、トップスターと違って、退団時期をだいぶ前から調整したりはしないので、「作品が決まってしまっている」のが現実なのだろうとは思う。が、作品は決まっていても、脚本とか演出とかでいくらでも手当はできるんじゃないだろうか[exclamation&question]
そういう意味で、禍根を残しそうな作品だということは、まず言っておきたい。


古代ローマ帝国最初の皇帝となるオクタヴィウスの若き時代から、皇帝(実際には、“尊厳ある者”という意味の“アウグストゥス”と呼ばれる)に即位するまでを描いた物語で、トップ娘役のは、三頭政治を司った一人、ポンペイウスの娘のポンペイアを演じるが、この役は、オクタヴィウスと恋愛に至る関係ではなく、そういう意味では、新しいトップ娘役としての在り方を示した作品になったかもしれない。
だったらもう少し出番はほしかったけど…[むかっ(怒り)]
2番手スターの瀬戸は、アントニウス役。カエサルを専科の夏美ようが演じているので、順当な配役と言えるだろう。主役との絡み具合も2番手らしいポジションになっている。
トップスター柚香光が演じるオクタヴィウスは、戦うことがあまり好きではないタイプ。カエサルの大甥ということで、お目付け役のアグリッパ(水美舞斗)が、彼を守っている。姉のオクタヴィア(音くり寿)は、アントニウスの婚約者。
カエサル(夏美よう)は、まだ18歳のオクタヴィウスを元老院議員に採用する。また、かつて、政敵ポンペイウスに付いたブルートゥス(永久輝せあ)も許し、自らの地位を盤石なものにしようとする。そんな、カエサルの祝宴を一人の娘が襲う。ポンペイウスの娘、ポンペイア(華優希)だった。オクタヴィウスのとりなしで、ポンペイアはお咎めなしとなったが、「みんな仲良く」みたいな御曹司的姿勢のオクタヴィウスの声は、ポンペイアには届いていなかった。
ブルートゥスは、カエサルを嫌っているわけではなかったが、共和派の「皇帝になろうとするカエサルは許せない」意見に従い、仲間らとともにカエサルを暗殺する。
葬儀の場で、遺言により後継者に指名されたのは、大姪オクタヴィアの婿となるアントニウスではなく、大甥のオクタヴィウスだった。
カエサルへの怒りに燃えるアントニウスは、ブルートゥス一味の逮捕を指示し、探し出された一味を、フォロ・ロマーノで惨殺する。正当な裁判を、と訴えるオクタヴィウスの意見は、市民たちの怒りの前には無力だった。
アントニウスは、カエサルの悲願であったパルティア(ペルシャ)遠征を宣言、まずはエジプトに向かう。が、ここで、女王クレオパトラ(凪七瑠海)に骨抜きにされてしまう。
エジプトとの同盟の見返りにクレオパトラに領地を与えるという、アントニウスの勝手な判断に、元老院から呼び出しが届く。怒ったアントニウスは、クレオパトラの夫=エジプト王としてローマに宣戦布告し、元老院は、こちら側の指揮官として、オクタヴィウスを指名した。
アクティウムの海戦に勝利し、エジプトへアントニウスを訪問したオクタヴィウスだったが、正気を失ったアントニウスは剣を振り回し、防戦するオクタヴィウスの前で、自身に剣を突き立てた。
凱旋し、熱狂的な人々の支持を受け、“アウグストゥス”の称号を受けることになる、オクタヴィウス。戴冠式に向かう彼の歌で、幕。


