SSブログ

「ファンシー・ダンス」感想2 [┣宝塚観劇]

続きです。

第14場~18場 ダンス・ウィズ・ミー!(中詰)
珍しくストーリー仕立ての中詰。

かつての銀幕のスター、フランクのファンたちが、フランクと相手役・ナンシーのキスシーンの古いブロマイドを前に、フランクへの愛を歌う。全員がおばあちゃんである。
そこへ、こちらもおばあちゃんになった、相手役のナンシー(彩乃かなみ)が登場。「私が相手役!」と歌い出す。
「あんたなんか、添え物」「ただのお人形」って、三木先生は、これ、痛烈な皮肉を書いてるつもりなんだろうか?だったら、すごく寒い。
宝塚ファンのすべてが、相手役に対してこんな気持ちでいる、なんてとんでもない!まあ、彩乃せんぱいは、この場面を楽しんで演じているようだし、おばあちゃん達はみんな可愛いので、ここはスルーすることにしよう。
突然の雷でおばあちゃん達は散り散りに。
ここで時代は遡り、30年代へ。
絶頂期のフランク(瀬奈じゅん)とナンシーのコンビ。車に乗って二人で出かけるってことは、私生活でもいいムードだった?と思わせるシーン。
そこから、フランクを中心とするショーナンバーへ。
最後に、再び突然の雷鳴。倒れ伏すナンシー。…と思いきや、ここで「カット」の声がかかり、すべては映画のワンシーンということに。
雷鳴で元のおばあちゃんに…っていうのが、ありがちだがオチとして納得できるのだが、なんだか尻切れトンボでショーになってしまったような気が…。
このナンバーでの、彩乃の衣装の色合いが好き。とても上品で似合っていた。
ここから、華やかなパレード。紫系の衣装が綺麗だった。
霧矢大夢・大空祐飛の着ているピンクボタンの燕尾…どこかで観ている気がするのだが…なんだったかな?(ミレチャの組長達はノーカウントです)

第19場~21場 パープル・ヘイズ~シェラザードより~
ハーレム。妻を一人ずつ殺していくシャフリヤール(瀬奈)。シェラザード(彩乃)が彼を癒し、二人は真の愛で結ばれる。
とても綺麗な場面だが、根底にある設定が好きじゃないので、場面に心酔できない。冷たい心の男が、その地位と心の冷たさによって、良心の呵責もなしに、殺人を犯す。
真実の愛に目覚めた時、そんな男が、過去の自分の罪を忘れていられるだろうか?
もともと千夜一夜物語は、夜伽をしたら殺される…という立場にあったシェラザードが、毎夜面白い話をして相手を続きを聞きたい気持ちにさせ、殺されずに済む…を千夜繰り返す…というところが面白いのであって、そこでの男女関係は、愛でも対等でもない。だから、愛と癒しでなく、理知と信頼によって、最後にシェラザードは勝利者になるし、王も過去を悔いることがない。
そこを「愛」にしてしまったことで、過去の罪をノーカウントにしてしまう行為が、逆に非道に映ってしまう。これは、「鳳凰伝」の時も同じことを感じたが…。
だいたい扼殺っていうのは、グロくて、いくらダンスでも、私はちょっとついていけない。いや…もしかして…これは…行為の果ての事故死なのか?そこを宝塚だからオブラートに包んで表現しているのか?つまり、シェラザードは首を締めなくても……いや、これ以上語るのはよそう…。
城咲あいの衣装が、「ジャンプ・オリエント」東京版のガルーダの場面、白城あやかの衣装だった。懐かしい!

第22場 フィナーレ~オン・ザ・メロディー~A・B
白と黒のバレリーナが登場して踊る。これはピアノのことだろう。
そこへ、ピアニストの男たちが黒燕尾に、手を強調するための白手袋で、「弾く」ことをダンスで表現する。
センターは霧矢、両サイドに大空・遼河はるひ
あくまでも霧矢が上位ですよ、と示すため、だいたい対称で踊っている霧矢大空なのだが、一場面だけ、霧矢センター(大空脇)の場面を作るのが月ショーのお約束になっている。
大空ファンへの牽制でしょうか?ま、私たち、イタいですからね。勘違いしちゃいけないですもんね。いいんですけど…。
ここのダンスは、なかなかにかっこよくて好きだった。

第23場A フィナーレ~オン・ザ・メロディー~C
大階段のセンターで歌う出雲綾。ロケットSの紫水梗華がこれでもか!とくるくる回る場面。最後に思い切り踊れてよかったね!
これからも違う世界で踊り続けてほしい人である。

第23場B フィナーレ~オン・ザ・メロディー~D
3組のダンス。
グレーと赤の衣装は、「グレート・センチュリー」を思い出す。
曲は「キャラバン」。なので、3組のダンス、といっても優雅でスローな感じはしない。ご贔屓を追っているだけで終わる印象。
というわけで、ご贔屓についてしか書けないが、夢だった3組のダンスで踊る大空は、夢咲ねねへの視線がやさしい。(別名オヤジ目線)相手の夢咲があまりうっとりと返してないあたり、さすがのアイドル・ねねちゃんも「3組」にはテンパってる印象。
「パルファン・ド・パリ」で3組に入って、各組の2番手さんを総ナメした花ちゃんって、今のねねより下級生ですか?さすが……だ!

