ショー「シトラスの風II」感想 [┣宝塚観劇]
ロマンチック・レビュー
「シトラスの風II」
作・演出:岡田敬二
作曲・編曲・録音音楽指揮:吉崎憲治、高橋恵
作曲・編曲:高橋城、甲斐正人
振付:羽山紀代美、謝珠栄、御織ゆみ乃、若央りさ、大谷盛雄
装置:大橋泰弘
衣装:任田幾英
照明:勝柴次朗
音響:大坪正仁
小道具:西川昌希
歌唱指導:楊淑美
訳詞:平野恵子
演出補:稲葉太地
演出助手:町田菜花
装置補:國包洋子
舞台進行:片岡麻理恵
眠る時代を呼びおこせ!
おお~このテーマ曲!
テーマ曲を聴いただけで、ほぼすべての場面を想起することができるショーって、この時代が最後かな~?回数は今の方がずっと観ている気がするのだが…。最近の音楽が難しいのだろうか?(年寄りの愚痴)
ここ数年、「ル・ポァゾン」「ナルシス・ノアール」と再演してきて、今度は「シトラスの風」。岡田先生のロマンチック・レビューシリーズの歴史を振り返るようで、オールド・ファンには楽しい試みだ。
ちなみに、「ル・ポァゾン」は1990年、「ナルシス・ノアール」は1991年、「シトラスの風」は1998年、宙組の初大劇場公演のショー。宙組にとってはとても大切な作品である。
「ナルシス…」から「シトラス…」の間に「夢・フラグランス」、「ラ・カンタータ」「ダンディズム!」「La Jueness」「魅惑II-ネオ・エゴイスト-」という作品があり、その間に、登場する衣装が黒+ピンクor紫というロマンチックカラーから、色彩の洪水へと変化していく。
「シトラス…」は、「La Jueness」や、2001年の「Rose Garden」系のパステルカラーを基調にした夢々しい雰囲気を持つ。
で、もともと先生のショーは、初演作品でも、わりと再演シーンを取り込んだりしているので、編成も変えやすいのだが、今回も、“花占い”と“仮面”の場面をカットし、「ラ・カンタータ」から“ステート・フェア”の場面を入れる構成になっていた。作品のカラーに、“ステート・フェア”はよく似合っているので、この変更はよかったと思う。
第1章 プロローグ
TAKE A CHANCE! GET A DREAM!から始まる歌とともに幕が開き、青・黄色・緑のパステルカラーの衣装に身を包んだ出演者が登場すると、宝塚を観に来たのね~と気分が高揚する。私にとっては、やっぱりこの時代が宝塚の原点なんだなーとあらためて感じた。
娘役トップの実咲凛音はピンク。そしてトップの凰稀かなめは濃いピンク、そして2番手格で出演している蓮水ゆうやが濃い紫、七海ひろきが薄い紫の衣装で登場する。この5色(ピンク・黄色・緑・青・紫)が、宝塚の組カラーの5色であることは、偶然ではないだろう。
そして、男役のセンター三人がスラッとした長身である点も、初演(姿月あさと・和央ようか・湖月わたる)と同じなんだなーと思ったが、あの時感じた、「すごい!」感はない。見慣れたんだな、オレ…宙組16年の歴史は、まんまともちんのジェンヌ人生…そりゃ、デカいもんにビビらなくなるわ…
間奏曲I
プロローグに続き、この長身スター3名(凰稀・蓮水・七海)による、第二主題歌の「夢・アモール」。リズミカルにアレンジされているが、リズミカルに聞こえないという、大変な事態が起きていた歌詞が聞き取れなかったら、「夢アモール」かどうか、わからないレベル男役が3人で歌って一人も歌ウマがいないと、すごい破壊力になるな…
第2章 ステート・フェア
アグネス(実咲)と、レディーたちが楽しく歌い踊っている。
おりしもステート・フェアが華やかに開催され、街はお祭り気分の男女で溢れている。アグネスも、素敵な人との出会いを夢見ている。
と、突然の驟雨。
雨宿りをするアグネスの目の前に、なんだかとっても素敵な人が…
現れたフレッド(凰稀)もアグネスを気に入り、二人は寄り添う。
アグネスの手からつば広の帽子が落ちて、ドライアイスの中、二人は愛の喜びを踊る。
場面は再びステート・フェアに戻り、アグネスとフレッドが人々に祝福されて終了。
この場面は、曲と設定は同じで、編曲と振付を変えている。
観ながら、“前回の振付、可愛かったなぁ~”と思うのは、今回若央先生だから仕方ないとして、アグネスが落とした帽子がずーっとずーっとずーっとそこに落ちているので、すごーく気になった。帽子が落ちてるのに、誰も意識しないでそこを走り抜ける振付って、現実的にあり得ない。
最後にかぶり直すためにそうしているのであれば、あまり効果はなかった気がする。
間奏曲II
蓮水と七海による「スマイル」。
祐飛さんもDSで歌ったし、今シーズンの浅田真央ちゃんのエキシビションナンバーだし、いい選曲じゃないかな
かっこよかった~
第3章 そよ風
目がちかちかするようなドット柄の衣装による華やかな中詰。
この衣装、初演からずっとコレなんだけど…岡田先生、気に入ってるのかな?全然、そよ風な感じがしないんだけど…
第4章 ノスタルジア
初演では、姿月・花總まり・和央の息詰まるような三角関係の場面が、実に美しく展開されていた。
社交界の花形マチルド(実咲)が、オペラ「ジャンニ・スキッキ」の歌曲『私のお父さん』を歌っていると、パトロンのセバスチャン(寿つかさ)が現れ、そろそろ舞踏会の時間だと誘う。
華やかな舞踏会。そこに将軍・ヴィットリオ(凰稀)が現れ、セバスチャンは、マチルドを紹介する。
見つめあった二人の間に何かが弾け、彼らは何かに取りつかれたように踊り続ける。
その間にセバスチャンが上着を脱いで登場、嫉妬に苛まれる踊り。そして、ヴィットリオも上着を脱ぎ、三角関係の踊りの果てに、セバスチャンが手袋を投げつける。
その後、ヴィットリオが歌うので、決闘は彼が勝ったのかしら?とか、なんだか、わかったような、わからないような場面だった。
こういう三角関係の一翼を組長が担ってしまうあたり…さすが、寿つかさ様である。
実咲の歌も見事だったし、息詰る三角関係のダンスも美しかった。ロマンチック・レビューらしいシーンだったと思う。
第5章 ザ・ロケット
今回は男役が多かったのかしら?迫力ありました。
第6章 明日へのエナジー
「シトラス…」の各場面の中でもっとも人気のある場面ではないだろうか。
パワーがあって、実にかっこいいシーン。そして、高音を見事に響かせていた美風舞良の歌声が素晴らしかった
黒い上着から蛍光カラーのインナーを出すパターンは、このあと、“アジアのヤングはみな同じ”に引き継がれたのかな?
ここで一気に盛り上がるところが、このショーのポイントだと思っている。
第七章 フィナーレ
フィナーレはシンプルにデュエットダンスから男役の群舞。
エトワールは、瀬音リサ。とても可憐で、可愛らしく清楚で、よいエトワールだった。
【今日の言葉】
「カリーニ、お前は日本武士の妻だ。こんな時には笑って見送るものなんだよ」by山田長政@『メナムに赤い花が散る』
作・演出:植田紳爾
演出:振付:尾上松緑
花組 1968年
掲載されている写真は、春日野八千代さん、那賀みつるさんでした。
コメント 0