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舞台「サンソン」観劇 [┣演劇]

「サンソンールイ16世の首を刎ねた男」


演出:白井 晃
脚本:中島かずき(劇団☆新感線)
音楽:三宅 純


原作:安達正勝 『死刑執行人サンソン』(集英社新書刊)
坂本眞一 『イノサン』に謝意を表して


美術:二村周作
照明:高見和義
音響:井上正弘
衣裳:前田文子
ヘアメイク:川端富生
映像:宮永 亮、栗山聡之
アクション:渥美 博
演出助手:豊田めぐみ
舞台監督:田中直明、福澤諭志
制作:笠原健一、原佳乃子
プロデューサー:熊谷信也
企画製作:キョードー東京


宣伝美術:永瀬祐一
宣伝写真:設楽光徳
宣伝スタイリング:前田文子〔稲垣吾郎〕、青柳美智子
宣伝ヘアメイク:川端冨生 、永嶋麻子〔稲垣吾郎〕、伊荻ユミ
宣伝映像:十川利春


企画製作:キョードー東京 
主催:キョードー東京、TBS、イープラス


本作は、坂本眞一の漫画「イノサン」にインスパイアされ、そのモデルとなった、実在の死刑執行人、シャルル‐アンリ・サンソンの半生を描いている。
ブルボン王朝の時代のフランスでは、死刑執行は、サンソン家の世襲の業となっており(日本で言えば、山田浅右衛門[exclamation&question])、その身分は、パリ高等法院(最高裁判所みたいなものですかね)に保証されていた。
ある日、シャルル(稲垣吾郎)は、レストランである貴婦人に声をかけられ、自分はパリ高等法院の仕事をしていると話した。そして会話が弾んだが、ちょっと席を外した際、彼は死刑執行人だと言う人があって、その婦人は卒倒してしまった。
そして、けがらわしい身分でありながら、貴婦人と食事を共にしたとして、訴えられてしまう。シャルルは、自身の弁護を自分で行い、裁判に勝利するが、「ムッシュ・ド・パリ」と称される立場でありながら、忌み嫌われ、その身分すら、法律で明示されない、処刑人という仕事に、シャルル自身が大きな疑問を抱いていた。
そんなシャルルが、ルイ16世(中村橋之助)やロベスピエール(榎木孝明)と交流を深め、ギロチンの導入などを経て、彼らの首を刎ねることになるまでの物語が描かれる。


そもそも、けっこう劇的な人生だったみたいで。
若い頃は、後のデュ・バリー夫人(彼女は平民出身)と付き合っていたり、死刑制度に反対を表明したり。
当時は、貴族と平民では死刑の方法が違っていて、斬首は貴族の特権だった(苦しみが少ない)のが、平等に斬首にすることになって、確実に痛みの少ない方法で斬首ができるように…と、器械による処刑を考え始めたりもしている。
そして、ギヨタン博士(田山涼成)の提案する処刑装置の導入に尽力、これまで、処刑人の技術頼みだった斬首刑が、誰でも確実に実施できるものになる。職人であれば、自身の技術を否定されるような機械の導入にも積極的=合理主義的な一面も感じる。
ところが、フランス革命によって、このギロチンが濫用されるようになる。もし、これまで通り、処刑人が剣をふるう方法だったら、物理的に処刑は実施できなかっただろう。シャルルは深く懊悩する。そして、国王ルイ16世の処刑が決まった時、それが裁判で決まったものだったとしても、民衆は、国王の処刑という事実にたえられず、行動を起こすだろうと思っていたのに、実際には、民衆は何も行動を起こさなかった。その深い絶望…


シャルルが書き残した日記によって、シャルル‐アンリ・サンソンの人生と人物像は、ある程度、現代まで伝わっている。本作は、それを忠実になぞるような構成だった。
その一方で、ジャン‐ルイ・ルシャール(牧島輝)とエレーヌ(清水葉月)、トビアス・シュミット(橋本淳)らの若者の物語は、歴史の周囲(彼らは、若き日のサン‐ジュスト(藤原季節)と関りがある…という設定)の人間ドラマという感じで、フィクションとして楽しめる。
ルイ16世は、シャルルの尊敬の対象となるにふさわしい人物で、この人を殺さねばならないのか…という、シャルルの苦しみが、深く伝わった。橋之助を観るのは、2月の「ポーの一族」以来だったが、打算の塊のような医師役よりは、王として従容と死に赴くルイ16世の方が、ピッタリとハマる。御曹司ってそういうことね[ぴかぴか(新しい)]
橋本淳は今回も手堅かったが、ちょっと役不足のような…。いい役者なんだから、もっといい役で使ってほしいな。


ちゃんとデュ・バリー(智順)を処刑するエピソードも拾ってくるあたり、さすが中島かずき氏。
とはいえ、ルイ16世とロベスピエールって、歴史では、ロベスピエールの方が若いよね[exclamation&question]このキャスティングは、いかがなものか…[爆弾]榎木さん、ステキだったけど…[揺れるハート]


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