物語の流れ的には、ポンペイアはほぼ登場しない。(まあ、歴史上は、存在した、というだけの女性なので、当然なのだが…。)でも、トップ娘役なので、様々な場面で唐突に登場する。そして、実は、カエサル暗殺の夜に自殺していて、それ以降の登場は、亡霊としてだったことが判明する。(あ、ちなみにリアルポイペイアさん、生没年がよくわかっていません。)
判明した時、なるほど[exclamation]と納得しないんだけどね。もちろん、アクティウムの海戦を勝利に導く女神感とか、生きてる人にできることじゃないけど、それ以外は、死んでからも行動空回りしてる…というか。退団がわかってから、少し出番を増やしたのかな…無理やり…もし、退団わかっててこの設定だったら、ちょっと許せない感じ。
アントニウスは、2番手らしい役の重さはあるのだが、ラストの「大立ち回りからの死」あたりに、退団ゆえの増幅があったのかな…という気もするが、演出がイケてなくて、逆に私は冷めてしまった。
アントニウスは、カエサルの後継者になるために、彼の復讐を市民に見せつけたが(これは史実と異なる)、だからといって、暗殺者であるブルートゥスらが亡霊になって現れても彼らに対して贖罪の気持ちはない(復讐を果たしただけ)わけで、それに怯える理由がわからない。(亡霊に怯えるのは、彼らに対して罪の意識がある場合に限られるというのが、演劇的お約束。)
あと、演出助手の竹田さんの影響か、「神々」というシェイクスピア劇っぽいキャラが登場するのだが、おどろおどろしいだけで、何ら効果を与えていないのも気になった。

退団する二人への変な配慮が、それほど面白くない作品をさらに変にしてしまった(自作を上手に改変する能力が、まだ足りてなかった)ような気もするが、トップ娘役の立ち位置を「トップスターの相手役」というよりは、「物語の女主人公」にするという方針には私も賛成なので、今後も、様々なヒロインの立ち位置を研究してほしいと思う。


では、出演者感想です。
柚香光(ガイウス・オクタヴィウス)…そんなつもりはない平和主義者の主人公が、周囲によって、軍の司令官や、国のトップに押し上げられていくという、巻き込まれ型の青年。押し上げられていくのも当然、と思わせる風貌(や威厳)は既に備えているので、「そんなつもりはない」キャラクターをどう作っていくか、というところが腕の見せ所だと思うが、随所に御曹司ゆえの素直さ、御曹司ゆえの甘やかな傲慢さをのぞかせていて、納得のオクタヴィウスだった。白の衣装がとても似合っていて、銀橋を渡る姿に、思わず手を合わせてしまった[わーい(嬉しい顔)]


華優希(ポンペイア)…父を死に追いやったカエサルへの憎しみだけを糧に生きてきた女性。オクタヴィウスに阻止され、翌日、訪ねてきた彼の素直さ、まっすぐさに心惹かれるが、カエサルが暗殺されたことにより、生きる目的をなくして自殺、その後は、亡霊として、オクタヴィウスを守り続ける…という、めっちゃ難しいキャラクター。
このまま生き続けていれば、きっと、オクタヴィウスを愛しただろう、でも、その前に死んでしまったために、これから友情を築いていく、そういう間柄だったよね、という状態でとどまっている。その分、生きる悩みを相談し、背中を押してもらう…みたいな展開になるわけだが、の女神のような凛とした佇まいには、こういうアテガキもあるのかな…と、その部分は納得してしまったし、それだけの強さをこの役に感じた。普通のヒロイン役だと、この、「主人公よりも強いなにか」を出すことはできないので、そういう意味では、を信頼して、こういう役を付けたことには、感謝したい。(立ち位置)
ちゃんへの感想は、もう、神々しい[ぴかぴか(新しい)]の一言です。


瀬戸かずや(マルクス・アントニウス)…一番脚本のブレを感じた役。難しかったと思うが、最後ということで、脚本に描かれている感情に素直に演じたように思う。
瀬戸らしいはまり役を作ってほしかったと思うのは、ないものねだりか。


凪七瑠海(クレオパトラ7世)…専科からの出演、しかもクレオパトラ役、ということで、登場シーンからめちゃくちゃ目立っていたし、着替え数も多かったし、まあ、ファンの方にも納得できる出演だったのかな、と思う。


夏美よう(ガイウス・ユリウス・カエサル)…カエサルの人物像については、短い出番ながらも、しっかりと描かれていて、作者の立ち位置がなんとなく理解できる。夏美には、お手のものかな、と思った。


高翔みず希(キケロ)…キケロは、作者の主張を補強する人物として登場する。彼は、イデオロギーで動く。(共和制となったローマに、皇帝はいらない、だからカエサルを暗殺する。)が、イデオロギーは、やがて熱狂的な民衆の声に圧殺されていく。衝動的で熱狂的な市民の声に対峙する手段を持たない言論人であるキケロの末路は、今の時代にも繋がるな~と思った。
高翔にもよく合った役どころだった。


