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宝塚星組シアター・ドラマシティ公演「阿弖流為」観劇 [┣宝塚観劇]

「阿弖流為―ATERUI―」


原作:高橋克彦「火怨 北の耀星アテルイ」(講談社文庫)(C)高橋克彦/講談社


脚本・演出:大野拓史
作曲・編曲:高橋恵、玉麻尚一
振付:峰さを理、平澤智
殺陣:清家三彦
装置:新宮有紀
衣装:河底美由紀
照明:氷谷信雄
音響:実吉英一
小道具:増田恭兵
歌唱指導:KIKO
サウンドプログラマー:上田秀夫
映像:九頭竜ちあき
演出助手:生駒怜子
舞台進行:荒金健二
舞台美術製作:株式会社宝塚舞台
録音演奏:宝塚ニューサウンズ
制作:西山晃浩
制作補:中下駿
制作・著作:宝塚歌劇団
主催:株式会社梅田芸術劇場


スケジュールの関係で、たった一度だけの観劇になりました。


が、30名の星組生を見事に使い切った大野先生の渾身の傑作、しかと受け止めました[ぴかぴか(新しい)]


あまりの感動で、友人としゃべり続け、飲み続け、翌朝起きたら、声が出なかった…という(笑)


桓武天皇(万里柚美)の時代、北方の蝦夷(えみし)を殲滅しようとする平安貴族に対して立ち上がった阿弖流為(礼真琴)たちの戦いの歴史を丁寧に描いた物語。やがて、朝廷は坂上田村麻呂(瀬央ゆりあ)を征夷大将軍に任じ、最終決戦の時が近づく。そして…。


桓武天皇といえば、平安京に遷都した天皇。遷都は794年。鳴くよウグイス平安京。
平安京は、四神相応の地らしく、そこに遷都した桓武天皇は風水的なものに頼っていたのかもしれない。とすれば、鬼門は気になるハズ。鬼門といえば艮(うしとら)。京都から見ると、それって東北地方になるらしい。まあ、そんなわけで、東北平定を命じたんじゃないか、なんて説があるそうです。
そして、桓武天皇は、皇太子・早良親王(異母弟)を廃した時に、早良に憤死され、その亡霊に怯えていたというエピソードがある人らしいです。恨みを残して死んだ人は亡霊になるので、事実上、死刑を廃止した天皇でもあるんだとか。その桓武天皇が、阿弖流為を死罪にした、しかも、京都にも入れようとしなかった、ということが、朝廷の蝦夷に対する「考え方」に繋がっている。
人間じゃないと思っていた、ということです。


だから存在そのものを不必要に恐れた。
でも、躊躇せずに殺せた。


聖徳太子の時代や、すこし下って大化の改新の時代だと、朝廷側の人間に「えみし」という名が出てきます。
この時点では、えみし=強いという好イメージだったようです。
いつから、敵という認識になったのか。
それは、もしかしたら、朝廷に仕える貴族たちの「領土問題」のせいかもしれない。「誰の土地でもない場所」だとするために、先住のえみしたちは、「人ではない=獣」ということにしてしまった。それなら奪っても問題ない。
「えみし」は、蘇我蝦夷みたいな漢字もあれば、小野毛人みたいな漢字もあるそうで、古代は、「毛人」の方が主流だったとか。
毛人だと、まるで、美女と野獣の「野獣」みたいなイメージですね。野獣は心優しく、教養もあるのに、それを退治しろ~[exclamation]とかって押し寄せるのは、まるでガストンに扇動された村人たちですね[爆弾]


実際、作品中の蝦夷メンバー、髪の毛がやたらと多かったです。(え、そこ[exclamation&question]


それにしても、出演者の適材適所ぶり、それぞれ誰一人が欠けても成立しない、見事な芝居だった。
さらに、主演の礼真琴はじめ、多くの出演者が、これまで持たれていたイメージとは少し違うキャラクターを当てられていたが、これが、意外にピッタリと嵌まっていて、座付き作者による、アテガキの妙を感じた。


