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「はいからさんが通る」感想 その2 [┣宝塚観劇]

「はいからさんが通る」、全体感想はこちらです。
では、個々の出演者への感想とともに、各論にまいります。


柚香光(伊集院忍)…伊集院少尉は、日独のハーフ、という設定。見事なウェーブのかかった長めの金髪で、陸軍少尉。つまり、カーキ色のあまりスマートとはいえない陸軍の軍服と少女マンガ王道の容姿というミスマッチの魅力が、このキャラクターの大きな特色でもある。
物語の途中で、行方不明になり、戦死したと思われていたが、ロシア亡命貴族サーシャ・ミハイロフとして再登場する。その間、主役でありながら(原作の主人公ではないため)舞台に登場しない時間があったものの、それを感じさせない圧倒的な主役感は、柚香のスター性によるものだろう。
あまり、本音的な部分を見せない少尉だが、紅緒を助けようとして必死になるところや、笑い上戸な部分をうまく利用して、少尉らしさをしっかりと表現していた。
陸軍の軍服がステキに見えるのは、宝塚七不思議のひとつかもしれない。
余談ながら、公家っぽい響きの「伊集院」は、薩摩の地名に由来する、武家の苗字なんですね。この名を筆名や芸名に使っている方が、名前を一文字にしているのは、「伊集院忍」の影響では[exclamation&question]と、私は疑っているのですが…(笑)


華優希(花村紅緒)…それぞれの祖父母の悲恋ゆえに、生まれた時から忍の婚約者になっていた、という娘。正義感が強く、独立心に溢れているが、かなりガサツで「女らしく」ない。
大正時代の和洋折衷な髪形は、娘役の美貌を半減させる…というのは、「春の雪」の時も痛感したけれど、今回も、ビジュアル的にかなり厳しいものがあった。第2部の職業婦人になって以降はボブのヘアスタイルが可愛かったので、経験の少ない娘役には、大正時代は鬼門だなぁ~と思った。
すごく頑張っていたし、ギャグ的なシーンなど、体を張っていて、見上げた根性だと思ったが、表情が汚く見えることもあり、「全身で表現すること」と「いつも美しく出ること」が、いきなりの実質主役的なヒロインでは難しかったのかな。
しかし、ヒロインとしての魅力は感じられたので、今後も成長を見つめて行きたい。


英真なおき(伊集院伯爵)…薩摩出身の武家華族。公家であった妻の、昔の恋の結果である忍と紅緒の婚約には批判的。
大人げない態度で紅緒を排斥しようとする姿勢は、ともすれば、ドン引きしてしまうところだが、英真の巧みな演技によって、ユーモラスに感じられる。この作品を上演する上で、不可欠な存在だったと思う。


芽吹幸奈(伊集院伯爵夫人)…公家出身。江戸幕府旗本の侍と恋をしたが、ご時世で結ばれることなく、伊集院伯爵家に嫁いだ。その時、自分達は結ばれなくとも、子供の世代で二人の血をひとつに…と誓い合ったことが、忍と紅緒の婚約に繋がっている。
とはいえ、今現在の夫人は、実は夫である伯爵を深く愛しており、そのことが通じたあとのラブラブな雰囲気がとてもよかった。
基本、シンガーでダンサーのくまちゃんなので、お芝居も、ボルテージが高い。その辺がちょっと引っかかることもあったが、可愛くきれいなおばあちゃんでした[わーい(嬉しい顔)]


冴月瑠那(花村政次郎)…紅緒の父。伊集院伯爵家も花村家も男しか生まれなかったことから、約束は紅緒たちの世代に引き継がれることとなったのだが、その紅緒を男手ひとつで育て上げた。陸軍中佐。伊集院少佐は部下でもある。母親が亡くなった時に、強い子になるように、と剣道を教えたのが、失敗だったかもしれない。
るなちゃんは、ダンサーという印象が強かったが、ここ1年ほど、芝居もすごくいいな…と思うようになった。美貌の男役だが、老け役の方が、いい味を出すような気がする。良かったです[黒ハート]


