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宝塚歌劇宙組全国ツアー公演「メランコリック・ジゴロ/シトラスの風III」観劇 [┣宝塚観劇]

サスペンス・コメディ
「メランコリック・ジゴロ―あぶない相続人―」

作・演出:正塚晴彦
作曲・編曲・録音音楽指揮:高橋城
編曲:高橋恵
振付:尚すみれ
装置:大橋泰弘
衣装:任田幾英
照明:株式会社宝塚舞台
音響:大坪正仁
小道具:加藤侑子
演出助手:栗田優香
装置補:稲生英介
衣装補:加藤真美
舞台進行:荒川陽平

初演は1993年なので、もう20年以上昔。なのにあんまり古くならない作品だなーと思う。
再演は、2008年と2010年か…もう5年前なのか…[がく~(落胆した顔)]
正塚先生は、この作品、配役に関しては、トップコンビと2番手以外、かなり自由にキャスティングしていて、最初は、え、そう来る?と戸惑った(タモさんが演じていたマチウをまりんさん?とか…)ものの、今はもう、そういうものだ、という感覚なので、バロット役を羽根しょった人がやってても気にならないです[あせあせ(飛び散る汗)]

主なストーリーは、既にご承知かと思うので、(もし、よろしければ、こちらに2010年の公演感想があります。そこにあらすじも載っていますので、ご覧ください。)さっそくキャスト感想へ。必要な情報は、そこで補完する形態にします。

朝夏まなと(ダニエル)…身寄りのない青年。学資稼ぎのため、ジゴロに。現在は、レジーナというパトロンがいるが、田舎娘アネットにも手を出して、その両方を失い、文無し宿なし。相棒のスタンから睡眠口座の受取人になりすますという詐欺の片棒を担がされ、20万ほど手にしたものの、そのために妹と名乗る女が現れ、父の親友を名乗る一家につけ狙われる羽目に陥る。
まず、安定のジゴロ感がたまらない[キスマーク]しかも囲われ者の身であるにもかかわらず、田舎娘と二股交際しそうな、不誠実さもちゃんと漂っている[キスマーク]そしてそのことをヤバいとは思っても、悪いとは思ってなさそうな感じも[爆弾]そして、フェリシアを見捨てられない優しさも[黒ハート]
酒場でスタンと歌う場面、振付は昔からほとんど変わっていないと思うが、脚の長さに驚愕した。
あと、歌、上手くなったね~[カラオケ]

実咲凛音(フェリシア)…ダニエルが手に入れた睡眠口座の持ち主、ノルベールの娘。ダニエルがなりすましたアントワンの妹に当たる。母が死んでからはひとりぼっちで生活しており、家族の愛に飢えている。新聞で、睡眠口座のことを知ってこの街にやってくる。
スローモーで一本ネジが外れているような第一印象、しかし芯は強くて頑固というのがフェリシアの基本キャラだと思うが、実咲という娘役はその対極にいる。しかし、そこはトップ娘役の演技力で、この役をねじ伏せた。ちゃんと庇護欲をそそる美貌の娘になっていて、感動。
ずっと「お兄ちゃん」と慕ってきた相手が、兄ではなかったと知ったところから、その慕情が恋だったことに気づき、ギクシャクするあたりの心理描写が的確で、無理がない。
よく頑張った[パンチ]

真風涼帆(スタン)…ダニエルの相棒。ダニエルがアネットと別れる協力をしたり、面倒見がいいのは事実だが、悪事スレスレのことも平気でやっている。(厳密に言えばアウト)今回は、睡眠口座の受取人になりすますという作戦にダニエルを巻き込む。なんだかんだ言ってティーナには弱い。
生真面目なイメージのある真風にスタンはどうかなーと思ったが、これが意外と健闘。
ヘタウマと言ったら語弊があるが、多少つたなくても、笑いに持っていけるセンスがあるのは、大きな魅力だ。
また、朝夏と並んだサイズ感も親友としてちょうどいい。ここ、けっこう私の拘りポイントなんで。
歌もなんかもう、無問題。普通に聴くことができた。
あと、ものすごくピンポイントだけど、初演のスタン役、真矢みき(現・ミキ)の額に手をやって上を向く横顔、というのが私のツボなのだが、その再現率がハンパない。そういえば、「日の当たる方へ」のポスターも上向き加減の横顔だったなーなどと思い出した。