第24場 フィナーレ~オン・ザ・メロディー~E・F
ということで、ここからパレード。
パレードはいきなり、全員トリコロールである。
ここで再び「パッション・ブルー」を思い出す。
併演の芝居が「二人だけが悪」というもので、アルゼンチンの街角で、ずっとタンゴが流れていた。
なのに、フィナーレのクライマックス(今回で言えば3組のダンスの部分)が、またまたタンゴですよ!(ゴールデンステップスで月組+朝海で再現したあのシーン)
別にタンゴじゃなくてもなー…と思ったものだが、もしかして、三木先生は、芝居とショーの融合とかを目指しているのだろうか?それ、たぶん逆効果だと思うのだが…。みんな今回は、芝居の口直しをショーに求めていると思うから…。
エトワールは、音姫すなお・憧花ゆりの・白華れみ強い月娘を象徴するようなパンチのあるエトワールぶりだった。この公演で、憧花が激痩せしているのだが、なにかあったのだろうか?痩せても美しいので問題ないのだが、ちょっとびっくり。
階段降りは、桐生園加・青樹泉・星条海斗・龍真咲の4人から。前回の新公主演で、星条のポジションがセンターに近づいているし、桐生もこのショーではすごく使われている。青樹・龍も負けずに頑張ってほしい。特に青樹は、日生のような人数少ない公演ではとても光っているので、大劇場でもその輝きが出せるように、しっかり精進してほしいな。もう私のことは落とさなくていいから!
続いて、遼河・城咲が二人で。
そして大空。サビの部分が大空に回ってきたが、ハリの部分の声に独特の色気を持つ大空にはピッタリ。しかも歌詞がとてもセクシーでさらにピッタリ
著作権に触れない程度に紹介すると、
♪お前を抱きしめ、お前に抱かれて…
ですよ。抱きしめ、は普通だが、男が女に「抱かれて」という歌詞は、意外性があっていい。その倒錯性も大空に似合いだ。
余談だが、彩乃はこの歌詞を「お前」でなく「あなた」とする。これでこの歌は急速につまらなくなる。ここは、女が男を「お前」と呼ぶ倒錯性で、彩乃せんぱいにグッと迫ってほしいところだ。
さらに、
♪お前を見つめて、お前に溺れる…
と続く。なんて、「溺れる」という歌詞が似合うんでしょうか?
この歌は祐飛さんのテーマソングだわ~でも、主題歌集では歌わないのよね
蛇足ながら、大空の歌う「ダバダバ」に胸がキュンとした私です。ジャズマ、懐かしすぎ…!
続いて霧矢
これが噂の雉羽か…。今回は、フィナーレの衣装のデザインもかなり違っていて、まあどっちがすごいとも一概に言えないのだが、袖に銀スパンが付いてるから霧矢なんだろうな、っていう感じ。どちらもキラキラで綺麗だった。
そして彩乃
霧矢とお揃いっぽい雉羽。
歌については、さっき余談で書いた感想を持った。
最後に瀬奈瀬奈は、真っ白な衣装と羽。
以前、まりこさんの羽は「全部黒だった」と書いたが、瀬奈は白い羽がとてもよく似合う。それはこの人の本質が白だからなんだろうなー、と思った。つまり、すごくニュートラルで、色々なことを常に自分をまっさらにして受け入れようとする貪欲さを感じる。
(決して、お腹の色のことじゃないですから、まりこファンのみなさま)

…とまあ、ちょっと偏りもあると思うが、場面ごとの感想。
やっぱり初見だとオペラでご贔屓ガン見、というのがヅカファンの観劇術なので、特に対称位置のきりやんのことをあまり観ていない。
が、大空ファンはきりやんが嫌いなんだ!ということでは、全然ないですので、どうぞ誤解のないようにお願いします。東京では、きりや目線も報告できるくらいに通う…ハズである。(遠い目)

※歌詞を確認しようと思ってプログラムを見たら…
「決めるぜダブルターン」
知らなかった、こんなこと歌ってるなんて…。
やっぱり大空イジメのショーだったのか…

【去年の今日】
1/16の組替えについて、自分なりの考察を。
もちろん、退団含みなどストレートに書けないものもあったが、私の思惑以上に宝塚は変動している気がする。
若手へのシフトが。
30年以上前、トップは研8~10位だった。
そういう事例を参考にしているのだろうか?その方が、財界の宝塚ファンには嬉しいだろう…みたいなオヤジ根性で。
断言するが、今の宝塚ではそれは無理だと思う。
30年前と今では、宝塚の知名度、スターの仕事量が全然違う。
昔はトップ以外でも大劇場の主演をやっていたし、ツアーも少なかったし、芸劇や日生や博多もなかった。マスコミへの露出はベルばら4強くらいだった。
それらをこなす精神力は下級生には無理だ。だって、トップといえども組内では下級生だったら、いろいろ気を遣うもの。天海をそれで潰しておきながら、懲りない劇団だと思う。

阪神大震災から12年。
宝塚は、そんな過去があったとは思えないほどの復興を見せている。
2007年は、旧大劇場を知らないスターが2人トップになる。時代は確実に変わっている。


nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(1) 
共通テーマ:演劇

nice! 0

コメント 2

かぐら

楽しく読ませていただきました。(TBさせていただいてます。)
わたしも、「パープル・ヘイズ」のシチュエーションが受け入れられな
かった一人です。やはり、宝塚でああいう振りはみたくないような。
場面自体はすごく綺麗だったんですけど…。

パレードの祐飛さんパートは、ホントに祐飛さんによく合ってますよね!
かなりキーが高いけど、それがまた色気があっていいんですよー。
毎回うっとりしています(笑)
by かぐら (2007-01-27 23:13) 

夜野愉美

かぐらさま
コメントとTBありがとうございます。
そうなんですよね。綺麗な場面だけに、とても残念でした。
奥さんを次々殺してしまう王様っていう設定であっても、「首を締める」という振付でさえなかったら…と、思わずにはいられませんでした。
パレードは、本当に垂涎の場面です。
あれだけで、許せてしまえますよね、いろんなことが。
あ、劇団の思う壺かも?
by 夜野愉美 (2007-01-27 23:44) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1