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「CHESS THE MUSICAL」観劇 [┣ミュージカル・音楽劇]

「CHESS THE MUSICAL」

作曲:ベニー・アンダーソン/ビョルン・ウルヴァース

原案・作詞:ティム・ライス

演出・訳詞:荻田浩一

音楽監督:島 健

指揮:

指揮:上垣 聡
美術:二村周作
照明:笠原俊幸
音響:大野美由紀
振付:港ゆりか
衣裳:十川ヒロコ
ヘアメイク:中原雅子
Original Orchestrations and Arrangements by Anders Eljas
歌唱指導:山川高風
稽古ピアノ:松田眞樹
歌唱指導補:西野 誠
演出助手:伴・眞里子
舞台監督:有馬則純 

時は冷戦下。
アメリカ人のチェス世界チャンピオン、フレディー(中川晃教)と、ソビエト連邦からの挑戦者アナトリー(石井一孝)の世界タイトルマッチは、イタリアの田舎町、メラーノで開催されていた。
神経質で攻撃的な性格のフレディーは、アカ(共産主義者)嫌いの上に、ソ連チームのマスコミを使ったネガキャンに心を乱され、対戦中の態度も悪く、戦績も思わしくなく、追いつめられていく。恋人でセコンド(参謀)のフローレンス(安蘭けい)は、フレディーの心を鎮めようとするが、うまくいかない。
フレディーの中の、アナトリーに対する攻撃的感情が、試合に悪影響を与えていると感じ、アナトリーとの関係を取り持とうとするフローレンスだが、フレディーが現れないうちに、アナトリーに口説かれ、愛が芽生えてしまう[ひらめき]
二人の関係に気づいたフレディーは、とうとう試合を放棄し、アナトリーが新しい世界チャンピオンとなる。しかし、アナトリーは、その場で西側への亡命を発表した。フローレンスのために。
1年後、タイのバンコク。西側の人間となった(ロンドン在住)アナトリーに、ソ連から挑戦者が送り込まれ、再び、タイトル戦が開催されることに。
ソ連側の心理作戦は、まず、アナトリーの妻、スヴェトラーナ(AKANE.LIV)の帯同。そして、「ハンガリー動乱」の際、犠牲になったと思われていたフローレンスの父親が生きてソ連にいるとの情報…。
父親を解放する代わりに、わざと負けるように…と、交換条件を持ち込まれたアナトリー陣営。アナトリーとフローレンスの心は千々に乱れる。

まあ、簡単に説明すると、こんなミュージカルでした[exclamation]

感想いきます。

ひとこと、歌がすごい[exclamation×2]
歌唱力のあるメンバーを揃え、これでもか!と次々に繰り出される、身体に染みわたるような気持ちよい歌声に、ひたすら酔いしれた夜だった。

フローレンスを演じた安蘭は、高音の美しさが磨き抜かれた感じ。しかも力強い。
男勝りの強い女性でありながら、拠り所のない心細さを内包しているところが、安蘭のキャラにも合っている。
前半、フレディーの恋人で参謀のところでは、キツいウェーブの髪をキュッと縛ってカッコいい女性。衣装は黒。後半、アナトリーの恋人となったら、髪をおろし、緩やかなウェーブへ。衣装も白。そこもチェスという競技を反映している。

アナトリー役の石井は、緩急自在の俳優というイメージがあるが、今回は、マジで歌唱力を見せつけてくれた。実は、アナトリーが主役だと思っておりました[わーい(嬉しい顔)]それくらい、素晴らしかった[黒ハート]

フレディー役の中川は、2幕冒頭の歌が神[exclamation×2]実は、この曲は、日本語に翻訳されていない。そのため、会場に、歌詞カードが置いてある。そこまでして、中川に原詞で歌わせた、演出、オギーの気持ちが痛いほどわかる。このリズム感。英語で歌った時のグルーヴ感を客席に伝えたかったのだ、と。
それほど意味のある歌詞ではない(説明の歌ではあるので、歌詞カードを出したのは正解)ので、ここは、中川の歌だけに集中した。
超幸せになれた一曲。
ちなみに世界チャンピオンから滑り落ちたフレディーは、テレビのレポーターとして、今回のタイトルマッチに関わっていたという設定。

アービターという、チェスの世界大会を仕切っている人がいて、これを田代万里生が演じている。そして彼の周囲には、チェスの妖精みたいなダンサー(大野幸人)がいる。
田代はメガネをかけて、髪をツーブロックっぽくカットして、なんか人外なイメージなので、ダンサーと合わせて、チェスを司るもっと抽象的な存在なのかもしれない、と思った。存在そのものが謎で、面白いキャラクター。
私が観劇した回は、田代がスペシャルカーテンコールを行う日で、『アンセム』を歌ってくれた。これが圧巻。スペシャルカーテンコールは、たぶん、全員が歌手としての威信をかけて登場するんだろうな、と思った。

アナトリーがソ連に残した妻、スヴェトラーナを演じたのが、AKANE.LIV。宝塚時代は、神月茜の名で活躍していた。(『送られなかった手紙』のピンクライト浴びた歌は、今も忘れられない)
こちらも安蘭に勝るとも劣らない素晴らしいソプラノで、一方的に夫に遺棄された妻の心情を見事に歌い上げてくれた。

西側のマスコミ人らしいウォルター(戸井勝海)は、歌に寄ったミュージカルのため、いまいち立場がよくわからなかったが、食えない感が心に残る。観終って、何故か一番印象に残ったのが彼だった。

チェスという競技をほとんど知らないので、東西冷戦をチェスになぞらえるという設定そのものが、うまく伝わって来なかった。
それより、素晴らしい音楽を素晴らしいキャストで聴いた、という喜びが大きい、そんなミュージカルだった。


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