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悪童会議「いとしの儚」観劇 [┣演劇]

悪童会議旗揚げ公演 
100DAYs LOVE「いとしの儚」


作:横内謙介
演出:茅野イサム


音楽:和田俊輔
作詞:浅井さやか(One on One)
振付:桜木涼介
殺陣:清水大輔(和太刀)


美術:石原敬(BLANk R&D)
美術助手:湖崎茜香(BLANk R&D)
照明:林順之(ASG)
音響:青木タクヘイ(ステージオフィス)
衣裳:小原敏博
衣裳助手:小林由香
衣裳製作:大和田梓
特殊小道具:田中正史(アトリエ・カオス)
衣裳進行:懸樋抄織、石井玲歌
ヘアメイク:糸川智文(STRINGS)
ヘアメイク助手:杉野未香
歌唱指導:カサノボー晃
所作指導:花柳輔蔵
所作指導アシスト:花柳輔貴理子
音楽制作協力:新良エツ子


演出補佐:加古臨王
演出助手:山崎絵里佳
舞台監督:大山慎一


特効:アトリエ・カオス
大道具:株式会社俳優座劇場
小道具:高津装飾美術株式会社


制作:高橋戦車(オフィス鹿)、野田麻衣(MIMOZA)、鳥谷規
制作助手:及川晴日、佐藤恵美(MIMOZA)、村上希、瀧口さくら、高崎悠珂
プロデューサー:中山晴喜
主催:アミューズキャピタルインベストメント、悪童会議、ニッポン放送


六本木のトリコロールシアターで上演された「いとしの儚」を観劇したのは、もう2年前[exclamation&question](調べたら2021年10月でした[exclamation×2])その公演を観に来た今回の演出家茅野イサム氏が、その時一緒に観劇していた佐藤流司を主役に今回の公演を企画したと聞き、それなら今回の「いとしの儚」も観に行かなくては…と思った。
「ミュージカル刀剣乱舞」の沖田組(沖田総司が使っていたとされる、加州清光と大和守安定を演じている)二人が、同じ作品の同じ役を演じるというのは、沖田組ファンとしてもうれしい話だし、発端があの公演なら尚更だから。


そもそも「いとしの儚」は、扉座という劇団のレパートリーのひとつで、座付き作家・演出家である横内謙介氏が脚本を手掛けている。(ピューロランドのKAWAII KABUKIの脚本も書かれている(ほかに今ちょっとセンシティブな話題かも…ですが、スーパー歌舞伎などの脚本も手掛けているそうです)横内氏。短いタームで、彼の脚本に接するのも何かのご縁でしょうか。)
あらすじは、鳥ちゃんが主演したトリコロール公演の記事をご覧になってください。 


今回、劇場は品川プリンスホテルステラボール。作品的には少し広いかな…とも思ったが、出演者数を増やし、ミュージカル風なつくりにしたことで、劇場に見合う演劇になったと思う。というか、そもそもトリコロールの方が大胆な改変である可能性(つまり、一人何役もやることによって、出演者を減らしたとか…)は否めないが、なにごとも自分が最初に見たものを正解に思ってしまうものなので、その辺はご容赦いただきたい。
本作の儚→鈴次郎への思慕だって刷り込みから始まっているし、人間、刷り込みから逃れるのは、とても難しいのだ。


さて、今回の「…儚」は、もうひとつ話題があって、演出の茅野イサム氏が、俳優としても出演する。役は、鈴次郎を宿敵と狙うゾロ政。ゾロ目(サイコロで同じ目が揃うこと)に因んだ通り名だから、彼はゾロ目を出して勝ってきたんだろうな…と思う。
とすれば、ゾロ目は必ず「丁」になるので、彼は、丁半博打の時は絶対に「丁」で勝負する。一方、鈴次郎は「半」で勝負する博打打ちなので、二人の勝負は、言ってみれば、丁と半の戦いでもある。で、負けなしの鈴次郎に負けて目を潰され、ゾロ目が片目になってしまった…という悲劇。だからゾロ政は鈴次郎を追う。どんなに勝っても、鈴次郎に勝たなければ意味がない。執念の世界だ。ケレンと色気に溢れたゾロ政、とてもカッコよかった。


ヒロインの儚役は、2.5次元作品で多くのヒロインを演じている七木奏音。私はモリミュのハドソンさん役でファンになった。大人の身体で、幼女→少女→成人女性と、刻々変化していく儚を表現する難しさ。さらに下品な博徒の言葉をなぞって無邪気に汚い言葉を使っていたところから、教育を受けて言葉や態度が変化していく変わり身の鮮やかさ。ラスト、生きて人間になりたい思いより、愛する鈴次郎と結ばれたい思いが勝るところは、ここまでの展開を考えたら、そうかな?ともなるけれど、七木の芝居で押し切る。
主人公の鈴次郎、クズの中のクズを演じた佐藤流司。演出の茅野イサムは、佐藤を「可愛くなければならない」という固定観念にとらわれた加州清光としても演出しているが、今回の鈴次郎は、ろくに風呂も入っていないような汚い役。佐藤の持つ凄みは、鈴次郎の生命力の輝きに見えたが、一方で、どんなにキタナイ衣装を着ても、佐藤自身の美しさが隠れることはなくて、たとえば、キタナイ着物の裾がはだけて脛が見えると、それだけで美しいな…と感じてしまうのが、残念な雑念ではあった。
(間接的に鳥ちゃんは本当にキタナカッタと言っているわけではありません。)
賭博好きな鬼、鬼シゲを演じた郷本直也。鬼メイクかっこいい[ぴかぴか(新しい)]間抜けっぽい役ではあるが、かっこいいんだよね。好きだわ、ほんと[黒ハート]
青鬼は福本伸一。鬼シゲとの賭けで、鈴次郎は鬼になることを選ぶのだが、不死身の鬼になって百年以上経った姿が青鬼という設定になっている。そもそもの設定(トリコロールの時も)だったのかは、もはや覚えていなくて、今回は演出で気づかされた。儚のことを思い続け、鬼なのにすっかり毒気が抜かれて渋くなり、それゆえに語り部としての客観性も有するようになる。欲にまみれた鬼であり続ける鬼シゲ(郷本)との対比も鮮やかだった。
儚の教育を引き受ける妙海(日野陽仁)と三木松(佐藤信長)のコンビも、清濁併せ吞む深みがあって面白い。別役で、お殿様と小姓も余裕で演じていて、コンビの関係性はそのままに、まったく別キャラになっていて、面白かった。


ステラボールという、あまり劇場っぽくない劇場が、スタッフワークの素晴らしさで、枯れすすきの生い茂る荒んだ野原になり、虚飾で飾り立てた岡場所になり、鈴次郎の勝負の場になり…この劇場で、こんな芝居が繰り広げられるとは…と感動した。
一部、歌唱曲も追加され、ミュージカル的な展開のシーンがあったり、飽きさせない面白い舞台だった。


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