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小説で知る「銀ちゃんの恋」背景 [┣宝塚作品関連本等の紹介]

「銀ちゃんの恋」の原作は、「蒲田行進曲」。
「蒲田行進曲」は、映画・舞台・小説…と様々に展開しているが、実は、これらの間のタイムラグはほとんどない。
1980年 劇団つかこうへい事務所にて初演。
1981年 小説を「野性時代」に発表。直木賞受賞。
1982年 映画化。劇団解散公演として再演。
ウィキペディアによると、こんなタイトな時間で、「蒲田行進曲」は広まった。ちなみに沖雅也自殺で話題となったテレビドラマは1983年の放映らしい。

錦織一清を中心に再演されるのが1999年なので、実は、宝塚の「銀ちゃんの恋」(1996)は、名作を掘り起こしたことになるのかもしれない。

小説版「蒲田行進曲」は、前半を「ヤスのはなし」、後半を「小夏のはなし」として、それぞれ一人称で語られる。バトンタッチの場面は、ヤスのアパートに小夏を置き去りにしたあの夏の日だ。
「ヤスのはなし」では、ヤスの心情が、「小夏のはなし」では、小夏の心情が、舞台と違って100%本音で登場する。
もちろん、銀ちゃんの心情はどこにも吐露されていないが、一番身近にいた、ヤスと小夏の証言によって銀ちゃんの人物像も立体的に浮かび上がっている。
そして、小説だから、上演時間の決まっている舞台と違って、もっと詳細な情報を盛り込めたりする。

  • 「新撰組」は、銀ちゃんにとって、“初めての主演映画”
  • 橘は演技派のスターだが、実際にはマイホームパパ。年は銀ちゃんより若いけど、もう何本も主演映画を撮っているから、銀ちゃんより格上
  • 大道寺監督はテレビ出身で、東大出のインテリ
  • ヤスは日大芸術学部出身
  • マコトは中卒で集団就職で上京。東北出身
  • 銀ちゃんも中卒
  • 銀ちゃんは、新劇の「俳劇」にいたことがある。ヤスは劇団の後輩にあたるが、同時期に在籍していたことはない。ヤスは舞台での銀ちゃんを観たことがある。「かもめ」のトレープレフを銀ちゃん流に演じていたらしい
  • 主演はないが、銀ちゃんは「助演男優賞」なら2回もらったことがある
  • 銀ちゃんは33歳
  • ヤスは本当に小夏のファンで、そのため銀ちゃんは、ヤスには気を遣っていて、真夜中、銀ちゃんの部屋に呼びつけるのは、トメさんとかマコトとかに限定されていた
  • 銀ちゃんと小夏は、くっついたり離れたりしながら、3年ほどの仲
  • ヤスの実家は、熊本大学病院まで往復5時間かかるらしい
  • 小夏の実家は水戸。小夏の両親は15歳年齢差がある
  • ヤスには、その昔、主演映画の話があった。ところがその「当り屋」という映画で、本当に車に当たって怪我をしてしまったため、映画は中止になった
  • ヤスの母親から来た宅配便を送り返していたのは、小夏を敬愛している10歳下の弟
  • 「誰だ、こんなところに古釘置いたのは!」辺りは、ヤスの自作自演。撮影所の全員がそれに気づいている

なーんて情報を、ちょっとだけ頭の片隅に入れつつ、公演を観ると、また違った面が感じられるかも?


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コメント 2

くろたん

小説の情報ナイスでやんす!!
かすかな記憶では舞台を観た気がするのですがー
おっとっと〜  歳がばれちまうぜ!

DCから二桁以上観て来たこの公演も明後日の千秋楽で
さよならか〜  寂しいぜ・・・
by くろたん (2008-10-25 11:21) 

夜野愉美

くろたんさま
コメントありがとうございます。
いやいや、舞台を観た…のは、きっと2006年なんでしょう(笑)
二桁観劇でいらっしゃいますか!すごーい!!!
でも、私も、この作品、大好きです。
by 夜野愉美 (2008-10-25 22:12) 

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