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「ハンナのお花屋さん」感想 その2 [┣宝塚観劇]

全体の感想はこちらです。


今回の公演、とても登場人物が多くて、特に若手にとってはいい勉強になったと思う。
最近、あまり、出演者感想を書いていなかったが、今回の花組別箱公演はいろいろ感じたことがあるので、登場人物と出演者について書いてみようと思う。


明日海りお(クリス・ヨハンソン)…ロンドン在住の新進気鋭のフラワーアーティスト。デンマーク出身。“ハンナズ・フローリスト”という店の店主で、社長。店の2階に住んでいる。34歳独身、彼女なし。
宝塚歌劇のトップスターが演じる年齢層は幅が広い。明日海も次回大劇場公演では「少年」役を演じる。原作通りの14歳ではないようだが。
にしても、研2で『THE LAST PARTY』に出演し、鮮烈な印象を残した明日海が、34歳という役を普通に演じる時が来たのか…というのは、自分の中で驚きだった。あれは13年も昔なのか。
すごく色々なものを抱えている人のはずなのに、どこまでも爽やかで、好青年。そして、世界のみんなの幸せのために生きているようなところがある。それは、私の中の明日海りおのイメージに重なる。13年前に彼が投げたフットボールがゆうひさんスコットの胸に届いた時からずっと。
クリスは、フェアトレード商品を扱う仕事を今後進めることになるが、そういうところもイメージ通り。そのわりに優等生風ではなくて、天才にありがちな、自分の得意な分野以外はからっきしなキャラクターも可愛い。
まさにアテ書きの勝利[exclamation]ステキでした[黒ハート]


仙名彩世(ミア・ペルコヴィッチ)…クロアチア出身。ロンドンでの生活を始めたばかり。でも、住民票もワーキングビザもない彼女は、色々と行き詰まることばかり。ふとしたことで知り合ったクリスと心を通わせるが、迷惑をかけたくないので深入りを避けている。
けれど、ラストでクリスは、フェアトレードの事業を手伝ってほしいという、とてもステキな提案をする。きっと、今度こそミアは彼女らしさを取り戻して生きていくんだろうな。
ヒロインには、あまりに地味で、しかもダサい服装ばかり。
新しいタイプのヒロインを創出したということなのかな…と思いつつ、その辺は可哀想な気がした。別箱公演のトップ娘役は、時々こういう試練があるのよね。うーむ。


芹香斗亜(アベル・ヨハンソン)…王室にも繋がる貴族の御曹司。大学生の時に、リトアニア難民の娘、ハンナと恋に落ち、クリスが生まれる。当初は結婚を考えていたが、彼の立場はハンナを不幸にしてしまうため、諦める。親子三人で幸せな時間を過ごしたこともあったが、結局、家業の存続のため、政略結婚に応じる。というのも、彼は養子で、家と会社を継ぐためにヨハンソン家に来たからだ。
経営していた工場の火事によってハンナを失い、クリスを引き取るが、自責の念から、心からの笑顔を見せたことはなかったらしい。そして、自らの死期が近いことを悟ると、妻に対して、ハンナと同じ場所に葬ってほしいと泣きながら頼んだらしい。
いろんな意味で、悲劇を生みだした張本人。
そして、一番苦しんだ人。
ただ苦悩した部分を演じるチャンスは与えられない。ある意味中途半端な役ではあるのだが、その空白を補ってちゃんと、物語が息子の世代に繋がっていたのは、芹香の功績だった。なにより、真っ白な二枚目をきっちり演じられる人、という印象。ザ・宝塚な役者だと思った。


高翔みず希(エーリク・ヨハンソン)…養子を取ったヨハンソン家だったが、その後、実子に恵まれる。しかし、二人の息子は分け隔てなく育てられ、事業は、長男である養子のアベルに引き継がれた。アベルの苦しみの根源を理解し、クリスの様子をさりげなく見に行ったりしている優しい叔父さん。
ハンナズ・フローリストの看板をスマホで撮影している姿がツボ。ステキなオジサマでした[黒ハート]


花野じゅりあ(エマ・アザール)…ベルギー人で、エスニックレストランを経営しているやり手のシングルマザーという設定。たぶん、頼まれるとイヤと言えないいい人なんだろうな、と思う。でも、忙しい忙しいと言いたがるタイプというか、ちょっと、ウザく感じるのは、じゅりあが演じているせいなのか…[あせあせ(飛び散る汗)]たしかに彼女がいないと、クリスとミアは出会っていないのだけれど…。


