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「ファンシー・ダンス」感想 [┣宝塚観劇]

レビュー・ロマネスク
「ファンシー・ダンス」
作・演出:三木章雄
作曲・編曲:高橋城、吉田優子、鞍富真一
編曲:青木朝子、太田健
音楽指揮:佐々田愛一郎
振付:羽山紀代美、名倉加代子、ダレン・リー、KAZUMI-BOY
装置:大橋泰弘
衣装:任田幾英
照明:勝柴次朗
音響:実吉英一
小道具:石橋清利
効果:前田眞里子
歌唱指導:矢部玲司

タイトルの「ファンシー・ダンス」が発表になった時、いや~な予感はしていた。そして…的中以上の効果があった。…ファンにとっては、「JAZZMANIA」全国ツアーを思い出すような…。でも、それ以上に、ショーとして、私は面白いとは思わなかった。ま、芝居と違ってショーは感性だから、別の感想を持つ人がいるのは、当然だと思うし、私の感性を押し付けるつもりもない。
ということを、先にお断りしておいて、バッサリ書きたいと思います。

第1場~4場 ファンシー・ダンス~オン・ザ・ビート~
セリ上に、瀬奈じゅんがひとり、スポットを浴びている。
音楽、そしてダンス。
ほんの少し前、「タカラヅカ絢爛Ⅱ」という作品で、瀬奈の粋なダンスを見せてもらった。あれは、椅子を使ったちょっと変わった場面で、彩輝直貴城けい瀬奈の場面だった。その時、彩輝・貴城に比べて、すごく男くさく踊っていた瀬奈の粋なダンスに吸い寄せられたのを覚えている。
そして、今、ひとりで、粋なダンスらしきものを踊る瀬奈に、私はなにも感じられずにいた。
瀬奈のソロダンスは好きだ。
小粋なダンスを踊る瀬奈も好きだ。
でも、今回のダンスは、滑稽な気がした
何度見ても、慣れなかった。
そんなオープニングの後、わらわらとダンサーたちが登場する。
男役で瀬奈に続く、Aに入っているのが、霧矢大夢、大空祐飛、遼河はるひ、桐生園加の4人だ。
そのか、そうなのか?この組替えは、そういうことなのか?
遼河・桐生の二人は、ネクタイと帽子のラインが黄色、大空はオレンジ、霧矢はピンク。
ちょこっとだけ祐飛さん語りをするならば、ネクタイの色が完全なオレンジではなくて、サーモンピンクのようなすごく上品な色で、それがすごく綺麗だったな~というのが印象に残った。帽子のラインのテープは普通のオレンジだったが。
そして、男役の総踊りにも、ちょっと変わった振りがあって…。
そこは、音楽がなくてリズムだけで、半数ずつ踊るのだが、とにかく変な振りだった。(祐飛さんが踊らない方で、まちおさんを見てしまったせいもあるのだが…。)
娘役は白いドレスにソフト帽。ここ以降は、わりと楽しめる場面だった。
今回、楽しめる場面=マンネリな場面だった気がする。私自身の感性のせいかもしれない。

第5場~7場 アイ・ワナ・ダンス
祐飛さんの場面。
苦節15年、初めて(中詰の一部とかじゃなくて)、大劇場公演で芯となる場面をいただきました。
それが…コレか…
まず、黒地に白いジャケットを着たダンスキャプテン(桐生)が登場し、派手なかっこいいダンスで観客の目を奪う。
そこへ、黒ずくめの恰好をした5人の男(大空、明日海りお、美翔かずき、宇月颯、彩星りおん)が登場し、ダンスキャプテンの指示で踊り始める。しばらく踊った後、キャプテンが大空を指名し、彼に赤ラメのジャケットを着せる。
すると、そこからダンサーが登場し、大空を中心とするショーシーンが始まる。
さんざん歌い、踊った大空のところへ、新たなチャレンジャー(桐生、明日海、美翔、宇月、彩星)が登場する。大空は、彼らとしばし踊り、やがて、赤ラメのジャケットを新しいチャレンジャーの桐生に渡す。
だいたい大空がオーディションに合格してダンスの世界でスターになるっていうこと自体が、なにかの冗談としか思えない場面だが(※これでも私は大空ファン)、三木先生のやりたいことと、宝塚のステージでできることの間に差があり過ぎて、あまり効果的な場面になっていなかった。
1.このシーンA→B→A´になっていると効果的、というか、そうでないと意味がない
2.であれば、Aのシーンでダンスキャプテンは、赤ラメのジャケットを着ている先代スターであった方がわかりやすい。しかし、序列の厳しい宝塚にあって、ここが大空の場面である以上、ラメは大空しか着ることができない?
3.赤ラメジャケットを着ただけで、下はオーディション用の黒い稽古着。なのにBのシーンでは、周りがオーソドックスなタキシードとドレスという衣装。大空は、浮いていた。
4.続くシーンがA´であるためには、大空はダンスキャプテンを演じなければならないのに、まるでMCのような存在で踊っているんだか、いないんだか…。(理由はわからないでもないが…)
…という中途半端な場面なので、大空ファンであっても、それほど楽しんでいるわけではない。
ま、ファンとしての戯言を言わせてもらえれば、赤いラメの衣装で踊る時の祐飛さんの顔が、なんだか誇らしげで、そこが好きなんだってことでしょうかね。

