SSブログ

宝塚月組東京特別公演「チェ・ゲバラ」観劇 [┣宝塚観劇]

ミュージカル
「チェ・ゲバラ」


作・演出:原田諒
作曲・編曲:玉麻尚一
振付:AYAKO、当銀大輔
擬闘:清家三彦
装置:松井るみ
衣装:有村淳
照明:勝柴次朗
音響:大坪正仁
小道具:山中悠生
歌唱指導:西野誠
映像:栗山聡之
演出助手:中村真央
舞台進行:庄司哲久
舞台美術製作:株式会社宝塚舞台
録音演奏:宝塚ニューサウンズ
制作:溝部誠司
制作補:西尾雅彦
制作・著作:宝塚歌劇団
主催:阪急電鉄株式会社


原田諒演出、轟悠主演の別箱公演、今回は、チェ・ゲバラ。
あの、チェ・ゲバラですよ。私は、あまり、キューバの歴史には詳しくなくて、革命ものにも興味はなくて(除・フランス革命)、だからなのか、いつもの原田作品と違って、それほど怒りは感じていない。(今回は、叩かないのでご安心ください。)
まあ、とにかく、今回は、なんといっても、本当だったら月城かなとが演じるはずだった大役、カストロを研6の風間柚乃が演じたこと、これに尽きる。親友なのに、さんとの学年差29だよ、親子だよ、普通。ほんと、すごい[exclamation×2]年齢差を感じさせない重みのある芝居に痺れました[黒ハート]


物語は、キューバ革命を成功させるカストロとゲバラの出会いから始まり、革命成功後の新政府での紆余曲折、根っからの革命家であるゲバラが、キューバ新政府の政治家としては、上手く立ち回れずに失踪、ふたたび革命家としてボリビアの山中に向かい、そこで命を落とすまでの歴史的な出来事を網羅的に描いている。
歴史というものは、人が生きた道のりであって、そこに、納得性があろうがなかろうが、その人はそのように生きたのだからしょうがない。ただ、それを演劇に作り直す場合は、ある程度、観客に納得できるような、思想だったり、性格だったりを付与することで、「そのように生きた」人生を、「なるほど」と思わせる必要がある。
ゲバラであれば、キューバ革命を成功させたゲバラが、なぜ、新政府から外れることになったか、なぜボリビアでの革命は失敗し、ゲバラが死ぬことになったのか、あたりの納得性だろうか。その辺り、素直に観客に伝わって来て、原田作品としては珍しく歴史劇として、納得できた。
現代史ということで、歴史を改ざんしなかったことが、よい結果を生んだのだと思う。
(「グスタフ三世」では、歴史的事実の順序を逆にしたことで、因果関係が作り出せず、[exclamation&question][exclamation&question][exclamation&question]な作品になってしまっていた。「For the People」でも、スター俳優の役を重くするために、歴史的事実の重軽を動かしたために、意味不明になってしまった。)
まあ、相変わらず、歴史作品になるとヒロインの影が薄くなる欠点はあったが、大劇場作品ではないし、主演が轟さんなので、そこについては不問としたい。


一度きりの観劇だったので、少し早いが、出演者感想です。
轟悠(エルネスト・ゲバラ)…ゲバラには本当に疎いので、私のイメージが勘ちがいだったらスミマセン。エルネストという名前のせいか、熱い男というイメージをずっと持っていた。のゲバラは、医師という職業柄もあるのか、とても冷静で理知的。女性に対しては少し無骨かな。


風間柚乃(フィデル・カストロ)…轟悠と親友に見えるというだけで、「風間柚乃、おそるべし」と言えるのに、さらに、カストロという位取りのいる役をモノにしていた。どういうこと[exclamation&question]古今東西、老若男女、できない役なんてないんじゃないかな[exclamation&question]


