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宝塚月組「エリザベート」観劇(加筆) [┣宝塚観劇]

ようやく宝塚大劇場月組公演「エリザベート」を観た。
一週間晒したブログに加筆するのは、気がひけるが、書くとしたらこの日の日記しかないので、ご容赦願いたい。過去日記の加筆は、今後も時々あると思う。(遠征中の観劇記など)
そういう場合は、加筆した日の日記にその旨を記載してリンクを貼るという方法を採ろうと思っている。

簡単に月組版特徴を先に述べておく。
まず歌詞が非常によく聞き取れた。個人の発声がそれぞれ、すごくクリア。ただし、コーラスは迫力不足かもしれない。これはミュージカルの場合、避けては通れない問題だ。声量か、歌詞か。ある程度は歌詞が聞き取れないと話にならない…と思うので、やや迫力を欠いたが、ドラマがしっかりと伝わってきた点を評価したい。
長いので、読みたい方だけ、「続きを読む」を。

ACT1
冒頭のルキーニ登場。前回花組の東宝で、瀬奈は花道から登場したが、霧矢は、従来通り袖からの登場。このルキーニは賛否がわかれると思う。そういうルキーニで挑んできた霧矢の挑戦を評価したいが…舞台上で必要以上に小柄に見えてしまうところが惜しい。
今回のルキーニは「グランド・アモーレ」ではなくて、「ウン・グランデ・アモーレ」と言っているような気がする。日本語では冠詞の有無はどうでもいいのだが、あえてこう叫ばせたとしたら、その裏には、トートの愛が普遍的な愛の象徴ではなくて、「あるひとつの大きな愛の物語」だったという意味に取れる。
最初の霊魂のコーラスから、歌詞がかなりはっきりと聞き取れることに感動。
裁判官の声は、大迫力
で、とてもマダム・ヴォルフとは思えない。さすが、エリさん(嘉月)だ。この人をキーポイントで使えてこそ演出家だと思う。
黒天使は、何人か美形もいるが、もう少しメイクと鬘を考えようよ…という人が半分くらいいる…。メイクはずーっとダメな組だからなぁ…(がっくり)
瀬奈エリザは、肖像画から飛び出してこない。
恐る恐る現れるエリザベートは、若干若作りしすぎ…とはいえ、可愛らしくて少し安心。
フランス語の家庭教師(憧花ゆりの)
がなかなか達者で美形に見える。この子なら東宝版同様マックスの浮気相手でもOKかもしれない。
小池先生が拘った「パパみたいに」。たしかに娘役の音域では中途半端に裏声に転じてしまう歌だが、瀬奈で成功しているとは言い難かった。むしろ地声に拘った部分の発生が汚く、興ざめだった。が、見た目はとても可愛らしく、また、マックス公爵(星原)との親子関係がとても微笑ましい。いささか子供っぽいことは否めないが。(この部分と結婚を承諾する場面では時間的にほとんど差がないので、子供っぽすぎると妙に見える)
姉のヘレネがとても可愛らしかった。キャスティング時点では「やっぱり」感があった花瀬だが、娘役の意地とでもいうか、ここ数年なかった位の気合いを感じた。それによって、フランツは美貌の妹を選んだというよりは、エリザベートという女性の活発な個性にひかれた印象を受け、好感を持った。ただ、美貌というだけでは、あれだけの年月をひたすら待てないだろう。
親戚の子供も可愛いのだが、「うちの娘もっときれい」と言わせない美しさ、可憐さが花瀬にはあった。髪形も似合っていてピンクのドレスも可愛かった。ハンカチが破れる演出から、花を飛ばすものにしたのも成功。
トートとエリザベートの出会いも、エリザベートの明るい意思力にトートが一目惚れした印象。月組のトートは個性的、人間的、そして庇護欲をそそる対象。エリザベートに拒絶されて項垂れている姿は、不思議に抱きしめたくなる。
そんなトートを含むすべての人がエリザベートを愛したり憎んだり、彼女を中心に回っている印象が最後までつきまとった。今回の「エリザベート」は、本来的なエリザベート主役版として演出されたのかもしれない。次期主演男役の瀬奈を持ってくることでそれを可能にした、キャスティングの妙と言える。
