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宝塚歌劇宙組中日劇場公演「ロバート・キャパ 魂の記録」観劇 [┣宝塚観劇]

テレビ塔.JPG 

ミュージカル
「ロバート・キャパ 魂の記録」

作・演出:原田諒
作曲・編曲・録音音楽指揮:太田健
振付:麻咲梨乃
装置:稲生英介
衣装:有村淳
照明:氷谷信雄
音響:実吉英一
小道具:西川昌希
歌唱指導:楊淑美
演出助手:町田菜花
舞台進行:片岡麻理恵
録音演奏:宝塚ニューサウンズ
写真提供:マグナム・フォト東京支社

初演は、青年館で観劇している。奇しくもちょうど2年前の今頃のこと。
その時の感想はこちら

配役が大きく変わり、2幕ものの作品を1幕に凝縮したので、変更点は多い。
とはいえ、ストーリーが変わったわけではないので、感想はシンプルに短くまとめたい。 

今回、感想を書くに当たり、2年前の感想を読み返してみた。
すると…


今の仕事と、周囲の環境(美しさを褒めそやす人ばかり)に飽き足りないものを感じているゲルダ。そんなゲルダが、アンドレの写真を見て人生が変わるとか、これだわ!みたいな場面があればよかったなーと思う。ゲルダって、あまり興奮してきゃーきゃー言わない人なので、アンドレに会いに行っても、わりと冷静に話を進める。だから、どんなに感銘を受けたかを表現するには、その瞬間を見せた方がわかりやすいのでは?


ポイントになる部分を大きな字にしてみたのだが、原田先生、このブログ、読んだ[exclamation&question]

ゲルダの初登場シーン、現在の仕事(ファッション誌のライター)に飽き足らないものを感じているゲルダというだけのシーンだったはずが、なんとニューススタンドで、アンドレの写真が載った雑誌を手に取ってました[手(チョキ)]
なんで初演の時、このシーンを入れなかったのかしらね
[exclamation&question]


セットは、ホリゾントに青空の背景と、アールデコ風の仕切り板(室内等)&吊りもの(駅の風景等)、そして八百屋舞台。印象に残るセットだったが、どこか「ヴァレンチノ」を連想してしまう部分(たぶんアール・デコ)が惜しかった。


このアール・デコ風のセットが、サイドからの視界を遮ってしまい、青年館では観る席によって感想が大きくブレた原因となったのだが、スッキリとなくなっていた。

一方、場面転換には、黒い揚げ幕と中央で合わさる引き幕がセットで使われることにより、カメラのシャッターを切った瞬間の絞り込みに似た効果を出していたのが印象的。
あの早さは電動だよね? 

シーンとしてなくなったものは、フーク社長と秘書のアバンチュール旅行、アンドレの弟・コーネルの出番と兄を手伝っている設定、ピカソの本妻と愛人の争い…っていうところかな。あと、人民戦線のホテルのショーシーンなど。

ただ残念ながら、「キャバレーにでも行けば!」というアンドレのイヤ~な台詞と、チーキという存在に助けられているにも関わらず、“あなたと私とキャパ、三人のオフィスよ”というゲルダの無神経な台詞は、そのまま残っていた。
こういう台詞を無神経に書いてしまう辺り、私はこの作家が好きになれそうにない。

では、出演者感想です。

凰稀かなめ(アンドレ・フリードマン)…安定の好演。短くなった分、変な台詞を長々言わずに済んだところもプラスに働いた。
ただ、短くなった分、慟哭シーンは、ちょっとやり過ぎ感を感じてしまった。ま、これは個人の感性の範囲かな?それと、上記のイヤ~な台詞を、すごーく、イヤ~な感じで言うところも、私には無理だった。
プログラムのキャパ扮装写真がどれもいい顔で、この作品への気合を十分に感じる。その気合が感じられる熱演だったと思う。

実咲凛音(ゲルダ・ポホライル)…プログラムの扮装写真が…もう…ありえない[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]
これはイジメか[exclamation&question]
男に伍して自分の意見をぶつけていく、現代女性的な役は、実咲のキャラに合っているし、初演の伶美うららの歌がアレだったので、凰稀とのデュエットなどは安定感が高く、素直に感動できる出来だった。
スカートはともかく、まあ…戦場だからしょうがないけど…パンツはどうしても着なきゃダメだった…[exclamation&question][爆弾][爆弾][爆弾]

寿つかさ(シモン・グッドマン)…初演の汝鳥伶は存在感ありありの好演だった。寿は、存在感を抑えた好演。組長が演じることの利点だろう。
語り手の視点がどんどん変わっていく構成の作品なので、最初の語り手であるグッドマン氏は、存在感を抑えた方が、違和感が少ないんだなー。初演は、汝鳥さんの無駄遣いであったか[バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)][バッド(下向き矢印)]

