SSブログ

宝塚宙組東京特別公演「MAKAZE IZM」 [┣宝塚観劇]

真風涼帆リサイタル
「MAKAZE IZM」


構成・演出:石田昌也
作曲・編曲:手島恭子、太田健、高橋恵、玉麻尚一
振付:御織ゆみ乃、若央りさ、AYAKO、平澤智、百花沙里
装置:稲生英介
衣装:大津美希
照明:安藤俊雄
音響:大坪正仁
小道具:加藤侑子
歌唱指導:西野誠
演出助手:雑賀ヒカル
舞台進行:片桐喜芳
舞台美術製作:株式会社宝塚舞台
演奏コーディネート:新音楽協会
制作:長妻慶樹
制作補:小坂裕二
制作・著作:宝塚歌劇団
主催:阪急電鉄株式会社


奇跡が起きまして…観劇することができました[黒ハート]


MAKAZE.jpg
今回の構成・演出は石田先生。わりと、演出家メッセージ(公演プログラム)で言い訳書くタイプなんですが、前回のコンサート「FLY WITH ME」の構成・演出を担当した野口先生のような若い感性がないし、時代についていっていない不安があったそうで、それでも集大成的なリサイタルを!という劇団の言葉にやる気を出して、足りない感性は、若手・中堅演出家へのアンケートで補ったとか。
若手・中堅の意見によるシーンは、ちゃんと取り入れられていたと思う。


まあ、だいたいコンサート形式の舞台の場合、一度観劇しただけでは、記憶に残っているシーンの方が少ない。とはいえ、幸運が2回続くはずもなく、ポンコツな脳みそが覚えている限りの内容の薄いレポートになる予定です。一応、セットリストは手に入れたものの、それを見てもどんなシーンだったか覚えていないのだから、残念な私の記憶力だったのでした。


プログラムに記載されている「MAKAZE IZM」という曲、とてもよい歌詞ですね。
変わりたいたい自分と変われない自分の間で苦しむって誰にでもあると思うけど、それも全部自分だから、自分で自分を認めてあげようって、それは、舞台の上のスターだけでなく、観劇している私たちにも、共通の深い真理だなーと思います。
全員登場のオープニングのあとは、公演2番手を務める桜木みなとを中心とした、「ワイン狂想曲」(カルトワアイン)。こちらの公演も、ラッキーなことに私は観劇することができたが、コロナのせいでチケットは持っているのに観劇できなかった方も多かったのではないだろうか。こういう形で、この位置に「カルトワイン」の楽曲披露場面があったこと、石田先生、GJです[黒ハート]


ここから、ショーは、真風涼帆のヒストリー的に楽曲を紹介していく。


まず、「ダンディズムとは?」。これは、1995年上演の花組公演「ダンディズム!」から使われている楽曲ではあるのだが、もちろん、真風が星組配属となった「愛するには短すぎる/ネオ・ダンディズム!」公演を念頭に、採用されたのだろう。と同時に、真風涼帆というタカラジェンヌを念頭にも採用したのではないだろうか。
そして、もう一人ー
ダンディズムの極致、組長のすっしぃさんこと寿つかさ[exclamation×2]
真風の大劇場トップお披露目公演「シトラスの風ーSunriseー」から、「Mr.Bojangles」。このシーン、ほんと神すぎて、忘れられなかったの[exclamation×2]もう一度観られてよかったです[黒ハート]


以下、ちょっと古めの真風が出演した作品の楽曲が披露される。懐かしい…[ぴかぴか(新しい)]
しかし、何度か再演されてる作品もあるので、ここでこの曲が登場した意味は…と、考えつつ観るのに忙しかったです。(観方がおかしい…[あせあせ(飛び散る汗)]


JACKPOT(オーシャンズ11)
今日こそその日(ロミオとジュリエット)
バイバイUKそしていつか(愛するには短すぎる)


おそらくすべて初演をイメージして、遡ってるのかな…と考えつつ観てました。初演だと、「オーシャンズ11」が2011年、「ロミオとジュリエット」が2010年、「愛するには短すぎる」が2006年。


そこから、「ジェントルマン・クラブ」(アクアヴィーテ!!)、「アクアヴィーテ!!」、「NICE GUY!!」に飛ぶ。どちらも、星風まどか時代の楽曲なので、この辺に配置ということか。
「NICE GUY!!」は、もちろん「SSS」版。


そして、ここからが意外な展開。完全スカーレット化した潤花が登場、「明日になれば」を歌い上げる。男役が演じることも多いスカーレットIの低めの音域が似合う。
とはいえ、潤花にスカーレットを演じてほしいとは思わない。アイコンとしてのスカーレットはとても似合っているが、いつも男性にちやほやされていたい+一人娘のわがまま放題以外の部分は、古臭い価値観で生きているスカーレットなので、敢えて潤花にさせたいとは思わないのだ。


そして、次に、完全にバトラー化した「さよならは夕映えの中で」を熱唱。そして、フィナーレナンバーの「セントルイス・ブルース」「ナイト・アンド・デイ」が再現される。
「セントルイス・ブルース」は、2番手用のナンバーで、赤いタキシードにカンカン帽。本当の曲名は「セントルイス・ブルース・マーチ」なんだそうです。(ミニ知識)帽子の扱いが超難しい以外、ダンス的にはわりと尺が余ってしまう感じなのは、初演以来振付が変わっていないからで、それだけ劇団員のダンス技術が向上してるからなんですね。その分、変な「ため」みたいな、ケレン味を身に着ける機会が少ないので、こういうダンスを「正しく」学ぶって、大事だな~と思います。(ちゃんと教えてるのだろうか、という不安が…。やっていないんだったら継承する必要もないんじゃないかと。)
ずんちゃんは、帽子に翻弄されてました[わーい(嬉しい顔)]
「ナイト・アンド・デイ」は、真風のコンビで観てみたいというスタッフさんの投票に全方位で、賛成[黒ハート]


で、次はジャパネスク的な場面となります。


瑠風輝を中心とした「夢か現か」(白鷺の城)から、真風が登場しての「田原坂」「田原坂」は、真風の出身地、熊本の民謡なんですよね。私がこの歌を初めて知ったのは、大昔に放映されていた宝塚関係のテレビ番組。榛名由梨さんが、「田原坂」を歌ってたんですよね。タバルザカと読むのか…と、初めて知りました。
次の曲が、吉田拓郎の「人生を語らず」。私はこの曲、全然知らなくて…石田先生のご趣味なのかなぁ。ちょうど吉田拓郎さんも引退を発表されたし、そういうつながりでここに持って来たんでしょうかね。


で、次はテンション高く娘役の「ソーラン節」。北海道は、潤花ちゃんの地元ですね。
そこから、真風の「ハネウマライダー」(ポルノグラフィティ)。これは、ショーでも使われた曲でしたっけね。そして、宝塚でもよく使われる「モンローウォーク」(南佳孝)。こちらは、可愛い娘役さんたちがたくさん登場。
という感じでリゾートで楽しんでいるミスターS(真風)のところへ、いい加減、戻ってきてほしいと、支配人(寿つかさ)と副支配人(松風輝)が現れる。あまりにも仕事が大変で、逃げ出したらしいミスターS。
そんな大変だった過去…みたいな感じで、真風涼帆主演作のメドレーが始まる。
「未来への旅路」(大劇場トップお披露目公演「天は赤い河のほとり」より。)
「Stargazer」(初めてのバウ主演作「ランスロット」より。)
「リオの海岸に戻りたい」(初めてのドラマシティ主演作「日のあたる方へ」より。)
「レモンツリー」(石田先生のドラマシティ作品「ヴァンパイア・サクセション」より。)
「ニコライとプガチョフ」(博多座公演「黒い瞳」より。)
以下、大劇場公演の主演作品。
「夢の中の天使」(異人たちのルネサンス)
「アナスタシア」
「NEVER SAY GOODBYE」
「The Game Is Afoot」(シャーロック・ホームズ)
「ONE HEART」(NEVER SAY GOODBYE)
「Journey to the Past」(アナスタシア)
ああ、本当に大変でしたね。
文明が始まったばかりの過去に行ったり、吸血鬼になったり、詐欺師になったり、探偵になったり、カメラマンなのに戦争したり…
ということで、支配人たちも替え玉作戦で乗り切ろうか…と、海人(うみんちゅ)イレブンを投入する。
カイルに扮した桜木以下、男役たちが真風の扮装で登場する、そのラストに、潤花がシャーロック・ホームズで登場したのは、ネタ[exclamation&question]もっと本気でやったら、絶対かっこよかったと思うんだけどな…[バッド(下向き矢印)]
著作権スレスレゲームを海人イレブンとかで遊ぶんだったら、「シャーロック・ホームズ」が「憂国のモリアーティ」になるくらいの遊びの方が私は楽しいんだけどな。アイリーン・アドラーが男装して、ジェームズ・ボンドになるくらいの遊びの方が…。


でも、次に登場した、娘役たちの「明日も」(SHISHAMO)はすごくよかった[黒ハート]
なんて可愛いんだ[ぴかぴか(新しい)]そして、ミニスカ+ブーツがめっちゃ似合うのを見て、石田、デビューから変わってないな[わーい(嬉しい顔)]と思った。


ここから、ハイテンション潤花を愛でるフリートークのコーナー。
私が観た日は、客席と不思議な通信もしていたようでしたが、あのテンションで日々MCを回し続けているとは…「FLY WITH ME」の時もすごかったが、さらにパワーアップした感じ。
こんなに面白いトップ娘役が退団の道を選んでしまったのは本当に残念ではあるけれど、このように振舞えるよき雰囲気を作り出している相手役さんと一緒に退団したかったんだろうな…。
この場面終わりに、途中で退場した真風による「Lemon」(米津玄師)歌唱があるのだが、台風が過ぎ去った後の放心状態のような客席の雰囲気を変えていくのすごい…[ぴかぴか(新しい)]と思った。


続いて、による「君に贈る歌」(シェネル)、再び真風による「まんげつの夜」(ナオトインティライミ)、「Lives in the Theater」(ホテル スヴィッツラ ハウス)でいいのかな。この辺は、記憶が薄まってます。
全員登場のフィナーレの後、アンコールは、山下達郎の「希望という名の光」


宝塚のコンサート、全員が最後に公園シャツを着て出てくるのですが、これ、どの演出家がやっても同じですね。なんか、決まりでもあるのかしら[exclamation&question]しかも、これ私服[exclamation&question]
かなり残念なコーディネートも生徒さんもいたりして、どうせやるなら、全部衣装さんにコーディネートしてほしいな…と、毎回思っている。あと、娘役さんがTシャツなのに全員スカートというのもどうかと…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)](男役がスカートはけとは言いませんが。)


最後に文句も言っちゃいましたが、全体的に楽しいコンサートでした。ありがとうございました[黒ハート]


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:音楽

宝塚雪組東京公演「蒼穹の昴」観劇 [┣宝塚観劇]

