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宝塚歌劇月組東京特別公演「THE KINGDOM」観劇 [┣宝塚観劇]

「THE KINGDOM」

作・演出:正塚晴彦
作曲・編曲:高橋城、玉麻尚一、高橋恵
振付:伊賀裕子、平澤智
装置:大橋泰弘
衣装:有村淳
照明:沢田祐二
音響:大坪正仁
小道具:今岡美也子
歌唱指導:楊淑美
演出助手:上田久美子
装置補:稲生英介
衣装補:加藤真美
舞台進行:香取克英

時は1911年。ところはロンドン。エドワード7世が死去して、息子のジョージ5世があとを継ぎ、いよいよ6月22日には(わざと日付を書いてみたが、作品内で日にちに言及することはない)、戴冠式が行われる。そんなうわついた状況の中、二人の青年が人生の岐路を迎えていた。
(桜一花ちゃんのビクトリア女王が逝去した後、柚香光くんの皇太子エドワード<ここまで『Victrian Jazz』>が即位して、死去して、その後、磯野千尋さんのジョージ5世<こちらは『エドワード8世』>が即位した…宝塚ファンの皆さんは、そんな風にお話をつなげてみてください。)
ドナルド・ドースン(凪七瑠海)は、情報機関に就職する。ただし当時まだ、SIS(MI6)は存在していない。その前身機関というところだろうか。
そして、パーシヴァル・ヘアフォール(美弥るりか)は、伯爵家の次男だったので、陸軍に入隊して、国家に奉仕しようと考えた。
二人は、学生時代に、美しきロシア人留学生サーシャ(早乙女わかば)が酔っ払い(輝城みつる)に絡まれているのを助けて知り合い、サーシャへの失恋を経て、友情を育んでいた。
これは、そんな二人が、ロシア皇帝ニコライ2世の亡命に絡む陰謀を通じて、いろいろな騒動に巻き込まれる物語だ。
超シリアスなハードボイルドに見えて、実はユーモアありペーソスありの冒険活劇を狙っているらしい…と推察した。
偏見かもしれないが、この手のテーマ(サスペンス)を扱う時、正塚先生の場合、舞台を南米にした方が、ヨーロッパにするより、数倍面白い気がする。
そして、この作品は、青年館先行。6年前に、青年館で「ブエノスアイレスの風」を観た時も“これは酷い”と、相当辛口の感想を書いたが、やはり、こなれてない正塚芝居は、ちょっと観ていてツライものがあった。(この先、DCで素晴らしい作品になるだろうと信じ…たい!)←残念ながら、私は今回観られませんが…

前半、ロシアの国情が騒がしい中、皇帝ニコライ2世の亡命をめぐって、ロマノフ家と親交のあるヘアフォール家は、当主であるサイラス・ヘアフォール(貴千碧)が謎の死を遂げ、パーシヴァルは、伯爵位とともに兄の密命を引き継ぐことになる。その話を持ち込んだのが、情報部の部長ラトヴィッジ(鳳月杏)、つまりドナルドの上司だった。
こうして、ドナルドとパーシヴァルは、一緒にニコライ2世の亡命成就と、ジョージ5世の戴冠式の無事挙行に向け、協力していくことになるのだが、1幕の終盤で、国際的な陰謀から、戴冠式に使用される巨大なダイヤモンドの奪取計画へと、一気に物語が変化する。そして、これをめぐって、シャーロック・ホームズ(佳城葵)や、アルセーヌ・ルパン(本人は登場しない)が暗躍し、本編「ルパン」に繋がる物語が見えてくる。
が、色々、引っかかって楽しくは観られなかった。
サスペンス好きなので、こういう中途半端なサスペンスを見せられると、ものすごく興ざめしてしまうのだ。
もちろん、あの、犯人はあなたです!と言われて、全観客が「あんただれ!」と突っ込んだ、『マジシャンの憂鬱』よりは、犯人がルパンと聞かされる今回の方が、まだ納得性はあるが…最後、突然、ああいう歌で終わるってのも、ヒューマンを押しつけられているようで、どうもなぁ~[むかっ(怒り)]
たぶん…ね、正塚先生が、とうとう「じーさん」の域に到達し、どうしても訓示を垂れないと話が終われなくなってしまったんじゃないだろうか[爆弾][爆弾][爆弾]

さて、本作品で、正塚先生に課せられた使命を推察してみよう。

  1. 凪七美弥が双方並び立つW主演の芝居を作れ[ひらめき]
  2. ヒロインとして早乙女、海乃美月を使い、それぞれの魅力を生かした役を当てろ[かわいい]
  3. 月組のフレッシュな男役を活用し、鍛錬しろ[パンチ]

という辺りは読めるのだが、正直、叶羽時の起用については、命題だったのか、正塚先生の趣味なのか、ちょっと読めなかった。

ダンサー枠ならともかく、芝居でこんな大役が来るとは、正直思っていなかったし、抜擢に応えたかと言われると、ちょっと失敗だったのでは[exclamation&question]という気がする。
そもそも叶羽は、作品のアクセント的には面白い人材だが、ヒロインタイプの娘役には思えない。
しかし…もし、これが劇団の方針なら、ちょっと思い当たる点がある。

少々、私の周辺の話になるのだが、毎年、若い女子から一人を選出するイベントが行われている。
毎年、100-200人位応募があり、最終候補数人から、一人を選ぶところをエライ人が行っている。そこまで行けば、誰が選ばれても同じ、というレベルまで厳選してから、最後はエライ人に一任する。
そして、選ばれた女子の顔写真を並べてみると、見事に、トップが交代するところで、雰囲気が変わっている。
何を言いたいか、というと、要は、選ぶ人の“好み”が出るということだ。

で、先日、花組のトップ娘役が決まった。
その花乃まりあと、今回抜擢された叶羽は同期であり、しかも、雰囲気が似ている。=大輪の薔薇というよりは、野に咲くかすみ草。地味で堅実な女子というイメージ。そういう女役が好みな方が、最近、実権を握られたのだとしたら…なんか納得[わーい(嬉しい顔)]
ちなみに、その方、男役の好みは、童顔・丸顔・実力派?[あせあせ(飛び散る汗)]

閑話休題、感想に移ろう。
今回は、正塚芝居で、さらに群像劇だったので、出演者もスタッフも、作るのが難しかったと思う。私が観劇した段階では、まだまだ手を入れなければならない段階に思えた。演技だけでなく、演出的にも。
一例を挙げるならば、ファーストシーンから回想に移るところ、出演者ごとセットを上手に引き上げて転換するが、その間が長い、とか。
そして、これは、サスペンスなのか、喜劇なのか、人情劇なのか、どの程度シリアスに演じるべきなのか、出演者が手探りでやっているように感じた。
オリジナル作品にありがちな、公開舞台稽古感[爆弾]が拭えない。
というわけで、最後まで、これ、面白いのかな[exclamation&question]という謎を抱えたまま、終わってしまった。
…感想、終わっちゃった[あせあせ(飛び散る汗)]

DCで完成版を観たかったな…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]

出演者ひとこと感想は、別記事で。

【今日の言葉】~宝塚日めくりカレンダーより~
「不変の愛なんて所詮幻だ。男と女なんて永遠にすれ違いを繰り返していくだけ…。だが、それでも求め合わずにいられない」byレオ@『シニョール ドン・ファン』
作・演出:植田景子
月組 2003年

掲載されている写真は、紫吹淳さんでした。

花の宝塚風土記 -春の踊り-/シニョール ドン・ファン [ビデオ]

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  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2003/06/21
  • メディア: VHS

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