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「表現者ノマド」-3 [┣大空祐飛]

ノマド3.jpg 

今回のゲストはマンガ家の美内すずえさん。

まず登場した祐飛さんは、黒いジャケットに白地に黒い柄のマフラーをして、髪は後ろでちょこっと束ねた感じ。ジャケットから長いシャツがのぞいていて、モノトーンの素敵な配分の服装でした。

さっそく、美内先生が登場され、お二人の出会いについて語ってくれた。
昨年、美輪明宏さんの「愛の讃歌」を観劇していた美内先生。そのお隣の席に座ったのが祐飛さんだったとか。で、美内先生は覚えていなかったようですが、その前に、児玉明子先生(ノマド第1回のゲスト)演出の「女海賊ビアンカ」(原作:美内すずえ)の舞台を祐飛さんが観に行った時、お隣の席で観劇していたのが原作者の美内先生で、その時に児玉先生に教えてもらってご挨拶したのが最初だったとのこと。
まあ、そういうことでもなかったら、漫画家の先生が隣で観劇していても気づかないでしょうね。
で、「愛の讃歌」の時に、お話する中で、祐飛さんが、美輪さんの写真を待ち受けにしていることが発覚。縁起がいいと聞いて、美内先生も待ち受け画像が欲しくなり、その場でアドレス交換をされたというエピソードを話してくれた。美輪さんが待ち受けなんて、どこのJK[exclamation&question]

そもそも、美内先生はなぜ漫画家を目指したのか、お話はそこから始まった。
小さい頃、寝る前に昔話を聞かされると、わくわくしてしまって、寝ない子供だったらしい。
そして、もう少し大きくなると、近所の貸本屋に行っては、マンガを借りては読み漁り、月末に貸本屋から膨大な金額を請求されたお母様が、美内先生に「マンガ禁止令」を発令したと。そうして、マンガが読めなくなった美内先生は、「自分で描けばいい」という逆転の発想により、自らマンガを描き始めたとのこと。

めきめきと才能を開花させていった美内先生は、16歳でプロデビュー。(別冊マーガレット誌)
その1年後に初めて【スポ根もの】作品を描いてはどうか[exclamation&question]と、編集者からの提案を受け、バレーボールの絵を描いて送った。
そんな夏休み、編集者の招きで、初めて東京へ。その時、たぶん日生劇場で「マノン・レスコー」という芝居を観た。それがとても衝撃的で、その理由は、おそらく生の舞台の「真剣勝負」。編集者には、「演劇部の話を描きたい」と言っていた。
すると、既にバレーボールの予告編を出していたにも関わらず、編集者は「やってみろ」と。そこで、学校の演劇部に行って、演劇のいろはを一日取材して作品を描いた。それが、演劇マンガの始まりだった。

「ガラスの仮面」連載は、その7~8年後、一般的には何のとりえもないというか、むしろダメなタイプなのに、芸事にだけ力を発揮するヒロインの物語を創ろうと思った。最初は、琴をテーマにしようと思ったが、琴では動きがない、演劇はどうか、と編集者から言われ、演劇界を舞台にすることになった。
演劇の世界に取材してみては?と言われたが、それは知らなくてもいいと思った。なので、当時、まだ「ぴあ」は発売されていなかったので、舞台を観るたびにチラシをもらって、次の観たい舞台を探す…そういう形で、ただ公演を観ることだけが取材だった。
なぜかというと、舞台裏を知ってしまうことで、想像力がダメになるから取材しなかった。

この辺で、「役者と漫画家は根が一緒」というような話が出た。
たしかに、共通点は多そう。

「マヤVS亜弓」
才能について、美内先生の辛辣なお話が。
新人漫画家の選考や、持ち込み原稿を見ることが多いので、1-2ページ読んだだけで才能がわかってしまう。
才能のない人は、努力で上手くはなるけど、面白くはならない…と[爆弾][爆弾][爆弾]
そして、マヤも亜弓も実は、努力型の天才。二人に違いがあるとすれば、亜弓は自分が努力しているという自覚をしていると。マヤは、演劇に関することは、どんな努力も努力だと思っていない。


祐飛さんが、足に鈴を付けて、音がしないってのは、ちょっとありえない~[わーい(嬉しい顔)]と言うと、実は、足どころか、全身に鈴を付けて、暗闇の中、ジアンジアンの狭い舞台の中央に現れたダンサーがいる[exclamation]と美内先生。
いやー、なにごとも決めつけはいけないんだなぁ~と、しみじみ思いました。

とはいえ、「紫の薔薇の人」は、現実にはいない[もうやだ~(悲しい顔)]というのは確かなようで、芸能界に入った時、祐飛さんは、「誰か来てー」と思ったとか。「かなりいい男ですよ」と祐飛さん。モデルは「あしながおじさん」らしいです。
一方、桜小路優くん。
彼の思いにまったく頓着しないマヤ。20年間も無神経[パンチ]と二人で笑っていた。