グランド・ミュージカル
「蒼穹の昴」~浅田次郎作「蒼穹の昴」(講談社文庫)より~


原作:浅田次郎
脚本・演出:原田諒
作曲・編曲:玉麻尚一
音楽指揮:御崎惠
振付:羽山紀代美、麻咲梨乃、AYAKO、百花沙里
京劇指導:張春祥
装置:松井るみ
衣装:有村淳
照明:勝柴次朗
音響:大坪正仁
映像:石田肇
小道具:増田恭兵
効果:本田征也
所作指導:袁英明
歌唱指導:西野誠
演出助手:谷貴矢、指田珠子
衣装補:加藤真美
舞台進行:出合史奈


舞台美術製作:株式会社宝塚舞台
演奏コーディネート:ダット・ミュージック
制作:山中一平
制作補:齋藤智子
制作・著作:宝塚歌劇団
主催:阪急電鉄株式会社


浅田次郎先生の大長編「蒼穹の昴」は未読。あまりの長編に腰が引けたのだが、わからないことがあった時には、浅田次郎ファンで雪組ファンの友人に聞いて理解を深めることができた。この協力がなかったら、なかなか理解できなかったかも…と思う。
まあ、たいがい、わからない部分は、原田先生が原作を自己都合で改変していた部分だったので、浅田先生には、何の罪もありません。(あと、私自身の歴史への認識不足でもないことがわかって、ホッとした。)


時は19世紀末、中国は清の時代。主人公の梁文秀(彩風咲奈)が、居酒屋で騒いでいると、家令(奏乃はると)が合格通知を持って駆け込んできた。これでいよいよ科挙最終試験に進むことになる。
この場面で一緒に飲んでいるメンバーが、真那春人、久城あす、諏訪さきで、店主が汝鳥伶冒頭から、間違いないキャストで掴んでくる。が、ひとつ気になることが…。清時代、中国の男性は、満州人の伝統的な髪形、辮髪にしていた。流行とかではなく、法律で辮髪が強要されていたのだ。辮髪は、後ろ髪をひとつの三つ編みにして長く伸ばす一方、頭頂部は剃り上げる。若干剃る部分は違うが、丁髷のない青天のようなものだ。
過去の同時代を描いた宝塚作品では、辮髪になったスターたちの姿に問題を感じたのか、当時の中国人がかぶっていた帽子を常にかぶるような設定にして、この問題を回避していた。(「春の風を君に」「紫禁城の落日」)
今回、原田先生は、あえて居酒屋からスタートすることによって、帽子をかぶらないシーンが普通に出てくる設定にしたうえで、三つ編みはあるが、頭頂部に髪の毛がふさふさしている不思議な髪形の登場人物を大挙登場させた。これは何[exclamation&question]
頭頂部に髪がふさふさしてたら、三つ編みがあんなに細いわけなかろうが[exclamation×2][exclamation×2][exclamation×2]
そもそも、宝塚では、江戸時代の作品を描く時、それがスターに似合うかどうかは別にして、登場人物の立場的に必要であれば、月代を剃る、いわゆる青天の鬘を用意している。それが中国ものだと、こんなに簡単に髪形を変えるなんて、他国の文化に対して失礼過ぎないだろうか[exclamation&question]
さすがにおしゃれな辮髪が無理という判断だったら、先例に従って帽子をかぶり続ければいいだけじゃないだろうか。どうして、わざわざ不自然な髪形を提唱するのか、意味がわからない。ほとんどの人々が帽子姿であっても、何人か、勇気か好奇心のある生徒が、頭頂部を晒した辮髪にしてくれるだけで、ああ、みんな帽子の下は辮髪なんだな…と感じることができる。(やりそうな生徒、思いつくんだけどな…)かつて、黒人奴隷役を、ちょっとあり得ないカラーの黒塗りにした原田先生だが、根本は変わってないんだな。他民族を無意識に下に見てる。
春児(朝美絢)は帽子も手に入れられないくらい貧乏だけど、あそこまで貧乏だと髪を剃ることもできないと思うので、その辺は問題ないと思うし、むしろ三つ編みもできないくらい貧乏な気がするので、普通にぼさぼさの髪でもよかったかもしれない。(貧乏は万国共通)


文秀と春児・玲玲(朝月希和)の兄妹は、幼馴染。二人の死んだ兄と文秀が義兄弟の契りを交わしていたので、二人を本当の弟妹のように可愛がっている。村にはかつて紫禁城で皇帝にお告げをしていた、韃靼のシャーマン、白太太(京三紗)が、時折現れ、文秀や春児には、昴の星がついていると、彼らの立身出世を予言する。
そんなわけで、劇中何度も昴の星が、登場する。するんだけど、夜空にひときわでっかく輝く「昴」には違和感しかない。昴はおうし座にあるプレアデス星団を指し、その星の数は6つとも7つとも言われているが、一番大きな星でも、3等星レベル。小さな星が寄り集まっている神秘的な星団を表現すればいいのに、なんで、あんなでかい星にするの[exclamation&question]本当に昴を知ってるの[exclamation&question]と疑心暗鬼になってくる。
こういうのって地味に、制作陣への不信感になるんだよね。


第二場の紫禁城の場面は、大階段を使用したショーのようなシーンから始まり、その豪華な雰囲気には圧倒される。大階段に玉座のセットを設えるという力技もすごい。
皇帝(光緒帝)載湉(縣千)と西太后(一樹千尋)を中心とした祝いの席は、この時と、十場の皇帝大婚の二つのシーンとなるが、大階段を使っている分、こちらの方がゴージャスに見える。なんだけど、こっちは、ただの月見の宴で、大婚より豪華なのはどうなんだろう[exclamation&question]と思わなくもない。
ここで、科挙の最終試験に優秀な成績で合格した三名が紹介される。第一位状元の梁文秀、第二位の順桂(和希そら)、第三位の王逸(一禾あお)。三人は官吏として皇帝のために尽くすことを誓うが、紫禁城では皇帝より、西太后の方に権力が集中していることを肌で感じることになる。


半年前、文秀は、科挙の最終試験のために、春児を伴って都にやってきた。そこで、西太后の寵愛を受け権勢を誇る宦官のトップ、李蓮英(透真かずき)の行列を見る。宦官になれば、西太后のそば近く仕えることができると知った春児は、それこそが自分の運命なのではないか、と言い出す。そして、そんなことは絶対だめだと言う文秀と言い争いになり、二人は袂を分かつ。
自分が科挙に受かって官吏になれば、春児、玲玲、その母親の面倒も見ようとしていた文秀だったが、春児は、自分で運命を切り開きたいと考えていた。そして、一人故郷に戻ると、自ら浄身(性器を切断すること)してしまう。
文秀は、休暇で故郷に帰った時に、春児の浄身と遁走を知り、玲玲が母も亡くして身寄りがなくなったことを知ったため、玲玲を自分の邸に引き取ることにする。
文秀の心配を知ってか知らずか、春児は、城を追われた宦官たちが暮らす富貴寺に身を寄せている。そこで、出仕の機会を待ちながら、病のためここに暮らすことになった、かつての京劇スター、黒牡丹(眞ノ宮るい)から、京劇の指導を受けていた。


光緒帝の結婚が決まる。皇后は、西太后の姪、隆裕(野々花ひまり)、側室に瑾妃(沙羅アンナ)と珍妃(音彩唯)の姉妹が入内した。隆裕は伯母と楽しく語らい、光緒帝は珍妃と仲良くなり、一人瑾妃がむくれる中沙羅が好演)、祝いの京劇が披露されようとしていた。
しかし、京劇オタクの西太后は、演目が気に入らない。「大四傑(ダァスージェ)」ではなく「挑滑車(ちょうかっしゃ)」をやれと無茶を言う。そんなの、直前にやれと言われても無理に決まってるじゃん。オタクのくせに知らんの[exclamation&question]てか、演目、なんで片方中国語で片方日本語なの[exclamation&question]そういえば、登場人物の名前も中国語読みと日本語読みが混在していて、なんか謎な感じがした。
この日から紫禁城で働くことになった春児だったが、黒牡丹仕込みの挑滑車をレパートリーにしていることから、いきなり、京劇の役者として紫禁城にデビューすることになる。そんな春児を支援するため、病の重くなった黒牡丹が、最後の力を振り絞って相方を務め、力尽きる。春児の見事な踊りに心を奪われた西太后は、春児に自分の側に仕えるようにと声をかける。
官吏である文秀ももちろん、その場に控えていて、春児と再会することになる。改革派の文秀にとって、西太后は、相容れぬ相手ではあったが立場は違っても、二人の友情は変わらないと確認し合う。


文秀、順桂、王逸は、皇帝に学問を指南する楊喜楨(夏美よう)から、西洋の知識も深い学者、康有為(奏乃はると)と弟子の譚嗣同(諏訪さき)を紹介されていた。その際、現在の西太后支配から皇帝支配の世に変えるため、皇帝の後ろ盾とすべく、天津総督の李鴻章(凪七瑠海)を味方に引き入れる作戦が取り入れられ、王逸が使わされたが、李鴻章は、逆に王逸をスカウトし、王逸も軍人になる決意を固める。
譚嗣同は、文秀の家を訪れた際、玲玲に出会い、彼女の優しさにすっかり心を奪われる。


そんな中、日本との戦争が勃発、光緒帝は、自らの責任において、戦いを避けない決意をし、西太后の命に背く。西太后も、光緒帝が自分で決めたことなら…と反対はしなかったが、李鴻章の軍は、日本の前に大敗を喫するのだった。
李鴻章は責任を取って北京に戻り、天津の実権は、その後、袁世凱(真那はると)に引き継がれる。
日清戦争の場面は、海戦のシーンとしてダンスで象徴的に描かれるが、李鴻章VS柴五郎(叶ゆうり)というのは、いかがなものか。柴五郎さんを存じ上げないので、ウィキで調べたところ、陸軍の方だそうじゃないですか。そりゃ、日本の軍人、本作には柴五郎しか出ないっちゃ出ないのだが、そこ、叶ゆうりが演じたとしても、別の軍人、たとえば伊藤祐亨とかにすべきじゃない[exclamation&question]


日本に負けた後、西太后は密かに楊喜楨と会談、自ら政治の場から身を引く決意を語る。それを聞いた楊喜楨もまた、故郷の杭州に帰る決意を西太后に伝えるのだが、そんな二人の思いを知らない魔の手が、楊喜楨を襲うー
一発の銃声で楊喜楨は息絶えるが、その場にいた文秀は、悲しみの中、銀橋を渡って悠々と歌を歌っていた。
一幕が終わるのね、そうなのね、とは思ったが、頭の中では、「誰、誰が撃ったの[exclamation&question]とか、でも、あんまり文秀が慌ててないので、もしかして、撃たれたんじゃないのかも…とか、訳が分からない状態で、休憩時間を過ごした。なんだったんだ、第一幕[むかっ(怒り)]


続きます。


nice!(0)  コメント(3) 
共通テーマ:演劇

「グレート・ギャツビー」感想 その2 [┣宝塚観劇]

