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「フォーエバー・ガーシュイン」感想 その2 [┣宝塚観劇]

花組東京公演「「オーシャンズ11」の感想をアップしております。記事検索から、どうぞ。ただし、かなりミーハーな記事になっております[あせあせ(飛び散る汗)]

では、出演者感想を。
全体&演出感想は、こちらです。

芹香斗亜(ジョージ・ガーシュイン)…やっぱりかっこいいなぁ[揺れるハート]長身にスマートな衣装がよく似合って、女性にモテモテという設定も無理なく感じられた。
ただ、初めての主演だけに、演出家の至らない部分をフォローする力量はなく、初主演にして代表作というほどの盛り上がりにはならなかったように思う。
でも、早い段階でチケットは完売、集客力のあるスターという部分を見せつけた功績は大きい。

仙名彩世(ケイ・スウィフト)…18歳のガーシュインに鮮烈な印象を残したまま、ヨーロッパへ音楽留学するも、銀行家のワーバーグの妻となり、音楽業界から身を引く。が、ガーシュインに再会したことで、再び音楽に関わるようになり、家族よりガーシュインと音楽にどんどん傾倒していく。
打算的で、他人の心情を慮ることのできない女性にしか見えないが、イヤな女ではないと思った。
それは、仙名のちょっとドライな芸風に負うところが多いと思う。仙名ゆえに、どうにかまとまった舞台なのでは?と。
正統派ヒロインタイプの娘役ではないが、それを逆手にとれば、作品を助けてくれる貴重な女役に成長しそうな予感。

瀬戸かずや(ジェームズ・ポール・ワーバーグ)…ケイ・スウィフトと同じ船に乗り合わせた銀行家。猛烈アタックが功を奏して、ケイを妻に迎え、娘も生まれ、表面上は幸せなご一家。でも、彼は音楽を理解できないので、妻の心に芽生えている音楽への強い欲求に応えることができない。
一般的に考えると、非の打ちどころのない夫なのに、夫婦はどんどんすれ違って行く。その原因のひとつであるガーシュインは、しかし、彼を恋敵とすら認識していない。
この徹底的に無視された存在、ワーバーグを演じるのが、芹香の3年先輩に当たる瀬戸かずや
このバウへの出演にも、配役にも、おそらく思うところはあっただろう。
が、私が観た2回の中でも、大きな成長が感じられた。脚本の粗を逆手にとって、唯一、観客が感情移入できる人物として、役を作り上げた。今回の好演で瀬戸がどう変わったか、今後の公演が楽しみになって来た。

悠真倫(ポール・ホワイトマン)…ジョージに交響曲を書くように進言する指揮者。『ラプソディー・イン・ブルー』誕生のエピソードにかかせない人物のようだが、大きく芝居に関わってくるのは、一場面。悠真の無駄遣いにもほどがある[exclamation×2]

桜一花(ガートルード・ローレンス)…英国出身の大女優。彼女の様々な要求が、ガーシュインを成長させていく。
前回の「オーシャンズ11」のダイアナ的、キャラの立った役だが、英国出身の“硬い英語”を思わせるような発声など、細かい気遣いがある。また、大女優の風格も感じられる。
でも、ここにガートルード・ローレンスを出してきた辺りに、野口先生がこの先、私の苦手な原田先生化しそうな空気を感じたりするのだが…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]

紫峰七海(モーゼス・ガンブル/アレックス・A・アーロンズ)…紫峰は、わりと二役やることが多い。
うまい人だし、使い勝手がいいからかなぁ?いつも、もったいない使い方だと思う。初バウの演出家は、こういう人を使って、ドラマの幅を広げると楽なのになぁ…。
今回も手堅くやってくれていました[exclamation×2]

夕霧らい(アーヴィング・バーリン/ジョン)…かの『White Christmas』の作曲家。弟子入りを希望したガーシュインに、自分に付いたら二流のアーヴィング・バーリンになってしまうから、と断る場面で登場する。
素敵でした[るんるん]つか、『近松・恋の道行』の時の團十郎役といい、ワンポイントの著名人をさせるのに適材な気がする。で、らいらいの場合、こんな感じの二役で使われるのが、正しい使われ方な気がします。

華耀きらり(アデール・アステア)…ボードビルの人気者で、フレッド・アステアの姉。美人と歌われていると美人だし、ファニー・フェイスと歌われると、たしかにファニー・フェイス。ショー・シーンでは、そんなキラキラで魅力的なアデールであり、ドラマの中では、弟のフレッドに対して、いつまでも優位に立ち続けているイケズな姉という面を、少ない登場シーンでも的確に表現していて、いい仕事をしているなーという感じ。