どうやら、マヤというのは、周囲がどうにかしなきゃ[揺れるハート]と思ってしまう子のようです。そして、マヤは誰かを助けようとはしないんだとか。先生、きっぱりと、「天才は自分の事しか考えない」[ぴかぴか(新しい)]
なので、先生も祐飛さんも天才じゃないらしいですが、マヤの「ダメでもともと」は、先生の口癖だそうです。

あと、先生も祐飛さんも、演出家の黒沼(龍三)さんが、お気に入りらしいです。先生の中では、黒沼さんが勝手に登場してどんどんしゃべるので、色々カットしているとのこと。実は愛妻家らしい。

祐飛さんは、亜弓さんをただの意地悪キャラにしなかったところが、すごい[exclamation]と。
「鳥籠の鳥が逃げた」という演技をさせた時、動けなかったマヤを見て、その眼の動きだけで、彼女の芝居に気づけた亜弓…というところで、先生の中で亜弓キャラが確立したんだそうです。

祐飛さんは、役を掴む時のことについて、「リラックスと集中、心の解放によって、役が歩き出す」というような発言をしていました。

「マヤ、恐ろしい子[exclamation×2]」という名セリフの時、顔にタテ線か、目が白いですよね[るんるん]と作者様に同意を求める祐飛さんは、最強に見えました[あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)]

月影先生と「紅天女」の関係は、木下順二氏が、「夕鶴」という芝居を山本安英さん以外に演じさせなかったというエピソードがモデルになっているんだとか。
人間じゃないという設定は決まっていたが、ある日、姿がふっと浮かんできて、それに触発されて、木の精、枝垂れ梅の精というふうにこじつけた。そして、だんだん、樹齢千年の梅が斬られたらどうなるのだろう…というところから環境問題的な背景が生まれたそうだ。

そんな先生を癒してくれるのは、「指圧と温泉」とか。

そして、先生の執筆を支えているのは、「想像の翼と疑似体験」。冬山で遭難するシーンを描いている時、真夏なのに身体が凍って痛くなったこともあったそうだ。
その想像と自身のコントロールの話を演劇界の方に話したら、「それはメソッドですね」と言われたとか。
そういう疑似体験で「人生が増えている」のも、役者と漫画家に共通する部分かもしれないですね。

ちなみに、美内先生、「ガラスの仮面」の劇中劇は、全部作っていて、台本も書いていたそうです。「たけくらべ」とか「若草物語」のような原作ものも一応上演台本があるそうですが、「女海賊ビアンカ」とか「二人の王女」は、いずれ描きたいと思っていたマンガの連載を潰して劇中劇に採用したものだそうです。
ちなみに、そんな「女海賊ビアンカ」は9月に再演されるそうです。

ここで、祐飛さん、美内先生との不思議なご縁を。
祐飛さんの女優デビュー作「滝の白糸」の演出家、蜷川幸雄さんは、「ガラスの仮面」の演出家。2作目のプロデューサー、梅若六郎玄祥さんは、「紅天女」の演出家。そして3作目の脚本、児玉明子さんは、「女海賊ビアンカ」の演出家…というご縁があるのだと。
美内先生によると、梅若玄祥さんのお能は、退屈ではなく面白いと初めて感じたものだったとか。
「紅天女」については、セリフをわかりやすくしてください、とお願いしたそうです。
G2さん演出の「ガラスの仮面」では、G2さんは、「二人の王女」にこだわっていたそうで、“合わないキャスティング”が面白い。常識をくつがえすことで興味を持ってもらえる。ビックリするから面白がられる…みたいなお話が出た。

祐飛さんとしては、調子のいいキャラクターが来た時、なにか自分が変わった気がした…と。それとオスカルが転機だったというような話が出た。

執筆中の先生は、片手で描きながら食べられるものしか口にしないし、あまり食べると眠くなるので食事をコントロールすることもある。仮眠も布団で寝たら長時間になるので、机の下で寝たり。ある先輩マンガ家から、仮眠には新聞紙がいいわよーと電話があったとか。
いつでもホームレスになれると自慢していらっしゃいました。
それを聞いた祐飛さん、「それは、アスリートですよ」と。
役者は、瞬発力も必要だけど、マンガ家は、持久力の必要なアスリートなんだなーと、しみじみ。なので、美内先生は箱根駅伝が大好きなんだとか。
ちなみに、祐飛さんも稽古中はアミノバイタルとか飲みつつ頑張っているそうです。

祐飛さんは、宝塚時代は、速水真澄役を演じたかったそうで。リアル北島マヤが相手役だったからねぇ[るんるん]
先生から、お若いから申し訳ないけど、月影先生が似合うと言ってもらっていました。

美内先生の胸の奥に「マンガの神様」が住んでいる。それを突き詰めていったら、それは、幼い頃、マンガが大好きで、貸本屋に通い詰めた自分自身なのではないか、というふか~いお話も聞くことができました。

マンガだけでなく、トークも最高に面白く、祐飛さんがたじたじになる面白いノマド第3回でした。
最後は、一緒に温泉に行きましょう[exclamation×2]と盛り上がった二人でした。


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