飛蚊症になってしまい、慌てて眼科に駆け込むも、「加齢」と言われてしまいました。いいんです、病気の方がイヤですからね。


ということで、「加齢なるギャツビー」じゃなくて、「グレート・ギャツビー」感想、「その1」はこちらです。


第2部冒頭のシーンは、大劇場用の華やかな場面が新設されている。と同時に、2番手の役になったトムのキャラクターを見せる場面にもなっている。
週末のジークフェルド・フォーリーズのステージを予約したので、一緒にいかないか、と、ニックを誘うトム。が、ゴルフ練習中のニックは、それどころではない、と断る。トムは、仲間を引き連れて、フォーリーズに向かう。
華やかなステージは、アンナ(晴音アキ)とルディ(彩海せら)を中心に繰り広げられる。トムを招待したヴィッキー(結愛かれん)は、踊り子の一人。どうやら、大金持ちのトムに夢中なようで、ステージの最中、トムにアピール(しているっぽいポーズ)を繰り返している。銀橋に居残ってコケティッシュな笑顔を振りまくヴィッキー。それに気づいたルディが、迷惑そうにハケるように促す流れが面白い。東京に来て、少し強調されたかな[exclamation&question]
これを受けて、楽屋に花を持っていくトムを、仲間がからかう。「そんなんじゃないよ」とか言いながらも、まんざらでもないトム。
楽屋に入り、花とゴージャスなアクセサリーをプレゼントすると、ヴィッキーはトムに抱きつく。と、そこへドアが開き、二人を撮影するミッチェル(佳城葵)と恫喝するスレイグル(蓮つかさ)。とっさにヴィッキーを見たトムの芽が、驚くほど冷たい。こういうのを豹変って言うんですね…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]
ただの金持ちじゃないトムの冷酷な一面がこの一瞬で十分に伝わる。
グルではなく、スレイグルの単独行動だったのは、ヴィッキーの態度からも明らかだったが、お金と身につけた宝飾品(結婚指輪以外)をすべて惜しげもなくスレイグルに渡した後、ヴィッキーにさらっと別れの言葉を告げて去っていく。彼女の言葉を信じるとか信じないとか以前に、スレイグルに付きまとわれている時点で「危険な女」だから、切り捨てたのだ。笑顔で優しい言葉をかけて去ったのは、こうなった原因が、二人がグルだという誤解に基づくものでなく、ヴィッキーと一緒にいることは、スレイグルを呼び込むことで、そんなリスクは冒せないだけだ、というトムの明確な回答なのだろう。愛する人の誤解だけは解きたいと、付きまとわれても困るから。
すべてが終わったことを、愛のない笑顔を向けられて悟ったヴィッキーは、スレイグルの腕の中で絶望する。
一方、スレイグルは、ヴィッキーが金づるだから…とか言っていたけど、ヴィッキーのこと、かなりご執心なのでは…[exclamation&question]と思った。ここでトムから金を巻き上げるより、もう少し深入りしてから脅迫した方がずっと有利なのに、これ以上は耐えられなかったのかも…と思うと、クールなスレイグルだけど、ちょっと…[わーい(嬉しい顔)]


一方、ギャツビー(月城かなと)とデイジー(海乃美月)は、ギャツビー邸で、昼下がりの逢瀬。
再会の喜びのまま、突き進んできた二人だが、二人の心の中の思いは、少しズレている。不安を抑えきれないデイジーに対し、ギャツビーは、自分を信じてほしい、と伝える。
いや、信じるも何も…[たらーっ(汗)]
新しい女性のように見えて、大きな判断をする時に、圧の強いものの発言に従ってしまう、そして、そのことにどんどん傷ついていくデイジー。それは、あの日、家出を思いとどまったことだけじゃないんだな…と感じる。再会したデイジーが、本当に望んでいたことを、ギャツビーは知ろうとしていただろうか[exclamation&question]
そんなことを考えた。深く考えさせてくれる、これが、月組芝居の真骨頂[exclamation×2]


次のシーンは「恋のホールインワン」。
今回の舞台、超有名な主題歌「朝日の昇る前に」と「デイジー」以外の楽曲は、完全新曲だったり、同じ詞に違う曲をつけたりしている。「恋のホールインワン」は、初演で、一路真輝と小乙女幸が歌った人気の曲だが、今回は、曲を変更している。でもまあ、雰囲気は変わっていないかな[exclamation&question]
「恋のホールインワン目指す」より、「恋人はクラブじゃ打てない」の方に印象が寄った感じはするけれど。
ニック(風間柚乃)とジョーダン(彩みちる)の軽妙なやり取りが光る場面だが、だれよりゴルフが上手い風間が、へっぴり腰で演じる姿…というお楽しみも、こっそり忍ばせているのね。
※皆様、ご存じの通り、風間のお父上は、プロゴルファーの小達敏昭氏で、おだちんもゴルフはお上手とのこと。


写真を撮って、それを処分する代わりに金を受け取る…という、カメラマンとして、クソみたいな仕事をしてしまったミッチェルは、激しく後悔して、もらった金を一夜で使い込む決意をして、アイス・キャッスルで飲んでいた。そこへ、先日の料金の精算にやってきたギャツビー。表社会で生きているミッチェルと裏社会のギャツビーの人生が、ほんの少し絡み合う。
そのほろ苦さが、(佳城の酔っ払い芸のすばらしさもあって)映画の1シーンのようでお気に入り。
精算を終えると、ギャツビーは、一大ナンバー「アイス・キャッスルの別れを」を歌い、去っていく。
この曲、太田先生の作曲なんだけど、『カサブランカ』の1幕ラストの曲にすご~く似ていて、ゆうひファンの間で話題になっていた。でも、あっちは、「本当のオレとは…」というものすごく形而上学的ナンバーなのだけど、こっちは、「ツケも返したし、もうこの店には来ない。世話になったな」というナンバーで、歌い上げるの、そこ[exclamation&question]と思うと、ちょっとウケる。


次のシーンが悲劇の伏線になる大事なシーン。
トムとギャツビーの決着をつけるゴルフ大会の朝、両陣営は、ウィルソン(光月るう)のスタンドで鉢合わせしてしまう。
トムはマートル(天紫珠李)のことを尋ねるが、実は、ウィルソンはマートルを2階の部屋に軟禁していた。とうとう、マートルの不倫に気づいたのだ。(相手が誰であるかは、知らない。)
マートルが窓を開けるまでの間に、一触即発状態のトムとギャツビーは、車を交換してゴルフ場に行くことになる。マートルは、「黄色い車」に乗ったトムに、叫び声をあげるが、車をスタートさせたトムには聞こえない。


ゴルフ場での対決がコミカルなダンスで表現される。(振付=尚すみれ)
トムとギャツビーの対決だけでなく、女子プロのジョーダンとセイヤー夫人(白雪さち花)の勝負も同時進行している。そして、ジョーダンは、やっぱり、インチキをやっている[わーい(嬉しい顔)]
(紳士・淑女のスポーツであるゴルフは、自分のスコアを自分で記入する。そこに正しいスコアを書く=ズルをしない、というのは、その人物の紳士・淑女としての矜持を表す。“アメリカの貴族”という表現は、裕福であるだけでなく、この矜持を含めた表現なんだろうな、と感じる。
そして、平気でインチキをしてでも勝とうとするジョーダンは、成り上がりで、あまり育ちが良くないのだろうということも感じる。そんなジョーダンを「親友」と呼ぶデイジーは、たぶん、自分の出自がとことんイヤなんだろうな…なんていうことも感じる。
試合の途中、デイジーは、娘のパメラをギャツビーに逢わせようとする。まだ赤ん坊のパメラは、乳母のヒルダ(夏月都)が連れている。そして、ヒルダは、ギャツビーを見た瞬間に、すべてを察し、パメラを守ろうとする。デイジーと共にブキャナン家にやってきたヒルダ。こんな風に、自分の乳母を連れてお嫁に行く…というのは、南部のお嬢様らしいが、同時に、その存在は、「本当のご主人様」である、デイジーの母への忠誠心を持ったまま、他家の使用人になるということで、へりくだっていても、トムの味方というわけではない。ただ、ギャツビーに関しては、完全に敵なので、ここでヒルダにギャツビーを知られてしまったことは、返す返すも悪手であった。


一方、脳内が完全にお花畑になっているギャツビーは、「子供にまで会わせてくれた。君が産んだ子なら僕は愛せる。さあ、三人で新しい人生を始めよう!」と、目を輝かせる。
しかし、勝負に負けたトムが、ギャツビーについて調べ上げたことを暴露すると、衆人の前で、薄々感じていたことを暴露されたショックで、デイジーは走り去ってしまう。トムは、ギャツビーに、「紳士ならデイジーを無事に送り届けてくれ」と命じ、ギャツビーは怒りに震えながらも、デイジーを追うのだった。


マートルが黄色い車にはねられて死んだ。
大騒ぎになっているところへ、トムとニックが乗る青い車が現れる。行きに黄色い車に乗っていた、とウィルソンに問い詰められるトムだったが、自分は今、青い車で着いたところだ、と答えつつ、「黄色い車」の持ち主はギャツビーに違いない、なんていうクソ野郎だ、オレの女を轢き殺すとは…と怒りを募らせる。
事情聴取をする警察官に、近所の人たちが、マートルのフラッパーぶりを憶測しているのが聞こえ、妹のキャサリン(白河りり)は、姉の名誉だけでも守ろうと、「姉は貞淑な人妻でした。夫のことだけを愛していました」と証言する。その証言を聞いた、錯乱状態のウィルソンの記憶が、脳内で上書きされていく…
光月るう抑えた中に、ふつふつと見え隠れする狂気にぞっとする。


次のシーンで謎が一気に解明する。
黄色い車を運転していたのはデイジーだった。
泣き叫ぶデイジーに、ギャツビーは、車を運転していたのは自分だった、このことは、絶対に誰にも言ってはいけない、と告げる。
しかし、ニックは、戻って来たギャツビーの言葉を聞き、デイジーが運転していたことを確信する。


2008年版で採用された「神の眼」の場面。あの時より整理されて、コンパクトでわかりやすくなっている。
ウィルソンは人生に絶望し、相思相愛だった夫婦生活を脳内で作り上げ、殺意を募らせていく。オレの女を殺したギャツビー許さねえ状態だったトムは、真実を知ると、保身に走り、すべてをギャツビーに押し付けることに脳内決定。
デイジーの幻想約は羽音みか。ジークフェルド・ガールズもやっていて、今回、名前を覚えた一人。流麗なダンスが素敵。
デイジーの罪を隠す方向で一致している二人(ギャツビーとトム)が、[るんるん]の眼はごまかせない[るんるん]と歌っても、全然信ぴょう性はない…[爆弾][爆弾][爆弾]


突堤で夜を明かしたギャツビー。
そこへウィルソンが現れ、黄色い車を運転していたのは、あんたか、と問う。ギャツビーがそうだと答えると、ウィルソンはピストルを向ける。が、その言葉が、永遠にデイジーを守ることに気づくと、「ああ、俺だ」と胸を張り、ウィルソンに撃たれ、斃れる。
白いスーツで華麗にくるっと回転して倒れるっていうのが、宝塚の様式美よね[ぴかぴか(新しい)]
ウィルソンも、自身で頭を撃ち抜き、命を落とす。ひっそりと死ぬウィルソンが哀れを誘う場面でした。


