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宝塚歌劇宙組東京公演「イスパニアのサムライ-El Japon-」 [┣宝塚観劇]

宝塚ミュージカル・ロマン
「イスパニアのサムライーEl Japon-」


作・演出:大野拓史
作曲・編曲:玉麻尚一、高橋恵
音楽指揮:佐々田愛一郎
振付:峰さを理、平澤智
殺陣:清家三彦
装置:新宮有紀
衣装:河底美由紀
照明:氷谷信雄
音響:大坪正仁
小道具:西川昌希
歌唱指導:彩華千鶴
映像:九頭竜ちあき
演出助手:生駒怜子
舞台進行:香取克英


大野先生のフィクションと史実が入り混じった作品を観るのは、「NOBUNAGA」以来かな[exclamation&question]
舞台はスペインなのに、マカロニ・ウエスタン的風変わりな作品…というか。まあ、大野先生が楽しんで作ってるな~というのは感じたので、よかったね[黒ハート]と、大きな愛で包んでおきたいと思います。


江戸時代の初め(慶長18=1613年)、仙台藩の伊達政宗は、藩で船を建造して、スペイン及びバチカンに使節を送った。教科書に出てくる支倉常長の慶長遣欧使節団である。その時、随行した日本人の一部が、長い滞在期間(4年弱)だったため、現地に家庭を持ち、帰国しなかった。その人々の子孫が、現在も、ハポン(日本)という姓を持って暮らしているのだとか。
という、史実が下敷きになっているものの、本筋は、大野先生創作のラブストーリーとなっている。


主人公の蒲田治道(真風涼帆)は、仙台藩から和賀家に派遣され、岩崎一揆に参加した武士。史実では戦死したこのキャラクターを生かしてスペインに派遣するところから、大野先生のフィクションは始まる。登場人物も、日本人、スペイン人と多彩で面白い。
ラブストーリーなのに、主人公が、無口な武士なため、一気に展開しないのも面白いし、番手スターのキャラクターもそれぞれ個性があって、楽しめる。娘役もそれぞれしっかり見どころがあるし、脇役の演技巧者たちも、見せ場がある。
座付き作家として、しっかり仕事をこなしている大野先生には頭が下がるが、どういうわけか、中盤、眠くなる。けっこうな回数観劇したのだが、My楽に、おお、こんなシーンが[exclamation×2]なんてことがあった。これまで、作品が酷すぎて眠くなったことは数あれど、面白いのに寝てしまう…というのは、どうしたことか[あせあせ(飛び散る汗)]
私も年取ったってことかしらね[exclamation&question](体力の低下[爆弾][爆弾][爆弾]


では、出演者感想です。


真風涼帆(蒲田治道)…口跡に硬いところがある真風なので、武士は、似合いのキャラクター。無口で、真面目で、女性への対応もスマートじゃなくて…そういう男性像がピッタリ嵌まった。ラストシーンのテレが、とても可愛かった[黒ハート]


星風まどか(カタリナ)…コリア・デル・リオの街道(聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラに向かう街道のひとつ)に面した宿屋の女主人。婚礼の朝に夫を殺された、という過去を持つ未亡人。夫婦の過去の会話が音声で再現されるが、夫役は真風なので、たぶん、死んだ夫は、治道に似たタイプだったのではないか、と思う。宿を守るために、治道に剣術の弟子入りをするのだが、そういう一本筋の通った気の強い女性が似合うなぁ~と思う。だんだん治道に惹かれていく心理描写も丁寧。ラストシーン、さっくりと治道を受け入れるところが、オトコマエだった。
※サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼道は、日本で言うと熊野古道。たくさんのルートがあることも共通している。巡礼道が数珀キロに及ぶ「道」の世界遺産は、ふたつだけ…ということで、現在「共通巡礼」の取り組みが行われているとのことです。


芹香斗亜(アレハンドロ)…流れ者の剣士。でも実は、レルマ公爵の息子(五男)…という[あせあせ(飛び散る汗)]充実期の男役ならではの肩の力の抜けた洒脱な立ち姿[ぴかぴか(新しい)]ラストシーン、治道とカタリナを結びつける粋なセリフが似合っていた。とはいえ、今の芹香であれば、もう少し難しい役どころを与えても応えられるはず。芹香だからこそ魅力的にできた役ではあるものの、いささかの役不足感は、あったように思う。


英真なおき(ドン・フェルディナンド)…大農場主。当時のスペインでは、モリスコ(改宗イスラム教徒)追放政策により、深刻な労働力不足に見舞われていた。そんな中、密輸入した日本人奴隷を使って大儲けし、金の力で貴族の地位を買おうとしている強欲なおじさん。カタリナに横恋慕していて、その夫を殺させた…という過去がある。いやー、お主も悪よのぉ~[揺れるハート]英真さんに任せておけば、何の不安もありません[るんるん]


寿つかさ(支倉常長)…歴史の教科書にも出てくる慶長遣欧使節団の団長。真剣な場面、コメディリリーフ的な場面、それぞれで、いい味を出している。そんな中、この旅のことについて、自分達は役目を果たせたのだろうか…と自問する場面に、ぐっと来た。