冴月瑠那(シャーミアン )…サヨナラ公演なので、男役で…という気持ちもあったが、圧倒的な美貌なので、これもありかな…と思った。


水美舞斗(アグリッパ)…オクタヴィウスの側近(脳筋)。オクタヴィウスにとって唯一心を許せる存在でもある。距離感がいい。オクタヴィウスの姉、オクタヴィアへの優しい接し方も紳士的だった。


永久輝せあ(ブルートゥス)…共和国の英雄だったはずのカエサルの独裁を許せないとして暗殺するものの、アントニウスを倒せなかったため、報復で一惨殺される。ここだけ、歴史を大きく捻じ曲げた意味はよくわからないが、亡霊となってアントニウスを死へ誘うなど、出番は多かった。
悩み多きヒーローが似合う。


音くり寿(オクタヴィア)…オクタヴィウスの姉。婚約者(歴史上では結婚していたらしい)のアントニウスが、クレオパトラと結婚してしまっても待っているが、やがて訃報が届く。すぐにオクタヴィウスの即位式となるが、その席に喪服姿で凛として参加する。
歌パートも多く、娘役として、ひとつのポジションを確立したようだ。歌姫というだけでなく、憑依したような芝居も魅力。


聖乃あすか(マエケナス)…オクタヴィウスの側近(頭脳担当)。カッとしやすいアグリッパをからかったりしていたが、その場面以外は、そんなに目立つ感じはなかった。私の聖乃ブームは、花沢類で終わるのだろうか[exclamation&question]


鞠花ゆめ(アティア)…オクタヴィウスたち姉弟の母親。一族の名誉になるかどうかが価値基準。娘に対しては強権を発動する。ほんと、この人がいるだけで、舞台が膨らむわ~[ぴかぴか(新しい)]こういう作品には功労者。


美花梨乃(レオノラ)…レオノラとしての出番は2場面だけだけど、ポンペイアが実は死んでいたという重要なセリフを任された。娘役というよりは、女役だが、最後の舞台、見事に責任を果たしたと思う。せっかく本公演でも重要なポジションを任されるようになった頃に退団というのは、宝塚の宿命とはいえ、残念。


和海しょう(アポロドラス)…エジプトのためにクレオパトラに進言し続ける側近。あんまり言うこと聞いてもらえないけど。クレオパトラがアホな女に見えるのは、この人が、常に正論を言うからなんだけど、まあ、それは和海のせいじゃない。どんなに言うこと聞いてもらえなくても、ちゃんと正論を言い続けるナビみたいなアポロドラスさんでした。お疲れ様です。


華雅りりか(大神官)…ウェスタ神殿の神官。存在だけで神々しい。よき女役になられましたね。


ショーの感想は別記事で。


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宝塚星組東京公演「ロミオとジュリエット」観劇 [┣宝塚観劇]

三井住友VISAカードミュージカル
「ロミオとジュリエット」


原作:ウィリアム・シェイクスピア
作:ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出:小池修一郎
演出:稲葉太地
音楽監督・編曲:太田健
編曲:青木朝子
録音音楽指揮:橋本和則
振付:御織ゆみ乃、KAZUMI-BOY、桜木涼介、KAORIalive、鈴懸三由岐
装置:大橋泰弘
衣装:有村淳
照明:笠原俊幸
音響:大坪正仁
サウンドプログラマー:上田秀夫
小道具:北垣綾
歌唱指導:ちあきしん、KIKO
演出補:野口幸作
演出助手:中村真央
装置補:稲生英介
舞台進行:中島瑞紀
舞台美術製作:株式会社宝塚舞台
録音演奏:宝塚歌劇オーケストラ、宝塚ニューサウンズ
制作:竹内淳
制作補:福島功二
制作・著作:宝塚歌劇団
主催:阪急電鉄株式会社
特別協賛:VJAグループ


4月16日から始まった東京公演、しかし、26日から5月10日まで、緊急事態宣言により、公演が中止、生で観劇できなくなってしまった方も多かったと思う。
私は、幸運にも、休演の直前と直後のチケットを持っていたため、B日程もA日程も観劇することができた。
両日程とも出演者を減らしての公演、そして、役替わり…出演者の皆様、本当にお疲れ様です[exclamation×2]