ギャツビーの葬儀には、誰も出席してくれない。
ブキャナン家はヨーロッパ旅行に出かけたという。ウルフシェイムも「友情は生きている時だけ」と、常套句で電話を切る。
「僕たちだけだよ」と声を掛けたジョーダンは、これからトーナメントに出ると言って、去っていく。
でも、たぶん、この時点までで恋人になっていたら、(ニックが一歩踏み出していたら)ジョーダンは残っただろうと思うので、ニック、ダメじゃん[パンチ]とは言っておきたい。


墓地でニックは、新聞広告を見て来た、というギャツビーの父、ヘンリー・ギャッツ(英真なおき)に遭遇する。息子の人生を誇りに思っているような、その素朴な父親の姿に、ニックは、出会う前のギャツビーに思いを馳せる。…と、そこへ車がやってきて、デイジーが薔薇の花を1輪墓に手向ける。
運転してきた夫に促され、立ち去る時、デイジーはそっとニックの手を握る。言えない思いを伝えるように。
ここ(デイジーの登場)は原作にない場面で、初演時から物議をかもしたらしいが、宝塚の様式美として、これでいいのかな、と思っている。一応、フィッツジェラルドの遺族(お孫さんかな[exclamation&question])は、初演を観劇して納得されていたとか聞いたし。
最後に、ヘンリーが持参した若きギャツビーの書き残した「日課」の文が紹介され、ギャツビーの来し方の幻影が現れる。そして最後にギャツビーが現れ、「朝日の昇る前に」を歌う。このパターン、初期の小池作品のパターンだったよな~とか、思い出した。(JFKも同じパターン)


フィナーレとっぱしのソロは、鳳月杏の「時は戻らない」。でか、プログラムに「歌唱指導」ってあるんですけど[exclamation×2]誰に指導してるの[exclamation&question]むしろ、ちなつちゃんになら、スパルタ指導してほしい…[黒ハート][黒ハート][黒ハート]
とはいえ、フィナーレは、手堅かったですね。
エトワールの一乃凜ちゃん。舞浜で目をつけたと思ったら、もうエトワールでびっくり。とっても素敵でした[るんるん]


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇

宝塚月組東京公演「グレート・ギャツビー」観劇 [┣宝塚観劇]

三井住友VISAカードミュージカル
「グレート・ギャツビーーF・スコット・フィッツジェラルド作“The Great Gatsby”よりー」


脚本・演出:小池修一郎
作曲・編曲:太田健、吉崎憲治、高橋恵、小澤時史
指揮:塩田明弘
振付:羽山紀代美、尚すみれ、桜木涼介、AYAKO、AKIHITO
装置:松井るみ
衣装:有村淳
照明:勝柴次朗
音響:大坪正仁
映像:石田肇
小道具:下農直幸
歌唱指導:やまぐちあきこ、KIKO
演出補:田渕大輔
演出助手:平松結有
舞台進行:香取克英
舞台美術製作:株式会社宝塚舞台
演奏:宝塚歌劇オーケストラ
制作:真加部隼
制作補:西尾雅彦
制作・著作:宝塚歌劇団
主催:阪急電鉄株式会社
特別協賛:VJAグループ
衣装提供:ONWARD、Akurarobe
ゴルフ指導協力:株式会社KMG チボリゴルフ


1991年以来、31年ぶりの大劇場公演。とはいえ、一本ものなので、2008年以来14年ぶりの「グレート・ギャツビー」でもある。宝塚ファン歴だけは長いので、両公演とも観劇している。
その間に、フィッツジェラルド作品を何度も読み、1991年の「華麗なるギャツビー」は、尺の関係で、本作を貫く「神の目」という視点を入れ込むことができなかったんだな…とは思った。とはいえ、2008年版は、別箱公演だったため、若干引き伸ばしに窮しているようにも見え、初演と再演の中間の尺が一番適切なんだろうな…と思うようになった。そう考えると、フィナーレが付く大劇場1本ものという尺は、ちょうどよい尺に思える。
ようやく、決定版「グレート・ギャツビー」を観ることになったのだな…と思うと感慨深い。


物語は、語り手であるニック・キャラウェイ(風間柚乃)が、ニューヨークの郊外、ロングアイランドの小さな一軒家に越してきたところからスタートする。ニックの家はウェストエッグ7番地、その隣の1番地から6番地までの地続きに大邸宅を構えているのが、謎の金持ち、ギャツビー。
ニックと一緒に荷物を持って現れるタクシーの運転手。演じているのは英真なおきお元気そうで安心した。この運転手をギャツビーの父親役と同じ生徒が演じるのは、初演以来。色々な意味で、この公演は初演に帰っていると感じたが、冒頭のこの場面は、印象的にそれを感じる。
ギャツビーの邸宅では、毎晩、誰が参加してもいいパーティー(乱痴気騒ぎ)が行われているが、出席者は、誰もギャツビーを知らなかった。勲章を貰ったとか、人を殺したとか、噂話に花を咲かせながら、禁酒法の時代なのに、シャンパンを手に酔っぱらっている人々。ジーグフェルドフォーリーズのスターも顔を見せる。
タキシードに身を包み、ニックも参加してみる。
すると、警官隊が乗り込んできて「合衆国憲法修正18条違反」で客たちを逮捕しようとする。
※2008年版の感想のところでも書いたが、原作にはこんな場面はない。そもそも、合衆国憲法修正18条違反では、客は逮捕できない。不特定多数のものに酒をふるまった罪で主催者であるギャツビーが逮捕されるかどうか…それも、酒を売ってはいないので、微妙なところだ。(ホームパーティーなどで、禁酒法発効前の日付の酒を飲むのは違法ではない。)
そこでギャツビー(月城かなと)がバーンっと登場して、このパーティーには警視総監(千海華蘭)も参加しているということを示し、居場所をなくした警官たちを邸の警備に回し、酒もふるまうという大人の対応を見せる。
マンハッタンのスピークイージー(もぐり酒場)でさらに飲もうとする客を見送り、庭続きの突堤に戻ったニックは、そこで対岸をいつまでも見つめているギャツビーの姿を見つける。
翌朝、突堤で再びギャツビーに会ったニックは、お隣さんとして自己紹介をする。ギャツビーの自己紹介は、どこか嘘っぽいものばかりだったが、なぜかニックは、彼を好きになる。対岸に思う人がいるのか、と尋ねるニックに、ギャツビーは、彼自身の深い思いを口にし、ニックを当惑させる。そしてニックが口にした、自分の知り合いも対岸に住んでいるという言葉にギャツビーは、浮き立つ。ニックは、ギャツビーが愛し続けたデイジー(海乃美月)の身内(いとこ)だった[exclamation]
こうして、ニックは本人も知らないうちにギャツビーの物語に取り込まれていく。
風間の「巻き込まれていく善良な一般人感」が圧倒的で、観客は安心してニックに自身を投影できる。これまで、座組の2番手が担当してきたニック役だったが、今回から3番手に昇格したばかりの風間が、冒頭のわずかな時間でここまでのニックを演じてくれると、こちらも安心して物語に没頭できる。


さて、いとこのデイジーがギャツビーの思い人だなんて、この時点では思いもしないニックは、転居の報告に、デイジーたちが住むイーストエッグの邸宅を訪れる。デイジーはニックを大歓迎、夫のトム(鳳月杏)と、友人たちも歓迎してくれるが、一般庶民のニックには、アメリカの貴族ともいうべきトムたちの生活は、レベチ過ぎて苦笑するしかないものだった。
デイジーは、親友でプロゴルファーのジョーダン・ベイカー(彩みちる)をニックに紹介し、生まれたばかりの娘、パメラを見せる。ニックがウェストエッグに住んでいると言うと、ジョーダンは、すぐにギャツビーの名を出す。ギャツビーのパーティは、話題のタネになっていたようだ。世間と没交渉の深窓に住むデイジーは、突然飛び出したギャツビーの名に、動揺する。
幸せのただ中にいるようなデイジーだったが、トムに架かってきた電話に神経を尖らせる。わけが分からないニックに、ジョーダンは、トムに愛人がいると告げる。


トムの愛人は、フラッパーガールのマートル(天紫珠李)。ガソリンスタンドの主、ウィルソン(光月るう)の妻で、「結婚相手を間違った」と思い、夫を適当にあしらいながら、その目を盗んでトムと逢瀬を重ねている。夫のウィルソンは、トムが乗る車を自分の手で整備し、別の買手に斡旋することを考えている。根っからの車好きなのだろう。一方のトムは、車をファッションの一部くらいにしか考えていない。ウィルソンが心から大切にしているものを、気まぐれに愛でるトムという図式は、そのまま、マートルを暗示しているようだ。
ウィルソンの言葉を無視して走り去るトムの青い車を見送りながら、「待つさ」と呟くウィルソンの姿に、彼のこれまで過ごしてきた人生が透けて見える。るうちゃん、さすがです[黒ハート]


翌朝、トムはジョーダンからの電話を受ける。ジョーダンは、デイジーから、ギャツビーとの関係を打ち明けられたのだった。5年前、ケンタッキー州ルイビルで第一次世界大戦に向かう出征兵士の壮行会が行われ、その時、兵士のギャツビーと、令嬢デイジーは出会い、恋に落ちた。
しかし、ギャツビーの出自に疑問を抱いたデイジーの母親によって、二人は引き裂かれた。家出に失敗、戦地への手紙も返事がなく、やがて、フットボールの試合でルイビルを訪れたトムの熱烈な求愛に負け、デイジーは結婚したのだった。
ジョーダンによると、デイジーは、ニックの隣人のギャツビーと、自分の知るギャツビーが同一人物かどうかを知りたがっているとのこと。一方、ニックをもぐり酒場“アイス・キャッスル”に呼び出したギャツビーは、もう一度デイジーに会う機会を作ってくれるように依頼する。こうして、ニックは、双方の希望を受けて、二人を再会させることになる。
ギャツビーの邸宅を訪れたデイジーは、彼の部屋を見るなり、ギャツビーの思いを正確に理解する。デイジーの写真が複数の写真立てに飾られ、真っ白なお城のような部屋…この人は、私のためにお金持ちになったのだ、と。
美しいシャツをギャツビーが宙に投げ、それを見て「あなた、本当にお金持ちになったのね」とデイジーが感動の叫び声を上げるシーンは、今回もしっかりと残っていた。絵面としても美しいのだが、宙を舞うシャツで「お金持ち」というのが、30年経ってもよくわからない。アメリカ人ってそうなのかな。


ギャツビーが、裏社会を利用してのし上がったのは、すべてデイジーを手に入れるためだった。
「あの時、身分と財産がないという理由で結婚できなかった。その悔しさから、大金持ちになった姿を見てほしかった」であれば、デイジーは理解できたのだろう。そういう理解をしていた時点でデイジーは楽しそうだった。若き日の恋の挫折が、ひとかどの者になるエネルギーになっていたのであれば、自分の涙も少しは報われる…みたいな思いは、私もなんとなく想像できる。
しかし、ギャツビーは、結婚し、娘を産んだデイジーをトムから奪い返したいと、真剣に考えていた。
そんなことはできない。過ぎた時間を取り戻すことはできない。否定するデイジーに、「過ぎた時間を取り戻すことはできなくても、やり直すことはできる」とギャツビーは、再会を迫る。
そして、ギャツビー邸のパーティーにジョーダンと参加する、とデイジーは約束する。