以下、アトランダムに出演者感想を書きます。(一回しか観ていないので、整理するのが難しい。)


に関しては、押しも押されもしない主演っぷりで、まったく危なげがない。ナイーブな若者が似合うのかと思っていたら、骨太なツワモノもピッタリ。どこまで成長するのか、この逸材は[exclamation×2]


有沙瞳は、星組に来て初めての小劇場ヒロイン。本人イメージに合わせたのか、気の強い、芯のしっかりした女性として描かれている。たしかに、こういう人が妻でなかったら、置いていくことはできなかっただろう。そんな中にも、ヒロインらしいキラキラ感を見せ、歌声もの美声にしっかりと寄り添っていたと思う。


・史上初の征夷大将軍、坂上田村麻呂を演じた瀬央。これはいい役だった。そして難しい役でもあった。阿弖流為や母礼や飛良手の命を、彼一人がその身に受け止めるという役だから。(蝦夷を人間だと思っていない貴族たちは、彼らが死んでも、少しも気に留めないだろう。)感情を出す場面と抑える場面をきっちりと把握しての表現が素晴らしかった。


・桓武天皇の万里。男役を観たのは初めてだったが、見事な美丈夫だった。なぜだか、娘役の時より、いい芝居に思えた。


・鮮麻呂の壱城あずさ感情を抑えているしーらんって、あまり観たことがないのだが、それが、グッと胸に迫った。いい意味で、予想を裏切られた感じ。


・田村麻呂の妹、全子を演じた音波みのり小劇場のはるこちゃんは、女神だな。1月の「燃ゆる風」に続いて、今回も、女神として作品の中に君臨していた。女神だけど、芝居は神なんだよね、これが。


・紀広純を演じたのは、輝咲玲央。蝦夷鎮圧の手練れとして、朝廷からも厚く遇され、自負もしていたのに、まさか、配下の鮮麻呂に裏切られ、殺害される。それまでの傍若無人っぷりといい、裏切りへの対応といい、まさにオレ輝咲の世界でした[黒ハート]


紀古佐美を演じた夏樹れいの曲者っぷり[exclamation]御園徹成を演じた漣レイラのイケメンっぷり[exclamation]伊佐西古を演じたひろ香祐の、まさに、ここにあり[exclamation]な一連の芝居[exclamation×2]これだけ台詞しゃべるヒーローをずっとずっと待ってたんだよ~[もうやだ~(悲しい顔)]諸絞を演じた音咲いつきの最後の男役ぶり[exclamation]ここまで、かっこいい男役で終わるなんて、転向が発表されていただけに、信じられなかった。


・飛良手を演じた天華えま。これまた、めっちゃいい役やんけー[るんるん]ラストの田村麻呂との場面なんて、素敵すぎる[黒ハート]そして、母礼を演じた綾凰華この役が二番手でもおかしくない大役を、完全に自分のものにしていた。これほどの役者だったのか、と驚いた。雪組への異動は、役者の子には朗報だと思う。頑張れ[exclamation]


・その他、またまた少年役を演じた天彩峰里も、うまかった。阿奴志己役の天飛華音は、え、誰[exclamation&question]と思うほどの若手(102期)なのに、もう男役として出来ている。すごい[exclamation×2]…みんなみんなすごかった~[exclamation×2]天鈴さんとか、鮮麻呂の奥さんとか、気になる人もいっぱいいたけど、なにしろ一度の観劇では、自分の中で消化できなくて、細かく書けなくてごめんなさい[あせあせ(飛び散る汗)]
とにかく、素晴らしい公演でした[ぴかぴか(新しい)]


最後に…映像相手に剣を振るう場面は、さすがに、もう、前田慶次で納得したでしょ[exclamation&question]と、大野先生の少年心を残念に思った。
あと、馬を追って追いついて…みたいな場面も映像でやるほどのことはないと思うんですけどね。そこまでの映像じゃないし、それくらい台詞に滲ませたってわかるよ…[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]


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