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「サ・ビ・タ」観劇 [┣矢崎広]

東宝ミュージカル
「サ・ビ・タ~雨が運んだ愛~」

音楽:チェ・ギッソプ
歌詞:チェ・ミョンソプ
脚本:オ・ウンヒ

日本語版台本・訳詞・演出:中島淳彦

音楽監督:長谷川雅大
歌唱指導:ちあきしん
美術:加藤ちか
照明:倉本泰史
音響:山本浩一
衣裳:牧野iwao純子
ヘアメイク:宮内宏明(M's factory)
振付:田井中智子

「サ・ビ・タ」は、韓国のオリジナル・ミュージカルで、初演は1995年。2008年から日本でも上演を開始、今回が4度目の上演とか。
前回公演より、円形劇場を使用するようになったそうだが、このミュージカルは円形劇場が似合うと思った。
世話焼きで二人の妹から鬱陶しがられ、一人で誕生日を過ごすことになった兄のもとに、7年ぶりに一番下の弟が帰ってきた。彼の泥だらけのカバンの中には、ナイフとたくさんの現金が…!疑心暗鬼にかられる兄と、心を開かない弟のところへ、家を間違えたイベントガールが飛び込んでくる。
基本的に『新婚初夜を迎えるカップルへの賑やかし』ビジネスらしいのだが、韓国では、新婚初夜=自宅が基本なのだろうか?まあ、最近は、日本でも、新婚旅行の多様化に伴い、結婚式、即新婚旅行ではないカップルも多いそうだが。
この闖入者の登場をきっかけに、兄と弟が、思いをぶつけあい、心を通わせるまでを2時間の観客参加型ミュージカルにしている。
年間100日位は観劇に費やしている私としては、基本が一人観劇。友人と一緒だと、観劇してそのまま帰るというスタンスではいかないので、余計なお金がかかるし、スケジュールの調整も必要だし…。
でも、この手のミュージカルは、一人で行くと味気ない。
できれば、愛する人と、そんな相手が今いない人は、大切なお友達と一緒に観てほしいな~と思った。
私も次回の再演の時は、友達を誘ってみようと思っている。

さて、このミュージカルは、先ほど記載した三人だけのミュージカルだが、実は、とても重要なキャラクターがあと三人登場する。
彼らは観葉植物の精という位置づけで、黒子ならぬ迷彩緑子といったいでたちなのだが、黒子的作業だけでなく、歌ったり踊ったり、なんでもできる素晴らしいアンサンブル[ぴかぴか(新しい)]だった。最後に彼らが顔前のスダレを外し、名前を紹介(鎌倉哲也・塚越眞夏・武市悠資)されているのを観て、すごく嬉しくなった。それだけの働きをしてるよね[exclamation×2]と。

主人公のチョン・ドンウク(駒田一)は、世話好きな40歳独身男。男子中学校の音楽の教師をしている。三歳下の妹ヨンヒは主婦で三人目の子を妊娠中、6歳下のチョンヒは結婚もしているがバリバリのキャリアウーマン、そして、11歳下のドンヒョン(矢崎広)は、7年前に家を出たきり、戻ってこない。
ドンウクは、忙しい妹たちのために、いいように使われている。料理だったり、洗濯だったり。そして都合よく使われたあげく、家に来る約束はドタキャンされるような扱いを受けている。
そんなドンウクにも、浮いた話がなかったわけではない。かつては、結婚を意識していた女性がいた。ドンヒョンが出ていく前は。
しかし、彼は自らの家庭を持つことより、弟妹の面倒をみることを優先したのだった。そのことで、弟妹たちが負い目を感じたことが、現在の彼の孤独な状況を作り上げているようだ。その上、ドンウクは、音楽教師として致命的な病を抱えてしまった。
彼は、自らの犠牲的精神があって家族の幸せがある、という夢を見続け、だから自分の人生は無駄ではない、と思い込むしかなくなっている。勝手に夢を見られた側が、それをどう負担に思おうとも。
ドンヒョンは、音楽の才能があったらしい。それで、ドンウクは、自分は音楽教師だけれど、弟にはピアニストか作曲家になってほしいという夢をみていた。その夢が負担だったのか、ドンヒョンは、家を出て、軍隊に入り、除隊後は、船乗りになって世界を転々とした。たぶん、ドンヒョンが家に帰る気になったのは、彼が怪我をして、「もう絶対にピアニストになれない!」という客観的な証拠を得たからだろう。
もうプロになることはできない弟と、もしかしたらこの先ピアノが弾けなくなるかもしれない兄の、だからこそのちょっと拙くても大丈夫な連弾きゅんとした[揺れるハート]が、ジャズピアノなのが辛かった。運指のテクニック的な問題ではなく、リズム感的にジャズじゃない。クラシックにしとけー[ふらふら]と思った。
もしかしたら、韓国版では、ジャズピアノもがっつり弾ける人を主演にして企画されたミュージカルだったのかも[exclamation&question]

主演の駒田一以外はWキャストで、チームHとチームYに分かれている。私は、チームYしか観劇していないので、チームYのキャスト感想を。
駒田矢崎は、声質と声の太さがよく似ている。だから、二人が兄弟役というのは、すごく納得できるし、二人のデュエットは、非常に聴いていて気持ちいい。また、矢崎の尖った演技が、作品に緊迫感を与えていて、楽しい場面と、イタい場面のメリハリが見事だった。
一方、イベントガール役の八坂沙織は、歌が残念。アイドルシンガーを卒業して、舞台女優としての第一歩をこの作品で踏み出したようだが、既存のミュージカルは、自分の音域を超える楽曲が用意されている場合もあるから、難しかったのかも。ハーモニーが綺麗に決まらない曲もあったし、しょっぱなの[るんるん]「結婚、おめでとう」のナンバーと、次の[るんるん]「失敗ばかり」のソロは、かなり痛々しかった。眼鏡を外した顔は可愛いので、今後の精進を期待したい。
駒田安定感は抜群。さすが、4度目の「サ・ビ・タ」です[exclamation]

【今日の言葉】
「僕の歌は、僕の心と一緒に彼女に捧げてしまったんだ」byピエール@『ドリーム・ア・ドリーム―夢に歌うピエール―』
作・演出:鴨川清作
花組 1970年

掲載されている写真は、麻鳥千穂さん、竹生沙由里さんでした。


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