パーティーで踊るギャツビーとデイジーを見て、ギャツビーの裏稼業のパートナー、ウルフシェイム(輝月ゆうま)は、ギャツビーの危うさに気づき、ギャツビーとのこれまでの取引を解消し、ギャツビーの手下たちと直接取引をすることを決める。ずっと麻薬取引を拒否していたギャツビーに手を焼いていたのもあるが、素人の上流階級の人妻に手を出すことは、麻薬以上に危険だと判断したのだ。
このパーティーでは、ギャツビーが配下のラウル(夢奈瑠音)にタンゴを歌わせる場面が初演からあり、初演ではたーたん(香寿たつき)が見事な歌声を聴かせるのだが、夢奈のタンゴも素敵だった。
一方、トムは、ギャツビーに勝負を挑み、ジョーダンの提案で、ゴルフで決着をつけることが決まるのだった。
2番手格の役どころとなったトム役。その分、出番が増え、キャラクターを複雑にできるチャンスが広がっている。鳳月の演じるトムは、愛嬌があり、誰からも愛される鷹揚な性格の一方、人にバカにされることに慣れていないので、そういう事態の芽を感じると過剰反応する。その時、あ、意外とカッコ悪いな…と思う。そう思わせるところも含めて、鳳月の術中にハマってるな[あせあせ(飛び散る汗)]


ほぼほぼ、30年前と同じ展開だが、キャラクターでずいぶん雰囲気が変わるんだなと思いつつ2幕へ…


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇

宝塚花組東京公演「巡礼の年/Fashionable Empire」観劇 [┣宝塚観劇]

ミュージカル
「巡礼の年~リスト・フェレンツ、魂の彷徨~」


作・演出:生田大和
作曲・編曲:太田健、斉藤恒芳
音楽指揮:西野淳
振付:御織ゆみ乃、上口耕平
装置:國包洋子
衣装:有村淳
照明:笠原俊幸
音響:大坪正仁
小道具:太田遼
歌唱指導:堂ノ脇恭子


週に一度は観劇するつもりが、一度しか観劇できなかった[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]
おそらくそれすらも、幸運なのだろう。一ヶ月強公演が予定されていたのに、実際に公演できたのは、8月14日15:30公演から8月19日まで、そして9月4日の大千秋楽の8公演だけだったのだから。


「巡礼の年」は、作曲家・ピアニストとして活躍したフランツ・リストの物語。サブタイトルに「魂の彷徨」とあるように、魂の物語でもある。
リストの活躍した時代のパリは、王政復古の時代だった。とても危ういインターバルのような時代。フランスは、100年ほどの間に、王政⇒共和制⇒帝政⇒王政復古⇒共和制⇒帝政⇒共和制という形で政治が動いており、革命騒ぎもしょっちゅう起きていた。
一度革命を起こされ、奇跡的に復活した王制なのだから、過去の反省の上に立って、少しは質素な生活を送ればいいのに、相変わらず連夜の舞踏会三昧な貴族たち。社交界の中心にいるのは、ラプリュナレド伯爵夫人(音くり寿)。パリ高等音楽院に入学できなかったフランツ・リスト(柚香光)は、共に入国した父を失い、以後、貴族のパトロンたちの庇護を受けながら、日々を過ごしていたが、夫人のツバメになることで、一躍、社交界の寵児となった。
パーティーや舞踏会に招かれると、アクロバティックな演奏と美貌で観客の視線をクギヅケにし、夜は、年上の伯爵夫人の無聊を慰める…奉仕に次ぐ奉仕の毎日ーしれっと楽しそうに、観客を鼓舞するリストの内面を推し量ろうとする人はいない。唯一、夫との間に、大きな隔たりを感じているマリー・ダグー伯爵夫人(星風まどか)だけが、リスト自身気づいていない内面に思いを向け、「アルルカンの哀しみ」と評した。
マリーは、ダニエル・ステルンという筆名で、新聞に評論を載せたりしていた。(「ピガール狂騒曲」でも、男性名義でないと小説を発表できない…みたいな話が出てきたが、この時代の女性たちは、みんな苦労していたのね…)
この新聞の編集者に知り合いがいたため、ダニエル・ステルンの正体を知ったリストは、ダグー伯爵家に忍び込み、マリーに出会う。痛いところを突かれたショックで、最初は怒っていたリストだったが、マリーに出会って、彼女が自身の「彷徨する魂」の片割れだと感じる。
二人はそのまま出奔し、ジュネーブで愛の日々を過ごす。
しかし、人気者のリストをパリの社交界が手放すはずはなく、ジョルジュ・サンド(永久輝せあ)ら芸術家仲間が二人の住むジュネーブにやってきて、ラプリュナレド伯爵夫人の新しいツバメ、タールベルク(帆純まひろ)とのピアノ対決を!と、迫ってくる。
一度だけ、という約束でパリ社交界に戻ったリスト。でも、そこで、二人の運命はすれ違い始める。水害に見舞われた祖国、ハンガリーでの演奏旅行の依頼を受けたリストは、ハンガリーの人々に生きる力を与えたとして勲章をもらい、ハンガリー貴族に叙せられる。それは、リストの権力欲に火をつける。伯爵夫人だったマリーとの身分差を気にしていたのかもしれない。リストは、世界各地の演奏旅行に出かけ、たくさんの勲章を受け取る。



マリーの方は、リストの友人の芸術家仲間、特にリストの元恋人のジョルジュ・サンドの影響を受け、執筆の道に進み、彼らとともに、「諸国民の春」に繋がる革命運動に身を投じていく。
もはや、二人の魂は、まったく相容れないものになってしまい、そのまま別れてしまう二人だったが、ここは宝塚なので、ここで、二人は時空を超えた魂の世界で邂逅する。一方、病が重くなったショパン(水美舞斗)は、ジョルジュ・サンドに看取られて亡くなる。サンドは、ようやくショパンへの愛に気づくが、すべては遅かった。
昔から、天才=夭折のイメージを持ち、自分は早く死ぬだろうと思っていたリストだったが、実際に夭折したのは、ショパンだった。長生きする計画のないリストは、これからどう生きよう…と途方に暮れるがー


サブタイトルは、「リスト・フェレンツ、魂の彷徨」。魂が彷徨しているのはよーく分かったが、リスト・フェレンツというのがいまいち、分からない。
リスト・フェレンツは、フランツ・リストの出生名。ハンガリーで叙勲されるシーンで、一度だけその名を呼ばれるが、リスト自身が、ハンガリー出身であること、自身のアイデンティティーがリスト・フェレンツ名義にあることに固執しているようには見えない。
むしろ、マリーとラブラブだったころ、「私たちはただのフランツとマリー」と言われて、にまにましていた。(次はルドルフとマリーな二人)せめて、ここで、「僕の本当の名前は、フェレンツ」と言って、二人の間では、フェレンツ呼びするなら、タイトル通りだったとも思うが…。
ストーリー展開は、現実の物語が粛々と進行したのち、突然魂の世界というか、あの世的空間に行って、時空を超えるような物語を最近、あちこちで観ていたので、ああ、そういう展開ね…と思っていると、数十年後の現実世界に戻ってキレイに終わる…というのは、ああ、宝塚だな~と感じた。
リストの芸術家仲間の面々、プログラムを見ると、有名人揃いなんだけど、一気に紹介される場面、作れなかったのかな~。芸術家ソングのところで、個々の名前を歌うだけでも全然違うと思うのだけど…。
いずれにせよ、ユーゴー(高翔みず希)は、あの革命運動を「レ・ミゼラブル」に昇華し、ドラクロワ(侑輝大弥)は、「民衆を導く自由の女神」に描いた、ということなのね。とすると、あの自由の女神は、マリーだったのかもしれない。


金髪のアシンメトリーな髪を振り乱して女性ファンのハートを鷲掴みにするシーンで、かっこいいのに、なぜか滑稽さを感じさせる芝居が、まさに「アルルカンの哀しみ」だった柚香光、夫に対して冷たく心を閉ざしているシーンから、リストとの愛を知った場面の艶やかさまで、自在に魅せた星風まどかトップコンビは、もう充実期と言っていい。
水美舞斗が演じたショパンは、過激な人物ばかり出てくるこの芝居の良心ともいえる良い役で、ショパンが居るから、どうにかまとまった物語だった。永久輝せあは、ジョルジュ・サンドを、美しさも醜さも力強さも意地の悪さも全部見せて、タカラジェンヌとして攻めた作りこみをすることが、男役が演じる意味だという答えを出してきたように思った。
音くり寿は、正統派娘役としてではなく、キワモノ的なキャラクターで最後の作品に臨んだ。あっぱれな怪演だった。飛龍つかさは、美しく賢い妻の前でどう振舞っていいかわからず、愛人に逃げていた男の、最後の矜持が美しかった。


ショー グルーヴ
「Fashionable Empire」


作・演出:稲葉太地
作曲・編曲:太田健、高橋恵、長谷川雅大
音楽指揮:西野淳
振付:御織ゆみ乃、若央りさ、平澤智、百花沙里、三井聡
装置:國包洋子
衣装:河底美由紀
照明:氷谷信雄
音響:大坪正仁
小道具:加藤侑子
映像:石田肇
歌唱指導:西野誠


プロローグのフード付き革ジャンは、夢に出そうなくらいにファッショナブル[爆弾]だった…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]
私、河底先生のセンスとは、つくづく合わない気がする。
ドリームガール(星風)が、素敵なドレスでランウェイを歩きたいという場面も、登場したドリームガールの方が不思議の国のアリスみたいな可愛い衣装で、変身後の衣装の方が微妙だったり。
水美センターの場面では、帆純まひろが女役として登場するが、同じ衣装の他の二人が可愛い娘役(美羽愛・星空美咲)なので、帆純のゴツさが際立って、残念だった。
トップコンビのデュエットダンスの衣装は、着こなしの美しさも相俟って、チョコミントっぽいデザインだったが、美しく思えた。「カサブランカ」の時のデュエットダンスも、茶系の衣装だったから、同じ音楽(As Time Goes By)を聴いて思い出したのかもしれない。
1回しか観ていないと、書けることも限られてしまうが、花組らしい華やかさのある、ショーになっていたと思う。衣装の件は、好みの問題もあるので…ね。


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇

月組大劇場公演 [┣宝塚観劇]

4月以来の宝塚です。


ギャツビー1.jpg桜満開の時以来なので、浦島太郎状態。
しばらく来ていない間に、新幹線がスピードアップし、いつもより5分早く新大阪に到着、乗り換えもスムーズに宝塚に着いて、お友達と合流、さっそく11時公演を観劇した。
前日にようやく再開したばかり。でも、フルスロットルの月組を観ることができた。


