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宝塚歌劇月組東京公演「1789」観劇 [┣宝塚観劇]

226回目の革命記念日に相応しい作品を観劇してきました。

かんぽ生命ドリームシアター
スペクタクル・ミュージカル
「1789―バスティーユの恋人たち―」

Original Production

Le Spectacle Musical《1789-Les Amants de la Bastille》

Produced by NTCA PRODUCTIONS, Dove Attia and Albert Cohen
International Licensing & Booking of 《1789-Les Amants de la Bastille》
G.L.O, Guillaume Lagorce,
info@glorganisation.com

Books by Dove ATTIA, Francois CHOUQUET

Lyrics by Vincent BAGUIAN, Dove ATTIA, Frncois CHOUQUET

Music by Dove ATTIA, Rodrigue JANOIS, Jean-Pierre PILOT, William ROUSSEAU, Olivier SCHULTHEIS, Benoit POHER, Louis DELORT, Laurent DELORT, Silvio LISBONE, Manon ROMIT, Elio ANTONY, Francois CASTELLO

潤色・演出:小池修一郎
音楽監督・編曲:太田健
編曲:青木朝子、岡田あゆみ
音楽指揮:西野淳
振付:御織ゆみ乃、若央りさ、桜木涼介、TETSUHARU、KAORIalive
擬闘:栗原直樹
装置:大橋泰弘
衣装:有村淳
照明:笠原俊幸
音響:大坪正仁
サウンドプログラマー:上田秀夫
小道具:今岡美也子
映像:奥秀太郎
歌唱指導:やまぐちあきこ
メイク指導:岡田智江
演出助手:生田大和、谷貴矢
装置補:國包洋子、稲生英介
衣装補:加藤真美
化粧品協力:MAKE UP FOR EVER
舞台進行:香取克英

フランス革命勃発の場となったバスティーユは、何年か前に再開発されて、今は新オペラ座が建っている。そこで、初演されたスペクタクル作品が、この「1789」。
そんな作品の本邦初演の重責を担うのは、もちろん小池修一郎先生。マリー・アントワネットという位取りのいる役に、トップ娘役の愛希れいかを配する、新たな挑戦の舞台となった。
小池先生は、私が再び宝塚を観るようになった頃に大劇場デビューされた。当時は、トップコンビ至上主義時代で、その一方、相手役の若返りが始まった時期だった。そのため、トップさんの相手役になったら、どんなに難しくても、その人が最高のトップ娘役に見えるように公演を作ることが、演出家に求められていた。
しかし、当時、演出家にも気骨があった。制作サイドも、現代のような前例主義のお役所仕事ではなかった。
その結果、仁科有理や洲悠花のような、サヨナラショーをやって退めていく「トップではない」スター娘役が存在した。トップ娘役はトップスターの相手役、でも、そうじゃないゴールもある時代だった。
そんなトップ娘役の若返りは、74期の“三人娘”が長く活躍した後、76期の娘役たちが中堅という学年になってから就任したこともあり、いったん歯止めがかかった。しかし、その一方で、花も実もあるトップ娘役の活躍と、“新専科”によるスターの淘汰により、各組に別格的なスターの存在が、だんだん許されない時代になっていった。サヨナラショーも、「2番手スターとトップ娘役だけは単独で開催できる」みたいな、グレーゾーンを排除したものになっていった。(たぶん、あの人が開催できたのに、なぜこの人は開催できないの[exclamation&question]というファンの声に明確な回答を出す必要が生じたこともあるかもしれない。)
男役も娘役もトップスターを頂点としたヒエラルキーが成立し、仁科のような、「トップじゃないけどマリー・アントワネットという役を演じる位取りのある生徒」がいなくなったことにより、トップ娘役は、「娘役として一番いい役を演じる人」に変化しているようだ。
つまり、マリー・アントワネットを演じる人、だ。
もちろん、その時、トップスターがフェルゼン役なら問題はない。
しかし、トップがルパン三世でも、農民でも、その恋人ではなく、アントワネットを演じるのがトップ娘役になってしまった。「トップコンビ」ではなく、トップスターと、娘役トップとして、それぞれが演じる役を決める…101周年の宝塚は、ここまで変化したのだな~[ふらふら]
とはいえ、実際、宝塚芝居として、「トップスターの相手役」がトップ娘役ではない…というのは、トップコンビ制度上、座りが悪い。
「ルパン三世」では、そんな事情から、ルパンと、永遠の恋人“峰不二子”との仲を凍結し、ルパンがアントワネットに淡い思いを抱くことになった。そういえば、ロザリーがオスカルに懸想する話もあったっけ…[むかっ(怒り)]
しかし、「1789」の主人公、ロナンには、ストーリー上、れっきとした相手役、オランプがいる。堂々たる女主人公マリー・アントワネットでなく、オランプこそヒロインという考え方も当然、存在する。
トップ娘役と拮抗する娘役を存在させないためには、Wキャストにするしかない。
ということで、オランプ役は、早乙女わかば海乃美月のWキャストに。そしてトップ娘役愛希の相手役、フェルゼン伯爵役には、新人の暁千星が配された。
もうひとつ、Wキャストの女役があって、それは、ロナンの妹、ソレーヌ役。2番手娘役的役どころではあるが、大曲「夜のプリンセス」があるので、歌唱力を重視し、オーディションで配役したらしい。この役は、花陽みら晴音アキのWキャストとなった。
そして、月組の主要な出演者に合わせるための、配役と担当ナンバーの調整に小池マジックが使われた結果、今回の上演となった。その配役については、実に、適材適所、完璧と言っていい。
とはいえ、娘役の役が少なく、多くの才能ある月娘たちがアンサンブル扱いになったのは、1本物の常とはいえ、切ない。次の公演では、たくさんの役がありますように[exclamation×2]
物語は、宝塚には珍しい「群像劇」で、父親を「国王の名のもとに」殺された青年、ロナン(龍真咲)が、パリにやってきて革命家たちと知り合い、人間は平等であるという信念に基づいて革命に身を投じるという物語をベースに、恋人、オランプ(早乙女わかば/海乃美月)をはじめロナンと知り合うすべての人々、そしてロナンと対峙する反革命の王宮側の人々、すべての人の物語になっている。
全編にロックナンバーが貫かれ、男役も高い音域で歌うという挑戦もあったが、個々の歌唱もコーラスも迫力があってとてもよかった。
小池マジックは健在で、盆やセリを多用し、舞台の端から、花道・銀橋もフル活用しての迫力あるステージングもさすが[exclamation]
ボディーパーカッションを宝塚の舞台で初めて使うなど、挑戦も忘れない。実に楽しい舞台だった[黒ハート]

東宝でも来年の上演が決まったが、「エリザベート」のように、宝塚版は宝塚版として、再演されるといいな~[揺れるハート](アントワネット役者がいないと、ちょっと難しいけど…[爆弾]

出演者感想は別記事で。


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