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「シラの恋人」観劇 [┣演劇]

シス・カンパニー公演
「シラの恋文」


作:北村想
演出:寺十吾


美術:松井るみ
照明:服部基
衣装:前田文子
音楽:坂本弘道
映像:ムーチョ村松
音響:岩野直人
ヘアメイク:宮内宏明
ステージング:小野寺修二
舞台監督:芳谷研
プロデューサー:北村明子


剣術指導:楠見彰太郎(座☆風流堂)、田村令


<出演>
草彅剛、大原櫻子、工藤阿須加、鈴木浩介、西尾まり、明星真由美、中井千聖、宮下雄也、田山涼成、段田安則


「シラノ・ド・ベルジュラック」の翻案だと思って観に行ったら、「シラノ…」に「着想を得た」オリジナル戯曲だった。
物語は、近未来の日本を舞台にしている。たぶん、十年ほど先の。コロナ禍などを経て、既存の抗生剤の効かない結核が「新たな死病」となった日本。各地に、患者を受け入れて療養させ、最期は看取るためのサナトリウムが出来た。鐘谷志羅(草彅剛)は、患者としてここを訪れる。
山と海が見える美しい場所にあるサナトリウム。そこには、クセのある院長(段田安則)や、色々抱えていそうな看護師(西尾まり)がいて、個性的な患者もたくさん療養している。
そんな中に、まだ若い女性の入院患者・野浦小夜(大原櫻子)がいる。
志羅は、小夜の姿に、子供の頃好きだったテレビ番組の中の少女剣士の姿を見ていた。(志羅が小学校に上がったくらいの頃に10代の若手女優だったその役の女性は、20歳前に交通事故で亡くなっていた。)


サナトリウムの学芸会(?)みたいなシーンが長々あって、その辺りで集中力が切れてしまった残念な私…
「シラノ・ド・ベルジュラック」が脳内にあると、そこから飛び越えた部分を受け入れるのが、困難になる。たとえば、志羅が剣の達人である部分などはしっくりする。院長の代わりに、小夜への手紙を代筆するのも。
それ以外の物語がなかなか入り込まないのは、思い込みのせいなのか、原典シラノの強烈なストーリー力のせいなのか…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]
サナトリウムという閉鎖された世界の中の、閉ざされた物語かと思っていたら、話は急展開。お隣の国を「中国」と呼ばず、仮名にしているのが変だな~と思っていたら、突然の戦争勃発[どんっ(衝撃)]
愛する小夜を守るために、命の期限を知った志羅は、戦争に行き、そして戦死する。志羅は45歳、小夜は24歳なので、院長の老いらくの恋までは行かないものの、ある程度年の差がある。年齢差を超えるほどの熱愛が存在するわけでもない。でも、志羅は、日本を…ではなく、小夜を守るために戦争に行ったんだよね。彼の愛は、そういう形でしか表現されなかった。
ああ…そういう純粋な、ただ一方的に見返りなく捧げられる愛…というのが、「シラノ…」なのかもしれない。


中国らしき国と交戦状態になった時、かの国が日本海側にある原発を一斉に攻撃したという。
その中に、「志賀原発」の名が出てきた。あまりにリアルで言葉を失った。
(この作品は東京公演の前に、京都・福岡で公演されており、北陸の地震でクローズアップされた原発の名前が出てくるのは、偶然。だからこそ、ぞーっとした。)


大原の歌声の美しさ、力強さが印象に残った。ミュージカルではないが。
段田が院長の複雑な胸の内を、見事に表現していた。
そして、鈴木浩介の存在感がたまらない…[ぴかぴか(新しい)]宮下雄也もいい味を出してたなぁ[黒ハート]


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