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「クライマックス」 その3 [┣宝塚観劇]

「その2」はこちらです。

第5景 ローズ・ラメント~Cry-Max~
第1場のコロスが今度は、風莉じんを中心に、歌う。
オペラ、「カルメン」の曲が流れる中、下手のスッポンからラメントJ(大空祐飛)、上手のスッポンからラメントC(野々すみ花)がセリ上がる。ラメントJの手にはナイフが握られている。そして銀橋で、出会いがしらにラメントJは、ラメントCを刺す。ここで最初の暗転。
(祐飛さんとすみ花ちゃんは、暗転の中、オケピに降りて退場。これはセンター付近の席に座らないと見ることができない。)

舞台上では、時を遡り、ラメントE(凰稀かなめ)を中心として、ヒターノ(スペインのジプシー)達が踊っている。
このラメントJ・C・Eというのは、順にホセ、カルメン、エスカミリオということだと思う。
ラメントJは、舞台後方からセリ上がって来る。ラメントEが踊っている本舞台にも、大セリがステージのように一段高く設えられており、その後方のセリも、同じ高さまで上げた状態で止まる。そうでないと、セリ上がった時点で、足元が客席から見えないからではないかと思う。
が、このため、大空は、一度段を降りて次の一歩で段を上がる、というちょっとかっこよくない登場をすることになった。(大セリと中セリの間に距離があるため)
まあ、何度も観ているから気になるのかもしれない。
ラメントJとラメントEは、ラメントCをめぐって、恋のさや当てを演じる。細い身体でカルメンの激しい情熱を表現する野々
そこへ、コロスの一人(天玲美音)が、冷酷な微笑をたたえつつ、ラメントJにナイフを渡す。ナイスな配役です[exclamation×2]
こうして再び、ラメントJはラメントCを刺してしまう。
Cry[exclamation×2]
コロスの声が響き、場面は暗転する。
照明が入ると、今度は、ラメントCがラメントJを刺す。
Cry[exclamation×2]
コロスの声が響き、場面は暗転する。
照明が入ると、今度は、ラメントJがラメントEを刺す。
Cry[exclamation×2]
コロスの声が響き、場面は暗転する。
照明が入ると、今度は、ラメントEがラメントJを刺そうとするが、ラメントCがラメントJを庇って刺されてしまう。
Cry[exclamation×2]
コロスの声が響き、場面は暗転する。
(ここ、実はすべて刺された人が、次の刺す人になっている。ちなみに刺した人は、暗転の中、自分の刺した相手にナイフを手渡している[わーい(嬉しい顔)]
照明が入ると、ラメントJ、ラメントC、ラメントEが床に倒れている。
ヒターノAが慟哭のサパテアードを踏みならす。コロスがCry[exclamation×2]を繰り返す。それらのうねりが、早く、強くなるとともに、倒れていたラメントJ、ラメントC、ラメントEが起き上がって踊り始める。
生き返っても、三角関係が解消されるわけではないので、この踊りの中でも、ハラハラするような緊張が随所にある。が、今度は、対立関係は維持しつつも、相手の命を奪う、という選択をせずに、道を模索しようとする。
そして、すべてが踊りの中に昇華し、誰も死なないままに、大団円を迎える。
…というのが、私が思うラメントの筋書きだ。
もし、短気を起こさずにいたら、別の未来があったんじゃないか?という仮定の物語。これは「カルメン」だけじゃなくて、「ロミオ&ジュリエット」にも言えるかもしれない。
もちろん悲劇は台無しだが、物語の世界はともかく、実人生では、そこで深呼吸して考えようよ、もっと違う方策があるはず…そんなメッセージを感じた。

