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子供のためのシェイクスピアカンパニー「シンベリン」観劇 [┣演劇]

子供のためのシェイクスピアカンパニー
「シンベリン」

作:W・シェイクスピア~小田島雄志翻訳による~
脚本・演出:山崎清介
照明:山口暁
音響:角張正雄
衣裳:三大寺志保美
オブジェデザイン:松岡泉
演出補:小笠原響
舞台監督:堀吉行
制作:峰岸直子
主催:華のん企画

「子供のためのシェイクスピアシリーズ」のことは知っていたが、長年、あれは、“子供の付き添いがないと、大人は行けない”ものだと思い込んでいた。
去年、EGIちゃんに、そんなことはないのだ、と教えてもらい、もし見られたらいいなぁ…と思っていたので、観にいけて満足。
「子供のための」と銘打っているだけあって、客席には大勢の子供たちがいた。座席料は、大人4,800円に対して子供3,000円。子供が観ると利益が減ってしまうのだが、そこは、企業との連携やツアー公演の買い取りなどで対応しているのだろうと思う。

さて、今回の演目は「シンベリン」。
大人の私も知らない。
シェイクスピアの作品の中では、無名の部類に入る。でもって、予定調和に過ぎるとか(シェイクスピアの他の作品なら悲劇を生む設定がいくつもあって、なのにそれが大団円で終わる)いわれる作品でもある。

物語は複雑だが、シェイクスピア作品をいくつか読んでいれば、わりととっつきやすい作品だと思う。
舞台は、ローマ帝国全盛期のブリテン(イギリス)。国王シンベリン(佐藤誓)には、2人の息子と1人の娘があったが、息子達は行方不明になっていた。息子のいないシンベリンは、一人の子供を我が子同然に育てる。ところが、その子、ポステュマス(若松力)は、王の一人娘・イモージェン(石村みか)と恋仲になってしまった。
怒り狂い、ポステュマスを追放するシンベリン。王は、王妃(伊沢磨紀)の讒言により、王妃の連れ子であるクロートン(戸谷昌弘)をイモージェンと結婚させるつもりだったのだ。
ポステュマスとイモージェンは、指輪と腕輪を交換して、再会を誓い合う。

ポステュマスは追放され、ローマに行く。そこで、お互いに、虫の好かない男に出会う。ヤーキモー(山口雅義)という名のその男は、ポステュマスが妻のイモージェンを褒めるあまり、ローマの女たちを貶めるのが気に入らない。そこで、そんなに美しく貞操堅固な奥方なら、自分が誘惑してもなびくまい、ひとつ賭けをしないか、ともちかける。売り言葉に、買い言葉、ポステュマスは、ヤーキモーの賭けを受け入れてしまう。

ブリテンに入ったヤーキモーは、イモージェンの誘惑に失敗するが、姦計を用いて彼女の腕輪を奪い、胸乳の黒子を見つけて、それを関係の証拠とする。ポステュマスは、イモージェンの不義を事実と信じ込み、召使のピザーニオ(土屋良太)に自分のかわりにイモージェンを殺してくれ、と依頼する。

一方、王妃は国王を暗殺し、息子クロートンを王位につけようとしていた。そのために、毒薬を入手しようとしていたが、博士(山崎清介)が調合したのは、少しだけ仮死状態になって、すぐ回復する薬。
購入するところをピザーニオに目撃された王妃は、その薬を彼に渡し、滋養強壮の薬だと言う。(嘘から出た真実)

ブリテン王シンベリンは、ローマへの年貢支払を拒絶し、両国は戦闘状態に入る。

ピザーニオは、イモージェンを連れ出し、殺害するかわりにハンカチを血に染め、彼女に男装をさせ、ローマ軍のリューシャス将軍がここを通るはずだから、頼んで従卒にしてもらうように、と告げ、王妃にもらった薬を渡して去る。
ところが、通りかかったのは、ここで狩猟生活をしている親子3人だった。
二人の息子は一目見た瞬間からイモージェンの扮した少年を可愛がり、彼のための食事を用意しようと、再び狩りに出る。そこへ、イモージェンを探しにきたクロートンが現れ、兄弟と喧嘩になり討ち果たされてしまう。
その間に、疲れたイモージェンは薬を飲んで仮死状態になってしまう。
ショックを受けた兄弟は、イモージェンをクロートンの死骸と一緒に葬る。ただし、クロートンの首は刎ねられているので葬ったのは首のない胴の方。息を吹き返したイモージェンは、夫の上着を着たクロートンの死骸を夫の死骸だと勘違いして嘆く。

そこへローマ軍のリューシャス将軍(山崎清介)が現れ、イモージェンは、彼に仕えることになる。
一方、ローマ軍の一員としてブリテンに帰還したポステュマスは、シンベリン王が殺されそうになっているのを見つけ、とっさに助ける。相手があのヤーキモーだったこともあり、思いきり打ち負かす。
こうして、ブリテンはローマ軍に勝利したが、強硬派の王妃が息子を失って狂死したこともあり、シンベリン王は、年貢の支払を継続することを誓う。
そして、あの狩人の親子が、実はシンベリン王のかつての部下とその誘拐した王の二人の子だったことがわかり、ポステュマスとイモージェンも再会して大団円となる。

だいたい一人二役以上をこなしているので、時々、居るべき人が舞台にいなくて、早替わりで登場し、“物陰で聞いておりましたが”などと言ったりしているが、それも面白い。大人は笑っていたが、子供には同じ役者だということは、なかなか伝わらないようだ。
リズム感のあるクラップ(拍手)と、普通の机とイスみたいな舞台装置、そして役のないモブの場面はコートを着て演じるあたりが、このカンパニーの特徴らしい。

役者の感想と、この舞台における「シンベリン」の特徴みたいなことは、いつかもう一度このカンパニーを観劇した時に。


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コメント 4

EGI

おお、愉美さん、見てくれたんですね。
子供のため~は、あちこちでお勧めしまくってる
シリーズなんで、嬉しい。
大人、充分いけるでしょ?
てか、今回は子供向けとは思えないような……(^^;;
ASCの彩乃木さんも、このシリーズで知ったのです、
わたくし。
また出てくれるといいんだけどなぁ。

役者さんへのコメントも楽しみにしてますですよ。


by EGI (2008-07-20 23:32) 

夜野愉美

EGIちゃん
コメントありがとうございます。
すごく分かりやすくて、よかったです。
むしろ、初心者のためのシェイクスピアだねー。
「シンベリン」じたいが、子供向けのネタじゃないなー。胸のホクロにその数だけキスをする、みたいなセリフもあるしなー。
カンパニーとしてはスポンサーに配慮して、有名作品と有名じゃない作品を毎年交互に上演しているらしいです。

役者編も頑張りますー!
by 夜野愉美 (2008-07-22 11:30) 

EGI

次回はマクベスってことで、気合い入ります。
個人的には伊沢さんは男役のが好きなんだけどね。

あ、リューシャスは山崎さんだと思うよん。
by EGI (2008-07-22 21:58) 

夜野愉美

EGIちゃん
教えてくれてありがとうございます。
後半のキャスト、誰が誰やら記憶が曖昧で…すみません。さっそく修正しておきました。

次は伊沢さんがマクベス夫人かなぁ?
by 夜野愉美 (2008-07-23 12:04) 

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