光月るう(フルヘンシオ・バティスタ/アンドレス・セルニチ)…バティスタ大統領は、国が傾くほど隷属的にアメリカ一辺倒の政策を行う大統領の、愚策の向こう側にある、そうせざるを得なかった事情も見え隠れする好演。とはいえ、作品的には悪役ポジションなので、そこは、しっかりと役目を果たしていた。このさりげない上手さが、るうちゃんの魅力なのよね。


千海華蘭(エル・パトホ)…こちらは、革命家になる前からのゲバラの友人。観光客相手の写真家をしていたが、やがて、彼も革命の荒波に飲まれていく。軽さが身上の華蘭テイストで、重苦しい作品の息抜きになる部分を担当してくれている。そんな彼の悲劇的な運命がまた涙をそそる。安定の千海華蘭、堪能しました[exclamation×2]


輝月ゆうま(ギレルモ・ガルシア)…こちらも、安定の輝月ゆうま。最後までゲバラに同道するガルシア兄弟、山中のシーンは涙々。主人公に無条件に従ってくれるキャラクターって、主役の格を決める大事な役なんだな…とあらためて思う。敵役もできるけど、無条件に従ってくれるキャラも最強…ってか、月組のこの布陣だったから、今回は私も原田先生に甘いのかもね…[あせあせ(飛び散る汗)]


晴音アキ(レイナ)…サブストーリーのヒロイン。キャバレーのダンサーで、兄(蓮)が反政府軍のゲリラ。アメリカからやってきたマフィア(革命前のキューバにとっては大きなスポンサー)に献上されそうになったところを、大統領の側近としてやってきたルイスに助けられ、そこから二人の深く静かなそれぞれの恋が始まる…。
とてもよいサブストーリーでした。1幕ラストから2幕中盤はこれで盛り上がった感あり。てか、むしろ、この作品のヒロインなのかもしれない。


叶羽時(ローラ)…反政府の地下活動をしている。ルイスから政府の情報を受け取っていたことから、彼の死後、レイナに真実を伝えることができた。ダンサーとか、素っ頓狂な役とかで使われていた叶羽が、こんな静かなクレバーな役で印象を残すとは[exclamation×2]ステキでした[黒ハート]


蓮つかさ(ミゲル)…エルネストに反発しつつも、実は心酔していて、最後まで行動を共にする…よい役だったし、好演でした[るんるん]叫ぶ場面が多かったけど、声も安定していて、安心して観ることができた。


佳城葵(ハーバート・マシューズ)…登場人物から少し距離を置いて状況を説明できる人物、として、ジャーナリストが出てくる…というのは設定としてありがちだし、信頼できる役者をそこに置くのは、デフォルト。しかし、佳城の好演にもかかわらず、この役は、それほど機能していなかったので、ちょっと残念…[バッド(下向き矢印)]


朝霧真(マイヤー・ランスキー)…マフィアのドンという大物感と、表面はダンディーかつ素人じゃない感が見事に出ていた。さすがです[黒ハート]すごいコワモテ感があるのに、ゲバラを撃つ軍曹役では、ビビってる感が出ていて、その辺は演技力の賜物なんだろうな…と。とはいえ、処刑という設定は微妙に違和感があった。刑の執行ではなく、捕縛されて収容されていたが、アメリカの命令で殺害することになったんだろう。その辺は、正しく伝えた方がいい。作品として。あんな処刑方法、ありえん…[爆弾]


天紫珠李(アレイダ・マルチ)…ゲバラの妻。ゲバラの活動のパートナーであり、後に妻なのだが、ロマンス場面がめっちゃ少ないのは、作品だからなのか、原田作品だからなのか…[バッド(下向き矢印)]転向後のヒロイン、無難に美しく出ていたと思う。


きよら羽龍(エリセオ・ガルシア)…医者であるエルネストが、この小さな少年の命を救えなかったときの切なさといったら…[たらーっ(汗)]この場面のきよらの芝居が、涙を誘っていた。


礼華はる(ルイス)…イケメンでした~[黒ハート]ちょっと遠慮がちなところはあったが、この作品最大の二枚目だったかもしれない。パレードでははーちゃんと弾けてて、可愛かった[黒ハート]


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。