瀬戸かずや(ジェフ・ウォーレン)…フラワーアーティストに専念しているクリスに代わって、ハンナズ・フローリストの経営的な部分のサポートをしている、大学時代の同級生。学生時代からの親友的な雰囲気が伝わって来て、クリス、周囲に恵まれているな~と思った。
クリスのためを思っているだけじゃなくて、会社をどうしていくか、という方向性が、クリスとしっかり一致している。こういうパートナーがいるって重要。この作品のあたたかな土台を作った功労者の一人。愛妻家というのもポイント高い。


白姫あかり(ソフィア)…アベルの妻。アベルがハンナと出会う前から、アベルとの結婚話は持ち上がっていた。アベルはたくさんの女性と交際したが、それはもしかしたら、ソフィアと結婚したくなかったのかもしれない。それだけの目に遭いながらも、アベルがよそで子供を作ったことも知りながら、銀行家である父親の資金提供目当てということも知りながら、アベルと結婚する。母親を亡くしたクリスも引き取る。アベルの望み通りにヨハンソン家代々の墓ではなく、ハンナと暮らした田舎の領地に埋葬してやる。
あり得ない女性ですよ、まったく。でも、白姫がからっとしていたから、救われた部分が大きい。


菜那くらら(マーガレット・パーカー)…ハンナズ・フローリストの近所に住む上品な老婦人。最近、夫を亡くしたが、夫婦でこの店を訪ねた思い出や、花の存在に癒されている。老婦人役の芝居のテンプレというのがあって、菜那はその枠から決してはみだしてはいないが、マーガレット・パーカーという一個人の個性をちゃんと見せているところがいい。アナベル(音くり寿)とのやり取りが心に沁みた。


航琉ひびき(ヘルゲ・インゲマン)…アベルが経営する造船会社の労働者。労働者たちを代表して、経営者であるアベルに労使交渉を要求したが、解雇される。その後行方不明。工場の火事との関係も不明。
不明なことが多くてやりにくかったかもしれないが、印象に残った。


美花梨乃(チェンリン)…ハンナズ・フローリストの従業員。台湾出身。ビザの更新が認められず、作品の途中で帰国するという設定。トーマス(優波慧)とラブラブなのが、とても可愛かった。イギリスにおける外国人労働者の不安定な状況の象徴でもあったが、前向きで元気いっぱいな姿は、必要以上に作品を深刻にさせない功績があった。


羽立光来(グリフィス・エディントン)…ハルフォーズデパートの部長。クリスにデパートへの出店を依頼する。男女の部下を引き連れて、やたらハイテンションで現れ、歌い踊る。「Paradise Prince」のアンソニー・ブラックをさらにコミカルにしたようなキャラクター。
さすがびっく[exclamation×2]という言葉しか浮かばない。楽しかった。


紗愛せいら(カロリーネ)…ソフィアの友人。アベルが連れて来たハンナに対して、場違いであることを全身で表現していた。全身から嫌味な空気が感じられる好演。でも綺麗でした[ぴかぴか(新しい)]


真鳳つぐみ(ローズ・ワトソン)…図書館の職員。クリスに好意を持っている。
真鳳のキャラクターとして、やり過ぎ感は想定の範囲内だったが、今回の役は、それが必要だったのか、謎。やり過ぎなキャラクターとしては、既に羽立らのトリオがいるので、さらに真鳳は余計。お色気路線よりは、むしろひたすら真面目な方向でやり過ぎた方がよかったのではないかな。おそらく演出指示だろうから、ちょっと残念。


乙羽映見(サラ・ウォーレン)…ジェフの妻。クリスも含めて大学時代からの友人。不動産会社勤務。クリスに、彼の理想の家を紹介するがなかなか納得が得られない。
クリスに「結婚っていいな」と素直に思わせるジェフとサラの関係。落ち着きと美貌と衣装の着こなしで、「いい女」を体現していた。
今回、2番手の芹香が別次元の主役だった分、瀬戸がメインストーリーをしっかり支えていた。それには乙羽の存在が大きかったように思う。