もう、何度も再演されている作品であるし、演出も基本的には変更がないので、さっそく出演者感想に行きたい。衣装など、変更になった部分についても、そちらで記載することとする。なお、役名は、Wキャスト分については、(A/B)の順で記載。


礼真琴(ロミオ)…11年前、研2の礼真琴演じる「愛」に恋をした。こんなに透明な娘役がいたのか…[exclamation]と。でも、一瞬、嫌な予感がした。娘役にしては、押し出しがストレートすぎる…プログラムで名前を探し、黒燕尾姿の写真を見つけた。やはり…[失恋]
あれから11年、今、礼真琴は、男役トップスターとして、ロミオを演じている。
もはや、ロミオ以外の何者でもなかった。
そして、の歌う「僕は怖い」を聴いて、この作品は、この日のために、上演を繰り返してきたのかもしれない、と感じた。最高のロミオだった。


舞空瞳(ジュリエット)…若さが弾けている。これまでにないジュリエットだった。舞踏会の衣装が不評だと聞いたが、これはこれで似合っているように思った。舞空って、娘役にしては、押し出しがストレートすぎるように思うが、今は、それでもトップ娘役になる。やはり、宝塚という古い世界でも、少しずつ価値観はアップデートしてるんだな。
溌剌とした可愛いジュリエットでした[黒ハート]


愛月ひかる(ティボルト/死)…2番手としての居方がすごい。出番が少なく、早めに死ぬティボルトだが、存在感の提示がハンパない。ティボルトの歌も、こちらの心に刺さった。また、ツイッターのトレンドに「愛ちゃんの死」が上がったそうだが、死の存在感は、かなりヤバかった。そもそも2番手に「死」を配役するのは、いかがなものかとは思うが、「死」を配役された以上、ここまでやらなきゃ2番手じゃない、という愛月の割り切りは、すごい。そして、久しぶりにダンサー愛月ひかるを十二分に堪能した。


瀬央ゆりあ(ベンヴォーリオ/ティボルト)…ABを通じて、最もよい役が付いているのは、瀬央だった。その役に相応しい居方ができているか、というと、やはり、愛月と比べてしまうので、若干分が悪い。あと、同じベンヴォーリオ役が、綺城ひか理だったのも分が悪い。ラスト霊廟の大合唱の後、フィナーレのとっぱしでせり上がってソロを歌うのも、分が悪かった。


美稀千種(モンタギュー卿)…安心して観ていられる、ステキなモンタギュー様でした。


白妙なつ(モンタギュー夫人)…「憎しみ」「罪びと」の歌は、どちらもモンタギュー夫人の圧勝だった。いや、戦ってないんだけど。


天寿光希(キャピュレット卿)…別箱では、こういった色気の塊的な役は、かなり演じているが、本公演では、初めてかな[exclamation&question]いや~、ヤバかったです[黒ハート]舞踏会の客全員キャピュレット卿のオンナだったような気がする…[あせあせ(飛び散る汗)]


夢妃杏瑠(キャピュレット夫人)…かなり歌に苦戦していたように感じた。いつも、余裕で美声を聴かせている印象があるので、こちらも観ていて戸惑った。でも最後まで、あと一歩な感じを受けた。


輝咲玲央(ヴェローナ大公/ピーター)…ヴェローナ大公はピッタリ配役。そして、意外とピーターが可愛くてイケてた[黒ハート]


有沙瞳(乳母)…「あの子はあなたを愛してる」の歌唱は見事だった。「キレイはきたない」の場面も、コメディエンヌとして、立派に場面を回していた。ただ、とても丁寧に、誠実に役を作っているため、乳母の抱える矛盾がハッキリと露呈してしまった。この作品の大きな穴なんだよなぁ~[もうやだ~(悲しい顔)]シェイクスピア作品としては、まさに、それこそ乳母の乳母たる所以なのだが、「あの子はあなたを愛してる」という名曲を作ってしまったことで、この乳母の変わり身の早さが答えを失ってしまう。有沙のせいではないので、ちょっと気の毒。


