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台風の中の総選挙 [┣かんがえごと]

日曜日、大雨のなかを選挙に行ってきた。
投票所は混雑していた。それほどの大行列ではなかったが、なにしろ、私が投票権を得て以来、(一度も棄権したことはなく、期日前投票も一度だけなのに)一回も列に並んだことのない投票所なのだから、異常事態と言えるだろう。
全国的に見れば、戦後二番目に低い投票率なのかもしれないが、台風で選挙どころじゃない地方も多かったと思うし、そもそも昔は田舎の投票率が90%とか、異常な盛り上がりのイベント化していたので、おしなべて見れば今回の選挙の投票率は、V字回復の第一歩だったと思っていいんじゃないかな。いや、そう思いたい。
実際、「行かなかった」人はかなり減ったんじゃないかな。あの天候だもの、むしろ、「行けなかった」人があの投票率の原因では[exclamation&question]
ただ、棄権とか、白票とか、故意の無効票は、現政権への白紙委任状なので、「NO」なら槍が降っても選挙に行って他党に投票するしかないことは、もう少し伝わってほしいな、とは思った。


結果、獲得議席数では自民党が圧勝ということになり、テレビなどでは、野党が分裂した漁夫の利の勝利みたいなことが言われている。
しかし、はたしてそうだろうか?
たしかに選挙を前に「民進党」は分裂した。共闘すれば勝てる選挙区で、希望の党と立憲民主党が候補者を出したために共倒れになったところもあった。
でも、それは良かったのだと思う。
今回の選挙の争点は、「現政権(現体制)の承認or 否認」であり、その裏側に「憲法改正の可否(衆議院の2/3の議席を占めれば、改正案を可決することができる)」があった。 今回の解散は、内閣が自主的に解散権を行使する、いわゆる7条解散(日本国憲法第7条を根拠とする解散)なので、結局のところ、現政権の信任・不信任を争うことになる。そして、信任され、さらに衆議院の2/3の議席を超えることがあれば、安倍総理がかねて熱望している「憲法改正」は当然視野に入ってくる。実際、選挙戦の中でも、9条に第3項を追加し、自衛隊を明文化したいという意思表明をしていた。
(国民が何を基準に投票したか、というのはまた別の問題で、後で触れる。)
希望の党と立憲民主党は、共に「現政権」にはNOだが、憲法改正については意見が分かれる。その二党が共闘することは、「選挙さえよければ」という国民への背信に思われる。また、共産党は、「現政権にNO」「憲法改正にNO」という立場で立憲民主党と共闘したが、旧民進党議員の中には、共産党アレルギーの強いメンバーがいて、そういう意味でも、分裂はやむを得なかった。
さらに言えば、連合が最大のスポンサーだった民進党では、市民運動と共闘することは不可能だったと思う。立憲民主党が躍進したから、「一緒にやっていれば現政権を倒せたのに」と言うのかもしれないが、一連のムーブメントは、すべて、希望の党が誕生し、民進党が分裂したからこそ。民進党のままでは、議席を減らしただけで終わっただろう。
なので、とりあえずは、今後の立憲民主党の動きに期待したいと思う。
どこまで本当に市民に寄り添ってくれるか、そこに注目したい。