今回の皇帝フランツは、皇帝なんだけれど人としての優しさや温かさがある人。こういう皇帝像は初めて。さすがガイチさん(初風)。実は今までで、一番共感していたのが稔フランツで…彼は、自分が努力したことは妻もできるはずだと信じ、自分の価値観がごく普通のもので、自分が母を思うように妻も義母を思うはずだと信じていた人。皇帝のストイックな雰囲気と、その価値観が打ち砕かれた時、熟考の末、妻への愛を優先しようと一歩踏み出す部分がとてもよくわかる演技だった。
が、誰が好きかと聞かれれば、今までは、樹里フランツだった。皇帝より愛!っていうタイプで。でも、実は皇帝には見えなかった。
今回の初風フランツは皇帝でありながら、愛があって、何もかも包み込んでくれて…しかも歌声がやわらかくて、低音も高音もすばらしい。歴代フランツ第一位に推奨しておく。
ただ、この麗しい歌声に酔っていたのか、シシイは、これだけはっきりと聞き取り易く歌ってくれた「嵐も怖くない」の歌詞をまったく聞いていなかったらしい。最初から、皇后になるということはどんなことか、伝えていたのに…。
「結婚式」「舞踏会」のコーラスは、アンサンブルの人たちのソロのタイミングも含めてとてもよかった。すべての歌詞がクリアだったことは、敬服に価する。別々のことを歌ってるのに両方わからせるってすごいこと。
麻華りんかの短いソロが印象的だった。
トートに出会ったエリザベートが怖れてフランツに縋りつく場面も、二人の表情と「皇后らしく」のセリフの優しさに、この夜までは「嵐も怖くなかった」のだろうと思えた。細かい仕草や表情までもが、いろいろと語っていて、月組は、ちゃんと「芝居の月組」に相応しい後継者がいるのだな、と、感じた。
この後のルキーニのセリフが明瞭でとてもいい。
「なにごとも予定通りいかない」と「さて翌朝」の間に、抑揚の違いがはっきり出ていたので、「予定通りいかなかった」のが、夜のことだったと、はっきり推察できるようになっている。(幼いエリザベートのせいで夫婦のことは不完全に終り、フランツに宥められ、エリザベートは熟睡。夫が不首尾を母に伝えたので、早朝からゾフィー登場となったのだろう。)
(夫婦のことを母親に言うなんてマザコン…とエリザベートですら思ったかもしれないが、きっとフランツは皇帝だから、皇帝の義務として報告をしたのだと思う。やはり、お世継ぎってことがあるから、普通の夫婦関係とは違う。)
子供を産んだ後、よろよろと産室から出てくるエリザベートがとても儚くてよかった。ここのコーラスも皮肉たっぷり。ちゃんと歌詞が聞けるとエリザベートに同情ばかりはできない。(子供に子供は育てられない。躾が要るのは母の方よ。)
ハンガリー訪問では、三色旗を着たエリザベートが夫を守るように一歩前に出る姿に、最初は涙が出た。このことで、彼女は自分の仕事を得ただけではなくて、夫に自分が必要な人物だと確信できたことが嬉しかったのかな?と思った。夫の役に立ちたい…と思うエリザベートの純粋さを感じた一瞬だった。
ハンガリー3人組は、エルマー(月船)が、とにかく熱い。これは、相当なハマリ役だと思う。ハンガリーへの思いも3人三様で面白い。
ウィーンのカフェでは、歌詞というかセリフが聞き取れすぎておかしかった。
「会ったことのない人で、ヨハネの黙示録を持っているんです」
って…会ったことのない人って言うより、キミたちもこの店初めてでは?
妙に熱いハンガリートリオの中で、越乃ツェップスはクールだ。なぜ、あんな丸い眼鏡なのかはわからないが。ミルクの場面の迫力は、コーラスが弱い月組では銀橋に出てきて…という演出は効果があったと思う。
椅子に乗って扇動するトートは見られなくなったが、扇動役のトートと革命4人組(ハンガリー3人+ツェップス)は銀橋で立っていて、市民は座り込んで歌うのでそれなりに中央の彼らが目立つ作りにはなっている。
引っ込みのエルマーも熱いので、注目したい。
リヒテンシュタインの紫城るいは、元男役ならではのドスのきいた台詞回しが素直で、歌も素晴らしくて聞きごたえがあった。また、月組の女官は誰も彼も美人でうれしい。
エリザベートの衣装は、あさこちゃんの肩幅が気にならないデザインで、とてもよかった。美しい1幕の幕切れだった。

2幕はいずれ書きたいが、一言だけ。

ルドルフは、頑張ったなぁ。歌も踊りも本人の実力以上頑張ったと思う。なので、手放しで褒めてあげたい。←期待するレベル低すぎ…(微妙なファン心)


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