ショー「宝塚幻想曲(タカラヅカファンタジア)」感想 [┣宝塚観劇]
レヴューロマン
「宝塚幻想曲(タカラヅカファンタジア)」
作・演出:稲葉太地
作曲・編曲:高橋城、太田健、高橋恵
指揮:塩田明弘
振付:謝珠栄、御織ゆみ乃、若央りさ、KAZUMI-BOY、桜木涼介
装置:國包洋子
衣装:河底美由紀
照明:氷谷信雄
音響:大坪正仁
小道具:市川ふみ
和太鼓指導:倭-YAMATO
演出助手:町田菜花
舞台進行:香取克英
第1楽章 序曲 銀河の花
音楽:高橋城、振付:若央りさ
本舞台に青白く輝く「わっか」がある。
「稲葉先生で舞台装置のわっか」…この“どこのインフィニティ”は、まっつファン必殺の禁じ手です
まだ、胸の奥がチクチクする…
…と、ぶつぶつ文句を言っている間に、セリ上がってきた明日海りおが、歌いながら、わっかの中を通り抜け、舞台前方に。
そこから、芹香斗亜、花野じゅりあ、華耀きらり、柚香光、瀬戸かずや、鳳真由…と、一人ずつわっかを走って通り抜け、本舞台に躍り出る。最後に、鳳月杏と、城妃美伶が手をつないで、笑顔でわっかを通り抜ける。
あ、この二人は、この公演が花組大劇場初舞台なのね
新しい世界へ踏み出す二人への祝福のような場面だった。こういう演出は、オギーみたいだな~と思う。
第2楽章 幻想曲 花!
音楽:高橋恵、振付:若央りさ
ここから、ダンシングショーの始まり
歌い継ぎ、踊り継いで、新生花組をアピールしていく。若々しく元気のいいオープニングだった。
第3楽章 浪漫 波の花
音楽:太田健、振付:若央りさ
ふたつめの場面は、瀬戸、鳳月、水美舞斗を中心とした場面。
世界の七つの海を旅する若者たちが、波の精に愛されて危うく…という場面。
ワンフレーズずつ、世界の音楽とダンスをやってみせる三人が、なんか笑えるのだが、いたって真面目に二枚目に踊る三人が可愛い
(だって、日本とか、盆踊りだよ)
華耀をはじめとする、波の精たちが美しかった
三人が無事に苦境を脱出したところでおしまい
第4楽章 摩天楼 夜の華
音楽:高橋恵、振付:桜木涼介
次の場面は、夜の大都会。名曲「シャレード」に乗って、金ぴかスーツの明日海を中心に、紫スーツの男たちが踊りまくる。
超かっこいいザ・花組のダンス
花組のダンスは、振りが素早く、手数が多い。それについてこれる生徒を先代トップの蘭寿とむが育てたのだろう、と思う。(少なくとも祐飛さんがいる時代には、ここまですごくなかった。祐飛さんがハケてから、振りの難度が上がった事件はあったけど、今のレベルは、祐飛さんの出る幕なさそう…)
月組からやってきて1年とかで花組トップスターになった明日海は、決して傑出したダンサーではないのに、彼らのセンターに立って、こういうシーンをやり遂げてしまうんだから、すごい根性だなと、感動した。
これが、花組初出演の鳳月は、大劇場では、かなり振り遅れが目立ったが、東京では、「マイ・ベスト・ちなつは、途中参加だけどここ」というところまで、洗練された。
タカラジェンヌの適応能力の高さを実感する場面。
そして、花男は、銀橋で一列になってナンボですね
第5楽章 籠球男子 アオイハナ
音楽:太田健、振付:桜木涼介
つづいて、アオイハナ(芹香)が高校の制服姿で登場。
寝グセの髪形がめっちゃ可愛い
1999年「ノバボサノバ」の時から見ている、使いまわしレインボーカラーのガウンを着た魔女たち、じゃなく勝利の女神(花野・芽吹幸奈・梅咲衣舞・仙名彩世)が、最強すぎて怖い
タカネノハナ(城妃)をはじめとするチアガールたちは、かわいすぎそして、強敵チームメンバー(柚香・天真みちる・鳳月・和海しょう・矢吹世奈)、めっちゃ、かっこいい
アオイハナチームの衣装は、「フットルース」の制服。このダサ可愛い感じが、アオイハナと仲間たち(鳳・真輝いづみ・水美・優波慧)の雰囲気に合う。
しかも、天真をあえて強敵の方に持って行くセンスが、すごく好き
第6楽章 祝祭 百花繚乱
音楽:高橋恵、振付;御織ゆみ乃
中詰は、赤×銀の色合いの衣装。この色合いは、小原弘稔先生を思い出す。オヨヨヨヨとか…(四半世紀経ってもあの衝撃は…)
この色味は、猩々とか、そういう中国的なものをイメージする色彩なのかな。