さて、長らく「中選挙区制度」を採用していた衆議院選が「小選挙区」+「比例代表」に転じたのは、1996年のこと。もう20年以上も前なので、今年初めて衆院選を経験した若者は、この制度しか知らないということになる。
小選挙区制のメリットは、選挙区の区割りが小さいので、候補者の負担が減る=選挙にかかる費用が少ないこと。これに伴い公示日から投票日までの期間も縮小された。
一方デメリットは、死に票が多いこと。たった1票差でも明暗がくっきり分かれるため、49.9999%の得票率だったとしても国会に行けないかもしれない。隣の選挙区では、33.3334%の得票率の人が行けていても。
そしてもうひとつデメリットがあることが、最近身に沁みてよくわかった。
自由民主党は、戦後日本において、8割を超える長い歳月、政権を担っているが、その大きな理由のひとつに、「多様性」があった、と私は思っている。
私が子どもの頃は、各政党はイデオロギーをベースに結束していて、その思想に共感する人々の支持によって国会に代表者を送っていた。
特にイデオロギーを持たない人々(ノンポリとか言われていた)は、現政権への批判票として、わざと他党に投票する以外は、まあだいたい自民党に投票していたんじゃないかと思う。(私の親は誰に投票したかを教えてくれなかったので、この辺は想像だけれど。)
そして、複数当選区(中選挙区制では、ひとつの選挙区から1-5人程度の当選者がいた)においては、自民党から当選枠をMAXとして複数の候補者が出ることが多く、たとえば首相の属するA派閥ではなくB派閥の人に投票することによって、イデオロギーを気にすることもなく現政権にNOを突きつけることができたのが、中選挙区制の最大のメリットかもしれない。(某県では、同じ選挙区に大物が並び立ち1位を競っていた。それで高投票率になっていた面もある。)
しかし、小選挙区制になって20年、自民党で公認を得るためには、現政権を支持しなければならないという踏み絵ができているように最近思えてきた。こうなると自民党の多様性は失われてしまう。最近各派閥のトップが次々引退しているのも、気になる。
もうひとつ、イデオロギーベースの党ではないという部分まで浸食されているような気もするのだが、その辺は、機会があったら(ないことを望むが)書くことにしてここでは割愛する。
現状、多様性がないということは、自民党支持=現政権100%支持という図式になることをまず、ご理解いただきたい。自民党に投票するということは、イコール「現政権にYES」「憲法改正にYES」という選択肢であり、それ以外の意見とは扱われないのです。
小選挙区制における選挙というのはそういうもので、候補者個人に対する「あの人、信頼できそうだから」とか、「今の総理はイヤだけど自民党が好きだから」とか、そういう投票者の気持ちは、投票結果においてはまったく意味がない。選挙活動の中で「あなたの意見に寄り添いますよ」と誠実に言ってくれたとしても、政党政治では、「党議拘束」というのがあって、勝手に自分の意見(支持してくれた有権者の意見)に従った投票ができない。なので、あなたが自民党に投票した一票は、確実に、「現政権にYES」「憲法改正にYES」という方向で反映されることになった、わけ。
この原理を理解している人が、果たしてどのくらいいたのだろうか。
FBなんかを見ていると、世界中を飛び回り、ガシガシ仕事をしているビジネスマンでさえ、誰に投票するか、の意味を理解していなかった。


いや、いいんですよ。「現政権にYES」「憲法改正にYES」なら。
モリカケに怒っていないんなら。
ワイマール憲法という素敵な憲法ができてすぐ、ドイツになにが起きたか知らないんなら。
「緊急事態条項」で民主主義が停止できることの意味がわからないなら。


1930年代のドイツ人は、まさかあんなことが起きるなんて、想像もしていなかったと思う。
でも、2017年の日本では、いくらでも過去に学べるし、学ぶべき。
じゃないとさすがに、今度こそ世界から嗤われる。いや、見放される。


そのためには、まず、投票行動とその結果に対して、しっかりと認識できる人を増やしていくこと、これしかないなぁ。道のりは長いけど。


<その他の投票基準について>
消費税以外は、実はそんなに大きな政策の差はなくて、国民にとって必要な施策は、自民党が伸びようが減ろうが、あまり関係なく実施されていく。子育て支援とか、教育無償化とか、よい政策なら全会一致で法案が通っていくものなので。
消費税についても、税率アップは平成31年10月なので、解散の理由にされてはいたけど、実はそれほど緊急性がない。「凍結」を訴えていた党もあったが、「増税」でも「凍結」でも2年後の話であって、「公約」の2年後なんて、当てにできる話ではないのだ、残念ながら。
そして、「北の脅威」。
昔、世界中から経済包囲網を敷かれた国がありました。その国は、自分こそが正しいと言い張って、国連を脱退、やがてアメリカ軍基地を奇襲攻撃して、宣戦布告、最終的に自ら破滅の道を選びました。
その国の国民なら、歴史を学び、過度な経済制裁が逆効果なのは学んでいるべきだと私は思う。
あと、国難の時期だからこそ、長年政権を担ってきた自民党に、という声もあった。しかし、強硬手段を取ることを躊躇しない安倍さんが総理大臣だと、トランプさんと一緒にどこまでも行ってしまいそうな気がして、私は怖い。あくまでも私は、だけど。
で、安倍さんはイヤだけど、自民党がいい!という人は、ここ重要なんだけど、他党に投票しなきゃならないんだよね。自民党が議席を減らさないと、安倍さんに代わって別の総理が誕生することはないから。
アベノミクスについて。
私はアベノミクスのおかげで生活が豊かになったかと訊かれたら、その反対だと答える。でも、株をやっていない私でも、株式で運用する生命保険はやっていて、その運用益がすごいと聞いた。預金の金利はマイナス状態なので、余剰資金があって株式運用を自己責任でやれる人は、きっとアベノミクスを実感していると思う。
アベノミクスで儲かっている人が居ないとは言わない。でも、お金持ちがさらにお金持ちになる、そして、トリクルダウンは、まだ起きない。それがアベノミクスの現状。だから、恩恵を受けている人は自民党に投票したと思う、もちろん。
でも、投票したからって、恩恵にはあずかれないんだよね、残念ながら…


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