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「ゴドーを待ちながら」観劇 [┣演劇]

Kawai Project vol.3
こまばアゴラ劇場主催公演
「ゴドーを待ちながら」

作:サミュエル・ベケット
新訳・演出:河合祥一郎

照明:富山貴之
音響:星野大輔(サウンドウィーズ)
舞台監督:小田史一(NON GATE THEATRE)
制作:久保庭尚子、伊藤香津代
制作協力:Real Heaven

芸術総監督:平田オリザ
技術協力:鈴木健介(アゴラ企画)
制作協力:木元太郎(アゴラ企画)
企画制作:Kawai Project/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
協力:CAPI

不条理劇の傑作と言われる「ゴドーを待ちながら」を初めて観劇した。

こまばアゴラ劇場は9月に初めて行ったが、3ヶ月連続で行くことになりそう…ぶっちゃけ、居心地のいい劇場ではない。
狭い劇場につめっつめで座るので、けっこう疲れるし、たぶん冷えるのだと思う。上演中にトイレに行きたくなる。(しかし、行けない。つめっつめなので、上演中に外に出ることは不可能…[爆弾]

不条理劇だと、ずっと聞かされてきた。
しかし、今回の公演、不条理でもないんじゃないかな…と思えた。
もちろん、意味不明な部分は多いが、全体として、作者の言いたい方向は読める気がする。そして、私の読み解きが間違っていなければ、これって今の時代に上演する意味のある作品かもしれない、と思った。

舞台に出ずっぱりの二人、ヴラディーミル(原田大二郎)とエストラゴン(高山春夫)は、とても厳しい人生を送っている。おそらくは、死んだ方が楽なくらいに…。
傲慢な金持ちに見えるポッツォ(中山一朗)と、その奴隷のようなラッキー(稲葉能敬)もまた、二部では、目が見えなくなり、口がきけなくなって、一人では生きることができなくなる。
一幕と二幕は、同じような構成になっている。
ヴラディーミル(愛称ディディ)とエストラゴン(愛称ゴゥゴ)がずっと無意味な会話を続けている。二人は、貧しくて、年を取り過ぎていて、死のうとしても死ぬ方法さえ持ち合わせない。
そこへ、ポッツォとラッキーが現れて大騒ぎになる。やがて二人は去り、ディディのところに少年(宮下紘樹/古閑理)が現れ、「ゴドーさんは今日は来ない。明日、行く」と伝える。
結局、幕が開いた時の「ゴドーを待つ」状態は、幕が下りるまで解決しない。(とはいえ、今回、幕はない)
不条理劇と言われる所以だが、話が進んでいないわけではない。
むしろ、一幕より二幕は状態が悪化している気がする。それは、ディディとゴゥゴというよりは、ポッツォとラッキーの悲劇が挟まることで、そう感じるのかもしれない。ディディたちは、もうこれ以上不幸になりようがない感じだからこそ、ポッツォたちの存在が生きる。
そして、そんな、二人のところに来るゴドー(Godot)は、やはり、Godなのかな、トートなのかな…と思う。
私が観た時は、宮下紘樹くんが少年役だったのだが、まるで、神に愛された羊飼いの少年のような、聡明で利発な姿だった。
神の使いと言われても納得できる。
二人が待ち続けるゴドーが、神なら、死なら、「もう死んでもいいよ」と、そちらが思ってくれなければ、生き続けるしかない。どんなに最低のつらい時間だったとしても。そして、そんな、ゴドーを待ち続ける人生、というのが、少しずつ広がっているのではないか…私たちの身近な場所に。
世界の各地、貧しい場所で、救いを待つ人々のために、少しでも何かをすることができたら…と、数年前からユニセフなどに寄付をしている。でも、同じ日本で救いを待つ人々、それも新しい貧困者を救う方法って、まだ確立されていない気がして…そんなことまで、考えながらの観劇だった。
とはいえ、くすっと笑う場面あり、出演者の演技や狂気に引き込まれる瞬間あり、演出の河合さんのご挨拶あり、実は腹痛と戦いながらの観劇だったが、楽しく過ごすことができた。ありがとうございます[黒ハート]

「ゴドーを待ちながら」の日本での上演史は、1960年に遡る。もう50年以上も上演してるんですね。
上演記録が無料配布のプログラムに記載されていた。
1965年の劇団民藝の公演では、ディディ=宇野重吉、ゴゥゴ=米倉斉加年、ポッツォ=下条正巳、ラッキー=大滝秀治…という、とんでもないキャスト[exclamation×2]狂言の方が出演したものもあるし、女性キャストもある。演出も、蜷川幸雄、鴻上尚史、串田和美、森新太郎など、当代の人気演出家がチャレンジしているし、出演者も多士済々。ベケットの存命中は、音楽を入れる演出もあったようだ。(現在は、版権を管理する遺族により、音楽の使用は厳禁とされている。)

“今日は何の日”
【10月31日】
不況による困窮から、埼玉県秩父市の農民が蜂起、いわゆる秩父事件勃発(1884=明治17年)。


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