明日海の花魁からスタートし、和太鼓も登場して、さすが海外公演作品、というジャパネスクテイスト。でもって、音楽はドボルザークの「新世界」。蘭寿のサヨナラ公演にも、「新世界」は使われたような…と思ったが、調べてみたら、「新世界」の中の「家路」を蘭乃はなが歌っていた。第1楽章は使っていない。
同じようで、違う…同じ花組だけど、違う…そういう拘りを感じる選曲。
ここでもスターが次々銀橋を渡る。この感じも花組らしくて好きこちらは、「ザ・フラッシュ!」くらいから感じてる伝統芸みたいな感じ。ほらほらー、こんなにスターがいるんだぞみたいな…。
最後は、明日海+4人の男役(芹香・瀬戸・鳳・鳳月)が銀橋に残ってオラオラ
そう、オラオラも花組の伝統だよね(ただ、さすがに四半世紀前はオラオラではなかった記憶)
第7楽章 黒影 花に嵐
音楽:高橋城、振付:御織ゆみ乃
柚香の銀橋歌からスタート。黒い嵐とか言ってるけど…なんか、嵐にでも遭ったような歌…
花園の少女(花乃まりあ)が春を待っているが、影たちが彼女を蹂躙。少女に惹かれた黒い影(柚香)は、少女を守ろうとするが、やがて一緒に斃れて…
影のダンサーたち(瀬戸・冴月瑠那・鳳・真輝・舞月なぎさ・和海・優波・矢吹)の迫力がすごい
しっとりと美穂圭子が、物語るように歌っているが、まるで呪いの歌のようで、ちょっと怖かった
第8楽章 永遠 風に舞う花
音楽:太田健、振付:謝珠栄
舞台上に寝ているダンサーたち。そのセンターに明日海が、半跏のような姿勢で歌う。その美しさは、まさに弥勒菩薩のよう…
なんとなく、仏教的なテイストを取り入れた場面なのかな…という気がした。
黄色~オレンジのふわっとした色味の衣装を着たダンサーたちが、明日海の周囲を踊りながら回っている。稲葉先生お得意の、全員でぐるぐるな場面。
迫力がありながらも繊細な場面。とても美しいシーンだった。特に、白姫あかりの手の動きの美しさが印象に残っている。
第9楽章 無限 春の花
音楽:高橋恵、振付:御織ゆみ乃
そこから、芹香一人が残って、『What a Wonderful World』を歌いながら、銀橋へ。
そして、ロケット。薄紫のコスチュームが可愛すぎるそして、衣装よりさらに可愛い春妃うららちゃんにクギヅケだった
第10楽章 さくら幻想曲
音楽:太田健、振付:KAZUMI-BOY
紗幕が上がると、大階段のセンターに黒燕尾姿の明日海が座っている。最近、大階段に座るスタート、多いなぁ~
周囲には、ピンクのドレスを着た桜の娘たち。明日海の「さくらさくら」の歌に乗って踊る。
彼女たちが本舞台に降りると、今度は、男役たちが現れる。やがて、曲調は、津軽じょんがら風になり、速いリズムの中、次々と陣形を変え、その動きがまるで、舞い散る桜の花びらのよう…
娘役も再び登場し、数組のデュエットダンスも見られる。その中で、今回卒業する華耀が、明日海と踊ったデュエットダンスが絶品だった。表情、仕草、ムード…「私の娘役はコレです」と見せつけるかのような美しさだった。そして、最後のリフトの美しさは、もう、神
ラストは、全員客席に背中を向ける中、明日海だけが、正面向きで、印象に残った。
第11楽章 愛の花
音楽:太田健、振付:KAZUMI-BOY
ここから、あらためてデュエットダンス。
トップコンビの黒・赤・金の衣装は、和もののゴージャスな色味って感じ。曲は、「花は咲く」。
震災の時は、台湾からも本当にたくさんの義援金をいただいたと聞く。台湾に持って行く公演だから、この曲を使ったのだろう。感謝の思いを表明するためにも。
さて、こちらのデュエットダンスにもリフトがあるのだが、これがどうにも危なっかしいリフトだった。
リフトは、上げる方、上がる方、両方の技術が必要。前場で、華耀の素晴らしいテクニックを見せられた後では、新人トップ娘役の花乃は分が悪い。これはちょっと稲葉先生、イケズだったかも
第12楽章 終曲 宝塚の花
音楽:高橋恵、振付:若央りさ
エトワールは芽吹。そこから、瀬戸→柚香→芹香→花乃→明日海へと歌い継ぐ。
瀬戸は、他の男役と同じ衣装で、柚香はスター仕様、そして芹香はドでかい羽根を背負っていた。
新生花組、こういう方向で行くのね、とハッキリと示された感じのショーだった。すっごく若い組になりそう
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