寿つかさ(フォンダリ)…ノルベールの強盗仲間。ノルベールが金を持ち逃げしたと思って、後をつけ狙っている。バロットというバカ息子がいる。
飄々とした雰囲気は、初演の未沙のえるに近いかな。それでいて、しっかり残忍なところと、結末はやっぱり間抜けなところも含めて。
とはいえ、カティアとのラブストーリーの現役感には震えた。さすがでございます[ぴかぴか(新しい)]

美風舞良(イレーネ)…フェリシアが勤務する図書館の先輩職員。再演以降は、芸達者な生徒が演じ、どっかんどっかん笑いを取っていった。どんくさいフェリシアに対して、テキパキと仕事をする先輩という対比で見せていたが、美風は、かなり丁寧に新聞を挟んでいた。これまでのツアーで何かあったのかしら[exclamation&question]
しかし、笑いを取る芝居は見事だった。

澄輝さやと(ベルチェ)…フォンダリを追う刑事。かれこれ10年ほどフォンダリを追っている。
ソフト帽とトレンチコートがやたら似合ってかっこいい[黒ハート]
これまで、熱い正義漢の役が多かったような気がするが、この役で、少しヌケ感が出てきたような気がする。
まだまだ脇に回るには早すぎる。これからも二枚目でいてほしい人です。

綾瀬あきな(レジーナ)…ダニエルのパトロン。アパートと学費を出す代わりに、ダニエルをパーティーのエスコート等に利用。それ以上の関係でもある。ダニエルの浮気をキッカケに、彼を放り出すが、後に復縁を迫ってくる。
勝手なお金持ちではあるが、一方的に唾棄されるべき存在ではない。そういう意味では、どこか、可笑し味を見せないと後味が悪い。綾瀬のまろやかな雰囲気は、その中和に役立っている。
ラストで、ハンカチを落として新しい恋が始まるシーンは、残してほしかったな。

凛城きら(浮浪者)…ダニエルが根城にしているカフェ“コートダジュール”周辺にたむろしている浮浪者。実は、フェリシアの父、ノルベールという役どころ。
何やらせても上手いけど、決して老け顔ではないから、素顔を見せると、ホントにお父さん[exclamation&question]という気にはなる。髭は付け髭じゃない設定にしてもよかったんではないだろうか[exclamation&question]

愛月ひかる(バロット)…フォンダリの息子。頭が少し弱い。「一発」が口癖。妻のルシルを熱愛している。
初演からのイメージは、ちょっとターミネーター的な役。それが、出るたびにどんどん化けの皮が剥がれていき、情けなさが際立つ…という、ある意味、出落ちの役だったりする。
もし、想像の斜め上を行く演技をしてくれたら、ファンになるかも?と配役発表の時に書いたが、まさかの、想像の斜め下」だった。
え、「一発」が決まらないの?ありえなーい[ちっ(怒った顔)]
ま、普通にかっこよかったけど。笑えたけど。「一発」ってそんなに大きなポイントじゃなかったのか[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]
ノルベールにやられるところなど、演技巧者の未涼亜希や華形ひかるが印象的に演じたのがウソのようにあっさり…。いいのか、これで[爆弾][爆弾][爆弾]
しかし、一家の雰囲気や、ルシルとの関係性は、しっかりと見せてくれていた。

星吹彩翔(マチウ)…スタンがカモにしている弁護士。ティーナに思いを寄せたことをネタに脅迫され、ダニエルが睡眠口座の受取人となるための書類を偽造する。恐妻家。
そういえば、4回中、3回は、マチウとバロットが同期なのね[ぴかぴか(新しい)]つまり、どっちがいい役っていうことは、ないんだろうな、正塚先生の中では。
まあ、あんまり女に狂うようなタイプには見えなかった(女好きにも、真面目な男がつい魔がさしたようにも)が、どんどんスタンの罠に嵌まっていく雰囲気は、感じられた。それでいて、実はしっかり自己主張してる食えなさも素敵[ぴかぴか(新しい)]