この場面は長くて、一曲8分ほどの時間。それをまさにクライマックスのタイトル通り、盛り上げて終わらなければならない。大劇場の頃は、そのピークが早く来てしまったり、何度かピークが出来てしまったり、一度ピークが来た後、盛り下がって終わったり…と、なかなかしっくり来ないことが多く、KAZUMI-BOY先生の振付も含めて、これでいいのか[exclamation&question][爆弾][爆弾][爆弾]と思うこともあった。
しかし、公演をこなすに連れ、クライマックスに向かって徐々に、まっすぐに登りつめていくテンションが出来上がり、そこから、すごくこの場面が好きになった。
第3景といい、最後の公演で、ハードルの高い場面が来てしまったが、そこを乗り越えることによって、またひとつ大きくなって退団することができるんだなーと、感慨無量でございます。

第6景 ロケット~First-Max~
大劇場公演では、初舞台生のロケットだったこの場面、東京では、星吹彩翔(93期)以下の場面になっている。
音楽は『虹の彼方に(Over The Rainbow)』。
みんな可愛かったです[揺れるハート]

第7景 フィナーレ~Galaxy~
最後はMaxじゃないらしい。
大階段に青い衣装のザ・スター(大空)が立っている。ドヴォルザークの『スラヴ舞曲集』を一節歌うと、紫のドレスの娘役たちがわらわらと降りて来て、スターに絡みながら踊る。
娘役たちがハケると、大階段の上にザ・レディ(野々)がポーズしている。曲は、同じドヴォルザークの『セレナード ホ長調』へ。
スターとレディは、本舞台と大階段の上でしばらく踊り、やがてスターは、銀橋へ。
レディも大階段を降りると銀橋へ。そして、銀橋の中央で出会い、踊る。
この触れ合う時間がものすごく少ないデュエットダンスは、二人の歴史を表しているのかもしれない。短くとも濃密な時間。
そうこうしている間に大階段には、燕尾服の男役たちがわらわらと降りてきている。
そのまま、両サイドから本舞台に戻ったスターとレディ。スターがレディの胸にもたれるようにして、セリ下がっていく。このポーズも素敵だったな[揺れるハート]
曲は、ベートーヴェンの『月光』ボレロアレンジへ。
これがもう、曲がかっこよく、振付がかっこよく、もしかしたら若い人には古臭いのかもしれないけど、やっぱり宝塚はこれをやめちゃだめだと思うの[exclamation×2](←力説!)
そういう振りのセンターに、大空がセリ上がる。
陣形があけておいたセンターにスポッと大空がはまる。この瞬間のなんというか、鳥肌が立つような感覚。宝塚ファンとして、一番幸せな時間かもしれない。
この時の黒燕尾が、大空も、凰稀も、北翔海莉も、悠未ひろも…全員が普通の飾りのない黒燕尾。
スターはよく、ラインストーンがいっぱいついた燕尾を着せてもらえて、時に、その飾りの数で、スターとしての格を見せつけられもするのだけど、実は、トップさんといえど、飾りのない黒燕尾の方が好きな人が多いんだとか。
それが基本で、それがすべて、なんでしょうね、男役っていうのは。
この場面は、本当に、毎回、感動して、すべての人に感謝した場面だった。
みんなが大空と踊って、みんなが大空を見て…この人たちが、受け継いでくれるものを信じられると思えた。三木先生、羽山先生、素敵な場面をありがとうございました。
最後にボレロがガーッと盛り上がっていくところで、大空一人が、銀橋に向かって小走りになる。上手から銀橋に入る時、ファンなら初見から“ここは拍手処だ”とわかる。でも、私、大劇場の初日に拍手ができなかった。…というか、一瞬拍手が入らなかった。しーんとして。
あまりの感動に身体が動かなかったのだ。たぶん、ほかの方も。
燕尾服のダンスだけは、年季だと言われる。
20年を積み重ねたトップスターは、近年なかった。だからこその重みでもあったのだろう。

パレードは、全員が白い衣装で。その中で、一人青の入った羽根を背負った大空祐飛
三木先生の「ファンシー・ダンス」の時、真っ青な羽根を背負って、降りてきたことを思い出す。
この深い青こそ、三木先生の思う大空祐飛の色なんだろうな。そして、私もそうだと思う。最後の最後に、三木先生、ありがとう…と、心から言える自分に、きっと、祐飛さんがしてくれたんだと思う。


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