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「天球儀」観劇 [┣演劇]

「天球儀」

作・演出:末満健一

音楽:南ゆに
美術:田中敏恵
照明:関口裕二
音響:百合山真人
衣裳:早川和美
舞台監督:藤林美樹
制作:児玉ひろみ
プロデューサー:田窪桜子
エグゼクティブプロデューサー:仲村和生
企画・製作:NAPPOS UNITED

殺人の起きないミステリーと、チラシに書いてある。が、実際は、SFに近い作品だった。
そもそもパラレルワールドものである。
この芝居の世界では、人は、脳の記憶に欠陥を抱えて生まれてくる。それを補うために、新生児の段階でスフィアという外部記憶装置が埋め込まれる。これにより、人類は記憶を取り戻したが、忘れる自由を失った。
7人の男女が、天球儀という名の山荘に招待される。しかし、そこに山荘の主人の姿はない。雨がひどくなって、誰も下山することができない中、疑心暗鬼になった人々は、次第に自分達の秘密に気づいて行く。
そして、招待状に記載された「蓬茨奏音(ほうしかのん)の死を悼むこと」という言葉の謎が、徐々に解き明かされる。
「大正浪漫探偵譚」から1ヶ月、もう、多田直人松本慎也は別の舞台で共演していた!
ストレートプレイだったら、月1本のペースでやれるんだな…[爆弾]覚えておこう。
7人だけが登場する舞台…出演者は、この二人以外も、役者揃い。出演者だけでもたせることのできるメンバーなのだが、本当に出演者だけでもたせてしまった[爆弾]という内容だった。
まず、人間が記憶を外部記憶装置に委ねている世界…という、基本設定を観客に伝える手段として、出演者全員のユニゾンでここに至る経緯を説明する。その、ちょっとおどろおどろしい感じがいいな、とは思う。が、あんまり細かい設定(蚊が媒介するウィルスが蔓延し、人類は死滅しかかるが、生き残った人々は、脳に障害が残り、記憶を留めることができなくなってしまった。そして人々は、スフィアという外部記憶装置を開発し、これに記憶を委ねることになった)を創作すると、「ありえない」感が増大するので逆効果[爆弾]どう突っ込んでいいかわかんないくらい、突っ込みどころ満載やんか[むかっ(怒り)]
まあ、とにかく、外付けの外部メモリを人間の記憶のかわりに使っている世界なわけだが、そうなると、私達が生きているこの世界から、どこかで分かれていった世界、という話には無理がある。いっそ、もう少し未来の話にした方が納得感が強かったかもしれない。もうほんとSFになっちゃうけど。
一番年長の登場人物が50代くらいだと思うが、その人たちが赤ん坊の頃からスフィアを頭に入れ込んでいたなんて、こっちの世界の人類史では、ありえないもんね。50年前のコンピュータがどんなんだったか、想像してよ。埋め込めるサイズのメモリってどんだけあったと思う[exclamation&question]それに、こんにちまでのコンピュータ発展の歴史を考えると、より大きなメモリ容量が日々開発されていくんだけど、人類は毎年開頭手術してスフィア内部を入れ替えるんだろうか[exclamation&question]
それと、金がある人は、より高度なメモリが買える、とかある[exclamation&question]埋め込む前に親がメモリを選んで購入してたり[exclamation&question]
みんなが記憶をなくさないんだったら、大学入試とかどんなテストになるの[exclamation&question]
そして、記憶のかたまりであるスフィアを魂と同じ…みたいに考えるのもどうなの[exclamation&question]記憶は記憶であり、そこには感情は含まれていない。感情は、記憶を呼び起こした時に自分の脳が作りだしたものでしかない。感情ごと記憶を残しておくことはできないのだ。年を取るとそのことを痛感する。でなければ、鮮明な記憶は鮮明な感情を伴うはずだが、必ずしもそうではないし、過去の出来事を友人知人と検証すると、どうやら、その時の感情として記憶していたものは、そうではなかったということが多々あるのだ。それに、「判断する」のは、これもスフィアの仕事じゃないよね[exclamation&question]スフィアは記憶装置であって、AI(人工知能)とは違う…と思って観ていたのだけど、合ってるよね[exclamation&question]
まあ、そんなわけで、基本設定時点で、かなり気持ちの盛り上がりがそがれたのは事実。でも、役者の力で最後まで楽しんで観ることができた。
あと、アガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」を知っていると、ちょっと面白さが増幅する。私は、この作品及びここから派生した諸作品が大好きなので、登場するキャラクターが、あの人かも?みたいに、楽しんでいた。しかし、そうなると、結論を先に言ってしまっている(殺人の起きないミステリー)宣伝方法はどうだったのかな…と思う[爆弾]もし、知らなかったら、西川くんとか10分で××かも?とか、勝手に心配してはらはらするもん[わーい(嬉しい顔)]

