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宝塚歌劇花組東京特別公演「はいからさんが通る」観劇 [┣宝塚観劇]

「はいからさんが通る」


原作:大和和紀
脚本・演出:小柳奈穂子
作曲・編曲:手島恭子
作曲・編曲・録音:藤間仁(Elements Garden)
振付:御織ゆみ乃、若央りさ、AYAKO
殺陣:清家三彦
装置:稲生英介
衣装:加藤真美
照明:佐渡孝治
音響:大坪正仁
小道具:市川ふみ
映像:奥秀太郎
歌唱指導:彩華千鶴
特殊メイク:馮啓孝
演出助手:熊倉飛鳥
舞台進行:荒川陽平
舞台美術製作:株式会社宝塚舞台
録音演奏:宝塚ニューサウンズ
制作:井場睦之
制作補:恵美和弘
制作・著作:宝塚歌劇団


2.5次元舞台-最近、演劇のひとつのジャンルとして確立し、“2.5”を縮めて、“てんご”という略称まで生まれているのだとか。
2.5次元の舞台と、一般の演劇の間に壁があるということはなく、双方に出演している俳優も数多くいるのだが、マンガやアニメ、ゲームなど、二次元の作品を舞台化し、特に登場人物のビジュアルを三次元で表現する、というその特徴により、イケメン…というか、少女マンガ的容姿の俳優が多い。


つまり、宝塚も本気を出したら、すぐに、2.5参入ができるわけで、過去に、これはもう2.5なのでは[exclamation&question]という舞台も数々成功させている。
そして、今回の「はいからさんが通る」もまた、本気で2.5次元にチャレンジしたな、と思える舞台だった。


とはいえ、原作マンガ「はいからさんが通る」は、宝塚初の2.5次元作品(当時はそんな呼び方はしていなかったが)「ベルサイユのばら」と同時期に連載されていた古いマンガだったりする。私も中学校の頃に単行本を回し読みして、特に冗談社の「貼り紙」で盛り上がったよな~などと、思い出しつつ観劇した。(最新の演劇事情と、懐古趣味との不思議なクロスオーバー[わーい(嬉しい顔)]


原作は少女マンガなので、主人公は花村紅緒(華優希)なのだが、ここは宝塚なので、主役は伊集院忍(柚香光)になる。この、「物語としての主人公は紅緒だけど、作品の主役は忍役の柚香である」の微妙なさじ加減に、小柳先生の熟練の技を見た。
というか、「少女マンガ」の「王子様」を地上に引きずり降ろさずに提示できているのがすごい[ひらめき]
これは、ちゃんと子供のころから少女マンガを読んでいる人の力、だよなー[ぴかぴか(新しい)]

演じる側にとっては苦しいかもしれない。ヒロインから見た「伊集院忍」を具現化するのだから。
主演の柚香は、その辺の表現が見事だったし、また、登場するすべての男性キャラが、少女マンガを愛する乙女たちの理想の男性キャラになっていて、その辺は小柳先生の手腕でもあるのかな、と感じた。


まあ、だいたい少女マンガの「ヒロインの相手役」たる男性は、とてもヒロインを愛してくれる。どうしてそんなに愛してくれるかわからないが、絶対的な愛を捧げてくれる。その理由づけとか、行動原理とかがわかってしまうと、それは、もはや少女マンガではないのかもしれない。
謎を謎のまま残し、「はいからさん」の世界観をそのままにしてくれた小柳先生には感謝しかない[黒ハート]


ひるがえって、本来の宝塚歌劇は、女性ファンによって支えられているが、実は長年、男性の脚本・演出家による、「男の手前勝手な行動原理」というか、永遠の中2病というか、そういう作品が主流だったりした。
とはいえ、そういうのも、かっこいい男役さんが演じるとサマになるというか、そういう役を理解して演じられてこそ、一人前の男役という部分があったりもして、世界は複雑ね、である。
(そもそも、どんなに見た目が良くても、中身は男性=演出家と同じという設定だから、リアルに演じるということは、実は、手前勝手な行動原理の中2病を体現することなのかもしれない
で、手前勝手な中2病患者の主人公は、あれやこれや、心情を吐露する芝居をしてくれる。その行動は、女子には到底理解できないので、モノローグや歌で説明してくれるのは、ありがたい。説明されても理解できないし、同意も出来ないけど、ヒロインより戦いで死ぬことを選んだり、一人でさびしく出て行くことを選んだりするので、一応釈明は聞いておかないとスッキリしない。


かたや、少女マンガのヒーローは、ちゃんとヒロインの人生をサポートしてくれるので、心情など聞く必要はない。愛しているという言葉があれば十分[るんるん]な気がする。どうして好きになったかくらいは、聞いて嬉しいかもしれないけど。


少女マンガは、主人公の気持ちになって読むものなので、逆に、相手の気持ちが分かってしまったり、先の展開が読めてしまうのも鼻白む。そういう絶妙なこちらの心理状態を読んだ素晴らしい作劇だったと思う。


プロローグで、柱にマンガの絵が描かれているところとか、「ベルサイユのばら」初演を観た時を思い出すようなGJ[exclamation]
(いや、あの時は、この絵でいいのか…と思うような出来だったのだけど…今は、原画をそのまま超拡大して使える技術があるから、いいよね[かわいい]
ベタな効果音も、マンガ原作っぽくて良かったし、別記事で書くけれど、出演者のなりきり具合も最高だった。


世間的にも、この作品は、2.5作品と認識されていたようで、チケット難がハンパなかっただけでなく、トップさん退団公演みたいな高騰チケットを生むことになったのは、残念なことだった。


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