ギャツビー2.jpgというわけで、いつものように、箇条書き形式で記載していきたいと思います。


今回は1本物の大作「グレート・ギャツビー」。小池先生によるグランド・ミュージカル。
F・スコット・フィッツジェラルドの不朽の名作の舞台化作品で、初演(大劇場前もの作品)、再演(日生劇場1本物)を経ての3演目となる。
ちなみに、2008年版の感想は、ブログにも記事があったので、よかったらどうぞ。その1がこちら、その2がこちら、その3がこちらです。
・日生劇場版は、少し冗長に感じてしまったのだが、フィナーレナンバーをつけた今回の尺が、長さ的にはちょうどよかった気がする。「神の眼」の演出が改良されたこともあり、これが決定版と言えるステージが完成したと感じた。てか、やっぱ、「神の眼」はトムも歌うべきだし、トムが2番手じゃないと生きないってことは、小池先生も最初から気づいていたのね…[あせあせ(飛び散る汗)]
・前回ギャツビーを演じた瀬奈じゅんと月城かなとは持ち味が全然違うし、むしろ、月城は初演の杜けあきに近いギャツビー像だったと思うのだが、なぜか、ギャツビーが喋るたびに瀬奈の口調を思い出してモヤモヤしてしまった。さすが、何年たっても印象深い男役、瀬奈じゅん[ひらめき]
・もぐり酒場「アイス・キャッスル」の壁面には、ジークフェルト・フォーリーズの巨大なポスターが貼られているが、左側のポスターには、小池修一郎(脚本・演出)と太田健(音楽)の名前が織り込まれていた[exclamation×2]
・2幕冒頭のフォーリーズの場面は、短いが華やかで、素晴らしかった。彩海せらの月組大劇場デビューと、この公演で退団する晴音アキへの餞別にふさわしいシンガーへの起用。と同時に、1幕で華やかに登場するジュリア(蘭世惠翔)・アイリーン(羽音みか)と、ギャツビー邸に入りびたり、やがて、スレイグル(蓮つかさ)に食い物にされるヴィッキー(結愛かれん)のフォーリーズ舞台上での格の違いまで表現されていて、小池演出の細かさにウケた[わーい(嬉しい顔)]
・トップコンビはもちろん、鳳月杏のトム、風間柚乃のニック以下、適材適所で充実の舞台だった。それだけに、長きに亙る公演中止が本当に残念[もうやだ~(悲しい顔)]
・フィナーレナンバーも充実していて、途中からちなつちゃん(鳳月)センターの男役群舞は、小池先生ありがとう[黒ハート]な場面でした[ハートたち(複数ハート)]前楽も観たので、月城と娘役たちのナンバーでは、夏月都晴音に大きな拍手が送られていて、じーんとしてしまった[ぴかぴか(新しい)][もうやだ~(悲しい顔)]


東京公演は全日程駆け抜けられますように。


ギャツビー3.jpg月組公演だから…というわけではないが、花のみちセルカにある、ラ・クニさんのお水のボトル。綺麗ですね。


ギャツビー4.jpg夜は、ソリオの中にある、まんてんさんで和食をいただきました[黒ハート]
宝塚でゆっくり日本酒をいただいたのは何年振りかな[exclamation&question]
ステキな公演と素敵な食事で、ゆっくりと過ごせた2日間でした。


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇

宝塚宙組有明公演「FLY WITH ME」 [┣宝塚観劇]

SUZUHO MAKAZE SPECIAL RECITAL@TOKYO GARDEN THEATER
「FLY WITH ME」
Produced by TEAM GENESIS from LDH JAPAN
Directed by KOSAKU NOGUCHI


構成・演出:野口幸作
作曲・編曲:青木朝子、太田健、多田里紗、長谷川雅大
メインテーマ作曲:白濱亜嵐(EXILE/GENERATIONS/PKCZ)
振付:羽山紀代美、麻咲梨乃、SHUN、KAORIalive
装置:木戸真梨乃
衣装:有村淳、加藤真美
照明:佐渡孝治
音響:大坪正仁
映像:九頭竜ちあき
小道具:山中悠生
歌唱指導:KIKO


TEAM GENESIS
Chief Creative Directer:KAZUYOSHI "PATO" ARAKI
Producer:平沼紀久
Creative Direction:NABE
Choreographer:Chihiro Ueno


演出助手:樫畑亜依子
舞台進行:片桐喜芳
舞台美術製作:株式会社宝塚舞台
演奏コーディネート:新音楽協会
制作:長妻慶樹
制作補:小坂裕二
制作・著作:宝塚歌劇団
協力:株式会社宝塚クリエイティブアーツ
主催:阪急電鉄株式会社


友の会で申し込んだら、SS席で当選してしまい、あわあわしながら参戦してきました[あせあせ(飛び散る汗)]
WEBで公開されていた、フラッグを使った振付をマスターし、いざ、有明へ。


東京ガーデンシアターに来たのは、昨年1月の「壽乱舞音曲祭」以来。今回は、時間に余裕を持っていたせいもあって、同じ方向に行く方があちこちにいらしたので、迷わずに辿り着けました。やはり、昨年は、遠回りしちゃってたみたいです[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]


FWM.jpg


おおー、至る所に、真風さんが[exclamation×2]
チケットは、友の会会員証(カード)で直接発券。ハンディタイプなので、持ち運べるんですね。
トップコンビ主演でも、別箱公演は、写真のないすみれカラーのチケットが出力されるんですね。なるほど。


FWM2.jpg


SS席、XCブロックからの眺め。張り出しステージの真下みたいな場所で、オペラグラスは使わなかったです。


というわけで、前代未聞の宙(そら)の旅のレポートです。(EXILEなどLDHの楽曲を全然知らない完全アウェイな者の感想です。失礼があったらすみません…)


1st Flight 「FLY WITH ME-PROLOGUE-」
OVERTURE
FLY WITH ME
LDH FLY MEDLEY
 SUPER FLY~F.L.Y.BOYS F.L.Y GIRLS~HIGHER~Fly away
SOARIN’ーWeocome to Sky Gardenー


真風機長とかっこいい(可愛い)宙組のキャビンアテンダントの皆さんと一緒に、テイクオフ。
もういきなり、ここで、練習してきた「SOARIN’」の旗振りを披露することに。一応、ちゃんとできたと思う。昼休みもイヤホンで聴きながら、脳内で反芻した甲斐がありました。出演者が同じ振りをしてくれないところも、頑張った[exclamation×2]…しかし、結局、旗の出番はここまで。うーむ…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]


2nd FLIGHT「SWAG-Welcome to TOKYO-」
TRAIN MEDLEY
 Welcome to TOKYO~Choo Choo TRAIN~銀河鉄道999


後ろのスクリーンに、CGによる東京空の旅が出てくるが、前方席で動きの激しいCGを見せられると、くらっとして、眩暈みたいな症状が出た。
SOARIN’ってこういうこと[exclamation&question](東京ディズニーシーのアトラクション「ソアリン」は、映像による空の旅…という感じ。)
東京ドームやスカイツリー、歌舞伎座などを経由し、宙組生が歌舞伎風のダンスを披露したりする。ちょっとコミカルな振りだったけど、カッコよく見えるのはすごい[exclamation×2]
「Choo Choo TRAIN」では、縦一列になって輪を描く振付も。
そして、この公演にも登場した、「銀河鉄道999」。若手の先生の間では、人気楽曲なのかな。それとも、年寄相手には、この辺の曲を出しておけば…みたいな気遣いされてるだけ[exclamation&question]


3rd Flight「INTRODUCTION OD HIGH&LOWーTHE PREQUELー」
Do or Die
WHITE DAY
STRAWBERRY サディスティック
KNOCK YOU OUT
One Day, One Lifetime
HIGHER GROUND


先ほどの東京観光映像の最後に、地下鉄が「山王」という駅に着く。
溜池山王ならあるけど…と、不思議な気持ちになっていると、それを合図に、舞台は「HIGH&LOW」の世界に。
ずいぶん長々と、ドラマ(あるいは映画)の映像を見せられた。ずいぶん長々と見せられたのに、まったく物語の内容が見えてこない見せ方というのが、わざとなのか、天然なのか、LDHなのか、わからないが、すごいと思う。
宝塚を観に来て、これだけ男性の映像を見せられたのも初めて。
そして、「HIGH&LOW」の世界観は本当にわからなかった。
宝塚で上演される作品は、本編の前日譚になるとのことなので、「HIGH&LOW」の世界観がわからなくても、何とかなるかな。てか、ごめんね、苦手な分野な気がしてならない。


4th Flight 「MAKAXILE SHOW TIME PART IーHAVANA BEACH(LOVE)ー」
L-O-V-E
Too Darn Hot
君の瞳に恋してる


この場面は、出てくる曲がそれぞれ雰囲気が違っていて、なんだか不思議な場面だった。
「Too Darn Hot」はミュージカル「キス・ミー・ケイト」のナンバーだが、円盤化する時に支障がないだろうか。ちょっと心配。


5th Flight 「MAKAXILE SHOW TIME PART IIーNYC CLUB(DREAM)ー」
Dream
Come Fly With Me


さっきまで、銀髪[exclamation&question]にサングラスでガン飛ばしていたキキちゃん(芹香斗亜)が、水もしたたる黒髪のイケメンになって再登場。さっきの髪の毛は、スプレーとかで染めたのかな。
ちなみに、その後、キキちゃんの髪の毛が乾くにしたがって、後頭部の毛がぴょんっと立ってしまって、それが気になりつつも、かわいかったです[黒ハート]


6th Flight 「MAKAXILE SHOW TIME PART IIIーNEO JAPANESQUE(HAPPINESS&ROMANCE)ー」
Happy
勝手にしやがれ
浪漫飛行


「浪漫飛行」では、タオルマフラーをみんなで振り回す場面になっていた。
客席でも同じようにタオルを振っていたが、アリーナ席では、後ろの客の振るタオルが掠める感じで、ちょっとこの辺は再考が必要だなと思った。(ちなみに、フラッグとマフラータオルはそれぞれ1曲だけの出番で、あとの場面は、思い思いにペンライトを振るというのが、今回の観劇スタイルということでいいのかな。)


7th Flight 「AWSOMEーROAD TO SUZUHO MAKAZEー」
明日へのエナジー


この場面が、真風涼帆がタカラジェンヌを目指す物語になっている。
星組の「REON」シリーズで人気だった「ちえちゃん」のトリビュートみたいな感じかしら。とはいえ、ちえちゃんの面白さは、ちょっと群を抜いていたので、少し分が悪かったかな…
入学前のエピソードはそれなりに面白かったものの、入団後の、レッスン風景は、さすがに…[爆弾]なんにもできない少女が、「先生」(それぞれの分野のエキスパートな妖精さん?)のご指導でスターになるっていう設定は、下級生の頃からスターとして抜擢続きだった真風涼帆とは相容れない。もちろん、苦手な分野はあったはずだが、何もできないというのは違うだろうという印象。歌を除いては、むしろ優等生だったと思う。)
また、小池先生(と岡田先生)も登場するのだが、リュックを背負った小池先生が深々挨拶する場面を見ると、そこからおにぎりを落とした天寿さんのギャグを観たばかりだったので、「おにぎりも落とそうよ…」という残念な気持ちになった。後発って不利ね。
ちなみに、こういうシーンって真風さんのファンには嬉しかったのかな。少し疑問が残る。


8th Flight 「WONDERFULーTAKARAZUKA MEDLEYー」
シトラスの風
JUMP!
丘の上のジョニー
TAKARAZUKA FOREVER


宝塚といえば…という、名曲の数々。とはいえ、「丘の上のジョニー」は、数少ないピックアップ曲に選ばれているのは不思議な気がした。私だけ[exclamation&question]
「JUMP!」は超盛り上がるナンバーなので、大正解だったと思う。


9th Flight 「MAGNIFIQUEーLDH×TAKARAZUKA MEDLEYー」
LDH×TAKARAZUKA MEDLEY
 情熱の花
 花鳥風月
 Powder Snow~永遠に終わらない冬~
 あの空の星のように
 O.R.I.O.N.
 R.Y.U.S.E.I.


