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「リバー、流れないでよ」 [┣本・映画・テレビその他エンタメ紹介]

鳥ちゃん(鳥越裕貴)ファンとして、そろそろ見に行っておかねば…くらいの気持ちで、見に行ったら、完全にハマってしまった。めちゃくちゃ面白いです。


「リバー、流れないでよ」は、京都を中心に活躍する、ヨーロッパ企画という劇団が制作した2本目の映画。
1本目の「ドロステのはてで僕ら」は、コロナ禍にあってヒットはしなかったものの、海外の映画祭で絶賛されたらしい。今回の「リバー、流れないでよ」は、下北沢トリウッドと東宝という映画界かつてないタッグによって、めっちゃマイナーな内容ながら、東宝系シネコンでの拡大全国上映が可能になり、これこそ、デジタルとシネコンがよき方向に流れた例だなと思った。
フィルム時代なら、いくら最高の配給網を持っていても、プリントしたフィルムの数だけしか同時上映ができないし、プリント自体が大きなリスクになる。(高額で、場所も取る)が、デジタルプリントは、フィルムより簡単かつ安価で配給ができるし、シネコンという、ひとつの作品を一日一回かけるだけでもいいシステムであれば、大博打の映画を配給網の片隅に放り込むことができる。


俳優陣は、基本的にヨーロッパ企画専属の俳優が中心となり、客演もネームバリュー先行の大スターを投入するわけではない。撮影場所は、京都・貴船にある割烹旅館と貴船神社周辺のみ。そんな映画が、死ぬほど面白い。
ある瞬間から、2分間のループ地獄に陥ってしまった貴船周辺の人々。
13時56分~58分の間をものすごい回数周回する。それを「ほんとに2分間の一発撮り」で撮影するという、たぶん誰も得しない方法で撮影している。この感じ、意味なく長回ししてた「カメラを止めるな!」の路線に近いのかもしれない。ヒットの理由はそんなところにもあるように思う。
一見、意味のない、ムダに思われることの中に、面白さのタネが宿っているというか。


ヒサメ(久保史緒里)の乗り物がレトロ過ぎるところとか、細かいツボは山ほどある。
謎もね、何十回と繰り返すループが終わった後、すんなり59分につながるとしたら、繰り返した分、繰り返していない他の地域との差は埋まらない。少し遅れた世界線とつながってしまったのかも[exclamation&question]なんて思ったり。


そして、鳥ちゃんファンとしては、ヒロイン、ミコト(藤谷理子)と、鳥ちゃん演じるタクの恋の行方が気になる。ミコトはこの旅館の仲居で、タクは料理人。同じ世代で、同じようなポジションにいる二人が恋仲になるのは、ごく自然のことだっただろう。
が、タクは、このまま貴船で料理を続けていくことに漠然と不安を感じている。もっと広い世界で料理を極めたいと思っている。というわけで、フランスに修行に行きたいと思い始めた。勝手にそんな思いが膨らんでしまったので、ミコトとのことが、彼の中で「困った問題」になりつつある。
彼らは決して十代の若者ではない。結婚適齢期にいる若者だ。
30年くらい前の映画だったら、「一緒に来てくれ」「待っていてくれ」の二択しかない恋愛劇が、それだとリアリティが出ない2023年に愕然とする。
フレンチの修行に行けば、十年は戻れない。十年は待てないだろうミコト(3年なら待てるそうだ)と、十年のフレンチ修行に自分の人生はともかく、ミコトの人生を背負えないタク。十分に好きな気持ちはあるのに、好きだけじゃ無理なんだよね…と、乾いた気持ちも持ち合わせている。
なんか、笑いの中に、めっちゃシリアスな、めっちゃ現代なテーマを仕込んでくるじゃないか、ヨーロッパ企画!ミコトの切ない思いが、今も昔も変わらぬ乙女心なだけに、男子がんばれ~[exclamation×2]そして、物価とか、賃金とか、もっと暮らしやすくなってくれ~[むかっ(怒り)]と、政治的なことまで考えてしまった。
二人の雪の逃避行が、めっちゃ可愛いです[黒ハート]


まだまだ上映中のところがあるので、みなさまぜひぜひ[黒ハート]


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