天真みちる(アイラ・ガーシュイン)…ジョージ・ガーシュインの兄で、ガーシュインの楽曲に作詞もしている。冒頭、亡くなったガーシュインの追悼コンサートで、彼の未発表曲を見つけたくて、ケイに声をかけるところからこの物語は始まる。
ジョージの楽譜の入ったトランクを開ける6ケタのナンバーを、彼はケイに訪ね、ケイは、すぐにそれを二人の出会いの日、170317(1917年3月17日)と当てるのだが…
このわざとらしいエピソードが、ドラマの中で全然生きていなくて、だいたい、亡くなった弟の追悼コンサート当日、コンサートの成功より、自分の仕事のスランプの方が重要な兄って何よ?とか、もう、野口先生には言いたいことが山ほどあるのだが、すべて天真のキャラが、それを相殺してくれている。
弟思いの、そしてちょっと引っ込み思案だけど、音楽への熱い思いを秘めている素敵なお兄さん。
出てくれてありがとう[exclamation×2]

華雅りりか(ポーリン・ハイフェッツ)…ガーシュインとケイ・スウィフトの再会のキッカケとなる、ガーシュインファンの女性。兄がバイオリニストのヤッシャ・ハイフェッツ(飛龍つかさ)なので、その関係でガーシュインに紹介してもらい、ワーバーグ家のパーティーに誘う。
ちなみに、ガーシュインは、ハンサムで社交的な性格という設定。
パーティーへの誘いを快諾したところまではいいが、パーティーでは、ポーリンを放置している風でもあった。
この辺、ガーシュインの設定にいろいろ矛盾点を感じる部分はあったが、Go for Break!なポーリンの雰囲気は、華雅から十分に伝わった。

水美舞斗(ウォルター・ウィンチェル)…ゴシップ・コラムニストという設定だったが、ストーリーテラーとして、あるいはショーシーンのMCとして八面六臂の活躍っぷりだった。
ウォルターとして、あるいは水美自身として、今回もギラギラがしっかりと伝わってきた。

柚香光(フレッド・アステア)…ガーシュインの親友。そしてボードビル界の大スター。ガーシュインとは共に夢を見、夢を叶えた同志。1幕で彼が語る“夢”が、物語全体を最後まで彩っている重要なファクターだったりする。
また、ショーシーンでのケーン(杖)の扱い方がとてもかっこよくて、惚れ惚れした。
追悼コンサートでの歌も、胸に残った。

その他、梅咲衣舞、遼かぐら、花蝶しほの三人娘(ガーシュインのファン)や、ショーシーンで活躍していた和海しょう、どの場面でも超キュートだった美蘭レンナが印象に残った。

こうやって書いてみると、あらためて、もったいない使い方をされている出演者が多かったなーと気づく。ストーリーも、ガーシュインなんだし、もっともっといいものに出来たと思うのに、残念。
出演者には、ある程度の満足感があるものの、それだけでは、100%ではない。
野口先生には、さらに精進を望む。


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コメント 4

miarai

いつも楽しく読ませていただいています。
「オーシャンズ11」の感想まだかなぁと思っていたところでした。
夜野さんとは完全に趣味が一致するわけではないのですが、そういう風に感じる人もいるのかと、納得させられます。
これからも楽しみにしています。
by miarai (2013-06-14 09:21) 

夜野愉美

miaraiさま
コメントありがとうございます。
なかなか、感想記事が書けなくてずるずるしております。ささっとタイムリーにアップしたいとは思っているのですが。
コメント、嬉しく拝見しました。
感想は千差万別、その中で、私の感想を押しつけるのではなく、“そういう風に感じる人もいるんだ”程度に思っていただけるように書けたら…といつも思っているので、そう言っていただけたのが、本当に嬉しいです。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
そして、言葉足らずなことがありましたら、どうぞご指摘くださいませ。
by 夜野愉美 (2013-06-14 22:32) 

fate of city

この公演はチケットが手に入らず、残念ながら観ることができませんでした。
それゆえ私なりの感想を語ることすらできませんが、『オーシャンズ11』で成長を感じたアキラくんの健闘ぶりや、たそちゃんが実力発揮する姿をお聞きできて嬉しいです。
ふみかちゃんのようないい役者を活用できるか否かは、演出家の力量にかかっていると思います。
by fate of city (2013-07-04 00:44) 

夜野愉美

fate of cityさま
100%お気に入りの公演とはなりませんでしたが、出演者の健闘は素直に称えたいと思います。
いい役者をちゃんと使える演出家が増えてくれることを期待します。
by 夜野愉美 (2013-07-09 21:43) 

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