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「サメと泳ぐ」観劇 [┣演劇]

「サメと泳ぐ」


原作:ジョージ・ホアン
上演台本:マイケル・レスリー
翻訳:徐賀世子
演出:千葉哲也


今一番旬の俳優、田中圭が出演している…ということで、めちゃくちゃプラチナチケットだったらしいですが、「おっさんずラブ」前(たぶん)に最速先行で買っていたので、そんなことになっているとは、露知らず…。
しかも、私が観た日、なんと、林遣都くんがいらしてたんですね。劇場は、ほぼ阿鼻叫喚状態でした[わーい(嬉しい顔)]
休憩時間中に、「同じ空間にいる」とか「生・田中圭、尊い」とか、あちこちで聞こえてきて、まだまだ舞台演劇を体験していない人は多かったんだな~と、彼女たちのデビューを心から祝った[ぴかぴか(新しい)]
(そもそも舞台中心でエンタメ楽しんでいると、舞台上の人と「同じ空間」という概念はないので、すごく新鮮な言葉だった。)


原作は、1994年の映画「ザ・プロデューサー(原題:Swimming with Sharks)」。これを2007年にロンドンで舞台化、今回が本邦初演となる。
映画プロデューサーのバディ(田中哲司)は、理不尽極まりないボス。そのアシスタントに採用された脚本家志望の青年、ガイ(田中圭)。出勤早々、コーヒーに入れる甘味料が、スイートンローだったと言って激怒されている。さらに、女性プロデューサーのドーン(野波麻帆)からは、私の場所に車留めたヤツは誰[exclamation&question]と激怒されるし、本当についていない。
バディの人遣いは本当に荒かったし、24時間いつでも呼び出されるし、それでも、バディのアシスタントは全員ハリウッドで成功しているという実績、そして、ドーンとの恋がうまくいきそうなこともあり、ガイはパワハラ地獄に耐えていた。
ドーンは、ある日、新作映画の企画を持ち込んでくる。最初は、けちょんけちょんに企画をけなしたバディだったが、会長サイラス(千葉哲也)を唸らせる企画として、ドーンの企画を利用しようと思いつく。
そのために、ガイとドーンの関係を利用し、ガイをその気にさせ、脚本の改変、原作者の篭絡…バディは、泥臭くキタナイ手をものともせず、自分の出世のためだけに、すべての人を利用していく。そして、その犠牲となったのが、ガイだった…
バディの策謀の結果、愛を失い、キレたガイの復讐劇がこの作品のクライマックス。
ガイは、バディを縛り、痛めつける。ただ殺すだけでは飽き足らない…という、ガイの怒りが怖い。
命の危険にさらされながら、それでも一発逆転を狙い、本当だろうが嘘だろうが、あらゆる言葉をガンガンガイにぶつけ、支配力を取り戻そうとするバディの生命力がまたすごい。
二人の役者のエネルギーが客席にビンビンと響く。
でも、結末知らないから、その最中は、もう、怖くて怖くて…そこに、なんと、ドーンが現れる。
あ、とりあえず、これでガイに殺人をさせることにはならなくて済んだ…と思ったのも束の間、信じられない結末が…[もうやだ~(悲しい顔)][もうやだ~(悲しい顔)][もうやだ~(悲しい顔)]


いや、マジ、なんなのこれ…[爆弾][爆弾][爆弾]
という物語。
バディの人間性が最凶というのももちろんあるけど、ハリウッドという場所が、女性をどう扱っているのか…ということが、あまりにも厳しく、辛く、同じ女性として、気分が悪くなった。
商業主義じゃなくて良作を作りたいというだけの、原作者(脚本)にしてからが、女性プロデューサー・ドーンの前では、一言一句変えさせないと言っていたのが、有名プロデューサー・バディの前では、変更OKになってしまう。誰も彼もが女性というだけで、一段下に見ているんだな、だから、高い学歴を誇りながら、娼婦のようにプロデューサーの周りをうろつくような女の子もいたりするのだ、割り切って。


腹が立って、怖くて…という最悪の側面を持ちながら、この舞台がとても魅力的だったのは、田中哲司田中圭という二人の俳優が、特に、とても魅力的だったから…だと思う。
哲司の方は、どうしようもないバディという男を、実に魅力的に立体化したのがすごい。パンティを頭からかぶったり…と体当たりの変態っぷりを見せたり、ガイやドーンを恫喝する最悪な面を見せたり、縛り付けられた情けない姿や、そこから悲劇的な話を紡いでガイを困惑させるふてぶてしさや…役者としての力量をこれでもか、と見せつけられたように思う。
は、素なのか、演技なのか、なんとも可愛らしい部分が魅力的。クライマックスの監禁シーンで、バディをビニールテープでぐるぐる巻きにするのだが、テープを持ってバディの周りをくるくる走り回る姿は、とても、これから猟奇殺人を行おうとする人のそれには見えない。その天然な姿が、一瞬、こちらを和ませもするし、余計に恐怖を感じさせもする。


忘れられない舞台になった。


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