綺城ひか理(パリス伯爵/ベンヴォーリオ)…「どうやって伝えよう」は、まさにベンヴォーリオのキャラクターを体現し、その上で、歌としても素晴らしかった。パリス伯爵も、三枚目的なキャラクターを体当たりで演じていて、振り幅の広さを印象付けた。


天華えま(死/マーキューシオ)…正統派の死という感じ。「愛ちゃんの死」が話題になりすぎてて、ちょっと可哀想だったが、美しく忍び寄る死の魅力があった。一方、マーキューシオは、ちょっとイッちゃったキャラクターがクセになる大胆な演技。こちらも良かった。


極美慎(マーキューシオ/パリス伯爵)…キレたチンピラの兄ちゃんも、お金持ちだけが取り柄のボンボンも、顔が良すぎる…[爆弾]パリス伯爵を間抜けすぎる設定にしなくても、ストーリーには影響しないんだな、と思ったので、この方針もありかもしれない。極美の勉強のためには、思い切っての三枚目も観たかったような気もするが…。


遥斗勇帆(ピーター/ヴェローナ大公)…歌がすごい、ということは、前から知っていたが、声量が素晴らしい。声質も、壮年の大公としてベストな声だったし…今後の活躍に期待。


碧海さりお&希沙薫(愛)…二人とも男役だが、男役が演じる「愛」というのは、初演の以来、伝統になっちゃった感。死に拮抗する必要があるからだろうか。ヘアスタイルも、髪の色も、愛はあまり変わっていないような…。小池先生のこだわりだろうか。


ひろ香祐&音咲いつき(逆ロミジュリのカップル)…ロミオとジュリエットが出会う前から、キャピュレットの男とモンタギューの女が恋仲になっていて、双方の集団で吊し上げに遭う…という、象徴的なダンスシーンが、登場する。なかなか濃いカップルを用意したなーと思った。芝居心のある人たちなので、観ていて楽しかった。


今回の公演は、緊急事態宣言による中止期間もあったし、下級生がA・Bの2チームに分かれ、全公演出演できなかったりした。さらに休演者も出て、A・Bに分かれたのに、急遽、反対チームにも出演した生徒もいた。音楽は、録音。でも、無観客配信を経て、ようやく客席に座れた公演、の「僕は怖い」で、ショーストップになるほど熱い拍手に加わりながら、出演者・スタッフへの感謝で胸がいっぱいになった。
これは、いつまでも忘れたくない思いです。


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宝塚歌劇「夢千鳥」配信観劇 [┣宝塚観劇]

緊急事態宣言の影響で、公演が飛んでしまった宝塚の各公演。揃って配信公演を実施してくれた。このため、チケットが取れなかった公演も、映像で見られることになった。
チケットを持っていた公演が中止になってしまった悲しみは、配信を見ても癒えることはないが、こういうラッキーもあるので、どっこいどっこいなのかな…なんて、判断力が弱くなった頭で、うっすらと考えている。


「夢千鳥」は、竹久夢二と彼を取り巻く女たちの物語(大正時代)と、その夢二を主役にした映画の撮影周辺の物語(昭和時代)が交錯する作品。主演の和希そらは、夢二と映画監督の白澤を演じる。他の出演者も、両方の世界で、それぞれの役を演じている。夢二らは、白澤が撮る映画の登場人物という側面もあるし、作・演出の栗田先生が描こうとする夢二やその恋人たちそのものでもある。
そんな多面的な構造が、現代の倫理観では、ちょっと引いてしまうような、竹久夢二という男の恋の物語を、嫌悪感少な目で見せることに成功したのかな…と感じた。


和希は、多くの女に愛され、同時に複数の女性と交際する、竹久夢二と白澤監督の二役を演じているが、けだるい雰囲気を漂わせて、女性たちを翻弄するものの、繊細で寂しがりやな内面を抱えている男を好演。
娘役たちも、普段の娘役芸では太刀打ちできないような、キャラクターに果敢に挑戦し、タカラジェンヌの芸域の広さを示した。天彩峰里の美しさには、ハッとさせられる。また、彦乃を演じた山吹ひばりの瑞々しさ、歌の上手さにも驚いた。新たな、トップ娘役候補の誕生。本公演でも、どんどん使ってほしい。


フィナーレナンバーで、中森明菜の「赤い鳥逃げた」が使われていて、懐かしかった。(世代…)


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