「南総里見八犬伝」観劇

藤間勘十郎文芸シリーズ　其の弐
「南総里見八犬伝」

原作：曲亭馬琴

台本・総合演出：藤間勘十郎

装置：嶽恭史
照明：阿部典夫
音響：秦大介
制作：佐野仁志
プロデューサー：岡本田鶴

（録音）
三味線：藤間勘十郎
筝：佐藤亜美
笛：福原徹秋
鳴物：藤舎千穂
パーカッション：多田恵子
レコーディングエンジニア：笹森英樹（SBS）

（生）
鳴物：藤舎千穂、福原鶴之助、望月左太寿郎、福原千鶴

ホタテくんこと、帆風成海の退団後初舞台ということで、青山まで行ってきました
場所は、DDD青山クロスシアター。今年閉鎖した青山劇場のすぐ近くだが、場所のせいか宣伝のせいか、客席は思ったほど埋まっていなかった平日だからかなー

そもそも、私は、幼少の頃に、NHKの人形劇「新八犬伝」を見ていたので、登場人物の名前などは聞き覚えがあったものの、実際にどんな話かというと、まったく覚えていなかった玉梓のエピソードと、伏姫というお姫様がいて、八房という犬がいて…ということと、あとはさもしい浪人、網干左母次郎（あぼし・さもじろう）とか、関東管領、扇谷定正（おうぎがやつさだまさ）とか。
あと、何度も繰り返される「信乃さん」「なんだい、浜路」「ううん、呼んでみただけ」というラブラブな場面と、「我こそは、玉梓が怨霊～」と鳴り物入りで出てくる般若のような化け物とか、そんなことを断片的に覚えているが、主役の八犬士となると…八人もいるし、名前も似ているから、結局、今となっては、誰が誰やらよくわからない
ただ、犬村角太郎…といわれて、そんな人は知らないなぁ…と思って、プログラムに別名の犬村大角と書いてあると、これは知っている…と思うのだから、名前は意外と記憶にあるのかもしれない。

さて、その「新八犬伝」のもとになった、曲亭馬琴の「南総里見八犬伝」は、超長い物語（全98巻）なので、今回はダイジェストで2場面、その間に、舞踊（？）が織り込まれた内容。

一つ目は、共に八犬士ながら、捕えられそうになる犬塚信乃戌孝（帆風成海）と、彼を捕縛しようとする捕方の犬養源八信道（磯貝龍虎）が、屋根の上で戦う…という歌舞伎でもおなじみの場面。
その前に、まず口上があり、出演者がそれぞれ、自分の言葉で意気込みを語る場面があった。
ホタテくんは、「清く正しく美しく」をモットーに頑張ると語っていた。

MC的に登場した水木桜子によって、「今回の主役は、犬塚信乃」と紹介され、びっくり
主役だったんかーい
そして、プロローグ的な部分で、どういうわけか、水木とリベルタンゴを踊る帆風。なんか、かっこいいんだけど、和服ですよ…とか、照れてますかとか、色々と突っ込みたくなる場面だった。
ダンスは、着物に男帯というスタイルだったが、舞台上で、裃をつけるという場面があり、これが見事に着こなしていて、感動

殺陣は非常に長く、途中、剣を飛ばしたりしていたが、総じてかっこよかった気がする。
てか、男性に伍して、全然負けてない。もちろん、男性陣が協力してくれたからこそ、と思うが、それでも、宝塚の男役って、すごいな…ホタテってすごいな…と、思える場面だった。

休憩の後、所作事（舞踊）。なぜかサンバ。
ここでの主役は、犬村角太郎（山本一慶）と、その妻、雛衣（水木）。バックダンサーは仮面を付け、着物の上からラテン袖（金のビラビラ）を付けている。たとえ仮面を付けていても、すぐにホタテがどこにいるかわかるのは、もう宝塚じゃなくて、周囲が男性だからなんだなぁ～。
と…そこから、雛衣の懐妊が判明し、里見家と、その家臣となるべき八犬士を付け狙う玉梓（阿川祐未）の愛猫は、今や化け猫（HADO）と化し、角太郎の父に成り代わっていた…という二つ目の芝居へと繋がっていく。

この化け猫退治の話は、まったく知らなかったが、短くまとまっていて面白かった。
信乃は、本物の角太郎の父の亡霊（河合龍之介）に出会って、真実を伝えに来る…という設定で、こちらでも活躍。
あと、化け猫に操られ、殺された雛衣のダンスが素晴らしかった。

イケメンも多くて目の保養。
ホタテファンのみなさん、見ないと損しますぜ