瀬音リサ(カティア)…街でホテルを経営している。かつてフォンダリと愛を燃え上がらせたことがあり、今でもずっとフォンダリを愛している。
ヨーロッパ映画に出て来そうな「いい女」を体現。組長とのラブシーンもとても素敵だった[黒ハート]

風馬翔(セラノ)…カフェ“コートダジュール”のマスター。酒やコーヒーを提供するたびに台詞のある役。
いい感じにダニエルたちに巻き込まれて、いい感じに絡んでくる。この店に人が集まるのが、わかるような、たとえ浮浪者を追い返しても、なんか人の良さが感じられるマスターだった。

星月梨旺(ユベール)…レジーナを誘惑し、ダニエルの後がまに座ろうとした、「テニスばか」。
嫌味ったらしい勝ち誇った雰囲気が、なんとも素敵[黒ハート]絵に描いたようなジゴロ像でした[グッド(上向き矢印)]

伶美うらら(ルシル)…バロットの妻。度胸が据わっていて、頭の回転も速い。いつもバロットの見当違いな発言を牽制している。しかし、心中、深い愛情がある。
綺麗[ぴかぴか(新しい)]どの衣装もよく似合っている。アムネリスを演じた余裕からか、バロットを牽制する発言も、ビシッと決まる。これまでの公演の脇役感が、伶美のおかげでずっと真ん中に近づいた。そのことで、愛月バロットが3番手というのが自然に感じられた。
遅れてきた大物女優、これからどれだけ伸びるか、真剣に楽しみになって来た。

彩花まり(ティーナ)…スタンの恋人。かなり天然。物欲は強いが、スタンへの愛はそれ以上。
聡明な美女である彩花に、天然おばかっぽいティーナはどうか…と思っていたが、スコーンと突き抜けた明るさが、意外に似合う。明るさとスタンへの一途な愛情、そして物欲というか、モノへの執着心があれば、おばかっぽい雰囲気は後から付いてくるのね…と思った。
大胆だけどわざとらしくない芝居をするのは、さすが、空の子供時代を演じた彩花らしいな…と思った。ここにも大空DNAを勝手に感じている。
ショッキングピンクのパンツがとてもよく似合ってチャーミングだった[揺れるハート]

瀬戸花まり(アネット)…ダニエルの浮気相手。本気で駆け落ちしようとされたので、逃げ出したが、後に再会。ダニエルがジゴロであることをフェリシアにバラす。
田舎の思い込みの激しい猪突猛進女というのがピッタリ。短い出番で鮮やかな印象を残した。

瑠風輝(ロジェ)…ベルチェの相方の刑事。けっこう印象的な役だと思ったのだが、今回はすごく弱かった[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]靴下ネタはもっと派手にやれなかったのかな。

こうやって見ると、すごく役の多い芝居なんだなーとあらためて感じた。
全国ツアーに持っていくのにもちょうどよい舞台感の芝居だし、今後も色々なキャストで観てみたい公演だな~と思った。


ロマンチック・レビュー
「シトラスの風III」

作・演出:岡田敬二
作曲・編曲・録音音楽指揮:吉崎憲治
作曲・編曲:高橋城、甲斐正人
編曲・録音音楽指揮:高橋恵
振付:羽山紀代美、謝珠栄、御織ゆみ乃、若央りさ、大谷盛雄
装置:大橋泰弘
衣装:任田幾英
照明:株式会社宝塚舞台
音響:大坪正仁
小道具:加藤侑子
歌唱指導:HANNA BUNYA
訳詞:平野恵子
演出助手:生田大和
装置補:國包洋子
衣装補:加藤真美
舞台進行:荒川陽平