第8場~10場 タンゴ・ノワール~ペトルーシュカより~
この場面もカーニバルで子供達が見る人形芝居→同じテーマを人間がダンス化→再び人形芝居で終わる…というサンドイッチ形式の場面
バレエのペトルーシュカは、ピエロのお化粧で踊るもの悲しいダンスなので、かっこいいマオカラーのスーツで踊るこのダンスは、全然別物の雰囲気。
でも霧矢にはマオカラーじゃない衣装の方が似合うように思うのだが…。
周囲のタンゴダンサー達はみんな雰囲気があっていい。メンバーもかなり、妖しい系を揃えているのがいい。娘役も最強メンバーが揃っているし。前場面にも出ていた桐生がここに登場するのもすごい。
ダレン・リー振付場面だが、とにかく、霧矢のダンスはすごい
素人にだって、この人はすごい!とわかるハイテクニックの連続である。
でも、それでペトルーシュカってどうなの?ペトルーシュカ自体はすごいバレエなのだが、テクニックを超えたところにこのバレエの真髄はある。単なる三角関係はこのバレエの一面でしかない。ペトルーシュカは、愛するコロンビーヌをムーア人に取られても、自らの領域を出ることが出来ない。それは彼が操り人形であるから。彼はどうにかして、その狭い世界から出ようともがき苦しむ。そして、彼の行動を縛っていた枷が取れた時、自由と引換えに彼は命を失う。その、不条理な悲しみがペトルーシュカというバレエで表現されているはずで、単なる三角関係なら、なにもペトルーシュカでなくていい。
いきなり三日月刀でバッサリ、みたいなシーンは、宝塚では見たくない。
城咲実にいい表情で踊っている。遼河もだいぶ月組に慣れて、しっかりと地に足をつけていて好印象だった。

第11場~13場 ラスト・ダンス~オルフェ~
公演を観ていない人に、昨日の「フラット気味のかすれたハミング」は分かりづらかったかもしれない。それはこの場面での瀬奈の歌の歌詞。
ここは、娘役がベージュ~黄土色のスリップドレスで踊りまくる。
ちゃんとヒールの靴で踊っているのだが、なんだか裸足のような気がしてしまう、そんなダンス場面。
ここでは、瀬奈を翻弄するちょっと蓮っ葉な女に扮した彩乃のムードがいい
さんざん瀬奈を翻弄したあげく、彩乃遼河と去っていく。その退廃的な雰囲気が、すごくいいのだ。
で、たしか瀬奈のソロダンスはここにあったと思うのだが、回転の大きさといい、身体の伸ばし方といい、ダンス自体の長さといい、どこか中途半端な感じがした。瀬奈が、ではなくて、振付として
私は瀬奈のソロダンスは、「レビュドリ」の時、大空・彩乃がハケた後、ホリゾント前で踊ったあのダンスが一番好きなので、ああいう、大きくて伸びやかな振付のものを一場面でいいから見たかった。

長くなるので、続きは後日に回したいが、このように、プロローグの後、3番手・2番手・トップの場面を小刻みに見せる手法といい、プロローグの色使いといい、昔の星組「パッション・ブルー」に似ていると思った。
あれも、あまり好きなショーではなかったから、やっぱり、好みの問題なのだろうな、と思う。

【去年の今日】
組替え発表。一気に半年分の組替えが発表になったが、今、それぞれの組で頑張っているメンバーを思うと、やはり一年って長いな、と思う。
そしてケロさんが大劇場を観劇された日だったらしい。
数少ないチャンスをモノにしているファンの人たちもいるというのに…もう2年、私はお目にかかっていない…。


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