美風舞良(ジャンヌ)…初演の時は、チャキチャキした秘書が、実はフークブロック社長の愛人で…というギャップで場面をさらったが、今回はこの設定がなかったので、ジャンヌとしての存在感は減った。しかし、その分、モブシーンの長として、常に大活躍でした[exclamation×2]

蓮水ゆうや(パブロ・ピカソ)…いきなり、ピカソが二枚目になった!いや、役としては、初演から二枚目的キャラクターであったのだが、初演でピカソを演じた風莉じんのキャラが濃すぎて、二枚目というよりは、キャラの立った人物としてカウントしてしまっていた。
人生を愛し、芸術を愛し、女を愛し…そんな大らかな男が、だからこそ、それらを否定する無差別空爆への抗議「ゲルニカ」に込めた思い―それがストレートに伝わって来て胸が熱くなった。
また、キャパの「くずおれる兵士」がヤラセだったのでは?という疑惑に対して、反論するピカソの歌は、風莉の圧倒的な歌唱力が却って説得力のない歌詞を増長する効果になってしまった初演と違い、蓮水の微妙な音程が、それゆえに、彼が本当に言いたかったことを想像させる効果があったように思う。
かっこいいピカソ様でした[黒ハート]

愛花ちさき(マリー=ルイーズ・ワルテル)…ピカソのモデルで愛人。1本ネジが取れてるような、典型的な金髪美人キャラを余裕で演じていた。本妻と揉める場面はカットされていたが、ま、あれはなくてもいいし。

七海ひろき(チーキ・ヴェイス)…初演は春風弥里の熱演が光ったが、七海のチーキも、アンドレへのやさしさに溢れていて、素晴らしかった。春風と七海ではキャラが全く違うのに、それぞれの温かさがちゃんと表現されていて、どちらのチーキも大好き[るんるん]チーキの語りでスクリーンに投影されるキャパの写真を見ると、自然に涙が溢れてしまう…[もうやだ~(悲しい顔)][もうやだ~(悲しい顔)][もうやだ~(悲しい顔)]

星吹彩翔(デヴィッド・シーモア)…初演から、しっかりキャラが出来上がっていて、今回も、キッチリといい仕事をしてくれた。アンリ役が上級生の蓮水から、下級生の桜木みなとに代わったため、ゲルダの死を伝える役目はデヴィッドでもいいのかな?と思ったが、ここは、アンリで決定らしい。
パリでアンドレと初めて会うシーンの爽やかさは、この人ならではだなぁ[ぴかぴか(新しい)]

蒼羽りく(フェデリコ・ポレル・ガルシア)…死亡フラグ立ちまくりの人物。初演では、鳳樹いちが演じた。彼が戦死する姿を写したのが、キャパの名を不動のものとした「くずおれる兵士」。
線の細い男役、というイメージだった蒼羽だが、この舞台では、骨太な人民戦線兵士として男らしく勇猛なダンスを見せてくれた。
初演の後に発売された検証本によると、この写真は、フェデリコのものでも戦死シーンのものでもなく、撮影者もゲルダと推定されるらしい[爆弾]
(現実のゲルダは、最初から優秀なカメラマンで、キャパの初期作品にはゲルダの撮影したものも多く含まれているとか。つまり、「ロバート・キャパ」は二人の共同フォト・ネーム、藤子不二雄みたいなものだったのね…)

星月梨旺(ヴァンサン・モンフォール)…初演は蒼羽が演じた。アンドレ・フリードマンの名前をわざと別人の名前で掲載する編集長。登場シーンは少ないが、上手い[exclamation×2]初めて意識した「TRAFALGAR」からずっと、この人の芝居心には感心させられている。

桜木みなと(アンリ・カルティエ・ブレッソン)…初演は蓮水。桜木のアンリは、地に足のついた温かい人物。派手ではないが、愛情に溢れ、キャパとの友情も出すぎず、引っ込みすぎず、ちょうどよい距離感。ま、あんまりいい人すぎて、キャパが若干人でなしに見えなくもなかった[あせあせ(飛び散る汗)]
(シムが怪我した時、当然のようにアンリを付き添わせるんだもん[爆弾]

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久しぶりに料理。今日は、定番のキャベツの千切りサラダに、りんごも入れてみた。それと、ゴボウと牛肉の味噌炒め。ゴハンがすすみました[揺れるハート]

【今日の言葉】
「女房になるのかならねえのかどっちだ」by茂次@『小さな花がひらいた』
脚本・演出:柴田侑宏
花組 1971年

かっこいー[るんるん]
掲載されている写真は甲にしきさんでした。


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