鞠花ゆめ(如月)…伯爵家の奥女中。紅緒の花嫁修業中、徹底的に仕込もうとするが、破天荒な紅緒に手を焼く。そして、その交流を通じて、紅緒と心が繋がっていく。
メイクからして眉をくっきりと描いて、全身で如月になり切っているお姿は、さすがゆめさま[揺れるハート]
紅緒がいなくなった後、伯爵に冷たくする芝居とか、ほんと痺れた~[ひらめき]


天真みちる(牛五郎)…ふとしたことから、紅緒を親分と慕って後を追う、車引き。
いや、もう、花組92期なくしては、この作品の上演はならなかっただろう…と思うくらい、素晴らしい[ぴかぴか(新しい)]たそワールド、堪能しました[るんるん]


鳳月杏(青江冬星)…忍のいなくなった伊集院家を守るため、職業婦人となった紅緒の就職先である冗談社の編集長。奔放でわがままな母親への反発から極端な女嫌いになってしまった冬星だが、紅緒に対してはすぐにアレルギーがなくなり、だんだん惹かれていく。そして結婚までこぎつけたところで関東大震災が起き、少尉の大逆転を許してしまう。
当時の少女マンガは、ごく普通の美人でもなんでもないヒロインのまわりに、美形男子が集まり、どっちを選ぼう…みたいなストーリーが多かったわけだが、それがまさか三次元で実現してしまうとは…[あせあせ(飛び散る汗)]
いやもう、ステキでした[揺れるハート]特に、地震で崩壊した教会に紅緒を探しに行く辺りからの、ジャケットを脱いだ姿[exclamation]
あのお尻、あの長い脚…ほんとうに人類ですか…[exclamation×2]と、思わずニュータイプ疑惑まで感じてしまうほど…。その後の歌もよかった~[黒ハート]歌という意味では厳しい公演だった中、ほんと素晴らしい歌声でした[ぴかぴか(新しい)]


桜咲彩花(花乃屋吉次)…紅緒が忍の恋人、と誤解した花柳界女性。実は、忍の親友の恋人で、親友の死後、なにかと援助しているという関係だった。が、その忍の男気にいつしか、吉次は惹かれてしまって…。
ステキだった~[ぴかぴか(新しい)]芸者らしいきっぷの良さ。芸は売っても身は売らない矜持。それでも抑えきれない女心。なにもかも完璧にこちらに伝わってきた[黒ハート]出番は少なかったけど、べーちゃんにしかできない仕事をしてくれて感謝[exclamation]


舞月なぎさ(狸小路伯爵)…亡命のミハイロフ夫妻を屋敷に滞在させる華族。
当時のマンガでは、完全に脇役・端役のキャラは、ギャグで描くということがよくあり、狸小路伯爵はほぼタヌキとして描かれていた。それを完璧に再現した根性に乾杯[バー]
舞月も、「芝居できなくても無問題」時代の花組の代表格なのだが、こういう使い方はうまいな、と感じた。


和海しょう(鈴木)…冗談社の社員の一人。
社員たちは、そんなに力を入れて書き込まれていなかったにもかかわらず、再現率がハンパなかった[ひらめき]
途中、本役以外でのコーラスも素晴らしかったです[かわいい]


華雅りりか(ラリサ)…サーシャの妻。飛行船で日本に亡命してきた。関東大震災で死亡。
ヒロインの恋路を邪魔するライバル。でも、最後には、サーシャこと忍を解放して死んで行く、本当は優しい女性…という部分が感じられたのでよかったかな。