記事アップは、千秋楽終了後に過去日付で行う予定だが、(大絶賛でない時は、営業妨害にならないように)再演とかあるかもしれないので、一応、その後の展開や結末は書かない。
なので、少し意味不明になるかもしれないが、今回、私がちょっと冷めていた理由は書いておきたい。
お父さんが仕事どっぷりで家庭を顧みないから、お母さんが一人寂しく…みたいな話って、どうやら、私、すごく萎えるらしい。よくテレビでも舞台でも、この設定出てくるけど、そういう作品に対して私は厳しい気がする。なんでかわからないけど、リアリティーの問題[exclamation&question]
お父さんがバリバリ仕事に燃えてて、お母さんが寂しい思いをしてて、子供はお父さんを憎んでるって構図、さらにそこからお母さんが病気になっても帰って来なくて…みたいなのって、全然リアリティーを感じない。私がそういう家の子だったからかもしれないけど。(お父さんが家庭を顧みなくても、バリバリ働いてくれていたら、ある程度余裕のある生活が送れるので、お母さんは病気にもならないし、子供達もそういうものだと受け入れて、お父さんを恨んだりしないし、ちゃんと母子だけの楽しみを見つけていく感じ。)
本当に困るのは、お父さんが仕事もせず遊び呆けているとか、家にお金も入れずに愛人宅に入り浸り…みたいな方じゃないかと思うんだけどなぁ[爆弾]
まあとにかく、父親への憎悪と母親への愛着があったにせよ、あの設定では、蓬茨奏音は狂っていたとしか言いようがなく、その狂気のスフィアによって複製しようだなんて、パパは家庭を顧みずに、どんな研究をしていたんだ[exclamation&question][爆弾][爆弾][爆弾](スフィア工学の教授らしいです。)
いや、そもそも、ゼミの学生をこの山荘に連れてきていた、ということは、研究熱心かもしれないけど、家族と一緒に居ようとしてた人なんじゃないかな。それとも妻子を亡くしてから、この山荘を利用するようになったのかな。ま、普通は手放すよね。その時点で、自分の思い出の場所じゃない(帰ってない)んなら。息子が母親を手にかけた場所なんて。(あ、書いちゃった…)
あーもーほんとわけわかんない[exclamation×2]とイラつきつつ、でも、楽しかったです。
というのは…
シチュエーションが面白い。
役者が面白い。
セットが面白い。
いろいろ、面白いから。


多田くんは、前回のものすごい高圧的なおっさんから、一気に、いまどきの青年。どっちもリアリティーあるのがすごいんだよな、と思う。
まつしんは、ナルシストキャラ。マッシュルームカットの似合わなさが最高[爆弾]キタさんよりずーっとちっちゃいのに、キタさんから「マッシュ!」と声援されてて、可愛い。でも、仕事は選んだほうがいいかもね、まつしんの場合は。選べないのかな、まだまだ。劇団にいるとできない挑戦をしてくれるんならいいけど、なんか変な役でばっかり呼ばれるような…[爆弾]まあ、ちっちゃいし、子供っぽい風貌だし(脱いだらすごいんだけど[わーい(嬉しい顔)]
キタさんこと緒月遠麻は、途切れることなく仕事してて、すごいなーと思いつつ、今回が退団後初観劇。ちょっと台詞はっきり言いすぎ[exclamation&question]みたいな違和感もあるが、それは、この役への演出指示かもしれない。年齢不詳っぽく見せておいて、実は子持ち主婦という落差が面白い。すごいミーハーだし。めちゃくちゃオンナを前面に出していないのに、女性だなーと感じるのは顔立ちのせいかな。今後も楽しみ。
一番の功労者は、ヒロインの新垣里沙
ヒロインと蓬茨奏音と二役(?)も見事だった。なんで彼女がすべて背負わなきゃいけないんだ(泣)

加納幸和のクセのある演技、大家仁志のコワモテの演技、西川俊介のイマドキに満ち溢れた演技も、全部ステキでした[exclamation]
トークショーも見せてもらったが、大人な稽古場で、グループライン作らなかったそうです(笑)

“今日は何の日”
【8月15日】
明治政府が蝦夷地を『北海道』と命名(1869=明治2年)。
(←旧暦。新暦では、9月20日となる。)
新暦では、9月20日、ということは、空の日と一緒ですね[黒ハート]


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