凛城きら(レルマ公爵)…国王フェリペ3世の寵臣。政治面を取り仕切っていた実在の人物。というわけで、存在感がすばらしかった[ぴかぴか(新しい)]終盤、農場に乗り込んだ場面での、アレハンドロとのやり取りが、なんともステキ[グッド(上向き矢印)]なんだかんだで、息子愛は強いらしい。


松風輝(内藤半十郎)…使節団のナンバー2みたいなポジション。治道たちよりは年長で、張り切ると腰痛が出てしまうらしい[あせあせ(飛び散る汗)]組長同様、深刻な場面と息抜きになる場面の対応が的確で、作品の要になっていた。


星吹彩翔(フェリペ3世)…スペイン国王。実務はすべてレルマ公爵に任せていたらしい。でも、本作品のフェリペさんは、超軽い言動ながら、しっかり現状を認識し、指示も与えている。サヨナラの配慮かな。ステキなフェリペさんでした[黒ハート]王妃役の美風舞良もしっかり国王を際立たせていたと思う。


美月悠(伊達政宗)…めっちゃ色っぽい殿さまでした[黒ハート]剣舞の時、なぜか、周囲に人が居なくなる…という辺り、仙台藩の警備はどうなっているんだろう[exclamation&question]と思ったが、いやいや、それは、作十郎と二人きりになるためかも[exclamation&question]と思わせるほど、したたる色気がありました[揺れるハート]


桜音れい(バランシャ伯爵夫人)…レルマ公爵の娘だそうです。日本から来たサムライにも興味津々だったし、新しく貴族の地位を得ようとする農園主にも興味津々…という、アバンチュールを求める享楽的な奥様役。一応、ツバメのカルロスをキープしていて、都合が悪くなると呼ぶところが面白かった。楽しそうにサヨナラ公演を過ごしているな~と、嬉しく思いました。


春瀬央季(ウセダ公爵)…レルマ公爵の息子…ということは、アレハンドロの兄。さすらいの用心棒みたいになっているアレハンドロを連れ戻して教育すると言っているが、そんなに真面目な兄上に見えない辺りが、春瀬だな、と思う。あ、褒めてますよ。


桜木みなと(エリアス)…ドン・フェルディナンドの息子。カランサの名門剣術学校で剣術を学んでいたが、彼に貴族の地位が与えられることになったため、父に呼び戻される。そうとう、こじれた性格。こじれまくり方が、可愛かった。そして、ラストシーンでアレハンドロに握手を求める姿が可愛すぎた[黒ハート]剣術の腕には自信があったらしいが、あまり強そうな姿を見られていない…[バッド(下向き矢印)]


七生眞希(只野作十郎)…伊達政宗の小姓。武家と小姓の間では常に衆道疑惑があるものだが、政宗と作十郎の関係は、恋文が残っていることから史実であると認識されているとか。色小姓に相応しい美形だった。でも、剣舞の暗殺者を一人で相手していたので、実はかなり強いと思う。


和希そら(藤九郎)…和賀一族の生き残り。岩崎一揆の際、仙台藩に見捨てられたことを恨んで、慶長遣欧使節出港の宴に乗じて、政宗暗殺を謀るが、治道に妨害される。藤九郎だけは、姉の仇である治道を狙っていたため、撤退せずに治道を襲うが、捕えられ、遣欧使節の一員として治道ともども出港することになる。スペインで、治道と行動を共にするうち、彼を慕うようになる。役もそもそもおいしいのだが、和希の芝居がきゅんきゅん[揺れるハート]させてくる。藤九郎はいい感じのこじらせ方なんだよね。ラストのぼそっと言うセリフ(男女の誓いといえば、ねぇ…みたいな)が、またいい[exclamation]しかも、このセリフを彼が言うことで、死んだお姉さんも含めて治道の幸せを願っている…と感じられることもいい。ただ、治道の命を狙うには、あまりに弱い気が…[バッド(下向き矢印)]


遥羽らら(藤乃)…藤九郎の姉で、治道が和賀一族に派遣されている間に恋仲になった。治道が戻って共に戦ってくれることを信じ、落城と共に死ぬ。回想シーンにだけ登場。限定的な出演だったが印象を残した。


瑠風輝(西九郎)…仙台藩士。慶長遣欧使節団の一員。夢想願流の使い手。治道は、西に憧れて剣の道を志したが、今では、治道の方が腕を上げている。学年差を乗り越えて、先輩に見える立ち居振る舞い、頑張ったね~[黒ハート]


天彩峰里(はる)…欧州に売られた日本人奴隷。ドン・フェルディナンドの農場で働かされていたが、逃げ出し、治道と出会う。治道に剣を学び、ドン・フェルディナンドの屋敷から奴隷売渡証書を発見するなど、大活躍した女剣士チームの中心人物。いやー、可愛い~[かわいい]可愛くて元気で、こちらも楽しく観ることができた。


その他、女官・道化のトリオ(綾瀬あきな・瀬戸花まり・留依蒔世)、ドン・フェルディナンドの傭兵(穂稀せり・若翔りつ・希峰かなた)など、適材適所の起用だったが、もう少し冒険も見たかったかな。


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