新菜かほ(ばあや)…通称あごなしばあや。花村家の家事一切を取り仕切っている。紅緒を大切に、時に厳しく育ててきた。
あごをなくすことはできなかったが、あごなしばあやに見える[ぴかぴか(新しい)]やり過ぎの一歩手前でちゃんと留まる新菜の芝居センスは大好き。今回も感動レベルでステキでした[ハートたち(複数ハート)]


水美舞斗(鬼島森吾)…少尉が配置換えになり小倉連隊へ移った時の部下。軍曹。少尉は、鬼島を庇って敵兵に刺され、川に落ちて行方不明となる。少尉から紅緒の写真を見せられており、紅緒に会って詫びたくて東京に現れる。(この辺は時間短縮のため設定が変更されている。)
設定変更にもあるように、時間短縮の一番の煽りを受けたのがこの人。紅緒を想う第三のキャラになれるところが、ちょっと印象が弱くなってしまったのは残念。もちろん、小柳先生からはちゃんと配慮されているのだけど、彼が紅緒を想うキッカケがないので、インパクトが弱いよね。
でも、カッコよかった~[黒ハート]マイティ―、片目のない役続くわね。


矢吹世奈(印念中佐)…少尉を目の敵にしている上官。紅緒が酒乱癖を出して暴れた時のことを根に持ち、少尉を左遷した。
その後、アカと手を組み、紅緒を投獄したが、最後の最後で改心し、少尉を助ける。
矢吹のために、この展開になったんだな~と、思った。小柳先生ありがとう。そして、ちゃんとその展開に繋げていた矢吹の芝居にも感心した。


城妃美伶(北小路環)…紅緒と同じ女学校に通っている。華族の子女。平塚らいてうの思想に憧れ、恋愛結婚を希望している。忍とは幼馴染で、環は忍に好意を持っていたが、紅緒とのことを知って身を引く。
綺麗だった[ぴかぴか(新しい)]環は美人でないと話にならないので、まず、華のある登場にうっとり[ぴかぴか(新しい)]環も出番を削られた一人だけど、それを跳ね返すパワーがあって、つねにキラキラオーラで登場していたのは、素晴らしいと思った。


春妃うらら(青江須磨子)…冬星の母。冬星の女嫌いの原因。恋愛と結婚は別という信念がある(自身も冬星をみごもりながら、銀行家と結婚)ため、冬星には見合いで上流社会との足掛かりをつかんでほしいと、次々に見合い話を持ってくる。
出番は少なかったけど、熟れた美貌、聴く耳持たない一方的な態度、上級生の鳳月を完全に子供扱いする仕草、すべてが美しくて惚れた[ひらめき]
冬星の女嫌いは、実はマザコンだったのでは[exclamation&question]と思うくらいステキなモダンガールだった。


亜蓮冬馬(高屋敷要)…人気作家。思想犯ともつながりがあったばかりに、紅緒が窮地に陥る。
ライオンヘアが見事。長身なので見栄えがして、かっこよかった。


聖乃あすか(藤枝蘭丸)…歌舞伎役者。女形。紅緒の隣家の子で、やはり母親が居ないので、紅緒が姉のように鍛えているが、本人は運動や武術には興味がない。でも、紅緒のことは好きなので、いつも一緒に行動している。
「MY HERO」の時は、めっちゃハンサムな子だわ~と思ったが、女装するシーンの多い(ほぼ女の子にしか見えない)蘭丸は、それほど惹かれなかった。この若さで既にしっかりと男役になっちゃっているということで、逆に頼もしいかも。目立つ役で、ポスターにも載っているので、この先、ぐぐっと使われていくんだろうな~[わーい(嬉しい顔)]


舞台は、段差と柱があるだけのシンプルなもので、それを映像と瞬時に入れ替わるセットを駆使して色々な場面に見せていた。こういうところも、2.5次元っぽいかも。
テーマ曲は時代の雰囲気もあって、ダンスも可愛くて、すごくよかった。
うん十年ぶりに、「はいはいはい、はいからさんが通る!」の呪縛から逃れられました…[るんるん]


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