1998年、宙組お披露目で上演されたショーのリメイク。
昨年、凰稀かなめが中日劇場で上演した「シトラスの風II」をベースに、フィナーレナンバーを主に変更しての上演。
さて、そもそも、宙組の創設時の売りが、「長身の男役を各組から集めた」だったので、当時は、トップ・姿月あさと、2番手・和央ようか、3番手・湖月わたるの3人が並ぶシーンに歓声が上がった。
そのため、このショーは、3番手までがハッキリしたショーになっている。
昨年の中日劇場の時は、2番手朝夏のDC公演が裏にあったので、トップ&2番目?3番目?みたいな微妙なトリオ状態。それに比べるとだいぶ座りのいいショーになっていた。
プロローグ直後の、朝夏・真風・愛月による、「夢・アモール」は、3人の長身が映えて見応えがあった。歌声もGOOD[exclamation×2]
ただ、祐飛さん時代の宙組では、ダンサー枠で抜擢されることも多かった愛月のダンスが、朝夏・真風に比べると明らかに洗練されてなくて、悪目立ちしていたのは残念[爆弾]
あと、やっぱり見せ方かな。1期しか違わないのに、真風は堂々としている。後ろに上級生がたくさんいても、「3番手はオレだ」みたいな覚悟をもって舞台に出る度胸を早く身につけてほしいと思った。

続く、「ステートフェア」のシーンは、中日で「花占い」に代わって挿入された場面。
もともとは、1994年「ラ・カンタータ」の第2章。当時2番手だった麻路さきを中心にした楽しい場面で、ヒロインは陵あきのが演じていて、白いドレスなのに、一番地味なキャラで、正直どうしようかと思った(毒)。
で、中日からは、トップコンビの場面になっている。
しかし…演じる人が(片方)変わるだけで、雰囲気がずいぶん変るもんだなー[あせあせ(飛び散る汗)]と思った。なんだ、この、マシュマロみたいな甘々な雰囲気は…[ハートたち(複数ハート)]ごちそうさまでした[exclamation×2]
しかし、中日の時から言ってるけど、白い帽子を地面に置いたまま踊り続け、(しかも雨の後)また拾って被るって…ありえないんですけど[爆弾][爆弾][爆弾]

次は、「間奏曲」で真風の「スマイル」。
ほんと歌上手くなった[黒ハート]

「そよ風」
あの配色、ドット、ターバン…どうしていいかわからん[爆弾]しかも客席おりとか[爆弾]それでも幸せそうなトップコンビはすげー[かわいい]

「ロケット」
ロケットがフィナーレの一部じゃないとか、わりと昔の構成かもしれない。でも衣装が豪華で素敵[ぴかぴか(新しい)]

「明日へのエナジー」
これは宙組の財産ですな[ぴかぴか(新しい)][ぴかぴか(新しい)][ぴかぴか(新しい)]

「夢・アモール」
お花さまの衣装、懐かしいなー[黒ハート]すごく好きな場面で、会社の人の結婚パーティーの余興で踊ったんだよなー[わーい(嬉しい顔)]とか思い出した。現在、旦那さんが倒れてリハビリ中。だから余計歌詞がしみる。幸せな時だけじゃなくて、色々あっても、一緒に歩いて行く、それが「夢・アモール」なんだ…[ひらめき]と20年近い歳月がたった今、感じています。
初演では、ここで、姿月さんが登場してのデュエットダンスに繋がっていくのだけど、今回は、真風が登場。

「新場面」
なぜかというと、朝夏は、客席降りで2曲披露するから。
これ、前回の全ツのみっちゃんで、岡田先生味をしめましたね。
「マイ・ガール」と「好きにならずにいられない」を英語で。ソフトな笑顔と握手で客席を虜に[揺れるハート]

「群舞」
そこへ男役たちが下りてきて、舞台に戻って来た朝夏と群舞。
ここでも「夢・アモール」が使用されている。
ダンサー朝夏をセンターにした群舞だけど、宙組の群舞は、やっぱりエレガントな雰囲気。手数は多くしていない。
ただ、センターの朝夏だけ、ピルエットがダブルだった[ひらめき]サービスか、これ[ぴかぴか(新しい)]
そうそう、澄輝の横顔がすごーく美しい[ぴかぴか(新しい)]と思ったのがこの場面だった。

たった一度の観劇だったので、いろいろと見損なっている場面も多いかもしれないが、総じて楽しい全国ツアーだった。


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