優波慧(トーマス・ルイク)…ハンナズ・フローリストの従業員。ウェブとカフェの担当。店のブログを更新したり、カフェのメニューを次々に切り替えたり、仕事が早い。その一方で、恋人との関係は煮え切らない部分もあったり。いろんな意味で今どきの青年。
器用になんでもできる部分と、チェンリンにプロポーズできない気弱さが同居する、そんなキャラクターを納得できるかたちで表現していたと思う。


更紗那知(レスリー)…エディントンの忠実な部下、というか盛り上げ役。タイトスカートでガツガツ踊る姿から目が離せなかった。怪演といっていいと思う。


千幸あき(アレックス)…エディントンの忠実な部下、というか盛り上げ役。アレックスの方が秘書的な感じで、クリスにノートPCを差し出したりしていた。なんだかよくわからないけど、迫力のあるトリオで面白かった。


紅羽真希(ヨハン)…アベルの友人。アベルとハンナが出会った時から一緒にいて、アベルの葬儀にも出席していて。エーリクは役者が変わっているので、実は、紅羽が時間軸としては一番長い時を生きているのだが、すべての場面で名を呼ばれているわけではないので、友人のヨハンがそのままアベルの会社の重役になって、最後までアベルを支えたんだ、ということがわかっていなかった。すみません[あせあせ(飛び散る汗)]


雛リリカ(ナディア)…ハンナズ・フローリストの従業員。フローリスト見習の新人。ルーマニア出身。ちょっとドジっ子なところが可愛いが、完璧主義者のアナベルからは、いつも叱られている。しかし、それにめげない頑張り屋さん。こんな通し役で観たのは初めてかもしれない。すごくキャラが立っていて、ここにも一つの物語があった。


綺城ひか理(ライアン)…ハンナズ・フローリストの従業員。フローリスト。アイルランド出身。店長代理が務まるほどの実力派。クリスがデンマークの仕事にシフトするため、新しい店長を決めることになるのだが、その時、ライアンは選ばれない。クリスとしては、ライアンには、独立を目指してほしいということなのだが、それを聞くまでの間の表情が、彼の性格をすごく表していて、自分に自信があるからこそ、怒ったり落ち込んだりしないで、「え、そうなんだ、どうしてですか」みたいな感じでいられるんだろうな…なんて思った。
いやー、ステキでした[黒ハート]


飛龍つかさ(ヤニス)…ハンナズ・フローリストの従業員。フローリスト。ギリシャ出身。非常に陽気なチャラ男。そしてナディアのことをすごく気に掛けている。チャラいけど誠実、そのバランスがステキでした[揺れるハート]


茉玲さや那(少年時代のクリス)…か…かわいい[揺れるハート]ほかに言葉が浮かばない[揺れるハート]一幕ラストが、まさかの明日海芹香茉玲という終わり方で…震えた[揺れるハート]少年役とはいえ、おいしすぎる…[exclamation×2]


帆純まひろ(ヨージェフ)…ハンナズ・フローリストの従業員。デリバリーと下働きを担当するマッチョ。ハンガリー出身。イケメン・マッチョで、働き者。店のメンバーの中では、下級生だが、しっかりと上級生の芝居に付いていっていて、きっと勉強になっただろうなと思う。


音くり寿(アナベル)…ハンナズ・フローリストの従業員。フローリスト。バレリーナを目指していたが、ケガで挫折。目標をなくしてなんとなく飛び込んだ花屋の世界だったが、完璧主義者なので、この世界でも自分にも他人にも厳しく、を貫いている。そんな真面目さが評価され、ロンドン店の店長に抜擢されることに[exclamation]
ヒロイン役だと子供っぽい感じがするのに、別のポジションだと大人っぽい役もいける。シンガーとして注目されただが、今回は、歌ではなく、芝居とダンスで魅せる。成長がうかがえる好演だった。


泉まいら(少年時代のエーリク)…こちらも可愛かった[揺れるハート]可愛いけど、コペンハーゲンではハンナをエスコートする紳士だった[わーい(嬉しい顔)]


舞空瞳(ハンナ)…リトアニアからデンマークに逃れた難民の娘。草花を摘んで花屋のようなことをしている。アベルと出会って、恋に落ちるが、都会では暮らせないため、結婚はしない。
どこか妖精のような雰囲気をまとっているハンナを、説得力をもって演じていた。
それにしても、この人、すごーく風花舞を思い出すな~[あせあせ(飛び散る汗)]


別箱で、役がいっぱいあると、下級生はすごく成長する。次回の大劇場公演が楽しみ[黒ハート]


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