LDHのヒット曲を宝塚風にアレンジした場面。ぶっちゃけ、1曲も知らないダメ人間ですが、それなりに楽しかったです。たしか、この場面は、あえて宝塚っぽい振付をということで、羽山先生が担当されたんですよね。


10th Flight 「ANOTHER SKYーFINALEー」
Y.M.C.A
すみれの花咲く頃~Love, Dream&Happiness
Rising Sun
SEIZE THE DAY


最後のナンバー、「SEIZE THE DAY」は「今を生きる」という意味で、4月に行われた78期トリオ(貴城けい・瀬奈じゅん・大空ゆうひ)のDSタイトルにもなっていた。このタイトルかぶりは、野口先生、知らなかったから…なんでしょうかね。だったら、もう少し宝塚周辺の情報は知っておいた方がいいんじゃないかな。(このDSはタカホで開催されたので…)
知ってて、共感して使ったというのであれば、まあ、その心意気は買いましょう。
なんとなくイミシンな歌詞ではあったけど、こんな風に個人名でコンサート(今回はリサイタルか…)を開催すること自体が、もはや十分にイミシンなので、「今を生きる」ことに専念した。
充実期のトップさんとして、貫禄たっぷりのカッコ良さでした。


コンサート(リサイタル)全体を通して感じたのは、潤花という娘役の存在感。
宙組トップ娘役に就任した時から、現代的な美人だなーと思っていたが、これはもう21世紀の、というよりは、令和の新しいヒロインなのだ、と実感した。
東京ガーデンシアターというアウェイの会場で、適度な落ち着きを見せながら、トップスターをサポートする姿勢。MCの時の落ち着いた声音。そしてデュエットダンスでは、ディズニープリンセスのような輝きを見せる。
男女(女性しかいません!)共同参画社会にふさわしい、自立したヒロイン像がそこにあった。
お芝居では、色々な役柄を演じるから、いつも新しいヒロインにはならないだろうが、ショーでの存在感は、今後さらに増していくだろう。令和のヒロインの今後に期待したい。


FWM3.jpg


たまたま同じ公演を観ていた友人とゴハンを食べて帰ったが、いやー、お店に入るのが一苦労でした。


nice!(1)  コメント(2) 
共通テーマ:音楽

天寿光希MP「TEN∞TEN TIME」鑑賞会 [┣宝塚観劇]

星組・天寿光希MP(ミュージック・パフォーマンス)、伝手のない私には手が届くはずもなく、楽天で配信を観た。今回は、同好の士が集まったので、鑑賞会としゃれこんだ。懐かしくて、楽しくて、ちょっと切ない…そんな、時間を過ごすことができた。友人たちよ、ありがとう[黒ハート]


最初のナンバーが、「星を継ぐ者」(「龍星」)で、この作品、トンデモ作品だったけど、ナンバーは、タイトルのおかげもあって、生きのびてるな~というか、天寿さん、そういう曲ばっかり選んでない[exclamation&question]次の曲は、初舞台の「エンター・ザ・レビュー」で、あーそうだ、91期だね[揺れるハート]とあらためて思う。


以降、大劇場公演だけでなく、別箱公演のナンバーもふんだんに入れて、ザ・天寿光希的なMPに仕上がっていた。
聴きながら、ああ、この作品でこんなことしてたなーとか、いちいち思い出す。舞台のことだけでなく、お茶会でこうだったよね…とか。
最近は、けっこう色の濃い役が多くて、「歴史は作られる」(「鎌足」)とか、もう、めちゃめちゃ怖かったよな~と、盛り上がった。


小池先生のモノマネからの、ジャンケン大会は、涙が出るほど笑った。かのんくん、勝負師だったね[ぴかぴか(新しい)]
てか、これは、全国に配信してよいものだったのでしょうか…[あせあせ(飛び散る汗)]


後半は、「エメ」「あの子はあなたを愛している」「娘よ」と、「ロミオとジュリエット」からの楽曲をたたみかけ、(「あの子は…」は、有沙瞳のソロ。これはまじで芸術的に素晴らしかった[ぴかぴか(新しい)])これも、作品はアレだけど、曲だけ名曲として生き残っている「青い星の上で」(「夢は世界を翔けめぐる」)、そして、天寿作詞による、「TEN∞TEN TIME」への流れは、神だった。
昔、スカステの番組で、作詞をする…というのがあって、鳳真由ちゃんへの思いを詞にしたのが、すごーくこっぱずかしい内容で、それを思い出しながら、でもやっぱり、ウルウルしてしまった。


アンコール、黒燕尾で、「すみれの花咲く頃」のボレロを一人で踊ってくれたのは、なんか、本当に、天寿光希の宝塚人生への劇団からの贈り物のように感じた。


天寿さん、お疲れさまでした。
東京公演、どうか、悔いなく頑張ってください[黒ハート]


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇

宝塚月組舞浜公演「Rain on Neptune」観劇 [┣宝塚観劇]

ドラマティック・ショースペース
「Rain on Neptune」


作・演出:谷貴矢
作曲・編曲:太田健、高橋恵、多田理紗
振付:御降ゆみ乃、若央りさ、港ゆりか、百花沙里
装置:國包洋子
衣装:加藤真美
照明:笠原俊幸
音響:秀島正一
映像:九頭竜ちあき
小道具:下農直幸
歌唱指導:堂ノ脇恭子、板垣辰治
演出助手:平松結有
舞台進行:香取克英
舞台美術製作:株式会社宝塚部隊
録音演奏:宝塚ニューサウンズ
制作:真加部隼
制作補:西尾雅彦
制作・著作:宝塚歌劇団
主催:阪急電鉄株式会社
映像協力:パナソニックコネクト株式会社、株式会社エイド・ディーシーシー
メイク協力:LUNASOL


休憩なしの2時間弱の公演。
とはいえ、内容は、前ものの芝居+ショーみたいな感じ。プログラムには、ショー部分は「フィナーレ」と書いてあった。いやいや、フィナーレが半分あったぞ[爆弾]


お芝居は、SF。降り続く雨を浴びると汚染される星、地球。(あれ、どこかで聞いたような[exclamation&question]
プロローグから踊り続けているスターライト(彩音星凪)とシャドー(菜々野あり)のダンスが素晴らしい。リフトの高さなど、目を見張る。
芝居パートでは、ベルメール(海乃美月)と少年シャトー(蘭尚樹)の服装は、クラシカル。汚染された空気を遮るマスク[exclamation&question]は、それで大丈夫なのか[exclamation&question]あくまでも雰囲気重視らしい。
そこから、時が流れ、大人になったシャトー・ド・カロー◆(月城かなと)は、トレジャーハンターとなり、ダイヤモンドの雨が降ると言われている海王星を目指して宇宙船に乗っている。同乗者は、元刑事のピック[スペード]夢奈瑠音)、天才ハッカーのトレフル[クラブ]英かおと)、アンドロイドのクール[黒ハート]彩みちる)。人間の三人は、コールドスリープを利用して長い旅を短い体感時間で過ごしている。
と、急に海王星に引き寄せられ、船は不時着。シートベルトを締めていなかったシャトーは、船外に放り出される。そして、人間のような宝石たちに発見される。アレキサンドライト(千海華蘭)やオパール(佳城葵)の意味不明な尋問に頭がおかしくなりそうになったシャトーだったが、彼らの王、トリトン(鳳月杏)には、人間だと理解されて安心する。
トリトンは、ダイヤモンドに手を出さない、ネプチューンに恋をしないなら、この星に留まることを歓迎する、とシャトーに言う。会ったこともないネプチューン に恋はできないと安心するシャトーに、トリトンは気前よくネプチューン(海乃美月)を会わせる。それは、幼い日、憧れたベルメールにそっくりな、しかし、氷のような女性だった。
シャトーとベルメールは同じ孤児院にいたが、ある日、ベルメールはサーカス団にスカウトされ、孤児院を出ていく。しかし、ベルメールはほどなく雨の影響を受け、病を発症して亡くなった。
ネプチューンのもとを訪ねるシャトー。彼女は、昔、ベルメールが歌ってた歌を口ずさんでいた。その歌をきっかけに親しくなるシャトーとネプチューン。
紆余曲折あって(戦闘シーンもちゃんとある)、クローン開発でおたずねものになったトリトンが、地球に残してきた娘がベルメールで、ネプチューンは、亡き妻のクローンだったことが判明。ネプチューンは、ないはずの亡き妻ルミエールの記憶を持っていて、だからこそ地球に行ってみたいと願い、トリトンはそれを許す。(ただし、シャトーには絶対に手を出さないこと!と条件を付ける。まあ無理だろうな[ふらふら]
海王星のダイヤモンドの雨のしずくは、不老不死の薬らしい。必ず帰ってくると約束するネプチューンと、それまで待っていると言うトリトン。気の長い三角関係の物語は、これからどうなる[exclamation&question]というところで終了。


他愛のない物語だし、舞浜の半円形劇場をそのままの形で使っているので、セットらしいセットも置けないので、イメージ重視の物語という感じ。すり鉢状の客席(アンフィシアターの名称は、すり鉢状の客席から来ている)に座る観客のブレスレットタイプのライト(スイッチオンするだけで、あとは勝手に点滅したり色が変わったりする)がまるで星の海のように煌めいているのが、なによりの演出だった。
私たちが星の海を演じているみたいで、なんか尊い気分になれました[るんるん]


フィナーレという名のショーは、トリトン役を好演した鳳月杏のセリ上がりから。
「Over the Rainbow」のメロディーに乗って、優雅に踊り、英語の歌詞で美しく歌う。ダリ風カイザー髭の面白いおじさんの片鱗はどこにもなく、ただもう美しく、尊い。
鳳月がハケ、同じ曲でトップコンビのデュエットダンスへ。美しい…[ぴかぴか(新しい)]


