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「14歳の国」観劇 [┣演劇]

早稲田小劇場どらま館×遊園地再生事業団
「14歳の国」


作・演出:宮沢章夫


音楽:桜井圭介
舞台監督:黒澤多生、伊藤新
舞台監督補佐:金岡大樹
舞台美術:佐々木文美
照明:小駒豪、高橋かおり
音響:和田匡史
小道具・学生指導:海老原翠
宣伝美術・web:相馬称
使用書影:宮沢章夫『14歳の国』白水社刊(装丁:斉藤いづみ)
記録:佐藤駿
スチール:坂内太
演出助手:大塚健太郎、高本彩恵、小林優太郎
衣装部:澤田靖子
制作協力:足立悠子
制作補佐:加治木仁美、矢島万智歩、伊勢崎綾香
劇場制作:宮崎晋太朗
企画責任者:大前研二
製作:遊園地再生事業団、早稲田小劇場どらま館運営協議会


20年前の春、神戸で14歳の少年による連続児童殺傷事件があった。酒鬼薔薇事件と書けば思い出す人も多いだろう。
いわゆるニュータウンで起きた「ご近所」での殺傷事件、しかも犯人が中学生…ということで、世間は震撼した。この戯曲は、肉体と精神のバランスが不安定で、大人から見ると「何を考えているかわからない」存在、なのに、人を殺すだけの知恵や力を持ち合わせている「中学生」という怪物を「大人」がどんなふうに見て、感じて、扱いかねているか、そんなテーマで書かれているようだ。


とある中学校。
そのクラスの生徒は体育の授業中。その教室に先生が5人、こっそり現れて、持ち物検査を始める。
先生が5人…といっても、年代はバラバラ。学年主任のサイトウ先生(谷川清美)は、50代くらいかな。美術部顧問のサカイ先生(踊り子あり)と、どこかエキセントリックな雰囲気のあるアキツ先生(笠木泉)は、83年に教師生活数年目だったと言っているので、98年当時は、40代にはなっていたと推定できる。唯一の男性教員、サタケ先生(善積元)は、30代くらいかな。そして、モリシマ先生(大場みなみ)が20代に見える。
そんなバラバラの5人が、誰も、こっそり生徒の持ち物検査をすることに「変だ」と言わず、その正当性を主張し、でも、なぜかコソコソと机やカバンを探し、誰かがやる気を見せれば、誰かは、話に夢中で手がおろそかになっている。そんな中、生徒のノートに怪しい書き付けが見つかり、次々と同じ文章が見つかって騒然となる。一方、机の表面をカッターで削って書かれた文字もあった。「SATAKE SHINE」…それは、サタケ、死ね、という意味なのか…。
そして、とうとう、机の下にガムテープで留められたナイフが発見される。
ナイフが見つかったことで、先生方のテンションは異様になる。そして、アキツ先生の手に握られたナイフは、サタケ先生の腹部に…
長い間、休職していた経験を持つアキツ先生、休職の理由は、どうやら精神を病んでいたことだったらしい…というオチがついたところで、芝居は終わる。


この舞台、始まってすぐくらいに、ものすごい違和感を受ける。
5人の先生たちが互いを呼ぶ呼称が安定していない。
学校の先生は、キャリアも年齢も様々だが、序列が透けて見えると、生徒や保護者の手前、問題があるという理由なのか、お互いを〇〇先生と呼び、「れる・られる」を多用した敬語で話す。学年主任が、教育実習生に対して「〇〇先生は、どういう考えで、そういうことをされたんですか[exclamation&question]」などと慇懃無礼なことを言われるのが(←これは受身です)、学校という世界なんだな…と思った遠い記憶…。
しかし、ここの先生方は、〇〇先生と呼ぶこともあれば、〇〇さん、と呼ぶこともある。
しかも、同じ相手に対して。
そしてそれは、親しげにするために、「さん」付けするというよりは、相手を見下すために「先生」と呼ばないように聞こえる。気のせいだろうか。
この人たちの人間関係ってどうなんだろう…と、思っている間に事件は起きた。


学校を魔の巣窟にしているのは、生徒ばかりではないようだ。20年という歳月が嘘のように、現代感覚で観劇でき、満足でした。


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