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大劇場雪組感想 [┣宝塚観劇]

新春の大劇場公演は、早霧せいな咲妃みゆお披露目公演「ルパン三世/ファンシー・ガイ!」で幕を開けた。

誰もが知っている「ルパン三世」を宝塚の舞台に上げるため、演出家の小柳奈穂子先生は、ルパン(早霧)を宝塚が最も得意とする世界、ベルばら時代のフランスへタイムスリップさせた。
ルパンらは、元の世界へと帰る手段を模索しつつ、マリー・アントワネット(咲妃)とほのかな交流を持ち、彼女を「マリーちゃん」という一人の女性として助け出そうとするヒューマン・ストーリーになっている。フランス革命という過酷な時代を背景にしつつ、荒唐無稽な冒険活劇の側面を失わず、新春らしい楽しい作品に仕上がっている。まずは、この点を大いに評価したいと思う。
「ルパン三世」の世界観は、大野雄二氏がテーマミュージックを担当したテレビ第2シリーズ以降をベースにしている。第2シリーズは、月曜夜7時からの放映だったため、子供を中心に最初から大ヒットしたシリーズとなったが、宮崎駿氏などが演出した第1シリーズファン(シリーズ自体は低視聴率で打ち切りとなったが、再放送により根強いファンが生まれていた)からは受けが悪かった。映画第2作が宮崎演出の「カリオストロの城」だったのも、第1シリーズに拘るファンの声を無視できなかったからだろう。
とはいえ、第2シリーズは長期に亙って放映されたし、また、「ルパン三世」を観たことがなくても、大野氏作曲のテーマソングは今でも高校野球の応援ソングとして、しょっちゅう聞こえてくるので、知らない人はいないだろう。
かつて石田先生が、「相棒」を舞台化した時、なんといっても、あのテーマ曲が流れた瞬間に勝った気がしたのを思い出す。やはり世界観はテーマミュージックを使えるかどうかが重要。そして、オープニングのテーマ曲だけでなくBGMも細かく大野楽曲が使用されている。これもファンには嬉しいと思う。「ラブ・スコール」は、BGMじゃなくて歌ってほしかった気もするが。
出演者は、それぞれ、アニメの人物だったり、18世紀のカリカチュアライズされた人物だったりに、しっかりと当てはまっていて面白い。アニメの人物になるメンバーは、動きだったり、台詞だったり、ちょっとした部分がアニメに似ていて、名台詞もしっかり織り込まれているので、納得度が高い。ルパンは、マンガのキャラクターにしかありえないはずの、脚の細さがそっくりだし、次元はシルエットがピッタリはまるし、銭形は動きがとっつあんそのものだし。
そして、18世紀の面々は、キュートすぎるマリー・アントワネットをはじめ、イケメンの国王とか、心やさしい近衛兵とか、欲望に忠実な人々とか、みなとても面白く、その中でエキセントリックなのにどこか痛々しいカリオストロさん(望海風斗)がなんとも愉快なポジションをキープしている。
ラストは、現代に戻ったルパンの元に、マリーちゃんの子孫(咲妃演じる、マリー・カペー)が現れて、遺言により発見された首飾りをまんまルパンにプレゼントするところからの、さらなるどんでん返しとなるのだが…
無粋と知りつつ、小柳先生に訴えたい。
過去の世界で、ルパンが首飾りをマリーちゃんに渡したのは、一般市民として生きていくために、お金が必要になるはずだからだ。それは当然、バラバラになって流通して、結局ほしかった人のところへいく、とルパンは考えたのだろう。
そうなってくれれば問題なかったのだが、マリーちゃんは、首飾りを売らなかったらしい。首飾りは、封印されたまま、21世紀になって発見されたことになってしまった。
しかし、ルパンのおじいちゃん(アルセーヌ・ルパン)の最初の事件は、6歳の時、“王妃の首飾り”を盗み出して母の恥辱をそそいだこと。そこで彼は、自らの怪盗としての素質を知る。史実の通り売り飛ばされた首飾りを、ロアン大司教の弟が、ダイヤを買い足して修復、ロアン家の家宝となったというのが、その設定。
でも、そのダイヤが、マリーちゃんの納屋に眠っていたら、おじいちゃんは、怪盗にならなかった。=ルパン三世が、ルパン三世として存在できない現在になっている=タイムパラドックスが起きてしまうのだ!
(詳しくは、宙組公演「A/L」をご覧ください)
その部分が引っ掛かるのは、私が、齋藤ファンだからだろうか?

ショー「ファンシー・ガイ」は、21世紀のトップスター早霧らしいものになると思いきや、プレスリーとか、シナトラとか、前世紀の遺物のようなテーマで、ちょっと違和感。それをよしとしても、登場するスターがみな頭の上に鳥の巣を乗っけてるわーと思ったら、プレスリーのリーゼントのつもりだったとは、笑止[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]


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コメント 2

yumidesu

はじめまして。いつも楽しみに拝読しています。
ルパンを二度観劇しましたが、望海風斗さんの存在感といいますか、トップですか? というようなオーラに圧倒されました。もちろんちぎちゃんのルパンは素晴らしかったと思いますが・・・。
やはり歌唱力は大きいなとつくづく。
ショーでも、かつてわたるさんの横で歌う瞳子さん・・・を思い出してしまいました。
by yumidesu (2015-01-28 14:15) 

夜野愉美

yumidesuさま
はじめまして。コメントありがとうございます。
望海さんの歌はすごいですね。私も大好物です。空気を変える歌声なんですよね。
今回のショーは、それに頼りすぎた演出が、ちょっとワンパターンにも感じましたが…これからの舞台にも期待したいです。
by 夜野愉美 (2015-01-28 22:49) 

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