と、ここから、舞浜公演定番のディズニーソングへ。
まずは、楽しい「Under the Sea」
私の認識に間違いがなければ、この曲を外部で最初に使ったのって宝塚だったような。(たぶん雪組公演)
しかし、楽しいだけではなかった。途中から、突然変わった手拍子を要求されるというハード展開。一瞬、何が起きているか理解できなかった[あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)]
にこやかに、なんて要求をするんだ、ちなつちゃん…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]
ちょっと真面目に書かせてもらうと、観客的に難しいことを要求するのであれば、ついてこれるようにガイドするのも制作サイドの責任。最低でも事前に「振付講座」と同様のものをSNSで拡散するくらいしてほしいし、そのうえで、数人の出演者には、ガイド的に最後まで手拍子を続けるような演出があってもよかった。
しかし、そんな宝塚歌劇団制作陣の失策を、放置したり糾弾したりすることなく、月組ファン(複数)は、自ら手拍子講座をSNSで拡散したのだった。月組ファンは、どんなことがあっても手拍子を揃える[exclamation×2]…というファンの矜持を感じる出来事だった。(初回は唖然とした私も、おかげで2回目は、しっかり対応できたのでした[るんるん]


続いて、月城かなとによる「コンパス・オブ・ユア・ハート」。東京ディズニーシーのアトラクション「シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ」のテーマソング。アトラクション内では、ミュージカル俳優の坂元健児の歌声が朗々と流れ続けているが、月城の歌で聴くと、深みがあって、こちらもなかなか味わいがある。


そして、海乃美月による「How Far I’ll Go」。この曲、昨年の「ディズニー声の王子様」で、太田基裕が歌った曲。「モアナと伝説の海」のヒロインの歌なので、女性が歌うべき歌ではあるのだが、ものすごく力強い楽曲なので、もっくんが歌ってちょうどいい感じだった。それを娘役が歌うのかっ[あせあせ(飛び散る汗)]と思ったけど、すごく力強くて、かっこよかった。海ちゃんのカッコよさが、私は好きだ[ぴかぴか(新しい)]


今回、ディズニーソングは少なく、ここからは、ディズニーじゃないジャパニーズ・アニメのメドレーへ。
鳳月を中心とした「銀河鉄道999」は、ちょうど中川晃教主演のミュージカル版でも歌われていたし、かなり昔の作品だが、知っていた人も多いのでは[exclamation&question]
そのまま、曲は「宇宙戦艦ヤマト」へ。まあ、かなり有名楽曲だから、知ってる人多そうだけど…昔すぎない[exclamation&question]昔すぎるから、たぶん誰も知らなかったんだろうけど、「…ヤマト」では、乗組員が敬礼し合うことはないんだよね。振付が互いに敬礼してて、うーん…となってしまった。
そこから、いきなりの「コブラ」。貴矢先生が好きだったのか[exclamation&question]でも、白河りりを中心に、咲彩いちご、一乃凜のトリオによる歌唱は、下級生なのに色気たっぷりで、素晴らしかった。
次が、彩みちるが歌い、海乃がセンターで踊る「乙女のポリシー」娘役がみんな可愛くて、どこを見ていいかわからず、挙動不審になってしまった[あせあせ(飛び散る汗)]麗泉里ちゃんの笑顔がキュートすぎるっ[exclamation×2]白雪さち花おねえさまも、セーラームーン好きだよね、好きだったよね[exclamation&question]と思ってしまうくらいノリノリでした。
さらに、月城が登場して、海乃とデュエットで「ムーンライト伝説」を歌う。ここでは、バックダンサーが鳳月をはじめとする男役陣で、あの曲で、キザに踊るところがツボすぎた。


ここでMCタイム。コンサートあるあるの、日ごとに違うメンバーを呼んでのおしゃべり。適度な緩さが月組らしくて、ほのぼの感じてしまう。下級生が発する「トップさんすごい」トークも、「トップさん大好き」トークも、客席のファンが引いてしまうほどの強火ではなく、微笑ましく感じられるレベルなのも、月組らしさかもしれない。本人が次の準備のために中座している時間を使って、れいこちゃんのどこが好きかを語り合うという、欠席裁判的なシチュエーションも面白かった。司会的なポジションで、話の交通整理をしてくれるちなつちゃん、有能な秘書みたいでした[ぴかぴか(新しい)]
コンサートや別箱ショー作品では必ず出てくると言っていい日替わりMC場面、なかなか下級生を覚えられない私などには、とてもよい機会。これキッカケで注目した生徒さんが、その後、スターになっていくのを「あんなことを言っていたあの子がね…」とニマニマしたり、退団する時に懐かしく思い出したり、自分で主体的に見つけてこなかった生徒さんに気づくよいチャンスだなと思う。


ここからは宝塚作品の場面。
MC途中で退席した月城を中心とする場面は、まさかの「るろうに剣心」[exclamation×2]四乃森蒼紫と御庭番衆がセリ上がってくる。るろ剣の頃は、刀への興味がまるでなかったので、蒼紫が長い太刀を持ってセリ上がってきた時は度肝を抜かれた。
え、なに、大太刀[exclamation&question]
仕込み鞘による二刀流だったのか…[あせあせ(飛び散る汗)](四乃森蒼紫は、小太刀二刀流なんですよね。すみません、知らなくて。)
「最強という名の華を添えて」
歌でるろ剣であることはわかったが、歌詞は今回あらためてちゃんと聴いたように思う。公演時は、御庭番衆が強烈すぎてなにも入ってこなかったんだな…[爆弾](今回は、大太刀は持っていたものの、衣装は白燕尾だったしお面もなかったので、少し冷静に見られた。)
無血開城は江戸の民のことを思うと、正しかったと思うぞ。もちろん、幕臣(直参)の処遇が正しかったとは思っていないけれども。榎本が蜂起したのだって結局それが原因だったわけだし。
続いて、「1789」より「誰の為に踊らされているのか?」鳳月を中心としたナンバー。
トップコンビによる「ミー&マイガール」を経て、「ロミオとジュリエット」から「世界の王」で舞台も客席も一体となって盛り上がった。
ここから、ショー作品の主題歌を3曲。
「ル・ポァゾン」「ヒート・ウェーブ」「Apasionado!!」
「ル・ポァゾン」は、私が大人になってから宝塚ファンを始めた年の公演だったし、「ヒート・ウェーブ」は、私が宝塚を観ていない時代の作品だったし、「Apasionado!!」は、私がガッツリ宝塚に嵌っていた時代の作品だったし、曲に対する自分のスタンスが全部違っていて面白かった。


休憩なし1時間50分なので、残念ながらここで終演の時間になってしまう。
こういうスタイルのショーが作られるのは初めてなので、若干、手探りのところはあったと思うが、ショータイムが少し短かったかな…という残念感はあった。もう少し、月組ショーを振り返るシーンがあったらよかったのにな、とか、そもそも、中途半端な内容の芝居は必要だったかな、とか。
とはいえ、これまで舞浜で見せられてきた、いたたまれないコントがなかったのは、精神衛生上、とてもよかった。コントよりは、中途半端でもお芝居の方がいい。


舞浜アンフィシアターは、舞台の高さがとても高いので、本舞台中央に吊り下げられた、形状を変えながらキラキラ輝く吊り物がとてもステキ、空間をうまく使っていると感じた。
あと、すり鉢状の半円形の客席だったので、リストバンド型のペンライトを劇場側で制御して、色々な色で輝かせる演出が、「舞台側から見てキレイ」なだけでなく、客席側から見てもキレイで、それが星の海に見えたり、演出として効果を発揮していた。
ただリストバンド型というスタイルについては、これをつけた状態でオペラグラスを持つために、手を顔の横に持ち上げた時、隣席の方の目を眩ませてしまう…という欠点があることが判明したため、今後の改良が必要なるだろう。てか、ここ以外の劇場では、そもそもこれだけの効果は得られないかも…。
舞浜アンフィシアターについては、10月から劇団四季専用劇場として、しばらくの間「美女と野獣」を上演することになるそうなので、次に宝塚の公演をやるのは、いつのことになるやら…。地元の宝塚ファンとしては残念ですが、幕張メッセでコンサートというのも期待したいところです。


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇

雪組大劇場公演 [┣宝塚観劇]

お正月ぶりに宝塚に行ってきました。


2022雪組.jpg


宝塚は、桜が満開。
3月末~4月初めに来ることってけっこうあるのだけど、前回はいつだったかな。あ、去年も来てたみたいです(笑) 


2022雪組1.jpg今回の来宝は、78期生の30周年DSが目的だったけど、それに合わせて、雪組大劇場公演と、花組の別箱公演を効率よく観て回ろうという、慌ただしい旅でございます。


DS以外は一度しか観劇していないけど、いつものように、箇条書き形式で記載していきたいと思います。


お芝居は、石田先生の日本物作品、「夢介千両みやげ」。痛快娯楽時代劇という分野らしい。
小田原の庄屋の息子、夢介(彩風咲奈)が、江戸で“通人”になるように言われ、1年間で千両を使ってどう過ごすか…みたいな物語。
・通常、この手の話は、金の使い方もわからない田舎者が都会に出てきて、悪い人にお金を取られそうになるが、良い人に助けられて、どうにかこうにか、人生修行をする…みたいな展開になりそうなのだが、この話、全然違う[あせあせ(飛び散る汗)]
・夢介は、最初から最後まで大物である。むしろ、小田原から江戸まで、登場人物たちに人生修行をさせるために遣わされたのではないかというくらい、人々の人生を救っている。そういう夢介は、彩風のキャラクターによく似合う[黒ハート]
・そうなると、夢介は何もみやげにしていないのでは[exclamation&question]とも考えられるが、そこは、最高のお嫁さんをお持ち帰りになった…ということでよいのかな[exclamation&question]このお嫁さんも、夢介に救われ、人生修行しちゃってるけどね。
2022雪組2.jpg・ただただ楽しいだけの作品だったが、これまで、貧乏とか反社とかで暗かった雪組なので、たまにはいっか[るんるん]


ショーは、人海戦術の中村B先生による「Sensational!」。「~ション」で終わるショーはけっこうあるが、Sensationではなく、Sensationalなんだな~[わーい(嬉しい顔)]ちなみに、sensationだと、大評判とか良い意味なんだけど、sensationalだと、人騒がせな…みたいな、ちょっとイケナいイメージが付加されるらしいです。
2022雪組3.jpg・イケナいイメージは、よくわからなかったけど、今回退団する綾凰華に対する感情がじわっと湧き上がる場面が多くて、「感覚の」(sensational)波がハンパなかった[もうやだ~(悲しい顔)]
・しかし、バウ単独主演すると、番手が上がるのね。前回公演で、トップ娘役さんとパレードで会釈していたあやなちゃん()だったのに…常に、和希そら縣千の下に位置していたのは、歌劇団もあからさまだよな…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]
・とはいえ、色彩の綺麗な、気持ち良いショーだった。トップ娘役の衣装がどれも豪華で素敵で、これは、花總さん以来の自前か[exclamation&question]真実はわからないけど、どの衣装も本当にきれいで、それを着こなす朝月希和様、さすがでした[ぴかぴか(新しい)] 


東京公演もたくさん観られる予定なので、楽しみに、そして、あやなちゃんを目に焼き付けたいと思います。


nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